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tametsumono
因習モノって昔は多かったのに最近あまり見ない気がする。「ミッドサマー」が話題になったし、世間的には減ったわけではなく、BL界隈でだけ減ってるのかな。自分が情報収集できていないだけか。
覡とためつものを柱としたオムニバスのようで、ストーリーとして一本筋も通った明治カナ子先生の漫画のうまさが分かる一冊です。
あとがき曰く「シリーズ掲載に間があいているのは作者が忘れていたから…」…担当さんGJ。
覡とためつものの特殊な関係性を描いている様で、王道の"年下攻めすれ違い作品"でもある。作品と作者の距離感が絶妙なんですよね。"覡とためつもの"の設定に溺れすぎていないというか。見せ方がうまい!
フィクションにハッピーエンドを求める自分は、メインCPの豊と定用が急速にほのぼのになったのは受け入れられたものの、読後、床と信を思い返して複雑な気持ちになったり。まぁ下げがあってこそ上がりが際立つのだけど、随分と殺伐感が減った終わり方だったから…さ。
タイトルが綺麗でずっと気になっていた作品。
明治先生のファンタジーということで迷わず購入した。
最初は謎だらけだったのに、段々と世界観が掴めてきて面白くて一気に読んだ。
2回目に読んだ時は、最初のお話が悲しすぎて泣けてきた。そういうことだったのかと。
そして定用のギャップが半端ない。最初はクールで真面目な人だと思っていたのに、世間知らずで子供っぽい一面があるのがすごく可愛かった。
最後に幼少期の二人に戻るシーンはじんわりと来た。
何回も読み返したい作品。
何を言ってるのかと思われそうですが、個人的に年下攻めかそうでないのかで萌え具合が変わってしまうので。
一冊すべて不思議な力を持つ覡の血統の話です。
最初の話は覡の運命から外れようとして、命も失ってしまった受けと、彼の最後の恋人の話。
死が救済という容赦なさですが、ファンタジーなので民話を読むような心地です。
次は幼少期に「ためつもの」として引き取られ、自分の伴侶となる覡と出会った攻めの話。
攻めのことをブスと罵り(攻めは現在はイケメンだけど幼少期は芋顔です)、今も昔も奴隷だと言って憚らない受け。
でも口は悪くても受けと攻めは両思いで、攻めは受けのいちいちを可愛いと思っている。
受けの年齢が出てこないんですけど、出会った時点の身長差から年下攻めかな…?という感じです。
最後は2組目の受けの兄にあたる覡と、その「ためつもの」の話。本の半分以上が彼らの話です。
弟たちとは違い、気持ちがすれ違っている受けと攻め。遠回りな恋愛をして、不器用な受けと攻めも両思いになる。
受けの生意気ショタ(おかっぱ)時代可愛い。現在の長髪に眼鏡が足されたのも良い。
出会った時点で攻め5歳(現在23歳)、受け7歳なので、実は年下攻めであることが分かります。感動した。年下に気遣われたり、年上なのに気遣いが不器用だったり無知だったりするんですよ…!
ファンタジーとして面白いので(同性カップルばかりでどうやって血統を繋いでいるのか?は謎ですが)、年下攻めじゃなくてもまあいいか、と思っていた所に不意打ちでの年下攻め。
萌えが2倍にも3倍にもなる。うれしい。
皆さんのレビューに導かれて本作品に出会いました 初読みの作家さまでしたが、本当に出会えて良かったと、皆様に感謝でした
とにかく、読後何でしょう、この世界観!
