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Bon Appetit
ものすごく、ものすごーーく良かった。。
月村先生の作品を読むのは『ロマンス不全の僕たちは』『恋愛小説家は恋が不得意』に続き3作目なのですが、こちらの『ボナペティ!』が一番私好みでした。
とにかく不憫な葉が救われてくれ〜…!と願いながら読み、瑠可に保護され(←ちょっと表現おかしいですけど;)、体も心も文字通り救われていく様に、胸がじーんと震えました。
設定、キャラクター、月村先生の文体、木下けい子先生(←大好きです。。)のイラスト、文庫本のちょっと白っぽい?紙の色まで…全てが完全に調和していて、大切に大切に何度も読み返していきたい一作になりました。
なんといっても、受けの葉くん(の境遇)が本当に不憫で不憫で…
私自身は「その日の食費もない…」というほどの経験はしたことはないのですが。
「なんとかして稼がなきゃ!」と必死になっていた頃が自分にもあり、それを思い出して勝手に葉くんと重ねてしまい、ページ最初の方からうぐぐ…と涙を堪えながら読みました。
「ありがとう」よりも先に、いつも「ごめんなさい」が出てしまう葉くん。
幸せは勝手に転がり込んできたり、急になくなったり、自分ではどうしようもないもの、コントロールできないものだという思いから、幸せだと感じても、常にどこか不安に思ってしまう心。
そんな葉くんの考え方・心に、終盤で瑠可の言葉が新たな風を吹き込んでくれるシーン。
そうだよー!幸せは自分で選びとっていいんだよー!と、うるうるしながら一人ガクガク頷いていました。
そして年上ビストロシェフ瑠可の、さりげない気の配り方(行動も言葉選びも)の素晴らしさといったら…
大人で小粋でスマートで、読んでいて本当にうっとりしました。
これぞスパダリ様・:*+.
作品のタイトルどおり、瑠可の作る美味しい料理と、幸せな毎日を、これからもずっとずーっと”召し上がれ!”と葉くんに言いたい。
はぁ…甘く幸せなこの気分を噛み締めて、今夜は心地よく眠れそうです。
Bon appétit!、
「appetit(食欲)」なので、「良い食欲」=「たらふく食らえ」という意味。
食欲に溢れている人に対して使う「召し上がれ」で、フランスの上流階級では下品だと嫌って使わないそう。
花井瑠可:ビストロ・ルカの美貌のオーナー、実はゲイ。
花井瑠偉:心臓病で亡くなった瑠可の弟。葉に似ていた。
有村 葉:19歳,父が病死。中卒で就職して以来ずっと不幸続き。
田畑 由麻:瑠可の幼馴染、産休に入る。
高橋健太郎:アルバイトの大学生。
大和:瑠可の元彼、ビストロの常連客。
・・作品の紹介文が、凄く哀れっぽい。
葉は自殺を決意。「最後の晩餐」の為に瑠可の店に入る、
でも食べる前に栄養失調で失神、料理の支払いは所持金不足で出来ない。
家賃延滞で大家に強制退去をされていた。
訳ありの葉を、瑠可は強引に住み込みのバイトとして雇い入れる。
最初は戸惑っていた葉は、瑠可の亡くなった弟の事を知り、
受けた親切を無駄にしたくないと、瑠可の為に生きる=死ぬことを止めることにする。
瑠可は、店をのぞき込む痩せた葉が、ずっと気になっていた。
美味しい食べ物で太らせて、食べごろになった葉の心を手に入れる。
本当に死にたい人は、最後の晩餐を思いつかない。
葉は、心では諦めても、本能で「生きたい」と思っていたんだと思う。
ハピエン。
作品の中で主人公葉くんの恋を友人が「おとぎ話のような」と例えているけど、確かにそうだなと思いました。
スタートはなんでこの子がこんなに不幸なの?
不幸は不幸を読んでしまうものなのかなと思うくらい。栄養失調状態で、この子が本当に素敵な受け様になれるのか心配したくらいです。
無事に攻め様と出会ったあとは少しずつ健康になり幸せになっていくところや、全ての人に感謝したりする所がすごく純粋でおとぎ話のようだなって思います。
幸せが続いて不安が付きまとう気持ち、よく分かります。今まで不幸だった分、余計に不安だったんじゃないかな。
おとぎ話のように読後感が凄くいい。幸せな気持ちになれます。
月村先生のお話には木下先生のイラストが良くお似合いです。さらに温かい気持ちにしてくれました。
葉くんには、もっと幸せになってもらいたいですね。
帯にある「このBLがやばい2019年度版 BL小説ランキング2位」をみて、期待して読みました。
たしかに、瑠可(攻)がつくる美味しそうな料理、ビストロの優しいスタッフ、葉(受)に対して優しく接する瑠可など、気持ちがあたたかくなる部分もたくさんあり、最後はハッピーエンドでホッとしましたが…。
しかしながら、それ以上に、天涯孤独で貧乏で、それなのにあるトラブルでバイトをクビになってしまい、あまりにも不幸だらけな葉が可哀想すぎて、読むのがしんどくなってしまいました…。
ずっと憧れだった瑠可のビストロで人生最後の食事をしようと決意して店に入ったものの、全財産でも食事代が足りず、挙げ句の果てに栄養失調で倒れてしまい…。
この辺りで、葉の惨めな気持ちが伝わってきて、読んでいると苦しくなってしまいました。
皆さんおっしゃるように、素敵な作品です。
だけども、心が疲れているときに読むのは向いていないかも…と、私は感じてしまいました。
人生の終わりに食べ物の施しに救われる話というのはいくらでも泣けるのです。
このお話自体も登場人物たちの言動もシンプルながらおいしい料理のように優しく、幸せな気分になりました。
もとから主人公の葉くんは感性が良く素直で、不幸に生きてきた疲弊や自虐的な思考が、食べ物で変わる体型と同時に、出会った人々によって考え方や哲学のようなものが豊かになるのがポジティブで良いです。
それでも惹かれた瑠可にはいじらしく好きと言えずグルグルする展開はとっても美味しい…
窓を覗く男の子(葉)が可愛いと思っていた瑠可、いつも自分の作った料理を涙をこらえて食べる葉はとても愛おしく、痛々しくも可愛かっただろうなと思います。
瑠可のプレゼント内容は理由を打ち明けられてもオイオイと突っ込むしかないですが…笑
