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Rapunzel ouji no kayoizuma
切ないスレ違いものであり、攻めザマァであり、恋人達のとても深い愛と再生の物語でもあります。
小中先生と言うと、可愛いラブコメのイメージが強いと思うんですけど、初期の頃の作品って結構痛かったりするんですよね。
今回、それを思い起こさせる重苦しいお話。
「温かい眠り」と言う同人誌を大幅改稿されたとの事です。
表紙やタイトルから可愛らしいお話をイメージすると、結構しんどい内容でダメージを受けると思うんですよね。
何だろう・・・。
攻めが相当しょうもないんですけど、受けもかなりダメな子で。
でも、すごく読み応えがあるんですよ。
そんな二人が散々スレ違って苦悩して、自分の正直な気持ちを見つめ直す。
相手の為に変われる所、努力してもどうしようもない所、その全てを受け入れて、再び愛を育んで行くー。
深い。
めちゃくちゃ深い愛と再生の物語ですよ。
内容ですが、売れっ子の画家・克己×リーマン・昭良による、恋人達のスレ違いと再生の物語です。
ゲイで大学生の昭良。
ゲイバーで知り合い好意を抱いていた克己と、酔った勢いで寝てしまい、どさくさまぎれで付き合う事になります。
それから三年ー。
ひとたび絵に没頭すると周りが見えなくなってしまう克己に振り回されつつ、身の回りの世話を焼く昭良。
しかし、そんな関係にも疲れて来てー・・・と言うものです。
まずこちら、攻めである克己がかなりしょうもないダメ男でして。
資産家であり画家としても成功しているため、とても世間知らずなんですよね。
絵に没頭すれば恋人である昭良は目に入らず、自分の身の回りの世話をさせ、したい時にエッチを求める。
こう、悪気は無いのです。
悪気は無いのですが、相手の負担等を一切想像する事が出来ない、精神的にとても未熟な人物と言うか。
で、そんな克己に振り回され続ける恋人・昭良。
彼はですね、最初に克己から「自分は面倒臭い人間で、これまでに何人もの恋人が逃げて行った」と言われたんですね。
で、克己と恋人になりたくて「俺は逃げないよ」と約束してしまった・・・。
そのため、克己のパーティーに付き合い、身の回りの世話を焼き、彼のペースで求められれば応じて来たー。
これ、パーティーに行けば男娼扱いされて惨めな思いをし、彼自身が社会人一年目で疲れていて、身の回りの世話を焼くのも大変なのです。
また、そんな疲れている時に限って克己から求められ、断れば次にいつ抱き合えるかも分からないから応じるしかない。
こう、自分は今までの相手とは違うと言ってしまった手前、全てを飲み込んで我慢するしかない状況なんですよね。
で、そんな毎日を重ねるうちに、少しずつ少しずつ疲弊してきた。
ここに、絵のモデルとして超美形のワガママ・リオンが現れた事をキッカケに、昭良の我慢が限界に達し、別れを切り出して・・・と続きます。
これ、ここまででお話としては半分くらい。
ここからがですね、攻めザマァに恋人達の再生と、萌えまくる展開。
そう、この作品の真髄は、二人が別れてからなのです!!
これまで絵を描く事に全てを注ぎ、昭良を顧みなかった克己。
それが絵を描けなくなり、やつれ、なりふり構わず昭良のアパートに押し掛ける。
そして、すがりついて泣くー。
私は、攻めザマァが好きなんですよ。
でも、今作ではあまりに容赦ないザマァ展開で、なんだか克己がかわいそうになってくる・・・。
もう、捨てられないように必死なんですよね。
変わろうと自宅を売る事にし、絵を辞めて働こうとする。
また、そこまでされても、昭良は許さないんですよ。
だって、互いに何も変わってない今の状態じゃ、結局は同じ事の繰り返しになっちゃうから。
切ない・・・。
互いに嫌いになったワケでもないだけに、めちゃくちゃ切ない。
う~ん・・・。
私は基本的に受け至上主義でして、受けの事は大概大目に見るのです。
と言うか、感情移入しすぎて、怒りは全て攻めに向かう。
が、昭良に関しては、こう彼のダメな部分も目に付くんですよ。
克己が大部分で悪いんですけど、現在の状態になっちゃったのって、昭良にも責任あるよねと。
だって、恋人なら当然言うべき事を言わずに逃げて、都合のいい存在に自分からなっちゃったんだから。
恋人同士で、どちらかが一方的に悪い事は無いとよく言いますが、この二人を見てるとまさにそうだよなぁと。
と、二人のスレ違いがかなり深刻なんですよね。
この後も、克己がこれでもかと惨めでして、心が痛むんですよね。
ちょっと、昭良への想いを拗らせすぎて気持ち悪い事にもなってるし。
えーと、昭良の絵を山ほど描いて部屋に置いてたり。
いや、攻めザマァ好きだけど、容赦無さすぎですよ。先生!!
