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koukishin wacho wo korosu
長らく腐女子をやっており、BLの全寮制学園ものは、漫画や小説、ゲームなど身近なものとして嗜んできました。全寮制学園ものという事で、この本を読み始めた時もデビュー作でこの膨大なボリュームに慄きつつも、「書かれ尽くしたこのジャンルをエブリスタの大賞作ではどう料理されているのか?」という、まさにタイトルと同じく好奇心から手に取りました。
この作品は、他の人もおっしゃる通り、過去の偉大な作家先生の作品のオマージュ的な要素もあります。読者の人の中でも「風の木の詩」を読んでいる人と読んでいない人とでは、新鮮さも感想も変わってくると思われます。最近カトリック教会の闇の部分などが明るみに出る機会も多いですが、腐女子はBL作品を通して履修済みなので、驚く事が少ないのが何とも言えず…。
多少デジャビュ感があっても、一般小説としても十分楽しめる筆力や表現力は、デビュー作品として目を見張るものがありましたし、このボリュームに関わらず、最後まで飽きる事なく楽しめました。特にこのタイトルに出てくる蝶に纏わるエピソードや事件の謎は、非常に興味深く、掘り下げも深くて満足しました。
この作品は群像劇なので、色々な人物の視点ややり取りが入るので、なかなか一つの作品として重心が定まりにくい面はあります。ただこういう色々な要素を詰め込んだ作品としては、纏まりがあり、成功されている部類の方だと思いました。モヤモヤする部分はほとんど無かったです。若干生徒達が実は純粋で良い子達ばかりの世界観は気になりましたが…。
事件の謎解きだけでなく、色々な登場人物の恋愛模様も丁寧で力が入れられていて、楽しめました。脇カプ達が個性を放ってました。王道といえば王道ですが、思春期特有のみずみずしさが良かったです。
読書好きな者からすると、この作家さんはそうとう書き慣れられている様に見受けられるし、デビュー作でこのレベルの作品を見せられると、「今まで何をされていた方なんだろう??」と純粋に疑問を感じてしまいます。あとがきを読む限り、何度もチャレンジされた結果での受賞という事で驚きましたね。。小説家になるのは、ホント狭き門なんですね〜…。こういう光る新人作家に恵まれたBL小説界の将来は明るいのでは無いでしょうか。あとは小説を読む人口が増える事だな。
今後もこの作家さんには掘り下げたテーマの作品を期待したいです。次作が大変楽しみです。
こちら、名門寄宿学校を舞台に語られる、少年達の恋や成長を描いた物語で群像劇になります。
群像劇は群像劇でも、同じ場所、同じ時間軸を舞台に、少年一人一人の視点でそれぞれの物語が語られるー。
で、最終的に一つの真実に繋がると言う形なんですけど。
視点がコロコロ変わるので読み辛く感じる方もおられるかも知れませんが、個人的にはこの手法に、大いに楽しませてもらえました。
最終的に一つに繋がり、見えてくる物語の真実ー。
アッと驚かせてくれて・・・と書きたい所ですが、ここはまぁ、ちょっと微妙ですかね。
何だろう・・・。
えーと、色々不自然と言うか、事件の顛末が少しお粗末と言うか。
とは言え、パブリックスクール風の舞台も楽しいなら、甘酸っぱかったり、ちょっとほろ苦かったり、そして切なく痛々しかったりー。
そんな思春期特有の、瑞々しい恋愛模様がとても萌えるんですよね。
繊細に綴られる、一人一人の心情描写が心に響いて。
それと、こちらはちょっと重いテーマになりますが、大人に食い物にされる少年の性なんかも書かれてます。
う~ん・・・。
なんとも痛々しくて、地雷の方も多いとは思うんですけど。
ただ、それを乗り越えて、成長して行く姿なんかに胸が熱くなると言うか・・・。
所々で、もう少し丁寧に掘り下げてほしい印象もありますが、全体的には好みの作品で、とても爽やかな読後感でした。
内容ですが、寄宿学校を舞台にした、少年達の恋や友情、そして成長を描いた物語です。
自殺した生徒の謎を追うと言う推理部分を軸として、生徒や教師、それぞれの物語が独立して進み、最終的には一つに繋がると言う形になります。