行為シーンは恥ずかしがりで大好きな瑠可に感じ過ぎていきすぎる葉が可愛すぎて滾りました。
挿絵、もっと体型や顔つきの差を出して欲しかったです。
ごめんなさいと連呼する葉。私は葉ほどの不幸はないけれど、この自己肯定感の低い考え方はかなり似ているものを持っています。
実際に似たようなことを言った経験もあったので、それが痛いほど共感できて泣きながら読みました。
葉が優しく受け入れられ、また新しい考え方(自分で選択するということ)を与えられていくことは大切な人が出来ることと同じくらい、生きていく上で重要です。
心底優しいお話に、読んでいるこちらも心を解された気分になりました。
買ったままずっと読んでいなかった作品です。
読み始めてみると、受け・葉の境遇が辛過ぎて、初っ端から涙が出てしまいました。
中卒でバイトを転々とし、雇い主には蔑まれ、怪我をして不当に解雇される。
日々の食事にも困るほど貧しく、菓子パンは高価だから主食は食パンて……
あまりにも不憫すぎやろ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
現代社会でこれはないよ……
月収十万未満で家賃4万五千円てーー生活保護の方がイイよ。
あまりの救いのなさに涙が出て、ページがめくれなかった……
人生を諦め、最期に憧れのフランス料理屋に入るのですが、
そこで運命の相手ともいえる瑠可と出会います。
結論から言うと、瑠可はずっとバイトに行く葉を見て気にかけていました。
そして、葉を雇って店の上に住まわせます。
ここから葉の人生が一転し、優しい人々に囲まれた穏やかな日々が始まります。
何もかもが初めての葉は可愛く、瑠可が葉を心底可愛がっているのが伝わってきます^^
でも、葉がネガティブ過ぎる。
多くを望んだら、幸せが減ってしまうと思っています。
でも、それって葉が悪いわけじゃないと思うんです。
もう染み付いたもので、幸せに慣れてなさすぎる。
優しさに慣れてなさすぎる。
わたし、いつも思うんですけど、裕福な人ほど優しい。
友だちも知人も皆んなそう。
余裕がある人ほど優しいんです(偏見かもですけど)
だから、きっと葉の周りには心が狭くて優しくない人が多かったんだろうなと思うんです。
そんな後ろ向きな葉に、美味しい食べ物と優しさと愛情を注いでいくゲイの瑠可。
瑠可がとってもいい人なんだけど、葉の事を自分なしでいられない様に甘やかしてる?なんで思いました^^;
部屋を与えて、ナチュラルに自分から離れないようにしてるように感じました。
まぁ、それが功を奏するんですけどね。
とっても優しくていい男なんですけどね。
で、葉も瑠可を好きになって、両想いハッピーエンドです♡
後半はふたりの沖縄旅行編ですが、お互いに気を使いすぎてるんだよね。
なんかギクシャクしていた関係を、最後の最後に修復します。
不憫な境遇で生きてきた葉でしたが、瑠可に出会って変わっていく。
だから、不憫受けではないんだろうな。
意外とHが好きそうな葉も、結構ねちっこそうな瑠可も良かったと思います!
薄幸不憫受けが、愛情深い攻めと出会って救われるというお話で、こういうの好きなはずなんだけど、なんかピンとこなかったです……。
そういえば趣味が似てる腐友さんから「受けは好き嫌いが分かれるかも…」と結構前に感想を聞いてたんですね。
さて、私はどうかなぁと思いながら読んだのだけど、私もさほどハマらなかった……。
受けの葉の後ろ向きな思考回路が読んでて気の毒で、そして歯がゆくてたまらなくなっちゃうんですよね。あまりにも後ろ向きすぎて。
葉はいわゆるセーフティネットから漏れてしまった子で。
なんらか救いの手はあるはずなのに、子供ゆえに無知で、そして何よりも生きていくのに必死でしかるべきところに相談する気力も時間もなく、身も心も磨り減ってしまい、自死を覚悟するまで追い詰められる。
後ろ向きな葉にイライラするのではなく、葉をこんな状況になるまで放置していた社会に対してモヤモヤしてしまいました。
(こうしてる今も、そういう若者がいるんだろうなぁというのも含めて)
こういう系のお話だと、読後は、ぐわぁ〜っっ!!良かったねぇぇ!!幸せにおなりっ!!みたいな気分になれるんだけど、なんかそこまでグッとくるものもなく……
なんでだろ……
葉に比べると攻めの瑠可の印象が微妙に薄いというか、なんか個人的に特筆する点がないように感じました。
料理上手で穏やかで優しくて美青年ですごくいい人なんだけど。
葉に比べて、なんとなくキャラがのっぺりしてるというか、一般的な王子様役どまりというか。
だからかなぁ。
そして告白時に「一生おいしいものを食べさせる」「一生大切にする」と言うんだけど、ここにキュン♡とするどころか、「一生」ってあっさり言うけど…ほんとかよ?と思ってしまった私……。
純情一途な童貞攻めとかが「い、い、一生大切にしますので付き合ってください!!」とか超不器用に告白してくるのは真実味があって萌えるんだけど。
いきなり「一生」とか言い出すキャラには思えなかったので、もうちょっと二人の愛が深まってから言ってほしかったです。
王道かな?そうだと思ってもドキドキハラハラしますね。
不遇な受け葉とキラキラ天使さまな攻め瑠可。
葉が境遇と育ちのせいか考え方が悲観的で自虐的なのは月村作品では安定の定番ですね。
今回はそれがすれ違いや互いの想いを確かめ合うのに良いエッセンスになりましたね。
葉が辛いところ、瑠可に拾われて生きる力と想像力を持つようになるところ、瑠可の弟ポジションや恩返しに頑張るところ等々泣けて泣けて仕方ありませんでした。
お互いがお互いを一番に考えて遠慮するばかりで、でもそれが思い余った時に爆発して良い結果につながり。
瑠可が葉のことを前から気になってたこと、葉にとっては光の夢の国みたいなお店で倒れてしまって助けられ、親切にされ人の善意や事情や色々知っていくこと、葉が瑠可を好きで好きで申し訳なくて苦しむところ。実は両思いで発覚の夜にそのまま…。
たくさん食べて早く大人におなりっていうのも、泣けるほど嬉しいのと大人になって欲しい理由があるのかな?との伏線とか。
あーまとまらない!