あまりに決裂が深すぎて、この二人、このまま別れちゃうんじゃと不安になって来た所で、少しずつ変化してゆく昭良の気持ちー。
そう、とても爽やかで素敵なラストです。
全てが元通りではないし、変わった所、変われない所、傷痕として残った所ー。
でも、そんな風にして、新しい関係を築いてゆく二人に、深く感動なんですよね。
いや~、良かった。
めちゃくちゃ良かった!
ちなみに、ラプンツェルがモチーフになってますが、特にファンタジーではありません。
印象的に使われてて、とても上手いと思います。
あと、エロが超少な目なんですけど、昭良の意外な艶っぽさに悶絶しました。
完全に、主導権を握ってるのは昭良じゃないか!
読む前はあらすじを見て、精々、痴話喧嘩程度かと思っていたけど、そんなもんじゃなかった。
読み終わった今、こんな簡素なあらすじじゃこの本の良さが全く伝わらない……!!と思わずやきもきしちゃってます。
一つのカップルがスレ違いから別れを経て、その愛が奥深いところに辿り着くまでを丁寧に描いていてすっごく良かったです。
そして盛大な攻めザマァ。
攻めザマァ好きの方には是非とも読んでほしい本が一つ増えました。
画家である克己(攻め)は超出不精&生活能力が皆無なのでせっせと通い妻をしている恋人の昭良(受け)。
克己は芸術肌というか馬鹿と天才は紙一重みたいなタイプなので、突如スイッチが入って絵の世界に没頭し昭良を放置する事もざらだし、誕生日は毎年忘れてしまうし、昭良が家に来ても全く気づいてない時もあるし、かと思えば昭良の都合はお構いなしでいきなり求めてきたりと昭良を振り回しているんだけど、振り回している事にすら気づいていない。
悪気がないのもわかるから昭良も責める事もできずにいるんだけど、次第に心の中にモヤモヤが澱のようにたまっていくのは判るし、なんか同情しちゃいます。
俺が愛している人は素晴らしい才能を持った画家で、そんな人の恋人でいられることはとても嬉しいんだけど、でも、俺っていったい何なんだろう……みたいなやりきれなさ。
俺って事務員&家政婦&性欲処理係なのかな……俺が会いに行ってるから続いているんだろうな……みたいな不安。
おまけに、以前から絵のモチーフにしたいと切望していたモデルに克己は夢中になってしまうんです。
あくまで「ミューズ」としてだというのは判るんだけど、そのモデルを住まわせてやり、出不精な克己がモデルのために買い出しする姿を見たら、そりゃあいい気分はしないですよね。
それだけではないんです。
昭良の心をざわつかせ凍りつかせるような出来事が次から次へと起きて、ついに倒れてしまった昭良に対して、克己はまた神経を逆撫でるような事を言っちゃうんです。
それは克己からすると最大限に昭良の事を配慮しているつもりなんだけど、昭良にとってはやっぱり自分は都合の良い相手でしかなかったんだと思わせるような一言。
克己に悪気はないのはわかる。
無神経で心の機微に疎いのも、恋人の気持ちに頓着してこなかったのも、浮世離れした天才肌の芸術家様だから仕方ないかも……と読みながら思ってしまう自分もいる。
そしてそれを許してきた昭良にも非があると思う。
でも、ずっと昭良視点で読んでるのでどうしても昭良に入れ込んでしまい、途中から攻めザマァを!!と望まずに入られませんでした。
で、くるんです。
攻めザマァが。
それも何度も何度もこれでもかっ!!というくらい試練与えまくりの過酷な攻めザマァです。
昭良から別れを告げられて、「俺が俺でいる限り、君は戻ってきてくれない」と変わるために絵を捨てようとするんだけど、そんな克己を見て完全に決別を告げる昭良。
