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doukyusei datta kimi
切ない恋を描いた表題作の「同級生だったきみ」と、
一転してコミカルな短編作品をまとめた一冊。
1作目の静かで淡々とした中描かれる物語と、
2作目からのふっきれたシュールな作風の差がものすごく、
「これ、本当に同じ作家さんが描いたの???」と驚きました。
【同級生だったきみ】
泣きました。
これはネタバレなしで読んで欲しい!
「ごめん、お前の気持ちには応えられない」
と祐司に芦川義昭が告げるシーンから始まるこの物語。
祐司が思いを寄せる義昭には昔事故で亡くした恋人がいて、
未だに忘れられずにいる。
花屋で働く義昭の様子を見に店を訪れた祐司は
小学校の頃の朝顔の話をします。
この朝顔がキーワード。
ラスト2ページで号泣です。
台詞で上手く騙されました。
この後、高校生時代の2人を描いた「17歳の春」と、
子供時代からの思い出を描いた描き下ろしが載っていますが、
どちらもじんわりと心に染みて切なくなるお話でした。
ここから一転して短編ギャグが続きます。
【たたかえ!GG!】
「たたかえ!ジェネレーションギャップ!」の略です。
残業続きで疲れているサラリーマン・安孝(ヤスさん)の癒しはオンラインゲーム。
心のオアシス、イケメン剣士のリュウさんにオフ会に誘われたヤスさん!!
ドキドキしながら大喜びでリュウさんを待つヤスさんでしたが、そこに現れたのは
超イケメンの高校生!!
焦るアラサー(28歳)のヤスさんでしたが、適当な服+童顔のせいで、高3と思い込まれてしまい…。
ジェネレーションギャップをひたすら誤魔化し、リュウの剣道服姿を見たいがために親戚のコから高校の制服まで借りて学園祭に乗り込むヤスさん。
「なぜ気づかない、イケメン・リュウ!!」と、つっこみを入れずには読めない作品でした (笑)。
でもリアル高校生リュウは、本当にピュアで、描き下ろしにはキュンとくるシーンを盛り込んであるもの良かったです。
しかし28歳で高校の制服は厳しいんじゃなかろうか…。
【まだ人間17年目なので】
いつも温厚、笑顔を絶やさない高校生・龍太郎×元死神を名乗る高校生・鎌古吉(かまふるよし)のお話。かなりシュールです。
校内でも奇人で有名な古吉に一目ぼれした龍太郎。基本、彼は何があっても動じません。
鎌古吉はガチで元死神。天界から見てて「かわいい」と思っていたセーラー服を着て死神の鎌を担いでいますが普通の高校生です。ややツンデレで、「かわいいです」など褒められると真っ赤になって鎌を振り回すので、龍太郎はちょいちょい怪我するのですが、特に気にしません。
極端なバカップルですが、ラストで泣けます。
こういう手法の上手い作家さんだな~と思いました。
【第二の神生】
任期満了で神様を引退し、下界に降りて人間として生まれ変わった高校生・瀬貝宗蔵(せかいそうぞう)。18年後、イケメン天使の上野志斗(かみのしと)は、高校生の姿で元・神様を迎えに来ますが、瀬貝宗蔵は天界での記憶を一切消されたただの人間。ひたすら宗蔵に懐く上野ですが、ただの電波扱いしかしてもらえず…。
これも非常にゆるいギャグ作品。
リアルに羽生えちゃう上野にドン引きする瀬貝や、
「これはBL漫画だからどうあがいても彼とただならぬ関係になるんだから覚悟決めろよ」的な友人のメタ発言が面白く、やはりラストでちょっといいお話になりそう…だったのですが、今回はギャグで落ちました(笑)。
【死ぬなよ村瀬くん!】
主人公・村瀬秀治は部活の後輩・桐澤に想いを寄せられている高校生。
猛アタックを受ける村瀬は告白されて以来毎日命がけ。
なぜなら桐澤は人間離れした怪力の持ち主で、
「先輩、好きです、抱きしめたい」
と迫って来ては、掃除用具入れ、木、壁などを次々と破壊。
実際抱きしめられたら物理的に死んでしまう村瀬ですが、
一途な桐沢にほだされ始めます。
さて、2人の見つけ出した村瀬を抱き殺さない方法とは!?
このお話も非常にアホらしいというか、新しいというか、
基本シュールなギャグなのですが、途中ちょっときゅん…とするところもあり、
ラストでは「そう来たか」と思わず笑ってしまいました。
4コマや、数ページの物語が多く、ちょっとごちゃごちゃした印象を受けましたが、
繊細なシリアスモノと、シュールな中にも見せ場を作るギャグ作品、両方描くことが出来るすごい作家さんだな~と思いながら読ませて頂きました。
絵がやや雑に感じましたが、お話自体は全体的に面白く、特に表題作は見せ方が素晴らしかったです。
出来れば次はもう少し長めのお話が読んでみたいなと思いました。
恐らくデビュー作かと思われるので、この先を期待して神寄りの萌×2評価とさせて頂きます。
◆同級生だったきみ(表題作)
冒頭の表題作がやはり一番印象に残ったかな。同級生「だった」というのが、そういう意味だったとは。祐司と義昭のやりとりがとても爽やかで健全で、2人とも何の罪もない普通の男子だったからこそ、人生の無情さが突然突き付けられたことがどれほど衝撃だっただろうかと切なくなりました。義昭の未練が昇華されることを祈るべきなのでしょうけれど、今はまだ祐司を想い続けている方が、彼にとって心が安定するのかもしれないなと思いました。
◆たたかえ!GG!
表題作のやりきれない空気感をがらっと変えてくれた、ギャグ作品。ギャグといっても押し付けがましくはなく、未成年相手に年齢をサバ読みしてしまったアラサーのヤスの葛藤を面白おかしく読めました。見た目だけならさほど隔たりはないと思うのだけど、やはり生きてきた時代が違えば、見てきたものも違いますからね。ふとした時に大きなジェネレーションギャップを感じ、愕然とするヤスに笑いました。高橋はヤスの実年齢を知っても態度を変えることはないでしょうね。
◆第二の神生
神から人間に生まれ変わった瀬貝と、かつて神だった彼に仕えていて下界に降りてきた天使・上野。瀬貝を忘れられず追ってきた上野の、純真無垢だけど積極的過ぎる迫り方に笑わせてもらいました。瀬貝は前世の記憶がないので、上野にドン引いてばかりでしたが、段々絆されてしまうんだろうなぁという隙があって可愛らしかったです。