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noise no sora ni canaria
人の悲しみが音として聴こえてくる伊之瀬と
実兄への叶わぬ想いを胸に秘めている真澄の
お話。
真澄は兄への気持ちを隠し続けて生きていて
それは表向き完璧で
誰にもバレたことがなかったのに
内側から自分を覗きこまれ
そんな伊之瀬にだからこそ
心を開けたんだろうと思いました。
伊之瀬の性格からして
階段を掛け上がってまで
綺麗な音を出す人物を確かめに行った時点で
知らず知らずに惹かれていたのかなと
そんな風にも思いました。
となると、冒頭からもう
ふたりの恋ははじまっていた?(笑)
非現実ですがとても綺麗なお話でした!
あらすじを読んで興味を引かれました。
実際、冒頭から仕事で関係する男性の「音」に気付き、そのあまりにも美しい音に煽られて本人の内面に踏み込んでしまう、という第一話、流れもとても良くて、このファンタジックな物語世界に引き込まれました。
結構地味目、真面目そう、なのに実のお兄さんに恋して苦しんでる。だから時折適当な相手に抱かれる。そんなことまで「音」から知られてしまう真澄。
聞こえてしまう伊之瀬は、悲しみから生まれる至上の美しい音がもっと聴きたくて、また誰かに抱かれに出かけようとする真澄を『俺でもいいってことだよな』と引き留めて…
この辺から実はちょっとづつ違和感…
伊之瀬ってゲイ設定?とか、2人が寝た後音が聞こえなくなるとか、今度は真澄が伊之瀬の心から悲しみを汲み取ろうとするとか、流れとしては綺麗ですがどうも紋切り型に思えたのも確か。
BL的に正しい展開なので、後はすんなりと穏やかなハッピーエンドに着地する感覚でした。
真澄は悲しい恋を終わらせられそうだし、伊之瀬の方も真澄は音が聞こえるという一種の十字架を理解してくれる相手なので、2人とも穏やかな幸せをつかめそう。
「音」を絵で表すのは難しい課題ですね…本作では音を示すような線や柄があまり描き込まれてはいないので、読者がそれぞれ想像できる余地があって逆に良かったかもしれません。
作家さん買いをしました。
絵が凄い好きで今回はどんなお話なんだろうなと思って読んでいくと、すっごいシリアス。
「悲しい」という感情が、音になって聴こえるという特殊設定で
続きが気になって一気に読んでいました。
作曲家の心を揺さぶる音色はまさかの「特別な感情」で・・・
その音をもっと聞きたいと思ってしまう伊乃瀬からのアプローチがみものです。
風緒先生は、心のヒダを絶妙に表現するストーリーを、綺麗な絵で表現される作家さん。
派手派手しさはないけれど、どの本も読み終えた時に静かな余韻を感じます。
本作は人間の悲しみや”音”をテーマにしたファンタジー要素もあるお話です。
人気作曲家の伊之瀬は、生き物が悲しんだ時に出す音が聞こえる。
伊之瀬がいままで聞いたことがないくらい綺麗な音を出しているのは弁護士の真澄。
真澄の兄とその婚約者は音楽会社の社員、真澄はそこの顧問弁護士です。
伊之瀬は真澄から”音”が聞こえてくるのは、兄嫁の話題が出たとき、真澄の視線の先にいるのは実の兄だと気付いた。
そして、真澄の”音”をもっと聞きたくて、真澄が隠している気持ちを暴くと、真澄からは音が溢れ出してきて…
伊之瀬は真澄の音をもとに心を揺さぶるような綺麗な曲をつくる。
真澄は小さい頃から兄が大好きで、思春期に恋愛的な意味で好きなんだと気付いても言えるわけがなく、兄への劣情を適当な相手で解消してきた。
真澄が自分は醜い、綺麗なところなんてひとつもないと思っているのがとても悲しい…
そして、真澄が適当な相手と寝ていると知った伊之瀬は、罪悪感と兄への恋情にまみえる真澄の音がどんなものか聞いてみたくて、真澄の適当な相手に名乗りをあげる。