攻めザマァを望んでいたはずなのに、それからの克己の変わりようが思わず目を疑ってしまうほど惨めで、なんてこったい……と思わずにはいられないし、もうそこらへんで許しておやりよ……と思わずフォローをして取りなしてやりたい衝動にかられます。
おまけにその先の克己がなかなかキモくて素敵というか、かわいくて、まさか克己にキモかわいいなんて感想を抱くようになるとは読み始めたときには思ってもなかったので、この素敵な変化に思わず震えました。
「こんなふうにしか生きられない」とボロボロ泣いちゃう姿もかわいそうでかわいいし。
それにしても変われば変わるもんだなぁという二人の姿が良かったです。
序盤は恋人の動向に我、関せずだった克己がただのヘタレワンコになっちゃってるし、自分はこうやって尽くす事くらいしかできないんです……系だった昭良がすっかり克己ワンコの手綱を握ってるし。
特に克己は、完全に生まれ変わったのだと思います。
だって家事を一切引き受けて「合間に」絵を描くんですよ?
以前は寝食も忘れ魂を芸術に捧げてるようなヤツだったのに、片手間に絵を描くとかさ。
でもそれを芸術家としての劣化だとは思いませんでした。
どっちが芸術家として優れているというわけでもないし、芸術に正解はないと思うので。
そして二人の別れと再生を、皮膚に例える表現がいいなって思いました。
文句なしの神評価です。
電子版の書き下ろしSSは、克己視点です。
過去のあれこれを、ときどきキモ思考をのぞかせつつも振り返り、そして真摯に反省している様子が描かれています。
こんにちは〜!
いやもう最高でしたね!
私も攻めざまぁ作品を求めては、受けがチョロ過ぎる!受けが許しても私が許さん!みたいに思う事が多いんだけど、
この作品は胸のすく思いを通り越して、攻めが気の毒になってしまうという実に貴重な体験をさせて貰いました。
しかも、憐れな攻めの様子をウンザリしながら見てる受けというのが、これまた厳しいーーー!!!
もう、よっっっぼど衝撃だったんでしょうねー。
もう克己は一度完全に死んで生まれ変わったとしか言えない!!
完全に別人だわ。
そうなんですよ!
攻めがケチョンケチョンにやられてても、普段は「手ぬるいな!」って思うタイプなんですけど、今作では「許しておやりよ」と言いたくなっちゃう容赦の無さ!!
攻めザマァで攻めに同情しちゃうって、どんだけの仕打ちだよ。
小中先生!!
フランクさんのレビューに、もういちいち「そうなんだよ! そうなんだよ!」と頷いちゃって、朝から興奮しちゃいました(^_^ゞ
最高でしたね!
まずは先にレビューを上げてくださった姐さま方にお礼を申し上げます。
この作品と出会わせてくださって本当にありがとうございました !!
✳️
こちらの作品、書影が発表された当初、
小中さんと麻々原さんという大好きな作者さま達のタッグだというのに、
なぜか食指が動かずチェックするに到りませんでした。
そして発売後。何か読むものないかなーとちるちるの巡回中に
作品のレビューが上がっているのに気付き、
どれどれと薄目で(ネタバレされぬよう)目を通したところ…
「攻めザマァ」というワードがちらほら。しかも容赦ないとな…?!
攻めザマァは大好物のシュチュエーションなので俄然興味を持ち、
電子書籍サイトへGO。口絵の克己さんを見た瞬間に購入を決定した次第です。
そしてそして!
お話もすごくよかった〜〜〜〜〜。本っ当に!よかった!!!!!
(私同様、未読かつ薄目でレビューをご覧のそこのあなた!