とにかくすごく良かったんです。
沖縄のバカンスも良かった。お互いの気遣いでお互いが我慢したり傷付いたりがいつまでやるの?もう話終わっちゃうよ?って最後まで続いたけど、ちゃんと腹を割ってしたいこと言いたいことを言い合って良かったです。
ネガティブ受けのネガティブさにちょっと胃もたれ気味ですが、幸せにつながって良かったです。
ただ、両思いがわかった夜にそのままエッチが早いな、いやそんなものかな?とここまでの流れからはちょっと違和感を持ちました。
レストランオーナーシェフと薄幸の少年の話。
この方のお話は受けが薄幸であることが多いと思うのですが、今作も本当に薄幸でした。
葉(受け)は中学生で天涯孤独になり、頼る所もなく、死んでないだけという状況に生きる気力もなくなり、死のうと決めたら気が楽になるという最初の状況には、可哀想で泣けました。
最後の晩餐に選んだビストロで無銭飲食した挙句倒れてしまい、それを盾にビストロオーナー・瑠可(攻め)に住み込みで雇われることになった時は、ちよっと強引で少し怖いくらいでしたが、それは葉の状況にいち早く気がついた瑠可による救いでした。
葉は無銭飲食他医療費など返さなければと一生懸命でしたが、実際には瑠可に甘やかされて、ガリガリだった身体がふっくらしていく様子が、今までで1番幸せだったのではないでしょうか。
瑠可と生活することにより、自分が世界の不幸の全部を背負ってたような気持ちから、常に幸せな人と思ってた人にも過去に何かしらあった上で今があるということを認識することも出来るようになりました。
産休に入っていた従業員の由麻の出産に立ち会ったことで、自死しようとしていた自分の間違いに気づき、自分を大切にしようと思えたことは、自分に価値を見いだせてない葉にとっては貴重な経験だったと思います。
「幸せの総量が決まっていて今不幸でも、きっといいことがある」という中学の担任の言葉が、葉を励まそうと思った言葉なのでしょうが、葉にとって足枷のようになっていて、今幸せだからこれから不幸が来るのかもと怯えてしまっていたのは逆効果になってるのが不憫でした。
そのせいもあって、ちよっとすれ違いはありますが、外側から見てる限りでは、瑠可が葉を甘やかしている話だと思います。
だだ、2人がお互い遠慮して話し合わないため、元々ネガティブ思考な葉は直ぐに悪い方へ悪い方へと考えてしまうので、2人にはちゃんと話をして欲しいと思いました。
流されるまま生きてきていて自分で選択していないから余計に不安になると指摘され、少しづつ自己主張出来るようになったのはよいことなのでこれからもその調子で頑張ってもらいたい。
全体的に甘々なはずなのに、葉のネガティブ思考のせいであまり甘く感じませんでしたが、これからは素直に瑠可の愛を信じて幸せになって欲しいです。
序盤、あまりにも葉が気の毒過ぎて
これじゃ若くして人生を終わらせたくなっても無理はないなと思いました。
頼りに出来る大人もいなくて可哀想。
そこからの逆転サヨナラホームラン的な展開、
そんなにうまくすすんだら不安になるのも仕方ないですね。
今の幸せが怖くて何でも卑屈に考えちゃう葉に
「もっと瑠可に甘えていいんだよ」って思ったところで
しみついてしまった悪いクセみたいなものだから
瑠可がこれ以上はないというほどに優しくしていてくれてたら
“俺なんかには”と言わなくなるかな。
瑠可の下心込みなのは良いとして(いいのか)
親切にするにも限度がありそうなものなのに
あんな人に出逢ってしまったら葉は他の人は愛せないね…。
受けた恩をなんとか返そうと一生懸命な姿がまた涙をさそいました。
まさに生涯無二の恩人で恋人になった瑠可に
胃袋も心も体もがっつりわしづかみされて幸せの坩堝!
