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mozu no yurikago
田中森さんはシリアスなお話を描かれる作家さま、のイメージが強いですが、この作品は中でも群を抜いて痛い作品です。
児童虐待。
親の残した借金を払うために子どもが身体を売らされる。
そして、殺人。
超がつくほどのドシリアスなお話なので、苦手な方は回れ右された方が良いかもしれません。
全5話。
現段階では電子のみの販売になっています。
主人公は夏名。
彼が子どものときに両親が離婚。
父親には捨てていかれ、母親にもはっきり「(お前は)いらない」と言われて育つ。
親に恵まれることのなかった夏名ですが、高校生の時に母親が借金を残して蒸発。その借金のカタに、夏名は風俗で働かされている。
孤独と虚無感の中、夏名が出会ったのは「かなた」という少年。
かなたもまた、父親から凄惨な虐待を受けていた。
かなたから、「かなたのママになって!」と言われた夏名は、初めて「自分」を求めてくれたかなたに心の拠り所を見つけるが―。
田中森さんて、ちょっとしぐさ一つで内面を描き切るのがお上手な作家さまだと思っているのですが、ストーリーとしてはさほど長いお話ではありません。
ありませんが、一つのコマの中で読み取れる登場人物たちの感情とか、思いとか、そういったものがたくさん詰め込まれているので読んだ時の充実度が半端ない。
この作品の夏名にしろかなたにしろ、本来なら無条件の愛情を注いでくれるべき存在である親に恵まれていない。ゆえに、幼少期からかなり過酷な環境に置かれています。
痛い。
哀しい。
辛い。
そういった感情を、彼らが表に出すことはほぼありません。
なので淡々と進むストーリーに、一見見える。
が、その中に隠した彼らの絶望が、ふとしたしぐさで端的に読者に読ませる。
それゆえにとにかく切なく、思わず目をそむけたくなるシーンも沢山あります。
かなたの父親は夏名の「かなたに会いたい」「かなたを守りたい」という思いを逆手にとって金銭を要求したり夏名を抱いたりします。それでも、夏名はかなたのために耐える。
が、そんな夏名が、かなたの父親が言い放ったとあるセリフを聞いて、かなたの父親を殺すことにする―。
共依存です。
まだ、どちらも子どもだった。
何が正しく、どうすればよかったのか。
そういった判断が出来なかった子どもたち。
が、善悪の判断だけではなく、彼らはお互いに相手しかいなかったんだよね。
かなたには夏名しか。
そして、夏名には、かなたしか。
あまりに救いのないストーリーですが、このストーリーが描いているのは紛れもない純愛。罪を犯した二人、のお話なので好みは完全に分かれる作品かと思います。が、個人的にはめっちゃ心に刺さる作品でした。
できる事なら、きちんと罪を償って、二人で再び日のあたる道を歩んでいってほしいと願ってやみません。
紙媒体で発売してほしいな。
と、切に願っています。
『鵙のゆりかご』というタイトルから何と無く想像していましたが、カッコウに卵を育てさせられる鵙をイメージして作られたお話だと思います。
小さい頃から誰かの愛情を感じたことがない夏名は、アパートの隣人・かなたから突然ママになってと声をかけられます。
かなたに頼られたことを嬉しく思う夏名は、かなたの元に通いますが、それをかなたの父親に知られてしまいます。
かなたを虐待している父親…それも相当ひどい虐待を…。
とにかく、この父親が酷過ぎます。
放っておいたら、かなたを虐待死させてしまうくらいの酷さなのです。
そしてこの父親は、夏名に金や身体を要求してくるようになります…
いつか、かなたも売ろうと考えていることを知り殺意を覚える夏名ですが、実際に先に手を下したのはかなたで…
ここから2人の逃亡生活に入るのですがその描写はなく、大きくなったかなたと夏名のお話に変わります。
2人は今もお互いを必要とし合って生きており、関係性も進んでいました。
まさに共依存という言葉がぴったりですが、2人には狂気にも似た愛を感じます。
かなたは巻き込まれた夏名を可哀想と言いましたが、夏名は何も知らない鵙ではなく、今を幸せに思っています。
そう、こうなることを選んだのは夏名自身なのです。
かなたの父親には全く同情する余地もなく、二人の犯罪を悪いことだと感じなかった私も歪んでいるのでしょうね…
おそらく賛否分かれる作品だと思いますが、私はハッピーエンドに感じてしまいました。
なかなか心に残る素晴らしい作品だと思います。
もちろん、18禁ですが…
こういうの大好き。共依存っていうのかな。
お互いにお互いがいないと生きていけない感じ。
お互いがいれば後は何もいらないって感じ。
虐待とか殺人とかウリとか諸々社会の闇を扱ってるので苦手な人は苦手かもしれないですね。
決して面白い話ではないのでご注意を。
ただ田中森よこた先生は絵が綺麗だから読みやすいし、めちゃめちゃ重い話を扱ってるはずなのに、ふわっと読めてしまうのがすごいところだと思います。
読みやすいだけで重い話が軽くなってはいないですが。
私はこういうの闇深い系の話が結構好きなので不謹慎にもニヤニヤしながら読んでしまいました。
ハマる人にはハマると思います。
田中森先生の可哀想な受ちゃんの愛しさたるや・・・!天才!
今作は天涯孤独なティーン(10代ということしかわからない)が隣の部屋に住むシングルファザーとその子ども・かなたに出逢い、『かなたのママになって』と言われて、ママになっていく話。
この字面だけ見ると「は?」って感じだと思うんですが、、強者が弱者を支配する世界の縮図が見られます。
結果オーライではあるけど、かなたたちが見つからなかった理由が寂しい。
個人的にはクズ親とナツナのあれこれがもう少しあっても良かったですが、かなたが行動を起こすのが早かったです。手放しに面白いとは言えないけど、もっと読みたくなる作品。
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