読まずに回れ右をした方がいいかもしれません。
こちらのお話は起承転結を全く知らずに読んだ方が萌えられること必至。
私はうっすら分かってから読んだので、ある程度、展開が読めてしまい
自業自得ながらそこだけが残念でした。念のためお知らせまで…)
さて。
最初は、与えすぎる受けの昭良と、
ただただ享受する攻めの克己という構図で、
お互いにどうなの!と突っ込みたい関係性だったのが、
ある出来事をきっかけに終わり、変わり、また始まるという流れが
もう、すごい萌えの宝庫でした!
しつこくて申し訳ないのですが、まずは攻めザマァについて。
私はなかなかに性格が悪く、
悪いことした攻めには物凄いザマァ展開が待っていて欲しいのですが、
今までその欲求が満たされたことはほぼありません。
いつもいつも、ああ受けさんよ、なぜそんなに簡単に許してしまうのか…
というモヤモヤを抱え、二人の幸せのために仕方なくそれを飲み込みます。
ところがこちらの作品。
それはそれはすごいザマァ展開 with 切なさが繰り広げられ、
溜飲がもう下がりまくり!
今更ですが、克己さんは私基準でいうと、
それほどというか全然悪い人ではなく、本当に困った人ではあるのですが、
こういう職業の人は彼のような傾向が強いのが事実ということを
個人的に理解できてしまい、
天誅を下されるのは可哀想という気がしなくもないのですが…
ザマァ中の克己さんから昭良への我を忘れてのとりすがり具合に、
もう悶えてしまい仕方がありませんでした。克己さん、ごめんなさい。
そこまでみっともないことになる攻めでも、
もちろんBL的にはかっこよくあらねばならず
(あからさまな溺愛系に変貌+麻々原さんの挿絵が補完)、
そこまでして追い縋られる昭良は、
かつての自分達に足りなかったことを反省できる良い子で、
そのあたりのストレスも全くなく、とってもいい読後感でした。
どなたかが既に書いておられますが、
物語の最後、二人の関係性を皮膚に擬えて現状が語られるくだり、
本当にそうだよな、と。
少し切なさが残っていて、でも乗り越えて二人でいる。
リアルだな、と。いいお話だったな、と思います。
最後の最後にしますのでもう一度、
攻めザマァについて語らせていただきますと、
上記で、攻めに天誅が下される展開に
満足を感じたことが「ほぼ」ないと書きましたが
その時にふと頭をよぎったのが、
同じ作者さまの「夜啼鶯は愛を紡ぐ」でした。
あれもいい攻めザマァだった。
って考えると小中さん、なかなかの…。
そういえば、S社長〜も結構な感じだし、
今後、攻めザマァを読みたいときは小中さん、とすることにします!(報告)
このレビュー、最初から最後まで攻めザマァにまみれており、
お好きでない方には大変お見苦しかったことと思います。
申し訳ありませんでした…!
しかしながら、攻めを簡単に許すBL界の性格のいい受け達に、
己の所業にも関わらずそれほど苦境に陥れられない攻め達に、
モヤモヤさせられ通しだったフラストレーションが
私にこれを書かせたのです。何卒ご容赦を !!
この作品は攻めザマァという一言で語れるほど浅いお話ではなく、
ただそこにフューチャーしたというだけの
個人的見解に満ちたレビューということで悪しからず…
m(._.)m
✳️
後日追記:
ちなみに小中さんのファンになったきっかけの作品は、
皇子と偽りの花嫁です。年下狼も大好きだし、
これらは全く攻めザマァではありません。
ほのぼの日常系、古今東西のファンタジーからオメガバースまで、
幅広い作風をお持ちの作家さんということですね。
私の書き方のせいで小中さんが攻めザマァ作家?だと思われたら
大変だと思いましたので、アピールさせていただきます!
元々、出来上がったカップルのお話が大好きなんですが、最近身内の離婚があり、当人でない私自身もとても疲れ複雑な気持ちでいっぱいでした。
そんなタイミングでこの本を読んだのですが、最後には克己のしつこさに、とうとう涙が出てきてしまいました。
変わりたい、変われない、変わったら。
そんな簡単なもんじゃないんだよなと。
読んでて胸が苦しくなりました。
あんなことがあれば、克己が重い男に変貌するのもわかる気がします (笑)
久しぶりに胸にくるお話を読ませていただきました。
先生、ありがとうございました。
* 攻めさんの名前を間違えてレビューしてしまいましたので訂正しました。
申し訳ありません。
本作は同人作品に加筆されたものだそう。麻々原先生とのタッグにシビれます〜!