でも、これからはちゃんと思ってることは口にしないと
小さなすれ違いが大きな誤解を生んでしまいますね。
葉にはもっと図々しいくらいになって欲しいですが
そうなったら葉じゃなくなっちゃうかなww
超シンデレラストーリーでなによりですが
やっぱりずっと葉が可哀想だと思いながら読んでしまったので萌評価です。
新刊で出ていたので月村先生の作品を久しぶりに拝読しました。天涯孤独薄幸な青年が人生最期の望みに晩餐をとたどり着いたビストロで様々な人と出会い人生をやり直そうとする再起の物語であって月村先生らしい作品だなと思いました。
視点を変えれば幸せそうな人も何かしら悩みや欠点や拭い去れない過去があるという事をビストロシェフとの出会いと優しさで心の余裕が生まれた葉が気づき、自分に良くしてくれた人に恩返しをしようと気持ちを返そうとする様がBLでなくてもちょっと心に染み入るところがあり。
自分を卑下しがちな葉と葉を大事に思うあまり踏み込めないシェフ瑠可の両思いになるまでの両片思い、そして思いを告げてからも続く両片思い状態を読者としてとても楽しみながら読ませて頂きました。安定感のある心にやすらぎを与える物語だと思います。
なんか既視感のある始まりだと思ったら、以前に雑誌掲載した作品の文庫化でした。
人生をあきらめちゃおうとした主人公が、最後の晩餐にと足を踏み入れたのは、以前からあこがれていた素敵なビストロでした。
そして、、、。
理不尽な不幸に飲み込まれてしまって抗う気力も失っていた葉でしたが、花井の温かい料理(と下心)によって、少しづつ自分も生きていていいのだと思えるようになっていきます。
葉のような、薄幸で健気なキャラクターは、ともすれば卑屈さが鼻について興ざめになりかねませんが、そうはならない所がこの作品のいいところです。
花井もスパダリ要素は十分なのに、恋にはちょっと臆病だったりする、その匙加減がいい。
安心して読める、甘く切ないラブロマンスでした。
評価が高かったので楽しみにしていてようやく読みました。
葉が不憫過ぎて泣きましたね。
生活にいっぱいいっぱいで生きるだけで精一杯だなんて、唯一の楽しみが瑠可の店を覗く事だなんて!かわいそう過ぎます。
命を絶つ前に勇気を出してお店に入って良かった。瑠可が店内を覗く葉が気になっていたなんて…最初から言ってあげてよ。
あまりにも控え目な葉と、紳士であろうとする瑠可の間ですれ違いはありますが、上手くいって良かったです。
今まであまりにも我慢し過ぎた葉だから瑠可には何でも言って甘えて欲しいと思いました。
書き下ろしも良かったですが、出来ればコミコミスタジオさんの小冊子も入れて欲しかったです。
久しぶりに読後が幸福感で満たされる小説を読みました。
優しくて柔らかくて、包まれる。心がほっこりとするお話でした。
ーーーーーーー感想とネタバレーーーーーーー
受けが愛されているのって良いですね。
料理できる系のスパダリは最高だと思います。料理ができると他のことも大概できちゃう...
押しに弱い葉をちょっと強引に(受けの引け目もある)自分の懐に入れてしまって、その後の彼の不安なことをほとんど全て解決してしまう。
流され感はありますが、葉の境遇を考えれば仕方のないこと。
攻めも結構頑張ったな~と思います。
描き下ろしが大容量で、甘くて最高に萌えるのでぜひ読んでいただきたい。
ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめている木下けい子先生の挿絵も必見です。
不憫受けです。
受けの葉くんが、本当に可哀想な子です。
親戚がおらず、義務教育を卒業する辺りで父親を亡くして天涯孤独になり。
中卒で就職していた工場が倒産した時点で、家族もいない。仕事もない。
子供で、知識も情報も無く、生活は苦しく精神的余裕も無く、どこに助けを求めたらいいかもわからないまま、ブラックなバイト先を転々として生きてきました。
人から助けてもらったり優しくしてもらった経験がないから、人から受ける親愛の情を知らない子です。
そんな可哀想な葉くんが憧れているのが、ご近所にある、攻め様ルカさんのお店なのです。
マッチ売りの少女がマッチの灯の中に夢見ているように。自分とは違う世界の幸せな場所だと夢見ていたんです。
誰にも助けてもらえず、社会の底辺で生きてきた葉くんに、初めて優しくしてくれたのがルカさんをはじめとする、お店を取り巻く人々で。
こんな自分なんかにも親切にしてくれる人達のために頑張りたいと、一生懸命な葉くんは、可哀想でいい子だと思いました。
葉くんの自己評価がものすごく低くて性格が後ろ向きだから、ルカさんとの恋は何度も行き違っちゃうのですが、そこはルカさんに頑張ってもらいたい!
ルカさんは、葉くんが知らずに生きてきた、優しさや、親切や、愛情をたっぷりたっぷり注いで、幸せにしてあげて欲しいです。
今回は小さなビストロのオーナーシェフと
天涯孤独で健気に生きるフリーターのお話です。
生きる事だけで精一杯だった受様が攻様に恋をして幸せを掴むまでと
幸せを育んでいく後日談を収録。
受様は早くに母親を中学卒業と前後して父を亡くして中卒で町工場就め
るも1年後に倒産、その後は飲食店を中心に職を転々としいつも生きる
事に精一杯です。
今の受様のバイト先の居酒屋でも接客業務の採用なはずなのに調理から
何でもさせられてこき使われる状況でしたが、何か言ってクビにされる
と困るのは受様なので黙って働くしかありませんでした。
そんな受様の楽しみは通勤途中にある小さなビストロでした。
受様が通る時間はいつも準備中ですが、仕込みのいい匂いが漂っていて
いつも受様をうっとりさせてくれます。切り詰めて暮らす受様には
入れない分不相応な店だと思いつつもその店は幸せに満ち溢れて見え
受様の密やかな楽しみなのです。
ところがバイト中のアクシデントで受様は右手の小指を骨折してしまい
バイトをクビになってしまいます。
体調も悪く全治3週間の小指も痛く高額の治療費で懐具合も悪くなり
自分が生きる意味などあるのかと受様の思考は深く沈んでいきます。
もうこの人生をおしまいにしよう。
そう決意した受様は部屋の退去し、残りのお金を持って最後の晩餐に
いつも覗いていたビストロを訪ねます。場違いだろう受様にもニコニコ
と接客してくれる女性におすすめメニューから単品を頼みます。しかし
それでも所持金でも足りません。
オーダーを通された瞬間にはもう後悔が押し寄せた受様ですが、受様に
饗された1皿は右手を怪我している受様のために小さくカットまで
されていたのです。
小さな肉の欠片を口にしただけで涙が込み上げてきた受様でしたが
どうしても飲み込むことができません。
そんな受様にシェフが声を掛けてきます。
このシェフこそが今回の攻様ですね♪
受様を心配そうに見つめる攻様に自分のしでかした過ちを謝ろう
と受様が決意して席を立った瞬間、そのまま昏倒してしまうのです!!
原因は栄養失調でしたが2日の絶食だけで出る数値ではないと医者を
驚かせるほどでした。受様の状況を知った攻様は立替た受様の飲食代
と診療代を踏倒されないよう住込で働いてもらうと言い出します!!
