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yoru ga owaru made
読んでいると頭の中が疑問だらけで、これが最後にはネタ晴らしされるに違いないと読み続けたらいつのまにか最終ページに。もう終わり?とびっくりしました。
疑問が最後まで解決されない、いわば伏線が回収されていない感じ。
けれど決してつまらないわけではない。気になって仕方なくて、読み進める手がとまりません。
ファンタジーちっくかつ、ミステリ要素もある。物語として純粋に面白かったです。
とはいえ、解決されていないところはシコリとして残ってしまうわけで...
攻めの弟の話とか、攻めが見つかるまで受けが見て感じていたものは何だったのかとか。
最終的によくわからないところはそのままに、行間を想像して脳内補完しました。
恋愛的な萌えを感じるところは少なかったので、萌1つです。
レビュータイトルは帯より
一般の刑事物小説を読んだ後で、BLにもハードボイルドさを求めた故の西田ヒガシ先生。しっかり期待に応えてくださった。ストーリーテラーです。特に今作は西田ヒガシ先生お得意のおふざけが少なめ。そしてオカルト的なエッセンスが追加され。
いつものおふざけも勿論大好きですけれど!スーツは胸ポケットからラーメンを食べるんだね!
ちるちるの攻め表記「(幻影の)影山 ,弁護士,または彼の弟」が良いですね。結局本編では生身の影山とすることはない。けれど2人はこれからずっといい夜を過ごすわけで。余韻もまた良い素晴らしい1冊でした。
ハラハラドキドキなお話でした。
一応endとなってますが謎は残るし二人の関係や直人のことも色々気になります。
詳しくはあらすじに書いてあります。
弟の直人はなぜそんなにも詳しく影山のことを知っていたのか。影山が何でも話していたの?
いくつかの行動は影山に憑依されてたの?
突然髪型を変えて影山そっくりになって。日浦の前に現れたり、まるで影山のように振る舞ったり。
日浦が度々影山に抱かれる夢を見たのは?幻覚や幻聴を聞いたのはなぜ?影山の執念?生き霊?
まさかの顛末で無事に影山を助けられます。
この先二人はどうなるのか。
太陽みたいな影山でしたが二重瞼にしただけで弟そっくりになって、コンプレックスを持っていたのかな?
兄弟仲、影山と日浦、もっともっと知りたいことが尽きません。
西田ヒガシさんのミステリー。連載で気になっていた作品。
検事と、同期の弁護士のカップル。軽薄そうな影山と、主人公のお堅い検事、日浦。
しかし、影山がよっぱらいと喧嘩後失踪し。。
事件を追う日浦。
日浦は毎晩、影山に抱かれる夢を見る。そして、事件捜査の中で会う影山の弟が、どうしても影山にしか見えない。雰囲気がまったく違う、引きこもりだという弟の直人。しかし、じっとこちらを見据えてくる目は影山のようにも見えて。。
いったい、影山は生きているのか?直人と影山は別人なのか?
ミステリーなのでネタバレはしないようにしますが、最後まで謎めいた作品で読み応えがありました。
ちょこっと顔を出す西田先生のギャグコマも好きです。
生真面目そうな事務官との掛け合いが面白いです。
西田さんの漫画の魅力は表紙を見ても、受けと攻めがどちらか全くわからないところ。2人共男っぽくてかっこいい。しばらく読んでから、あーそっちだったのねーって感じです。
でも受けも攻めも可愛いんです。両方男っぽい容姿なのに唇の端を少し上げた笑顔とか、2人がお互いに好意を持った瞬間の表情がとても良い。男性の何気ない可愛さを描くのが本当にお上手です。
ストーリーは終始謎めいていて続きがずっと気になりながら読み進めました。行方不明の攻めと弟の関係とかオカルトチックなところも好みです。ラストは読んでのお楽しみです。
学生時代の回想シーンでお互い惹かれ合ってるのに一歩を踏み出せないもどかしさが切なかったです。ゲイとか童貞とかそんな踏み込んだことまで打ち明け合っていた仲なのに。
ちょっと異色なストーリーでしたが上手くまとまっていてイラスト共々楽しめました。
攻めの影山が生きているのか死んでいるのかはっきりせず、受けの日浦視点で事件を追いながら進んでいくのでそんなに糖度の高い話ではありません。夢の中で影山に抱かれたり、影山に瓜二つの弟に触れられたりという場面はありますが、ずっと日浦の戸惑いや焦燥、影山への未練が付き纏いながらの絡みだったので、そこに萌える余裕もなかったです。でも、すべては日浦の影山への未練が見せている幻影だったのか、監禁され生死を彷徨いながら影山が日浦を想って生き霊でも飛ばしていたのか、最後まで何が真実かは明らかにされないのですが、「死」を境に相手への想いの強さを自覚するという何ともやりきれない2人の関係が儚く、美しかったです。
唯一引っかかったのが影山とそっくりの弟の直人について。すべてを明かさないからこそ余韻の残るストーリーではあるのですが、直人自身の考えがもう少し見えればなぁと思いました。直人に影山の気持ちが乗り移っていたのかどうか、そこは読者の解釈に委ねるにしても、直人自身は日浦にどんな想いを抱いて近づいたんでしょうか。兄への意趣返しのつもりがいつの間にか兄のためになっていたのか、兄の気持ちと同化して半分本人の意志で日浦に触れたのか。個人的には直人の気持ちをもっと知りたかったですね。
これまでは読むだけでなかなかレビュー出来ずにいた西田ヒガシさんですが、初めて投稿します。
「西田ヒガシ流奇譚」とでも言いますか、ミステリアスであり、オカルトチックでもあり、それでいてとてもロマンティックなお話でした。
夢うつつの境目が曖昧なストーリーと後に残る余韻にグイグイ引き込まれます!
