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kyoukai no hate torokeru yuuwaku
なくしたものが見つかるという不思議な「麒麟堂」と、そこを訪れる客たちが描かれた美しい作品。
ふとしたきっかけでレビュワーさんが不思議系BLとして本作を話題にされてたので読破。
(お返しに何気なく sora組さんの「メビウス・ロンド」をお薦めしたら、びっくりするような共通点「メビウス~」もあり、気に入ってもらえました。そちらもぜひ)
人物の見分けが難しく、パースが時々狂うことがあるのでところどころ読みづらかったけど、面白かった!
計3CPの話ですが、すべてどこかでつながってて、非常に良くまとまっています。
完成度がすごい。
表紙にも描かれている店主や店の雰囲気は「Petshop of Horrors」を彷彿とさせるような。
あの作品がお好きならこちらもぜひ。
彼岸花を有効に使った場面の魅せ方も上手い。
つまりタイトルにあるように、「麒麟堂」は○岸と△岸の境界にあるのかな。
グッときたセリフ:「外れた道でもどこかへは繋がっている」
人生を変えるほどの「ウセモノ」を探す男に会った
受け持ちの生徒の通夜が行われた日 羊に連れられ迷い込んだのは『麒麟堂』
店主の倫太郎に促されるまま語りだす後悔
江夏(教え子)×鹿野(教師)
では 突然閉ざされた彼の未来と 後ろめたさを抱えた彼のいない今を
幸せな夢をみたまま逝けるなら
学生時代 一度だけ交わしたくちづけから離れられなかった
DV男(モブ)×カナタ(バーテンダー)
筒井実(専門学校同級生)×カナタ
では 諦めた夢と 諦め蔑まされていた今を
真っ直ぐであろうとする心と ほんの少しの欲望から大事にしたかった弟を壊した
麻木修也(義弟)×麻木祐一郎(義兄)
では 義兄弟の踏み外した道の堕ちる先を
最終話で 江夏と麻木(弟)がお互いの好きな人の話をするあたり 高校生の青くてキラキラした表面の内側のドス黒い部分や麒麟堂にたどり着くまでが描かれ メビウスの輪のように最初に繋がる
亡くなった江夏と 麻木修也が同級生なら
麻木祐一郎と カナタが忘れられなかった筒井実は同僚
カナタの勤めるバーで 麻木(兄)・江夏・ユウト(倫太郎のツレ)が出会い集う
倫太郎の存在もいまいちハッキリされてないのに ユウトの存在が極端に中途半端になってるのは 彼の役目がきっと「審判者」だから
失くしたモノを抱えた者たちが 店に踏み込むに値するかどうかを決める者
『此岸と彼岸の境界』『この世とあの世の狭』はたまた『終わりと始まりの境目』?
このなんとも言い様のない独特な世界が 暗くて憐れで 哀しくて 愛欲に満ちているのに それでいてどこか美しいと思えるのは画力のせい?
【虚構ユニゾン】での独特な雰囲気を気に入ってはいたんだけど 他に興味そそらるものがなくて深堀りはしていなかった作家さん
個人的には大満足だったけど 微妙に人は選ぶのかな?
【地獄少女】【デス・パレード】【xxxHOLiC】【百いろどうぐばこ】
あのあたりが嫌いじゃなければ 面白く読めるんじゃないかな とは思うんだけど
一身上の都合で 電子のみのお話探してるところで見つけられてほんとよかった
耽美異世界オムニバス、という事で飛びつく。
第一話、
教え子が亡くなり、その葬儀の後奇妙な人物2人にいざなわれて「麒麟堂」という店に迷い込んだ教師。
店主・倫太郎は「ウセモノ」を探すという。
ここから始まる教師と生徒の物語は…
…という感じで、「生徒x教師」「DV男xバーテンダー」「義弟xドMリーマン」がか細いながらも微かなつながりを持って展開するストーリー。
なんだけど。
なんかこう…わかりづらい。
この「麒麟堂」。あの世とこの世の境にあるのか?
倫太郎は人間なのか否か。
倫太郎に「客」のツナギを取っているらしい「ユウト」は?
また、時々人物の描き分けがはっきりしないような時もあるので余計にわかりづらく感じて。
漂う空気は妖しくて、薄暗くて、死や倒錯や転落のイメージ。
そういう雰囲気は良いし、狙う方向性も好み。なんだけど…
もっと耽美に振り切っていいし、倫太郎と2人の「羊」のエピソードも欲しかった。
総合「萌」で。