受様に有無を言わせない強気な攻様に受様は反論などできません。
受様を待ち受ける未来とは!?
月村先生のデビュー20周年を記念して書き下ろしされた雑誌掲載作に
続編短編を書き下ろしての文庫化になります。
健気に一生懸命生きる薄幸な受様が素敵な攻様との恋で幸せを掴む
という月村先生らしい恋物語です♪
実は攻様もいつもお店を覗いていく受様を可愛い子だなと思っていて
やっとお店にきてくれたと思ったら倒れられて、事情を知ったら
庇護欲が刺激刺激されて、とにかく手元に置こうとするのですよね。
それが「24時間こき使わせてもらいます」という強引な言い方なのが
もうMYツボ過ぎです (>_<)
策士な攻様、大好物です。もちろん受様愛は見えなくても必携です(笑)
なので体調不良&怪我で満足に働けない受様をちゃんと"治す"ことから
スタートし徐々に受様に接近を図るのです。
人との関りを持たずに暮らしていた受様は基本的に人を信用していません
でしたが、攻様を始めとする店の面々と来店客によって徐々に攻様の策に
落ちていく・・・
のかと思いきや、受様が攻様の亡くなった弟に似ているかもと言われて
少しづつギクシャクし2人のやりとりがズレ始めるのですよ。
それぞれが悶々と誤解が誤解を生んいく雪だるまな展開の末にすれ違った
ままで受様の引っ越しが決まり、もうハラハラMAX!!
大切だからこそ自分の本心を言えない相手にも聞けないってジレジレな
関係性も無理なく描かれているので安心してハラハラ&ドキドキしつつ
楽しく読ませて頂きました♪
自分なんかと思う気持ちが大きくて、相手を大切に思い過ぎてすれ違う
そんな2人が幸せを掴まないはずがない!!
最初、受様にとっては怪我をしたりバイトをクビになったりと踏んだり
蹴ったりな展開ですが、攻様に拾われて(笑)からの日常の積み重ねが
丁寧に描かれています。
受様が徐々に癒され、受様が内に秘めていた優しさが花開いていく様な
生まれ変わっていくような様子がじっくりとしつかり伝わる良作でした。
書き下ろしの続編も大好きな人を"幸せにする"のでだけでなく
大好きな人と一緒に"幸せになる"っていうのがとても素敵でした (^-^)v
これからも素敵な恋物語を沢山読ませて欲しいです♡
今回はスパダリ繋がりで間之あまのさん『嘘つき溺愛ダーリン』を
おススメします。攻様が最初から好意を持ってるとこも似てるかな。
雑誌で読んでいていて、文庫化されると聞いて発売を楽しみに待っていました。
月村さんの、スパダリ・受け溺愛攻め×薄幸健気受けがお好きな方にはぜひ手に取っていただきたい。月村さんらしい、切なくも温かい、心が温かくなるハートフルストーリーです。
月村さんの発揮う健気受けさんは、ネガティブさんが多い。
今作品の受けくん・葉も超絶なネガティブくん。ネガティブすぎるとややもすれば反感を買いがちですが、月村作品のネガティブ受けさんは庇護欲を誘う。
ネガティブになってしまった理由が、きちんと描かれているから。
葉くんもしかり。
若干19歳ながら、彼は人生を諦めきっている。彼がその結論に至る理由が壮絶で哀しいです。
が、そんな葉くんがビストロオーナーの瑠可さんと出会い、恋をし、そして再生していく。
ありきたりといってしまえばあまりにありきたりなストーリーではあるのですが、過酷な環境で生きてきた葉くんが瑠可さんと出会い、少しずつ幸せを手に入れていく過程が繊細な描写で描かれていて、この作品が持つ世界観にグッと引き込まれてしまうのです。
序盤薄幸で健気な葉くんが可哀想で落涙し、そして終盤は幸せを手に入れた葉くんの姿に安堵の涙が。
ハンカチとティッシュが必須です。
そして瑠可さんの男らしさも。
彼自身ビジュアルのせいでつらい経験をしてきている。
さらりと描かれたその描写に、瑠可さんの根底を見た気がしました。
自分の辛さや悲しみを人への愛情に変えられる瑠可という男性の強さが、この作品に深みと想いを与えている気がしてなりません。
そして特筆すべきは木下さんの描かれた挿絵。
個人的に月村さん×木下さんのコンビって最高だと思っているのですが、今作品の木下さんの挿絵も最高でした。
優しく、温かい今作品のイメージにぴったり。
読後、表紙を見返すと気持ちが温かくなります。
やっとしあわっせを手に入れた葉くん。
ずっとずっと、二人で幸せでいてほしい。そんな読者の願いを具現化した素晴らしいイラストでした。
個人的に大好きなタイプの月村作品です。
描写や表現が映像的で場面や背景がくっきりと浮かんできます。
また、舞台がビストロなのでいろいろな料理が出てきてどれもおいしそうで、うっかり夜中に読んでしまうと我慢できなってしまうなと思いながら読んでいました。
建物もそこで働く人もとても素敵で、こんなお店があったらボロボロになった主人公の葉みたいに癒されたり安らげるような気がします。
きっと常連になります。
あらすじにあった『最後の晩餐』ってなんで?と思って読み始めたら、もうそれがすごく哀しい理由でおいしい料理を楽しそうに囲む幸せなど自分には関係ない世界の話と思っているけど一度だけ自分もそのまねごとをしてみたい、なんていう思いが健気すぎて胸が締め付けられました。
不憫な状況にあった葉が救ってくれた恩人に一気にのぼせ上がるんじゃなくて徐々に感情が変化していく過程があって気が付いたら好きになっているという展開が好みでした。