紙書籍と電子同時配信でしたので、通販でも発売日当日に配送されない地方住みのわたしにはありがたく、夜中に読み始めて一人キュンキュンジタバタゴロゴロしてましたー!
自称売れない画家と、ゲイバーで彼に一目惚れした大学生の逆転劇。
もうもうもう、小中先生の片思いが大好きで、本当はお互いに思い合っているのに、攻めの真意を明かさずキュンキュンさせてくれるのがたまんないです♡
芸術家の得体の知れなさ、掴み所のなさはキャラとして王道だけれど、そんな男を好きになってしまった昭良の尽くし方、健気さのハンパなさにそりゃ読み手も肩入れしてしまうでしょう笑
一言でいえば「攻めザマァ」の今作ですが、その表現があまり好きではない攻め好きなわたしとしては、ちゃんと気持ちを伝え合えない二人が、攻めの改心&努力のお陰と、彼らの取り巻きの力添えもあってなんとか持ち直してくれたカプだと申し上げたい笑
あんまりスピンオフを書かれない先生ですが、リオンや神田の巻は無理かなぁ。久々の日常系でメッチャ嬉しかったです!!
小中大豆さんの作品は毎回ツボを掴んでくれるので本当に大好きです!
攻めしか見えない盲目的に攻めを愛している受けと、そんな受けの愛を享受しそこにいる事が当然になっていた攻めの愛の変化のお話、ですかね?
攻めは画家で受けとのデートも作品のモチーフが浮かんだら勝手に帰ってしまったり、そもそも絵に集中しすぎて約束をすっぽかしたり、誕生日や記念日も忘れたりする奴でした
受けはそれを受け入れていたのですが、攻めの愛が他に向いてしまい、都合のいい自分は必要なくなったと勘違いし、別れを切り出します
そこからの攻めがほぼストーカーというか完全にストーカーと言って遜色ないのですが、起こす行動が違うそうじゃないと思える行動ばかりなのでくすっときます
でもこの攻めにはこの受けしか居ないんだろうなとも思います
読んでいて純粋に面白いと思える作品でした!
この作者様の攻めは受けに対して冷たかったり黒かったりすることが多いのでいつも内容確認してから読むかどうか決めるのですが、愛情の上に胡坐をかき、感謝することなく全て自分本位で動く攻めでした。
攻めザマァな展開になるとわかっていなかったら読まなかったかな。
近年まれにみる攻めザマァでした。
なかなかここまで突っぱねられる受けはいないんじゃないかな。
私は常々ないがしろにされ続けた受けがキレた後、反省する攻めをちょっとボロボロになったくらいであっさり許す話には、二人が幸せになってよかったと思う反面、もうちょっと攻めは酷い目に会うべきだと思っていたので、これくらいぼろぼろになって反省する話は大歓迎です。
画家の長澤克己(攻め)と会社員の一木昭良(受け)の二人が童話の「ラプンツェル」の姫と王子のように、恋をして別れ再び会って元さやになる話。
但し、悪い魔女は出てきません。強いて言えば二人が揉めるきっかけになったモデルのリオンかな。
あらすじはもうたくさんレビューがあるので省略で。
前半の昭良の不遇は読んでいて腹が立って読むのがしんどかったです。
そして昭良には、まだ世話を焼きに行ってるのかとちょっといらいらしました。
ただ、ここまで攻めが増長したのは昭良が我慢し続けたせいだというのも原因の一つだと思います。
ただ、付き合うときお情けで付き合ってもらった(好きとも何とも言ってもらってない)と思っているし、自分は克己の今までの恋人とは違うと力説して付き合い始めたこともあり、我慢しなければならないと思い込んでいたのでしょう。
リオンさえいなければというかリオンの態度がもう少し友好的であれば、ここまで拗れなかったとは思いますが、それでも遅かれ早かれ破綻する関係であったとは思います。
どちらかが全部我慢する関係なんて続くはずがない。
ただ、克己と同じくらい傲慢だったリオンが恋人と仲直りしてからは丸くなったと言っていましたが、昭良に対しての態度は完全に八つ当たりだったので、反省したのならことづてではなくきちんと謝るべきだと思いました。
元の克己のやり方でも画家としては十分だったと思いますが、人間としての一生はとても寂しいものになったことでしょう。一旦全部だめになってしまったからこそ、人としても画家としても成熟することができるのではないでしょうか。
小中さんの書くちょっと駄目な大人のBLは読後感が悪くないので大好きです。
売れっ子画家x学生->新米社会人カプで、すれ違い…というと一見スパダリものっぽい設定ですが、攻めが良い感じに駄目な人ですw だけどそこが良い。
この攻の駄目さの具合の匙加減が見事で、イイ男として登場したはずが駄目な所がボロボロ出てくるのに、何か憎めない。攻も受側もお互いに愛情あるのがきちんと書かれてるからかな?