淡々とストーリーが進んでいくようで、関わりのなかで、じわじわとふたりの情緒が成熟し、濃厚な愛が成就する、という引き込まれる物語でした
これから、新たな神さまの宿る山で、不器用なふたりがどのように愛を育んでいくのかなぁと想像せずにはいられないほど、魅力的な登場人物ですね
田舎の小さな山村を舞台にした土俗系のファンタジー。
山神の声を聞く巫女のような存在「かんなぎ」と、そのお供え物である「ためつもの」のお話。
かんなぎとためつものは番のような感じ。肉体的精神的な結び付きによって、かんなぎは力が強くなる。
一話めは難解でよくわからなかったが、読み進むうちに、幼いうちに自分のためつものを失ったかんなぎの末路、という話だったということがわかる。そして、山の神に背いたかんなぎがどうなってしまうのか、ということも示されると、うっすらホラーの香りもしてきて。
この一話めのみ悲恋で終わっているが、後に登場する二組のカップルは、どちらもハピエン。
幼い頃からかんなぎとしての教育(性的なものを含む)のみを受けてきた定用は、とにかく真面目で不器用。それなのに、このところ不調続きで、もっと豊との関係を深めなければ、仕事も、正式な後継者の座も弟のわたるに奪われてしまう。
それで儀式(つまりはえっち)の内容を濃くしたり、回数を増やしたりするのだが、なぜかためつものの豊は疲弊していく。
そこで定用は、ためつものを元気にする方法が書いてある文献を調べ、実行に移す…。
この、元気づける方法というのが、門外不出の古来の秘法…ではなくて、一緒に温泉に出かける、とか一緒に星空を見上げる、というようなデートマニュアルなのがちょっと笑える。昔の人も同じようなことで悩んでいたのか?w
真面目だけどムードもへったくれもない定用と、一応常識人の豊とのちょっととぼけたやりとりがいい。
エロは聖なる儀式という意味合いなのでエロくはなく、それよりも初めてキスをして気持ちよくてビックリ、というシーンに萌えが。
独特な雰囲気でスタートしたお話だったが、ラストは心が繋がることの大切さがしみじみと伝わる、いい作品。
最高にもどかしい、恋を知らなすぎる大人の素敵なお話でした♡
真敷様が繋ぐ、真敷の分家のお話が1冊に入っています。
お話の筋は大きく分けて3つ収録されていますが、実質まとめて1つのお話です。
神の声を聞く『覡』と、その覡と体を繋げることで力を与える『ためつもの』のお話。
一番最初に、真敷の分家・二敷家の覡である二敷信が山崩れによって亡くなるお話が入っています。
この作品の時点では私がまだこのお話の本筋を理解していなかったので読んでいる時点ではちょっとあまり理解できていませんでした。
が、その後に収録されている表題作を読んでる最中にこのお話の尊さが襲ってきました!!
その次に、二敷家と同じく真敷の血筋の雨敷家のお話が入っています。
最初に雨敷家次男で覡の雨敷わたると、わたるの「ためつもの」である雨敷竜のお話。
後に雨敷家長男で覡の雨敷定用と、定用の「ためつもの」である雨敷豊のお話。(←表題作)
竜と豊は、子供の頃に真敷様が迎えに行って雨敷家へ養子となっています。
出逢った時から相性が良いわたると竜が大人になっても一心同体なのに対して、
定用と豊は子供の頃から、そして大人になっても険悪そのもの。
定用と豊の関係性が少しずつ、ほんと少しずつ動いていくのがたまりませんでした♡
定用が「恋愛感情」に疎く豊かに対する自分の気持ちに感情がついてこれない感じなのがたまらなく可愛かったです。
明治先生の絵のタッチが存分に活かせる設定で、不思議さと神聖さと少しの笑いが絶妙に織り交ぜられた雰囲気が良かったです。目次を読んで短編集かと思いましたが、すべて繋がっていて1つの世界観を満喫できます。一番ページ数が多いのはやはり表題作で、反発し合っている豊と定用の物語。傲岸不遜な定用ですが、学校にも通っていなかったため世間知らずで、攻められたら脆そうなところが放っておけないと感じさせますよね。
