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言葉じゃ言えないから、セックスで気付いて。
complex triangle
3人の男性たちの葛藤が、誤解と許容されることで救われた物語です。
初見読破した直後は正直どんな感想を持てばいいのかわからないモヤモヤがあり、実は何か月か寝かせていた作品です。久々に読み、じつはかなり考えさせられる内容だと気付き、ものすごくリピートしました。
ネタバレ全開で感想を書かせてもらいます。
暴力を絶対に許さない小説家の新発田。
金づるでも暴力のはけ口でもいいから誰かに必要とされていないと生きていけないと思っている青年御幸。
そして、暴力衝動に苛まれていた、新発田の担当編集者の笹口。
この物語のキーを握ってるのが、笹口さん。
彼が勘違いして、御幸と新発田を引き合わせてくれたおかげで、新発田も大事なものができ、御幸も幸せを自分でつかみ取る第一歩を踏み出せたと思います。話としてはハッピーエンドです。
ですが、笹口さんの時系列で笹口さんの目線でこの物語を読んだとき、彼の抗い、怒り、絶望がひしひしと伝わってしまって、結構しんどかったですが、ただ単純に「暴力、ダメ、絶対」というだけでは彼は救われないことに気づかされてしまいました。
彼は「暴力をふるっても許してくれる相手(御幸)」をつくることで、初めて解放されたんですね。
実際問題、笹口さんの暴力衝動は、専門家ではないのでこれだとは言えないですが、代替(スポーツや没頭できる趣味)で発散したりという解決方法もできたのかなぁとは思います。やはり、心の専門家を頼らないといけないのかもしれないですが…もやもやは晴れません。
暴力をふるうことは良くない。
それは正しいとは思うし、暴力が許されたらこの世は力が全てのヒャッハーな人が溢れた世紀末な世界になってしまうと思う。
でも、じゃあ、どうしたらいいのだろう。
たくさん考えても答えが出ないし、答えは人それぞれですが、深く考える機会がもらえたことに、感謝したいと思います。
さとまるまみ先生の作品の中で、今現在で1番キツかったかも。
いやぁ〜、読んでいて胸が締め付けられた。
けど、読む価値あり!
ただ、愛されたかった3人の男の話・・・
人を愛する事、愛される事って、こんなに難し事だったっけ?
昨今いろんなニュース観るけど、簡単に傷つけ合う事が・・・何より普通になっていく事に嫌だな。って、考えられる作品でした。
表紙の、3人の酷く傷付いた不器用な男達。
求めたのは受け入れてくれる温もり、それだけだった。これ、やばい・・・
それぞれの境遇。
小説家の新発田は、父親からの家庭内DVで育ったけど、痛みの分かる優しい人物。
編集者である笹口は、とても良い家庭で育った穏やかな人物ではあるが、根っからのサディストだった。それを、隠して必死で真面目に生きて来たが、自分が原因で子供が出来ないと分かった事から、自暴自棄になり、涼と出会った事で開花してしまう。
涼は、愛を知らずに育った、ネグレクト。
愛とは相手に殴られようが、何されようが必要とされる事と、歪んだ心理の持ち主。
新発田は、小説家を描くことにいきずまっていた事をキッカケに、担当編集者である笹口に、涼を紹介される。
この時点で、涼は笹口の不倫相手。
ここから、こんがらがった3人の糸を〜少しづつ解しながら、それぞれの居場所に行き着きます。
ただ、ありのままの自分を抱き締めて欲しかった。3人の男の話でした。
心残りは、新発田と涼のその後のラブが読みたかった。
トライアングル、というタイトルが示すように、三角関係ではあるのですが、本質的には二人のラブストーリーだと思います。
真面目で誠実な小説家、優等生だがSの編集者、傷つけられることで生存理由を確認するヒモ(?)。
妻がいるにも関わらずMのパートナーがいる編集。執筆の参考にと、小説家にパートナーを紹介する。
痛々しい青年に優しくし、世話を焼く小説家。いつしか愛の溢れる関係に成長するけど、それに気づくには、自分を見つめる過程が必要だった、という人間物語でした。
なかなか読み応えがあって、よかったです。
※暴力表現・自傷行為が多く含まれる内容です。
苦手な方はご注意ください。
暴力で繋がる関係で複雑なお話でした。
一応ハッピーエンドですが最後の最後に少しだけ…。
私にとっては遠い世界のお話で
”理解できない”と思えるのが幸せなんだろうなぁと思いました。
評価が難しく真ん中の萌えとします。
登場人物は3人。
・兼業小説家の攻め
・彼氏から暴力を振るわれている受け
・暴力で欲が満たされる彼氏
攻めは編集者から作品作りの参考になれば…とDV被害者の取材を進められます。
正直乗り気ではなかったけれど断れず話を聞くことに。
その取材の席で、受けから「抱いてください」とお願いされて…。
腫上がった顔・痣だらけの体。
放っておくことが出来ず、攻めは彼氏から隔離させるよう保護します。
攻めの家で暮らすようになった受け。
体の傷は次第に癒えますが、不安を募らせていて。
パニックに落ちた受けは自傷行為を…と展開していきます。
3人のバックボーンも描かれており、暴力へ繋がるキッカケがわかります。
受けとDV彼氏の関係は最悪なパターンで利害が一致したようでした。
受けは家庭環境に恵まれず、人から必要とされることを求めています。
例えそれが『暴力行為』のためだったとしても必要としてくれればそれで良い。
ボコボコにされて自分の価値を肯定する。
本来は痛いことをされて喜ぶタイプではないので、辛かったです。
なので、普通に愛し愛されることを知らないようでした。
攻めに優しくしてもらっても、そのための代償が必要と考えー。
渡せるお金もなければ、手伝える家事もない。
攻めに何もしてあげられない。
攻めの優しさは受けにとって不安に拍車をかける結果に…(;ω;)
DV彼氏は何不自由なく幸せに生きてきた。
それはもう完璧に近く。
そんな中で、暴力シーンに興奮する自分の異常さを知りー。
それでも普通であろうと抑圧してきた欲が暴発したとき
何しても受け止めてくれる受けに出会ってしまったんですね…。
コレはもうタイミングが悪かったなと。
攻めは家庭環境の影響で『暴力』に異常反応してしまう人です。
DVの父親と同じ血が流れている自分にたいして怯えてるように見えました。
その異常反応が、受けの彼氏に『サディスティック仲間』と勘違いを与えてしまった。
勘違いから受けとの出会いに繋がりーーー。
過去を通して三者三様に求めるモノの違いが現れます。
・攻めはDVの血を否定するように救いたかった、優しくしたかった。
・受けは優しさよりも必要とされたかった。
・DV彼氏は自分の性癖をあるがまま肯定されたかった。
噛み合わない形が重くのしかかります。
全てが裏目裏目に出てしまいましたが、
受けと攻めが出会えたのは良かったなとしみじみ思いました。
歪めてしまった愛情の形を、2人なら取り戻せるのではないかな、と。
元々暴力が苦手な人と、痛いのが好きな人ではないので…。
DV彼氏は暴力が性癖だから治る治らないの問題ではないですよね…?
幸せな家庭の父親に収まれるのかな…?
家庭では温厚そうな旦那をしていたので、再度暴発しないか家族が心配です。
後日談の描き下ろしはキュンとしました。
まだまだ心の不安は消せないけれど、少しずつ改善されるといいな。