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とことんまで可愛がってやる
Arabian romance
受は、アラビアンシリーズの中で、一番年齢が上の苦労人、甘利直哉。
渡米した俳優の卵だけど、挫折感にまみれている。
たまたま知り合った愛人契約の相手が善い人で、人生の転機を得ることができた。
苦労人が幸せになる夢物語のシンデレラストーリー。
読後感暖かいファンタジー。
こちら、ニューヨークが舞台の、アラブの王族と俳優の卵による甘くてほろ苦い大人の恋になります。
ゆりの作品と言うと、腹黒溺愛攻めが強気美人受けを手に入れようと色々画策するみたいな、主役二人の攻防だったりが楽しい印象ですが。
それが今回、主役組の年齢自体が34才×29才と大人。
更に、立場の違いや身分差等がキモとなりと、甘く切なくしっとり読ませてくれる印象なんですよね。
まるで映画みたいな雰囲気と言いますか。
がむしゃらに夢に向かって突き進んでいけるのは若いうちだけで、大人になればなるほど、厳しい現実に少し疲れてきてしまう。
そんな二人が、ニューヨークの片隅で出会って・・・と、甘いんですけどちょっとほろ苦くもある、まさに大人の恋なんですよね。
ちなみに、受けはとある誤解をしていまして、また結構臆病だったりします。
自分が傷付つくのを避ける為に、予防線を張っちゃってるんですよね。
それを全て分かっていながら、大きな愛で見守り続ける攻めが素敵でしたよ。
これぞ、若造には出せない大人の余裕ですよ。
いや、逃げられないように囲い込んじゃいるから、意外と余裕は無いのかもしれないけど。
内容ですが、甘く切ない身分差もので「アラビアン」シリーズ3作目になります。
単品で問題無く読めます。
ブロードウェイに立つ夢を追いかけ、単身ニューヨークにやってきた直哉。
ある夜、恋人にフラれて落ち込んでいた所を、起業家を名乗るアラブ系の美丈夫・ファルラーンに口説かれ、傷心と酔いもあって一夜の関係を持ってしまうんですね。
そこから「愛人」として付き合い始めるものの、甘く優しい時間を与えられ続け、彼にどんどん惹かれて行く直哉。
そんな中、起業家だと言っていたファルラーンの、本当の正体がアラブの国の王族だと分かりー・・・と言うものです。
直哉ですが、30才を目前に、うだつの上がらない俳優業をニューヨークで続けるべきか、日本に帰るべきか悩んでいる状態だったりします。
また、最初にファルラーンと過ごした夜に「付き合って欲しい」と口説かれたものの、翌朝に側近から「愛人へのお手当て」として封筒に入ったお金を差し出された事で、恋人ではなく愛人としての「付き合って欲しい」だったのだと解釈する。
で、自分とは釣り合わないセレブなファルラーンに対して、愛人なら傷つかなくて済むとその立場を受け入れるー。
今回、彼のそんな心の揺れが丁寧に綴られている為、甘いお話なのに、印象としてはどこかほろ苦いと言うか。
で、こちら面白いのが、主役二人の両視点で進む所。
実はファルラーンですが、最初こそ好みド真ん中の容姿に惹かれて口説いたものの、共に過ごすうちに、直哉の誠実で真っ直ぐな人柄にどんどん本気になって行くんですね。
また、直哉の言う「愛人」が最初の誤解だけでは無く、彼の様子から何か抱え込んでいそうだと勘づく。
そこで直哉に付き合い、愛人として関係を続けるー。
ファルラーンですが、かなりの溺愛攻めなんですよ。
そして、すごく包容力があるんですよ。
直哉が拗らせてると分かりつつ、それに律儀に付き合ってる状態と言いますか。
いやー、ゆりの先生と言うと、強引にでも手に入れようと画策する傲慢執着攻めが多いなか、このタイプは新鮮。
愛が深いわー!と。
また、これは毎度の事ながら、攻めが歯の浮くような甘いセリフで受けを口説きまくってるのも楽しくてですね。
直哉ですが、ファルラーンへの気持ちをひた隠しにして、あくまで愛人として軽い関係を楽しんでいるフリをし続けています。
そこへ、ひたすら甘い口説き文句を大量投入するファルラーン。
いや、ちょっとしたセリフから「それは私の事が好きだと言う意味か?」と本心を言い当てられ、内心で動揺してたりするのにニヤニヤしちゃうんですよ。
また平静を装って「あなたのポジティブさには眩暈がします」とか返そうものなら、「それは大変だ。介抱はまかせておけ」と、すかさず(直哉の)シャツのボタンを外すフリをするファルラーンみたいな。
いや、こんな感じのやりとりが個人的にツボなんですけど、延々とやっててくれて最高なのです。
甘くて小気味いい会話の応酬が、楽しくて仕方ないんですよね。
と、そんな中、人気脚本家から声がかかりと、仕事でのビッグチャンスが舞い込む直哉。
喜ぶものの、それがファルラーンが手を回した結果だと、直哉を妬む俳優仲間から知らされるんですね。
更に、彼がただのセレブでは無く、実はデルアン王国の王族だと知り・・・と続きます。
こちら、どこか「ローマの休日」を彷彿させるんですよ。
ファルラーンですが、ゲイである事から、生きにくく窮屈な祖国を逃げ出して来た。
で、やって来たニューヨークで直哉と出会ったワケですが、金にすり寄ってくる人間ばかりの中で、一切ものを欲しがらない彼に新鮮な驚きと感動を覚えるんですね。
また、庶民的なコーヒーショップに連れて行かれ、コーヒーを奢ってもらったりと、これまでにない経験をする。
こう、直哉に言われて素直に席を取りに行き「すまない。料金は先払いだったのか。」とか言ってるファルラーンが妙に可愛いんですよ。
で、ローマの休日と言うと、やがて訪れる二人の別離。
そう、王族と言う相手の正体に気付き、身分差から主人公はー、みたいな。
これ、直哉が若干臆病すぎる気はするんですけど、愛する人の足枷になりたくないと言う気持ちには、大いに感情移入しちゃうし切なくなるんですよね。
一人ソッと去る彼には、とても心が痛むんですよね。
と、かなり切なくはあるものの、ここから超ロマンチックなラストです。
予定調和と言えば予定調和なんですけど、これはむしろ様式美と言いたい!