このまま映画にできそうな感じ。
西田さんのメンズ達は2次元イケメン過ぎないせいか、イメージにピッタリな役者さん達も難なく浮かんできます。
登場人物は主人公の〔日浦〕、日浦の同期〔影山〕、影山の弟〔直人〕の3人。
でも三角関係なお話ではありません。お話の主役は日浦と影山の2人です。
検事と弁護士。堅物と遊び人。
職業も人柄も真逆だけど、日浦は華のある影山に同じ男ながらも少なからず性的に惑わされ、影山は日浦にだけゲイをカミングアウトしながらも日浦に対しては“憧れ”が勝って手が出ない。
特別懇意にしているわけではなかったものの、どこか特別に思わせる関係性の2人。
障害事件に巻き込まれて行方不明になった影山が、毎晩日浦の夢に出てくるようになったところからお話は始まります。
日浦は毎晩のように夢で影山に抱かれ、頭の中が日に日に影山で占められていく。
当の影山は生死すら分からない。それもまた日浦を影山に縛り付ける。
そこへ影山の弟・直人が現れ、ここから不思議な展開の始まり。
日浦は直人を影山に瓜二つだと思うのに対して、周りは「雰囲気は似ているかな?」という反応。このやりとりが1冊の中で何度となく繰り返される。
どういうことなのか?と思う読者に、作者から次々に色んなリードが与えられます。
本人が弟のフリをしているのか?
それとも弟が影山そっくりに整形をして現れたのか?
しかしいずれにしても日浦だけに瓜二つに見えている謎が残ってしまう。
影山が直人に乗り移っているのか?
それとも単に日浦の願望が見せる幻影なのか?
オカルト方面の可能性も捨て切れずに、読者は作者のリードに振り回されながら読み進めていくしかありません。
日浦と一緒に、こちらの頭の中までもがどんどん曖昧になっていく感覚。
最初は夢の中だけだった影山とのエロティックな時間も次第に昼夜問わず日浦を襲い始め、それがまたなんとも巧みに現実と幻覚の境界をさらに曖昧にしていきます。
影山の幻影を追う日浦が事件の真相と自分の深層心理に少しずつ迫っていく。
言うならばそんなお話でしょうか。
グイグイ引き込まれます!
日浦と影山の会話が影山本人なのか弟なのかはたまた幽霊なのかというハッキリしない中ですべて繰り広げられるために、読み終わってもなお、これは誰のセリフだったのか、影山だったのか、弟の代弁だったのか、それとも日浦の願望だったのかと考えを巡らせてしまいます。
読み終わってすぐまた読み返したくなるタイプのお話でした。
面白かったです!!
それにしても直接してるのはキスくらいなのに日浦の艶かしさといったら…!