人望があり、皆から尊敬されていた親友・ジェレミー。
彼が自殺したと信じられないアルベールは、親友で在校生であるレイヴィスの協力の元、ジェレミーの死の真相を調べ始めますがー・・・と言うものです。
こちら、群像劇と書いた通り、計4組のカップルが出てきます。
メインとなるのが親友の死の謎を追う為、寄宿学校に転校してきたアルベールになるんですけど。
頑張り屋で芯の強い彼は、ジェレミーとは幼馴染みで親友と言う関係になるんですね。
そんな彼のお相手となるのが、もう一人の親友・レイヴィス。
頼りがいがあり、情にあついタイプでしょうか。
で、アルベールがわざわざ転校して来てまで、ジェレミーの死の謎を探ろうと思った理由ー。
これが切ない・・・。
実はアルベールですが、ジェレミーに秘めた想いを抱いていたんですね。
幼さ故に無くしてしまった、ジェレミーへのほろ苦い初恋。
そして、親友だと思っていたレイヴィスからの熱い想い。
ジェレミーの「死」と言う形で宙ぶらりんになってしまった初恋や、新しい恋。
ときめきや戸惑い、そして罪悪感ー。
そんな主人公の揺れ動く心情が繊細に綴られ、心を打たれるんですね。
そう、こんな形でお別れにならなければ、この初恋はきっと優しい思い出として昇華されたんだろうと、ジェレミーの死を悼むアルベールが切なくて・・・。
そして、一つの恋に優しい終止符を打ち、新たな恋を始める彼に、とてもあたたかく嬉しい気持ちになれて。
また、お相手となるレイが、年相応の青い部分はあれど、頼りがいのあるいい男でして。
彼のアルに向ける真っ直ぐな恋情に、めっちゃキュンキュンなんですよ。
告白シーンなんか、レイの抑えきれない恋心に、もう萌えまくりなんですよ!
他、穏やかな教師に、問題児のビッチ、ジェレミーに憧れていた優秀な下級生に、自分に自信が無いいじめられっ子。
そして、皆から頼りにされる生徒総代に、その親友で監督生。
ジェレミーの事件に、何らかの形で関わっている彼等ー。
それぞれが抱えている辛い過去や、心の痛み、そして切なくも甘酸っぱい片思いー。
そんなものが一人一人丁寧に綴られ、全員の恋を応援したくなっちゃう感じでしょうか。
で、事件の謎を追いつつ、彼等の恋や成長を見守って行くと、ラストで全てが一つに繋がるー。
う~ん・・・。
正直、これ程詰め込まれていると、ここは若干駆け足だなぁとか、書ききれてなくて物足りない部分はあるのです。
また、逆にちょっとクドクドしいと感じる部分もあったりして。
少しバランスが悪いと言うか。
完成度と言う点で考えるなら、登場人物をもう少し減らし、その分、キモになる事件の方を丁寧に掘り下げた方がいいだろうとも思う・・・。
びっくりするほど、ページ数(500P超)も多いですしね。
ただ、キャラクター一人一人に向けられる、作者さんの思いがとても優しいと感じるんですね。
そこが読者にも伝わって来て、もう全員幸せになって欲しいみたいな。
こういうのって、とても素敵だと思うんですよ。
そんなワケで、若干物足りない部分なんかもありつつも、とても爽やかな読後感でした。
今後に期待大の新人さんだと思います。
あと、子供に性的虐待をする大人や、生徒を(性的に)食い物にする関係者等、痛々しい部分があります。
個人的にはこの部分も必要だろうと思いますが、苦手な方はご注意下さい。
評価を迷いましたが、それぞれのキャラクターがとても素敵で、繊細な心理描写や恋愛部分にも萌えたので「萌2」です。
色々なご意見もあるとは思いますが、自分の気持ちに正直に評価は付けさせてもらいました。
お付き合い下さった方は、ありがとうございました。
本屋でまずその分厚さに驚きました。お馴染みキャラ文庫で約2冊分のボリューム。ちょっとあとがきを立ち読みしたらなんと新人作家さん。新人でこの量を書けるって骨のある方だと思います。内容も大好きな欧風男子寄宿学校ものだったので購入しました。