そして受もうじうじしておらず、努力家でしなやかで強い子なので、2人のすれ違いも苛々しないで安心して読めます。
小中さんは作家買いしてますが、こちらは小中さんコレクションの中でもトップ3に入る作品になりました。お勧め!
攻めの克己は、釣った魚に餌をやらない言葉足らずな旦那タイプ。
3年付き合った彼氏のこと大好きで、側にいるのも尽くしてくれるのも良くも悪くもあたりまえになってしまっている。
周囲にも彼氏ですと公にしてるし、熱愛してるのは自分の中であたりまえ過ぎて、まさか受けの昭良に伝わってなかったとは夢にも思ってなかったんだなーという感じ。外から見ると大好きなのが伝わって微笑ましい。
一方受けの昭良は、付き合えたのは自分が押したからで克己の意思じゃないという認識と、克己の気遣いの足らない行動のせいで愛されているか疑問をもっている。一人で頑張って限界がきて…そこからの意思は強かった!
そうやって離れてもやっぱり会うと好きというのは本能が選んだ相手なんだなーと思います。そういう人と出逢えて、そうしてなんだかんだを一緒に体験して、お互いにとって良い関係を作っていく、そんな2人の物語です。
積んでいた本をやっと読みました。
見事なほどの攻めザマァ。
攻めザマァの中の攻めザマァでしょう。
傲慢な前半から、後半のあまりにも情けない攻めの変貌ぶり。
攻めがあまりにも可哀想で、思わず泣いてしまいました。
不満を溜め込んだ受けが爆発すると、ここまで威力大なのかとビックリ!
容赦なく突き放す突き放す。情け容赦なし。
画家の変わり者・克己×献身的なリーマン・昭良
尽くされることに慣れ切ってしまった克己に腹が立ちました。
モデルのリオンとの行動も、昭良に誤解されても仕方がないよ。
しかも、昭良が色々してくれると楽だから……って、そりゃない。
「愛」があると思っていた部分を全て否定され、堪忍袋の緒が切れたって感じですかね、
そこから立場が一転。
スーッと夢から冷めていく昭良。
縋り付く克己をバッサバッサと切り捨てていくのです。
正直、昭良もかなりいい性格してると思うよ。
あまりの非情さに克己が不憫に見えてきましたよ;
店長に怒られ、店員たちにバカにされながらスーパーでバイトする姿は健気過ぎて泣けた。
別れても昭良への愛情を垣間見せる克己に対し、優越感に浸るような昭良はなかなか性悪なのかも。
結局、克己も昭良も子どもだったのかなあ。
再び寄り添えるようになった2人にホッと胸を撫で下ろしました。
傷つき傷つけ合い、成長しながら作り直した関係。
再構築というよりは、全部壊して一から作り直したという印象。
再出発後の2人は、やっぱり立場が逆転したままなのが面白い。
克己はもう一生、昭良に頭が上がらないと思う;
かなり気持ち悪い変態だし、克己には昭良しかいないよね。
攻めザマァ好きには堪らない展開で、すごく面白かったです。
尽くされる事に慣れてすぎて、相手に感謝の気持ちを伝えられない男は絶対ダメですよね。
そして、不満を溜めすぎる事も。
身につまされる面もある、シリアスで深いお話でした。
童話に沿ったストーリー展開も良く、その割にリアルというギャップも面白かったです。