【電子】ひかりTVブック版:修正-、カバー下なし、裏表紙なし
結構、難解。
でも、なんか、日浦の気持ちがすごくよくわかるっていうか、日浦にすごく感情移入してしまうというか、
日浦と同調しながら読んでいると、この不思議な世界がわかってくるような、ドキドキする感じ。
これ、2時間くらいのTVドラマで見たいな。
映画じゃなくて、ワンクールとかの民放テレビの連続ドラマでもなくて、N〇Kとかにある40分3週位のTVドラマ。
西田さんの中にある物語の力、その面白さが詰まった1冊。
何度でも読み返せる、そんな本です。
セルフツッコミ
いや、ほんとに、ガチでドラマ化してくれないかな、N〇Kさん。
初めて読み終わった時は、理解しきれず頭の中が??でいっぱいでした。
司法研修所で知りあった弁護士の影山と検事・日浦。
影山がチンピラに絡まれ川に遺棄されたかもしれないという証言がでるが、未だ行方知らず。
そしてその事件を担当することになる日浦は、影山の幻影に抱かれる日々。
そこへ影山に瓜二つの弟が登場し…。
影山の生死不明、事件の真相、瓜二つに見えてしまう弟の存在、そして影山の幻影など、不思議要素が絡みつつのサスペンスで終始ハラハラしながら読みました。
そして何度か読むうちに、現実と非現実が入り混じるこれは西田さん流のファンタジー作品なんだと思うよ
スーツを着た男のファンタジーなので、ケモミミや羽とかはないけど、きっと心に羽が生えて日浦の元へと飛んでったり、弟の身体を使ってみたり…。
日浦は通常であれば幽霊とか幻影とかそういったものに付け入る隙なんか与えない男だと思うんです。検事やってるくらいだし、非常に理性的なタイプだと感じるので。
だけど、影山の死を強く意識せざるえなくなって、そういったものをキャッチできるようになった、或いは自分の願望も一緒に引き摺り出されたんじゃないかなと。
童貞の日浦の発言を聞いた影山が「だから手が出ない…」と呟いたシーンが私はこの一冊の中で一番印象的なんです。
好みの男だし、ちょっと喰ってやるか…みたいな感じで近寄ったけれど、日浦と仲良くすればするほど手の届かなくなるような感覚。
ゲイでヤリチンの影山にとって、日浦という男の存在がどういうものかというのが良くわかる。
乱行写真を見せたシーン。
クラウド共有というのは嘘で、あれは弟の身体を借りた影山だったんじゃないかな。
そういう姿ではないと本当の自分を晒し出せない影山…。
そんな写真を見せても動揺せず、会いたいと言う日浦とそれを見つめる影山。切ない。
雨の日に日浦のアパートの家でのキスに至るまでのやり取りも切ない。
キスなんかよりも、もっと以上の事をしたいと長年思っていたけど、弟の身体だから今はキス以上はしたくないというところも何とも切なくて。
ある意味究極の状況にならないと心の奥底を曝けだせない二人…というところがいいなと思いました。
私は余韻漂う描き下ろしも好き。
お互いあの状況ではあんなに素直だったのに、再び元に戻ってしまったかのような二人。
だけど、少しずつ外側の皮を剥いて核心に触れていくような描き方がとても素敵だと思いました。
「西田さん、新境地?」
この作品を読んでそう思ったのですが、一回読んだだけでは落ち着かなくてもう一回読んで「いや、筋とかは全然違うけど、肌触りが似ているのは前にもどこかで読んだ様な……」
加齢のため衰えた脳細胞を最大動員して思い出したのは『社長 桃井くん』の中に入っている吸血鬼の話『ジャン』だ!不思議な感じ、読者をクールに突き放す感じ、そしてオチを付けない感じが似ていた様な気がします。あのお話が好きだった方は、今作を読んだ方がいい!何と言うか不思議な読後感に萌え滾ります。
検事の日浦は司法研修所で一緒だった弁護士の友人、景山に抱かれている夢を毎日の様に見ます。現実にはなかったことですし、しかも景山は暴行を受けた後、川に遺棄されて死んでいる可能性が濃厚。被疑者は逮捕されており、日浦はその事件の担当になっています。しかし、川に捨てたという死体は上がっていません。日浦は景山から、自分がゲイであること、そして日浦は自分の憧れの対象であるが故に恋愛対象にはならないと言われたことがあります。夢の中に出てくる景山が自分に何を伝えようとしているのか、もどかしい想いを抱き続けている日浦は景山にそっくりの男を見かける様になります。幽霊でも良いから会いたいと思う日浦が事件の調査のために会った景山の弟は、景山に生き写しで……
読んでいて思い出したのはウィリアム・アイリッシュ(コーネル・ウールリッチ)の小説です(作品の紹介に他の作家を持ち出すのは野暮の極みだと思うのですが……ごめんなさい)。しっとりとしていて、哀しい、そしてとことん神秘的で不可思議。
かと言って荒唐無稽な感じは一切しませんし、物語のつじつまはきっちり合う様になっています。
そればかりではなく、景山がどういう風に日浦を想っていたかが明らかになる『第四夜』では、西田さんお得意の『眩いものに対する嫉妬と反発、だからこそ強く惹かれてしまう』っていう、男×男の関係性がブゥワーッと爆発するシーンがあるんですね。そこがとても熱いんですよ、それ以外の部分との対比で。
西田さんのことはデビューから大好きなのですけれど、今作は「やはり意欲作なのかな?」と思います。何と言うか『ずーっと昔からの友人が、思わぬ引き出しを持っていることを見せてくれた』感じ?
うーん……このお話のスゴイ所を的確な言葉で表せる表現力を持っていない私に言えることは、
「とにかく、イイッ!のよ。読むと解ると思うんだけど……」
の一言なのでありました。