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yubisaki ni kiss wanko na itariajin ni semararete
最近気になり始めた作家さん、雨宮かよう先生の作品。
タイトルから、グイグイくるワンコにたじたじのコミカル系?と思いつつ読み出したら…
…泣いちゃった。
泣いちゃいました。凄く切なくて、とっても甘くて、グッとくる。
主人公は、中年の建築家・春日瑛至。
一緒に組んで仕事をしていた公私共の男性パートナーと死別して、仕事も少し縮小して、という日々。建築事務所のスタッフも事情をわかっていて心配していて。
そんな春日の元に、イタリア人の若手建築家・ジャンカルロが研修させて欲しい、と来日する。
ジャンカルロは初めから春日に愛を語ります。
この辺は電子の短編ぽいというか、整合性の省略が見られますね。だからしっかり理由があって、プロセスがあって、そして恋があって、という流れにこだわる方にはかなり唐突に感じるかもしれません。
対して春日は亡きパートナー・薫の不在にまだ囚われていてジャンカルロの気持ちを受け入れることができません。
それでもジャンカルロのアプローチは甘くて、決して急ぎません。6ヶ月の研修が終わりイタリアに戻る時、まるでプロポーズのように膝を折るジャンカルロ…
でも春日は断ります。ジャンカルロのことは勿論憎からずだけど、自分といるより建築の世界で輝いて欲しい、と。
連絡が途絶え、イタリアで活躍を始めた彼の事を聞くにつれ、彼の手がけた仕事が見たくなりイタリアまで赴く春日。そこで見たのは女性と笑いあうジャンカルロ…
但し波乱展開にはならずジャンカルロが再び春日の前に現れて再度愛を語るのです。(ここが短編のいいところであり悪いところでもあり。)
今度は春日もジャンカルロを受け入れます。亡き薫を愛し続けてる春日のそのままを美しいと言い包み込む若いジャンカルロが素敵すぎる。
春日の切ない気持ちに思わずもらい泣きです。
続くラブシーンは短いけれど素敵でした。
その後2人は連名で何かの賞を獲ったようです。パートナーになったのですね。
短い話のため場面がすぐ変わったりと端折りすぎに思える部分もあるのですが、絵柄がとても良く、春日の心、ジャンカルロの誠実さも素敵。
雨宮かよう先生、追うことに決定!