まさに映画を見ているようで、うっとりしちゃいましたよ。
そう、愛する人の為なら、全てを捨てて行けるのです!
いやまぁ、資産はたくさん持ったままで来たけど。
まだ言いたい事があるけど字数制限来た。無念。
好きです、ゆりの菜櫻先生のアラブシリーズ!
今作を含め合計3冊が刊行されておりますが、それぞれメインカップルも舞台も別物です。
こちらからお読みになっても大丈夫だと思いますが、ちらほらと前作・前々作のキャラクターが登場するので、お読みになられるとより一層楽しめるかもしれません。
アラビアンロマンスというタイトルですが、舞台はニューヨーク。
それぞれ異なる理由から母国を出た2人がニューヨークで出逢い、時に甘く、時にすれ違いながら恋人になるまでのお話です。
今作のメインカップルは34歳×29歳のちょっぴり大人な2人ですね。
物凄く大きな問題は起こりませんが、2人のやりとりが終始甘く、収まるところでしっかりと収まる王道のラブストーリーでした!
今作の攻めであるファルラーン。
とにかく包容力がすごい!これぞ溺愛スパダリ!
俺様系アラブ王族な感じではなく、全体的に大人の余裕があるんですよね。
喋る言葉全てが甘い言葉なのではないかと思うくらい、これでもかという甘やかし方をするのが読んでいて小気味良かったです。
しれっとお店を貸切にしたり、さり気なく服を買い与えたりと、惜しみなくお金を使うところも王族らしくて気持ちが良いです(笑)
スパダリ感の溢れるファルラーンですが、直哉の暮らすアパートに行ってみたいと言ったり、アパートの階段を登るのが意外と良い運動になると言ったり、カフェで食べる庶民的なベーグルサンドに興味津々だったり、フェラチオをする直哉の姿を見て興奮し即イかされてしまい言い訳をしたり…
どこか可愛らしい部分もあって、とっても魅力的なキャラクターでした!
一方、受けである直哉。
いつかブロードウェイの舞台に立ちたいという夢を追って単身ニューヨークまで来たものの、なかなか俳優としての芽が出ず…
このまま続けて良いものか悩み、なおかつ2年付き合っていた彼女に振られてしまうというドン底状態でファルラーンと出逢います。
身体から始まった関係ではありますが、彼と接する内に疲れた心が癒され、真っ直ぐな応援の言葉に勇気付けられて、やる気と自信を取り戻していきます。
「男性しか愛せないのに母国で女性と結婚させられそうになり、逃げるしかなかった情けない男だ」と笑って言うファルラーンに「情けなくはない。無理に笑わなくても良い。あなたにとって人生の大きな転換期だったのでしょう」と真摯に返したり
愛人だと言いながら、一方的に与えられるだけではなく、普段の直哉の何気ない言葉や仕草がファルラーンに今までにない心地良さを与えています。
身分の差を感じつつも誠実で居たいと思っていたり…それはもう恋人じゃないか…?付き合っているのでは…?と、お互いの言葉足らずのすれ違いが少々じれったくも甘酸っぱくほろ苦かったです。
そして少々忘れがちなのですが、ノンケの直哉をいつの間にか夢中にさせてしまっているファルラーンがすごい…!
今後またシリーズが続くのであれば、ラスト後の2人も読んでみたいななんて…
とても読みやすく、最後まで甘さをじっくりと楽しめる作品です。
素直になれない直哉にじれじれとしながら、ファルラーンの溺愛っぷりにぜひ酔いしれて下さい!
2人の洋画の軽口のようなやり取りもテンポが良いので必見ですね。
甘いアラブ王族ものや溺愛攻め、ちょっと大人な2人のラブストーリーが読みたい方におすすめの1冊です!