また、瑠可王子がちょっと強引なスパダリというんじゃなくて、優しく包容力があり葉の性格をよくわかったうえでそっとふんわりと包み込んでいくような愛し方がよかったです。
ブラックな職場でだれにも守ってくらえずどんどん状況が悪化してどうにもならないというのが現実にもあるという昨今、葉がいい人たちに出会えてよかったです。
包容力のある大人 ビストロシェフ瑠可 × 天涯孤独でボロボロになった 健気なフリーター 葉
両親が亡くなり、中卒で働かざるを得えず、ブラックな職場を転々とするフリーターの葉。アルバイト先の飲食店で怪我をして職を失い自暴自棄になった葉は、最後の晩餐として憧れていた綺麗なビストロに入ることに。栄養失調で倒れたところをシェフの瑠可に助けられ…。
ドン底から登っていくシンデレラストーリーなのですが、どちらかというと、ボロボロに痩せ細って死にかけていたネコが良い飼い主に拾われてふくふくと幸せに成長していく…そんなイメージのお話でした。前半は、葉の日々が辛くて辛くてしんどかったんですが、瑠可をはじめビストロの人々に可愛がられ、人としての感覚を取り戻していく日々に安心して読むことができました。衣食住を充実させ、働さき、ようやく恋をする。瑠可への感謝を、瑠可への恋へ発展する。真綿で包むような優しい雰囲気や、ゆっくりと発展していく恋心にほっとします。
優しいお話です。前半は疲れている時には少ししんどいかもしれませんが、最後にはほっと癒されました。
まさに月村ワールド炸裂。
誰にでも好みはあるので、好き嫌いは読み手が感じるものだけど、私は大好きです。
月村先生の作品の醍醐味のひとつ、ぐるぐるきゅんきゅんですね。
へんな勘違いや勝手な思い込みで、好きなのに離れてみたり、ここぞというところですれ違ったり。
ちょっとハラハラしたり、イライラしたり物語と分かっていても、ドキドキして引き込まれてしまいます。
毎回先生の作品を読んで思うのは、詠み手に分かりやすい優しい表現。
当たり前ですが、小説は少々の挿し絵はあっても文章ですから、絵なら一目見てわかるものも色々な言葉を並べて伝えますね。どの作家さんも素晴らしい表現をされますが、私は個人的に月村先生の言葉の使い方が好きです。
今回で言えば、瑠可の瞳を「カンロ飴みたいな薄茶の瞳」と表現されています。
私はこの文章がとても好きです。
また、ビストロ.Lucasの建物を「年季の入ったタイル張りの外装、ピカピカに磨かれた真鍮の取っ手がついた木製のドア、モスグリーンの日よけなどすべてが絵のようにかわいらしく、外壁沿いには花やハーブなどの鉢が並んでいる」と書かれています。
そこには文字だけしかないのに、まさにその情景が目の前に広がって来ます。
今回はビストロが舞台なので、様々なお料理か出てきますが、今目の前にないものを本当に食べたいと思わせてしまうほど、美味しそうに表現されて、これは空腹時には読まない方がいいと思ったほど。
そして主人公の2人、今時珍しいほど純粋で生真面目、小動物のような可愛さでその上可哀想な身の上な受けと、コックコートが似合う王子様のような攻め。
こんな出来すぎたことってあるか?と思いつつどんどん物語に引き込まれてしまうんですね。
BLにも色々なタイプがあると思いますが
月村先生のような、暖かみのある優しいお話はドキドキしながらも、最後に安心して読み終えることができ、幸せな気持ちになります。
そして毎回、2人のその後をいつか書いて欲しいなあと、欲張ったことを考えてしまいます。
次回作も楽しみにしています。
いやぁ癒されました…。
驚くことに構成はいたって単純なおとぎ話なんですよ。
あるところに不憫な少年がおりました。
疲れ果て命尽きそうなところで素敵な王子様に助けられました。
少年は王子様に恋をしました。
二人は結ばれ幸せに暮らしました。
この単純な枠組みの中でどれだけ心の機微を描けるか、どれだけ人を感動させることができるか、
これが月村ワールドの真髄です。
主人公の少年、葉くんは大変不憫で、その生い立ちのせいなのか、元からの性格からなのか、自己評価が低くかなりネガティブ。ただ、「どうせこんなことしたって…」みたいな卑屈さはなく、とっても健気。
それはそれは自分を低く見積もることに関してだけ完璧主義な、過ぎたる謙遜タイプです。
もともとの能力や感受性は低くないはずなのに、経験値が少なすぎて言葉に詰まる感じ、うまく表現できないところがとってもリアルで…胸がぎゅっとなります。
そして攻の瑠可さんは、イケメン、親切、料理上手という最強選手。人柄も良く、お掃除にもお庭仕事にも気が回ります。フットワークは軽いのにどっしりおおらかで狼狽えない精神的な成熟さ、スマートな行動力、きちんと言葉にして伝える力も兼ね備えています。人生の辛いことも年相応に乗り越えてきました。どこからどうみても王子様です。
しかしこの二人が結ばれる過程が!単純に見えて!奥深かった!
葉くんから瑠可さんへの思いは、感謝から信頼へ、信頼から愛へと移ろっていくのですが、そのテンポが非常にゆっくりです。じんわり、じわじわ。今まで生きるのに必死すぎて恋をする心の余裕もなかった葉くんですから、当然と言えば当然の速度ですが…んー二人の関係は進むのかな??