ただ、個人的にはもう少し素直な方が好みなので、私は表題作より冒頭の『土塊』や『雨敷』をもっと長く読んでみたかったなぁと。特に前者はとても短かったので逆に印象に残ったのかもしれませんが、覡としての孤独をただ静かに受け入れ続ける信の心情に、もっと寄り添ってみたかったです。結末の余韻を深く味わいたい話でした。『雨敷』でメインの定用の弟・わたるも兄とはまた違う強がり方が可愛かったですね。
山の神に仕える「覡」に美味しく頂かれる「ためつもの」。
人でも木でもない不思議な存在です。誕生木が枯れてしまうと、そのためつものも死んでしまいます。
「覡」と「ためつもの」の関係が上手くいっていれば、「覡」は仕事もうまくでき、立場が良くなっていくようですが、子供同士のときに引き合わされるので一筋縄ではいかないようで。
連作短編です。「土塊」で山に仕えるという不思議な話が語られ、「雨敷」で覡(弟)の話、「雨敷II」で覡(兄)の話になります。「ためつもの」以下は、覡(兄)の定用と、ためつものの豊のストーリーになり、枯れそうだった柚子の木を花を咲かせるまでに至ります。
柚子の大馬鹿18年と言われますが、花が咲いたのは23歳という遅咲き。お互いにさんざん他の男を抱いて抱かれていたというのに、恥ずかしがっている様子が初々しくてニヤケてしまいました。
意地っ張りなんですが、時々優しい。お互い蔑ろにしてはいないというのが読んでいて楽しかったです。眼鏡を選んであげるところや、デートマニュアルをそれと気が付かずに真面目に実行していく様が可愛らしかったです。トイレで寝られると困る、という場面も好きでした。
「坂の上の魔法使い」シリーズを思わせる、奥深い愛の物語でした。
3組のカップルのお話が描かれているのですが、各カップルの物語は相互に絡み合っていて、複雑な世界観を感じさせます。
口の悪いツンデレ受が、不器用ながら包容力ある優しい攻の死期が近づいていると知って奮闘し、両想いになる…というお話なんですが、一筋縄ではいかない世界観設定にニヤニヤ、ハラハラさせられます。
考えれば考えるほど深い。雄大な自然と小さなムラの中で、命や愛とは何かを考えさせられる名作です。
そしてエロがとてつもなくエロい…。
受けが体を神様に乗っ取られて大胆にセックスしたり、かと思いきや、好きな人と心をつなげるのが始めてで、一緒に横で寝られるだけで頰を染めたり…。
エロいのに純情で可愛い、最強の受けでした…。
とにもかくにも、まず読んでほしい!ほんと素晴らしいから!後悔させないから!という気持ちです。明治カナ子先生作品に外れなし。今回も期待を何億倍も上回る、素晴らしすぎる作品でした。
うわ〜、明治カナ子さんらしさが溢れた作品!
…というのが第一印象。
つまりは…なんかちょっと怖くて…
全部通して読んで、また冒頭から読むと、第1話がすごく暗くてホラー風ですらある。
だから、1話だけ読んで「なんだかなぁ」と思っても大丈夫、段々良い話になっていくよ、という事は言っておきたいです。
ただ、これは私の読解力と目のせいなんだけど、竜のルックスが子供の時と激変するので誰だかわからなかったり、竜と豊と床(とこ)の見分けがつかなかったり。
内容は、2組の「覡とためつもの」の対比が出てきて、どちらのCPも子供の時はうまくいってない状況。
それが、一方の竜xわたるCPはどんどんラブくなる。竜はずっとわたるとのつながりを大切に思っていた…
片や、もう一方の豊x定用(じょうよう)CPはこじれている。
このこじれが甘い愛になっていく様子が、和ファンタジーというか土俗的超常現象というか、そういうのと絡めて、もちろんエロも絡めて、描かれていくわけです。
終盤は、あの1話の悲劇はなんだったの?と思うくらい清冽な愛の奇跡…
不思議ワールド。
こういうBLもあるぞ、という意味で大変おすすめ。