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watashi no aishita tsubame
この作品の真の主人公は、パトロンとしてツバメを支えた博臣氏だと思う。愛には、色々な形がある。
才能ある芸術家の卵を支援することが出来るのは、資産があって、成長を待つ忍耐と愛の目を持つ人。
博臣という老人と出会って、挫折したツバメはまたバレエに復帰する。
ツバメの心の変遷を描く作品で、濡れ場無し。もっとツバメが踊るシーンがあれば、嬉しかった。
アガペーの愛を注いだ博臣氏。
バレエの王子、天使と呼ばれるツバメは繊細で壊れやすい多感な少年。人は、たった一人でも理解者が居たら、自分を保っていける。・・母から拒まれて崩壊したツバメ。ツバメの「矜持」が復活するまでの変遷がこの作品のテーマ。博臣氏のパトロンとしての純愛に神評価。
あらすじ:
VIPの愛人と噂されているツバメは、バレエダンサーで天使とか王子と呼ばれていた人。期待も、やっかみも、とんでもなく重いものを背負っていた。有名なバレリーナの母から「人前で母と呼ぶな、所帯臭い」と言われて、ツバメの中で何かが崩壊していく。夜遊びが増え、ファンに暴行されて怪我を負い、舞台を降りることに。
夜の街で、怪我をしてやさぐれるツバメに声をかける博臣氏、「随分と美しい鳥が羽を休めているね、君の白鳥の湖を楽しみにしていたんだよ」
ツバメは「誰も俺に踊ることを期待なんかしていなかった、笑っちゃうよね」と呟く。
バレエをやめてしまったツバメくんに
「休息が必要なようだね。私が、君の止まり木になろう」
バレエをやめたツバメを傍に置く博臣氏。病院内でVIPの愛人と噂されているツバメ。でも、博臣氏の愛は、ソウイウものではなかった。
友達が欲しかったツバメ。でも病院内の噂を聞き、若菜との出会いを後悔するツバメに
「飛び立つ時を見誤ってはいけないよ、つばめ」と博臣氏。
燕にもう一度バレエに戻ってほしいと願う博臣氏はツバメのファン。博臣の余命はあと僅か。ツバメのこれからを案ずる。
★博臣氏が、ツバメの肌に触れる場面:★ココ大事。
余命短い老いた者が絶頂期にこれから向かう若者の肌に触れて若さへの羨望を現す場面に見えます。
★「休息が必要なようだね。私が、君の止まり木になろう」という博臣氏に、ツバメが、バレエに復帰せず男娼の関わりで愛に報いようとする勘違いを示す描写と私は解釈しました。 博臣氏が「止まり木」になったのは、もう一度ツバメが舞台で踊る姿を見たい、自分の死後も踊り続けて欲しいと願っているからで、ツバメの才能を惜しんでいる。
若菜を博臣に紹介する燕。若菜に博臣が、語る。
「燕の背中を押してくれてありがとう」
「愛しているからこそ 私は燕の旅立ちが嬉しい」
「若菜君、わたしはね あのこ(燕)に幸せになってほしいんだ」
踊る事は楽しいけれど、復帰を怖れていたツバメ。
「あこがれていたんです、また一緒に踊りたい」とツバメに告げるバレエ団の女の子。
ツバメはやっとバレエの舞台へ戻る決心がつく。
一年後、ツバメから若菜にチケットが郵送される。
博臣氏も席に着いている公演舞台。(←まだ生きていた!)
控室で若菜はツバメに抱擁とキス。
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白鳥の湖:Swan Lake (ロシア語: Лебединое озеро)
ピョートル・チャイコフスキーによって作曲されたバレエ音楽。
▼【第4幕】のストーリー、登場人物、曲順など様々な版が作られている白鳥の湖。
*初演時には別のプリマによって演じられていた白鳥と黒鳥が、マリインスキー・バレエ団のプリマ、ピエリーナ・レニャーニが2役を演じきったことにより1人2役が定着
・・潔白な白鳥と官能的な黒鳥の2つを演じることになったバレリーナがプレッシャーにより徐々に精神が崩壊していく
▼フクロウ(梟、鴞、Strix uralensis)
縁起物の動物 象徴するもの:フクロウはギリシャの女神の使いで「知恵の神」学芸の神」「農業の神」とか「学問の神様」
★宇多田ヒカルの「ビューティフル ワールド」を聞きながら書きました。自分の価値に気づかない美しい少年、という部分がマッチ。
表紙書いしたつもりでしたが、読んでいたら、あら、と…雑誌の連載で読んでいました(気づくのが遅い)。ですが、こうして一冊の本で読ませていただくと、さらにじわっときて、購入して良かったと思っています。
レストランの店員の若菜は、美しいツバメにひかれていくんですが、周りから聞こえてくるV.I.P.の老人の愛人だという噂や、ツバメのバレエのこと…心をなかなか開いてくれないツバメに、悩みながらもツバメに会いたい、と素直にぶつかっていきます。