と思っていたら瑠可さんが待てませんでした。瑠可さんはジェントルな王子様なので、いきなり襲ったりはしませんが笑。それはそれは親切な瑠可さんの行動でしたが、葉くんには早すぎたようで、葉くんがパニックになるところが最高にハラハラドキドキして面白いのに切なくて。
他にも瑠可さんがちょっと好意を出すと葉くんは全力で否定系の謙遜を繰り出すので瑠可さんがちょっと不憫で可愛い。脈なしと思われても仕方ないような態度ばかりの葉くんですが、それでも兄弟路線を露骨に潰しにかかるところなんかは瑠可さんの愛の本気さが伝わります。それもまた、裏目に出ていくのが面白い!切ない!と悶えっぱなし。
キャラ変しての威圧的態度といい、荷物持ちお願いと言いつつデートに連れ出すあたりといい、瑠可さんはとんだ策士ですね。全体に仕組まれた瑠可さんの罠を見つけるだけでも楽しく甘い気分になります。
さらに瑠可さんが葉くんにかける言葉の一つ一つが人生を諭すような心がすっと軽くなるような、良い言葉なんですよ。
瑠可さんはこれでもかってくらい親切で甘いです。
葉くんが可愛くて可愛くて仕方ない!手放したくない!っていうのが駄々洩れです。
でもこれ不自然なことじゃないんです。
瑠可さんから見れば、自分を幸せにしてくれるのは葉くんしかいないけれど、
不幸をたくさん経験して幸せの閾値の低い葉くんを幸せにできるのは自分だけじゃないかもしれないって思ったら、瑠可さんは気が気がじゃないと思うんです。そりゃあありったけ優しくするし、紳士ぶって格好つけちゃいますよね。
そんな二人が結ばれて、さらにもう一歩信頼関係を深めていける後編も最高です。
「相思相愛が単純なゴールじゃない」という、当たり前だけど見過ごされがちな痒いところを真正面から描いてくれました。大和さんグッジョブ。
こうやって二人の関係を育てていく中で、圧倒的に庇護される側だった葉くんが、いつか自分の意志で瑠可さんを守ってあげられる人になって欲しいと親のような気持ちで読んでいました。そんな続編があれば読みたい…
こんな世界あったらいいな、でもおとぎ話だよな。
そう思っちゃうかもれません。
でも誰しも人生に落胆することはあるし、心の余裕もなく荒んでしまう時もある。
そんなときこの作品を読んでみると、心がぽかぽかしてきます。
いつもの景色もよくよく見てみると、このお話みたいに素敵なところがあるのかもしれない…
そんなちょっとした希望がもらえるとても良い作品でした。
あとがきによれば『小説ディアプラス』で、月村さんのデビュー20周年特集を組んだ際に書いたお話だそうですが、まさに「これこそ月村さんのエッセンスが充満されているお話!」でした。
健気で不憫だけれども、ひっそりと咲いている野の花の様な受けさんが(名前も『葉』だしね)世の中の酸いも甘いも噛み分けた(単なるスパダリではないというところがミソだと思うのです)王子様と出会って幸せを知る(これもね『幸せになる』のではなく『幸せを知る』というところが良いと思うのです)お話。
こんな風に一言で書いてしまうと身も蓋もないのですけれども、でもまたしてもあとがきから引用させていただければ「20年もやっていて、こんなになんの進歩もないなんて(後略)」と書かれておりますが、私はそれが『月村ワールド』だと思うのです。
これがファンにとっては「たまらない!」のですよね。
あらすじは既に詳しく紹介されておりますので、そのことについて思う処を書きたいと思います。
今作の始まり、葉くんはとてもつらい状況に置かれています。
両親を亡くしたため中卒で、非常に条件の悪い職場で働き、食べるものといったら常に食パンのみ。
一番問題なのは、彼を愛してくれる人も、彼が愛情を注ぐ人も、1人もいないことなんです。
唯一の楽しみは、近所のフレンチレストランを覗くこと。
そこには、食べたこともない美味しいものがあって、その美味しいものを楽しそうに食べている人達がいる。葉くんにとってそこは、自分には決して手にすることの出来ない『幸せ』の象徴なんです。
でも彼はそこを覗き見ることすら罪悪感を感じてしまうのです。「自分には幸せに触れる価値もない」と思っているからなんですね。
これ、私がイメージしたのは『マッチ売りの少女』なんです。
だからこのお話は私にとって『死んじゃう前に助けられたマッチ売りの少女が、自分は幸せになっても良いと理解するまで』のお話です。
だから『都合の良い展開』がいくら出て来ても白けないんですよ。
理不尽に貶められた健気な子が尊厳を取り戻すまでの寓話だと思うので。
このお話を読んで確信したのは、月村さんが『脈々と続いている少女小説の後継者』であるということ。それも極めて正統派の。
『赤毛のアン』や『若草物語』などに胸をときめかせた記憶のある姐さま方は絶対読んだ方が良い!
心の片隅にいる『少女』を激しく揺り動かす『20周年記念作』だと思います。
蛇足
私の入手した紙の本は『おまけペーパー』がssではなく月村さんへのインタビューでした。
これも大層面白かったんですよ。
これ、初回だけですよね?
月村さんファンは書店に急いだ方が良いんじゃないかな?