真澄は絶対に誰にも言えない気持ちを伊之瀬に知られて、もちろん動揺するけれど、誰かが自分の深い気持ちを知っていることは救われる部分もある気がする。
それと真澄は悲しみを知っているから、人の傷みにも敏感になれる。
伊之瀬は悲しい音を聞いて、理由はわからなくても、その悲しみを受けとめてきたんだと思う。伊之瀬にとって世界は悲しみで溢れていて、悲しいことが当たり前で、自分自身の悲しみには気付けない。
でも痛みを知ってる真澄は伊之瀬の悲しみに気付くことができた。
このストーリーの中で、すごく好きなシーンがあります。
伊之瀬が真澄の”音”に触発されて作った曲、それを真澄の兄が聞いて感動して泣いてしまう。
それを見て真澄は自分の気持ちが兄に届いたと思えるところ。
気持ちを知ったらいろんな確執があとに残ってしまうけど、それを知らせずに、なんだかわからなくても想いが届いているっていうのが、読んでいて私も感動しました。
真澄が言う通り、伊之瀬は人の悲しみを音楽にして昇華していたんだと思う。
はじまりは”音”が聞きたいって打算的な欲望と、自分の醜さと苦しみから逃げ出したくてただ縋っただけ。
でも悲しさに埋もれていた二人が、お互いの傷を知ると、救ってあげたいって気持ちが芽生えて、お互いが傷に悲しみに寄り添いながら、そこから抜け出す力を得ていく。
トーンは淡々としているけれど、風緒先生が積み上げていくエピソードは少しずつ心に沁みてきて、最後は静かながらも晴れやかな気持ちにさせてくれます。
今作もいままでの作品同様に、静かな余韻に浸れました。
風緒さんのすっとした綺麗な絵と、どこか澄んだ気配を感じるお話の内容がピッタリだと思います。
悲しいという感情が音になって否応無しに聞こえてくるという攻めという一種のファンタジー設定なので、ややこしい話かなぁと少し身構えて読み始めたところはあったのですが、全く問題なし。すんなりお話に入り込めました。
売れっ子作曲家の伊之瀬は、生き物(人間、犬など)の悲しい感情が音で聞こえてくるという特異体質の持ち主です。
ある日、今までに聞いたこともないような美しい音の持ち主・真澄に出会います。
真澄の悲しみの元が、真澄の実兄に対する感情だと気づいた伊之瀬。
真澄の兄は結婚して奥さんもいる人なのですが、それでもまだ兄への想いが消えず、誰にも言えない兄への気持ちを抱え、自分の心を持て余し、そんな自分は醜いと嘆く真澄から聞こえてくるのはこの上なく美しい音。
その音に作曲家としての創作意欲をかられて、もっとその音を聞きたいと興味を抱く伊之瀬。
正直言うと私はガチ兄弟ものって好まないんです。(一年前くらいまでは地雷だったけど、今はエロありでも読めるまでになった!)
だけどこの話は抵抗がなく読めたどころか、真澄の苦しみ、切なさが胸に沁みましたし、真澄が長年抱えていた兄への想いが、伊之瀬の力を借りて昇華できたシーンがこのお話の中で一番じーんときました。
真澄の悲しい音に創作意欲を掻き立てられた伊之瀬が作った曲を聞いた兄が流す涙…。
一生届かないと思っていた気持ちがこういう形で届けられて良かったなぁと、読んでて心がじんわりきました。
血の繋がった兄弟だからという人間としてのタブーはあるけれど、本来好きという純粋な気持ちって、こんな風に人の心を熱くさせるもんだったと思えたし、好きという気持ちは否定したくないなと思いました。
ぶっちゃけ言うと攻めの伊之瀬がうっとおしい前髪&後ろ一つ結び&メガネがオタクっぽくてビジュアルが好みでなかった事もあり(あとがきによると、作家さんの好み全開だそうですが)伊之瀬と真澄が恋愛に移行する様子に関してはキュンとするところが無かったのが残念だけど、受けの真澄の感情が丁寧に描かれていて、彼に対して感情移入して読めたので満足かな。
今まで苦しんだ分、幸せにおなり…と祝福したい。
そして彼らが出会ったことは必然だったんだと思える彼らの音に関する変化も含めて、うまくできたストーリーだと思います。