新刊が出たので積んでたこちらを読みました。
シリーズ3冊目。
既刊カプもちょこっと登場したりして嬉しい。
一晩過ごして甘く口説かれた翌朝に、お付きのものからお金を渡されちゃったことにより「お手当=愛人」だと思い込んでしまった直哉。
それは誤解だって〜!と読んでて歯痒く思うものの、自分の立場をわきまえなくては……と自制するようになった直哉の気持ちもすんごく良くわかる。
心が傾きかけていたところに釘を刺されてしまったとしか思えない状況、そして直哉の心の痛み。
私としては、「愛人なんて誤解なんだって〜!ごめんよぉぉぉ」みたいに必死で誤解を解くタイプが好きなので、ファルラーン!早く誤解といてやれよ!とも思ったのも事実。
だけど、ファルラーンはあえて直哉を見守ることにするんですよね。
「愛人」の立場にとどまろうとするのには、誤解だけではなく何か理由があるんだろうから……と。
この直哉の気持ちを尊重しようというスタンスだったところが新鮮。
もっとも、本気で直哉が自分から離れていこうとするなら監禁も厭わないとか思ってるところは通常運転っぽいけど(笑)
アラブ王なんでコネもカネも使い放題!なのに、そういうものを厭う直哉の前では「一人の男」としてアプローチしようとするファルラーン。
でもアラブなんで相変わらずスケールはデカイし、ゴ〜ジャスな摩天楼の世界へようこそ〜!といった非日常感も味わえてなかなか良かったです。
おまけして萌萌で。
ー
それにしてもデルアン王国……。
王族×日本人のゲイカプばかりで大丈夫なのかしら?
それとも王子と名のつく立場の人は50人くらいいて、そのうちの5カプくらいゲイカプになっても問題ないのかしら。
ニューヨークで孤独な二人が運命的に出会い…。
こちらもこじれてますねえ。ウォーレン!久しぶり!
直哉が愛人にこだわって。わかるんですが、もどかしかったです。ファルラーンもすべてわかった上で直哉を愛して守って待って。
直哉がせっかく想いを伝えよう!とデルアン王国へ向かうも、王子の結婚式を見て一国の王族との距離を実感したり、ファルラーンの母から別れを求められて、別れることにしてしまい。
ニューヨークに帰ってからファルラーンが直哉を迎えに行くところからが、ハァっ!
直哉に捨てられたのに、ファルラーンはデルアン王国のしがらみも何もかもを捨てて直哉と生きていくことを決めて。
映画のプリティウーマンみたいですね。
そしてすべてを断ち切って新生活を始めたつもりの直哉が、実はファルラーンの掌の上だったり。
運命の恋かあ。確かに。
ファルラーンにとって得難い存在の直哉。もう直哉がいなければ生きていけないなんて!
直哉が若干乙女思考ですが、萌えました。
先生買い。シリーズ3作目で1作目2作目のカプがちょっと出てきますので、1作目から読んでおいた方が楽しいと思います。しっとり大人っぽく感じられ、盛り上がりも少し大人しい状態でしたので萌にしました。本編210P超+あとがき。
ラグジュアリーなホテルで、2年間付き合った彼女にプロポーズしようとしていた矢先に彼女から別れを切り出された直哉。気を取り直すべく飲んでいたら、アラブの美丈夫から声を掛けられ一夜の慰めにと、そのホテルのロイヤルスイートに連れ込まれ・・と話は続きます。
攻め受け以外の登場人物は
シャディール、慧(1作目のカプ)は出番あり、2作目のカプ、アルディーンと晴希は名前だけだったと思います。今回巻き込まれるのは1作目でも巻き込まれていたウォーレン。あと、皇太后(攻めの母)、サリード(攻めの側仕え)といった面々です。
**攻め受けについて
直哉は日本のアイドルという地位をなげうってNYで活躍できるよう頑張り中。ファルラーンは母からの結婚しろ攻撃に耐えかねて国を出てきた実業家。1作目2作目と違って、攻め受けとも母国に戻りにくいという点で少ししっとり寂しさを漂わせているように感じました。特に攻めのファルラーンが、少し遠慮気味な印象で、みえみえの腹黒さも少なく感じました。(いや一応打つ手は全て打っているのですが、それが見えにくい)
やるときゃやるぜ的にじゃぶじゃぶお金を使うのは1作目2作目とも変わらず。アラブの好きなところの一つです。好きな男とディナーするために人気店を貸し切っているのに、「ん、平日は空いているらしい」としれっと宣うところが大好き。
お互い言う事をきちんと言わず(言わないのがNYスタイルなのかもしれないが)、盛大にすれ違っている事を知り、ウォーレンがおろおろするところもお約束っぽくて好き。可哀想・・とくすくす笑っちゃいます。ウォーレンお疲れ様!
最後は怒涛の押しでハピエンという流れで、楽しくせつなく読ませていただきました。強烈な何か!といわれると???ですが、アラブとNYの香りを楽しめる一冊だ!と思いました。
兼守先生のラフがついてくると聞き、我慢できずに電子でも購入してしまいました。
表紙ラフと、採用されなかった表紙案、2枚のカラーラフです。挿絵好きな方は電子もご検討を。