学園のある生徒の自殺事件から話が始まるっていうのは萩尾望都先生の名作「トーマの心臓」を思い起こします。あれはドイツのギムナジウムでしたがこれはフランスのミッション系お坊ちゃん校設定みたいで、登場人物の名前もフランス系なので竹宮恵子先生の「風と木の詩」の雰囲気もあるんです。何より金髪巻き毛で妖艶な美少年ヴィヴィアンというキャラはジルベールのオマージュという感じだし。知っている人はニヤニヤしてしまう設定てんこ盛りで掴みはバッチリです。
学園内で出来上がるカップルは3組ですが他に横恋慕、三角関係、セフレ関係、エロ神父のショタ陵辱、レイプなどの要素もありエンターテイメントとしてはいいですがちょっと詰め込みすぎ、寧ろよく文庫本にこの内容が収まったな、という感もあります。挿し絵は円陣闇丸様。先日読んだパブリックスクールものとはまた少し違う珍しくショタっぽい要素の入ったイラストも萌えました。
イギリスのパブリックスクールといい、ヨーロッパの男子寄宿学校ものって本当にいいですよね。先に挙げた、BL以前の時代にその題材を取り入れ、当時の少女達にその存在を教えてくれたレジェンド少女漫画家様達の功績だと思います。彼女達の影響を受けた神BL作家さんはたくさんいらっしゃいますからね。ありがたや。日本に生まれてよかった。
まあ日本の男子寄宿学校ものにももちろん萌えるんだけどね。エリート青少年達を勉学に集中させようとして異性と隔離したら同性同士で愛が芽生えちゃった!って各国あるあるなんだろうな。実際の話。
『寄宿舎学校で不慮の死を遂げた従兄弟の死因に疑惑を抱いたアルベールが、以前からその学園にいた幼馴染み(ジェレミーも含めた3人で大変仲の良い関係を築いていた)レイヴィスと一緒に、その真相を探る』というミステリです。
5つのカップル(1つは『カップル』と言って良いのかどうか解りませんが)と、それに絡んでくる2人の愛憎が書かれていますが、それらの関係性が『1対1が6つ出てくる』という感じなので『複雑な人間関係が重層的に絡み……』というややこしさはありません。
それぞれの恋模様はオムニバスっぽいです。なので「ミステリは面倒臭い」と思っている方でも、その点は気にしなくて良いのではないかと思います。
『新劇』とか『オペラ』みたいだな、という印象でした。
それぞれの組み合わせが舞台に登場して『話す』とか『歌う』みたいな感じ、とでも言いますか。
ちょっと散漫な印象はありましたが、この感じは嫌いではありませんでした。
カップルが多いので様々な萌えを提供してくれますし、好印象だったんです。
物語の決着の付け方を読むまでは。
ミステリなので本来は『ネタバレ御法度』なのですけれども。
そこを書かないと言いたいことが書けないので許してください。
盛大なネタバレをしますのでブランクを置きます。
ジェレミーとレイヴィスは以前からアルベールが好きだったのですが、奥手のアルベールはそれに気づいていないという設定なんですね。
色々と探っているうちに、実はジェレミーに対して恋を感じていたことにアルベールは気づくのですが、レイヴィスの熱烈ぶりに、どんどん惹かれても行くんです。
これはいい。
そういうことはあるものだと思います。
でもねぇ……事件が解決した後、レイヴィスの別荘で、レイヴィスの家族とアルベールの家族がレイヴィスの子どもの頃の微笑ましい話で笑い合うシーンがあるのですよ。遅れてジェレミーの家族が来るという状況の中で。
これがね、私には耐えられなかった。
それってあまりにも無神経な気がしたのです。
事件解決の直前に、真相を知ったアルベールがジェレミーを殺した犯人一味に陵辱され殺されそうになるんです。間一髪の所でレイヴィスに助けられるんですが、アルベールはかなり大きな絶望感と向き合うんですね、このシーンで。
……同じ犯人ってことは、ジェレミーも同様のことをされた可能性が大なんじゃないかと思うのです。
彼はアルベールと違って、助けに来てくれる人がいなかったんですよね。
そういうことが解った上で談笑するものなのかな?と。
おまけにジェレミーの家族も滞在する場所で、初めての体験をしちゃう?
アルベール、ジェレミーは初恋の人なんだよね?
レイヴィス、ジェレミーは親友だよね?
……ごめんなさい。
共感出来ませんでした。