ツバメとV.I.P.博臣さんの関係は、わたしの勝手な想像ですが、ツバメに触れたりはするけどヤってはないのかな(下品)、と。「ツバメに幸せになって欲しい」という博臣さんの言葉、若菜にその想いを伝えるシーンはじわっときました。
「若菜に会えて良かった、向き合える自分になりたい」と、再びバレエの世界に戻るツバメ。若菜に勇気をもらったって、いいセリフだなあと思いました。
1年後に舞台の楽屋でキスした二人。描き下ろしでしっぽパタパタしている若菜くん、可愛かったです。
ジョゼ先生の初連載作品です。そして私の初ジョゼ先生でもある。
若菜の勤め先がswan、ツバメは彼の名前、愛人という意味のツバメ…絵もお洒落ですし、この辺の詰め込み方も純文学的お洒落さ。おとぎ話みたいな愛らしさ。最後の女の子はちょっとやりすぎかなと思いましたけどね。その辺は好き好き。
ツバメがいつも履いてる靴のファーとか、着ているお洋服にもくすぐられるものが詰まっていて、読んでいてふわふわと心地よい気分になります。
自分では着ないかもしれないけど、眺めるのは好きなファッション誌を読んでいるような気分。自分の世界ではないけれど、好きな世界。
性的な接触はほとんどないのがまた一層おとぎ話のごとき雰囲気をいや増す。
ジョゼ先生、2冊同時発売のデビュー作のうちの一冊。
情緒たっぷりな表紙絵に惹かれたのと、新人作家さんがどんな話を描くのか気になって購入しました。
表紙のカラーイラストは切ない感じだけど、口絵のカラーイラストはシャツをはだけた淫靡な感じで、これも雰囲気があってイイです!
中の絵は、横顔のバランスとか粗さを感じる部分もあるけど、表紙の彼が綺麗に見える瞬間は印象に残ります。
病院内レストランで働いている若菜と、入院中の70代VIPの愛人と噂されるツバメのお話。
若菜は生活も感性もいわゆる普通の一般人で、ツバメのとび抜けた美貌も、年の離れた男の愛人だってことも、別の世界のことのように感じていたけれど、喫煙所で会って話してみると、ツバメは意外と庶民的で話しやすくて、二人は友人として仲良くなっていく。
ツバメは元バレエダンサーであることを若菜に知られると、若菜を避けるようになる。
ツバメにとってバレエは、人気で天狗になり、狂信的なファンによって怪我をさせられた ”傷” だから若菜には知られたくなかったのに…
若菜はツバメに会いたくて病室に向かうと、老人の手が服を脱いだツバメの肌に触れているのを目撃してしまって…
若菜の「”俺が知ってるツバメ” に会いたくなった」って言葉、噂(というか真実?)に振り回されずに、自分と一緒の時間を過ごしたツバメ自身を見ようとしていることは、若菜のまっすぐさと優しさを感じました。
ツバメにとって老人は一番傷ついていた時に ”止まり木” になると手を差し伸べてくれた大切な人。
バレエの名声が大事な親と違って、踊れなくてもツバメを愛してくれた人。
ツバメ自身も老人のことを「愛している」、愛人のメリットは「側にいられること」と語っていて、年の差を越えた純愛っぽくもあり…
老人も若菜が本当にいたい居場所を見つけたことを喜び、若菜とツバメはお互いを大事にしあいながら、友人から恋人らしく関係を変えていくんだと思います。
ストーリーをそのまま受け取れば、ツバメの傷が癒され、羽ばたいていく綺麗なお話です。
でも、視点を変えてみると、、、
老人はツバメの ”止まり木” にすぎず、カラダの繋がりは無かったとしても、素肌を愛撫していたのは事実なわけで、やっぱり愛人関係に間違いないと思うんです。
ツバメを送りだす老人はツバメのことを本当に想ってあげてる良い男で、ツバメもその気持ちに応えるべきだったんじゃないの?
そう思う反面、50歳差の恋愛はやっぱり成立しないなって違和感と、皺くちゃな手がツバメの肌を滑らせていたことに嫌悪感もあり…
ツバメが老人のことを「愛している」と言っていたのも、その時、支えてくれた唯一の人だったから。
それは ”利用” で、”愛” とはなんか違う気がする。
そして若い男が現れたら、老人を捨てるのかと…
言葉で表現するのは難しいんですが、スッキリしなくて、モヤモヤが残ってしまう読後感でした。
表紙絵が素敵だったので萌評価にしましたが、ストーリー的には中立です。
メインは若菜とツバメだけれど、ツバメと愛人である老人・博臣の関係性もいいなと思いました。体の関係に囚われない、ただ美しく才能ある若人を労ってゆっくり休息させて、いつかまた開花させてあげたい、という無償の愛。その老いた男の愛を受け取る方も、金銭的な下心などなく心底有難みを感じている。なかなかお目にかかれない関係性かと。それを踏まえて、新しく築いた若菜との関係性。ツバメが再び舞い上がるには優しく包み込む愛だけではダメで、エネルギーに満ち溢れ引っ張っていくような愛の後押しも必要だった。3人の関係性が絶妙な塩梅で描かれていたと思います。