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bara to knife
少年特有の未熟さが瑞々しい
【バラとナイフ】萌2
「気になる生徒がいる」
目が合うとさっと背けられる。舌打ちをされる。
生徒の桐嶋から嫌われていると感じている教師の伊藤の話です。
すごく好きです、この作品。
自分の中に芽生えた感情に戸惑って、相手に対してどう接したらいいか分からない桐嶋の態度とか、気持ちが暴走してしまう様子が何とも若い！青い！
その気持ちを鋭いナイフに例えて、切っ先が自分に向けられていることを受け入れていく伊藤先生の気持ちの変化もいいんです。ふだんは頭ガッチガチで、極私的全日本倫理委員会委員長なわたしですが、もう教師とか生徒とかいいでしょって思える。
それほどに桐嶋の不器用さが愛おしくて、その気持ちを潰してしまわないように気遣う大人としての伊藤の反応も、その奥で切っ先がまだ自分に向けられていることを嬉しく思ってしまう気持ちも説得力が増すのです。
本来であれば拒絶しなければいけないのに、その気持ちごと育ててあげたいと思ってしまう。年の差CPならではの思いと、園芸部で育てる薔薇が重なるのも良くて、今は大きなナイフのような気持ちも、じっくり育てればやがて大輪の花をつけるかもしれない。でもその茎には小さなトゲがあって、それはこの先、2人が経験していくであろう困難とか壁にかかっているのかなあ、なんて考えながら読みました。
うっとりします。
【穴があったら】萌2
友人がゲイだと分かったら、という話。
穴があればどんな相手でもアリかもという童貞の藤枝と、共通の趣味を持つバイト仲間の美久里。
童貞仲間だと思っていた美久里が、別のバイト仲間に男とラブホに入るところを見られたことから、藤枝の脳内に変化が…という流れ。
ストーリー的にはありがちな展開だけど、大槻さん特有の言葉選びのセンスが楽しめる作品でした。
【可愛いダーリン】萌
女装子攻めとイケメン受け。
女装が趣味ではなくて、ある目的のためというのが良いねと思ったものの、やっぱり大槻さんの好きな攻め受け設定とわたしの好みが逆なんだよな…。
攻め受け問題はものすごく深刻ですが、作家さんの決めた攻め受けが自分の好みと毎回逆な場合、どうにもやるせない気持ちになります。
だけど読んでしまう。
今回みたいに良作に出会えることがあるので、雑食読みがやめられないんだなあ。
エロ無しとエロ有り（×2）と。
3つのお話が収録されていました。
ざっくりとしたあらすじ・レビューで失礼します。
「バラとナイフ」
園芸部顧問でもある教師の伊藤は、何故か自分に対する態度が悪く感じる生徒の桐島が気になる。
とあるキッカケに園芸部に入部する事になった桐島だが、自分に対する態度は悪いまま。
それを注意すると涙を見せ、押し倒されキスをされ…。
押し倒されキスされる事なったのに雨の中去っていく桐島を案じる先生（伊藤）の優しさは、大人で教師らしいといえばそうなのかもだけど、そんな程度なのか？とも思ってしまいました。
桐島の先生への接し方は不器用で青臭くて可愛いな、と(*´ω｀*)
気になっていた存在とはいえキスがキッカケに絆される訳なんですが、先生チョロい…。
こちら、教師と生徒の関係だからかエロはありません。
数年後でよいから二人のエロ見たかったな。
「穴があったら」
穴さえあればどんな女の子でもイケそうと考える藤枝は未だ童貞。
ある日、仲の良い友人の美久里がゲイでネコだと知る。
興味本位で借りたゲイビを見ていると、美久里を思い出し、彼で抜いてしまい…。
穴さえあれば突っ込みたいという感覚だからか美久里をホテルに誘う藤枝の軽さよ…(;´д｀)
美久里は藤枝が好きだから嫌だと断り、そこから美久里を意識していく訳ですが、美久里への態度を反省しちゃんと考える藤枝に好感が持てました。
エロは美久里はエロく、脱童貞できた藤枝の様子は可愛かったです(*´ω｀*)
「可愛いダーリン」
智明は女装して、外で春之と待ち合わせ。
声が低いため外では声を発したり出来ないが、家に帰ればイチャイチャで…。
女装攻めです！
小柄な智明の女装は可愛いんですが、それより可愛いのが春之。
イケメンでモテるのに、それに気付かない天然さん。そしてエロい身体。
智明の女装のキッカケが、外で春之と手を繋ぎたいという理由なのがいじらしい。
ウィッグを外した智明がスカート姿で春之を組み敷く姿がオスみがあり、倒錯的で良かったです。
好みだったのが「可愛いダーリン」で、このCPをもう少し見たかったかな。
でもどれも面白く、萌2寄りな萌の評価をつけたい一冊でした。