先生買い。前半のキツさが印象的だったので、すいません、萌。ふわふわあまあま幸せ話なのかと思ってたら、前半が落涙寸前。人にはもう少し踏み込んで、お節介になった方がいいのかもしんないと思ったお話、本編170P弱+その続き50P超+あとがきでした。
両親ともに亡くし、中卒で働き始めた葉。最初勤めた町工場はあっけなく倒産し、必死にアルバイトしながら生活しています。ある日アルバイト中の転倒で骨折し、くそ店長からはクビと言い渡されます。疲れ果ててしまったのか、「もうおしまいにしよう」と考え、良くしてくださっていた大家さんに片づけを頼んで部屋を退去し、向かったのは近所の憧れのビストロ。そこで最後の食事をしようと思っていたのですが、ろくに食べていなかったツケがきたのか倒れてしまい・・と続きます。
攻め受け以外の登場人物は、
攻めのビストロで働くバイト大学生ともうすぐ臨月の妊婦ちゃん、攻めの元カレ、店の客のお医者さんぐらいかな。いい人の周りにはいい人が集まるのかなと思うぐらい、みんないい人であろうと頑張ってる気がする。
**キツかったところ
冒頭、葉が追い詰められてしまうところがきつかった。我が子がこうなったら誰か助けてくれるだろうかと、恐怖でしかなかったです。労災申請を知らず、雇用契約も守ってもらえず、でも誰も気づいてくれない、誰も守ってくれない。セーフティネットって、自分から申請しないと発動しないのねと改めて気づいて、愕然としてしまいました。
葉はぎりぎり、本当にギリギリで瑠可(るか)に出会って、みんなに少しずつ助けてもらって、食べるものに気を配れるようになって、キレイにすることを楽しめるようになって本当に良かったです。
いい子なので、もっともっと自分を大切に出来るようになってほしいと思いました。
攻めさんはスパダリ系なのかと思うのですが、最初に葉のお手伝いしたところが、個人的には勝手に思っていた様子と違ったので、「あら」という感じでした。あの場面だと真っ赤になって、慌てて出ていくかなと想像していたので。案外、押しが強いと感じた攻めさんでした。
まどろっこしい二人のぐるぐる話ともいえるのですが、前半の葉のキツさが思いのほか私にメンタルダメージを与えて、うおーーーーーーーうと萌え上がることが難しかったお話でした。周りの人に「うざっ」と思われるかもしんないけど、もうちょっとだけお節介になろう。
生きる事に精一杯で、心を無くしかけていた主人公ー。
そんな彼が人の優しさやあたたかさに触れ、心を取り戻して行くと言う、とても素敵な作品でした。
月村先生と言うと、マイナス思考で傷付きやすい主人公を、繊細に優しく綴るのがとてもお上手だと思うんですけど。
今回も、まさにそのタイプの受け。
もう、読みながら完全に感情移入しちゃいまして。
スレ違い時には泣けちゃいましたよ。
くっ、健気過ぎるなー!と。
私は元々、受け大好き人間でして、彼等は存在するだけで尊いと思ってるんですよ。
でも、この子は別格。
尊い受けが居たよ~。
めっちゃ尊い受けがここに居たよ!!
ついでに、包容力があっていい意味で大人のしたたかさを持ってる攻めと言うんでしょうか。
上手い事、受けを言いくるめて自分のテリトリーに引き入れちゃうみたいな。
このタイプの攻めにも死ぬほど滾る為、瑠可にもめちゃくちゃ萌えさせていただきました。
内容ですが、ビストロオーナー・瑠可×天涯孤独の不憫な青年・葉による、心と心の繋がりを優しく綴った主人公再生ものです。
両親を早くに亡くし、中卒で働きづめだった葉。
怪我をして行き詰まり、疲れ切った彼が人生を終わらせよう決意した所からお話はスタート。
最後の晩餐にと以前から憧れだったビストロに訪れた彼は、貧血を起こして倒れてしまうんですね。
そんな葉に、無銭飲食の償いとして住み込みで働くよう、強引に決めたビストロオーナーの瑠可。
そんな二人が同居生活を送りつつ互いに心を通わせ、ちょっとした誤解なんかを乗り越えて結ばれるまでとなります。
こちら上手いのがですね、まず最初に葉がこれでもかと悲惨な状況に置かれてる所だと思うんですよ。
生きるだけで精一杯の状況で、心をすり減らし、疲弊しきっている主人公。
こう、投げやり状態なんですよね。
えーと、彼の居た環境というのは周囲も荒んでいて、誰しも余裕が無い。
だから、困っている人間が居ても、誰も手を差し出そうとはしないー、みたいな。
で、なんとも読者を高揚させてくれるのが、ここからの主人公救済ターン。
無銭飲食や立て替えてもらった病院代の支払いの為に、瑠可のビストロで働きだす葉。
瑠可ですが、すごく包容力がありいい男なんですよね。
迷惑をかけたくないと去ろうとする葉にですね、「無銭飲食の代金を労働で払ってもらう」「逃げたら困るから身柄を拘束する」とか言って、働く場所と住む所を提供するー。
で、健康になってしっかり働いて貰わないととか言いつつ、バランスの取れた美味しい食事を食べさせ、優しく見守る。
こう、無気力で疲れきっていた葉がそんな毎日を過ごし、周囲の優しさやあたたかさに触れるうちに、どんどん変化してゆく。
よく負の連鎖とか言いますけど、周囲がギスギスしていればどんどん本人も荒んでゆく。
でも、逆に周囲があたたかく思いやりに満ちていれば、自分も優しく出来る。
そんな葉の変化が丁寧に綴られ、なんとも幸せな気持ちにさせてくれると言うか。
と、そんな毎日を過ごすうち、いつしか瑠可に惹かれてゆく葉。
しかし、意識しすぎて態度が不自然になってしまうんですね。
そんな中、瑠可からプレゼントとして新しい新居ー自分のアパートの鍵を差し出され・・・と続きます。
こちら、図々しく居座り続ける自分にウンザリした瑠可が、出ていって貰いたいんだと葉は解釈します。
で、切ないんですよ。
瑠可の負担にならないよう、「自立出来る」と嬉しい振りをする葉。
一人で新居に向かう葉がですね、瑠可との三ヶ月を静かに振り返るんですね。
とても幸せだった。
生まれて初めて人を好きになれた。
自分の事にいっぱいいっぱいで、瑠可の気持ちまで思いやる事が出来なかったー、みたいな。
もう、一緒に泣けちゃって。
いや、そんな一生分の幸せを使い果たしたみたいに思わないでよ!
これから、もっもっと幸せにならなきゃダメなんだよ!!と。
と、結構切ない展開なんですけど、ここから超胸アツの展開が待機しております。
今度は「うひゃひゃひゃ」と萌え転がっちゃったりして。
それにしても、瑠可もまた気の毒な攻めではあるんですよ。
やる事なす事、裏目に出ちゃって。
彼はですね、格好つけて紳士ぶってたのが一番の原因だと思うんですど。
そう、意外といい格好しいなんですよね。
まぁ、好きな子の前では格好をつけたがる攻めと言うのも、個人的には好きですけど。
萌えちゃいますけど。
と、めちゃくちゃ萌えまくる素敵な作品でした。
ついでに、エッチ時には紳士の仮面をかなぐり捨てる攻めと言うのも好みでして。
これまた、激しく翻弄されて泣きじゃくってる葉が可愛すぎて悶絶でした(* ´ ▽ ` *)