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iroakusakka to kouseisha no futei
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
これは歴史・時代小説の校閲校正を仕事としている主人公がひとりの小説家と運命の出逢いを果たし、赤子からやり直すかのごとく人と人との付き合い、主に恋愛に関して、初めての経験を積み重ねていくお話。
有名女優の母から生まれ、姉も弟も芸能人、しかし母親譲りの美顔を持ちながらも受け自身の性格は地味で芸能界とは反りが合わなかった。居場所を求めておじいちゃん子となり、祖父の影響から、文学の中に生きるようになった受け。
担当する校正の仕事のために読んだ小説がいたく気に入り、大ファンになるのだが、ある展開が気に入らず、ついに同じ飲み屋で愚痴をこぼしていた著者(攻め)に食いついてしまう。そこから二人の交流が始まります。
二人とも無駄に(といったら失礼ですが)非常に知識人なので、大切な言葉に行き着くまでにめちゃくちゃ遠回りします。
もう本当に面倒くさい二人なんです。
でもそんな二人の、時に周囲を巻き込んでされる会話がユニークで興味深くて面白かった。
関係ない話をしていたと思ったら、気づけばちゃんと愛の話になっていて、すごいなぁと。
文学作品がいっぱい出てきますが、どこかで聞いたことあるなぁ程度で楽しめます!難しくないです!
本好きなら「その気持ちわかるなぁ」と思ってしまうところも多いんじゃないでしょうか。
シリーズを通して彼等をもっと読みたいと感じました。
「アメ車とあだ名される女」の菅野先生が描く、BLラブコメ。
堅そうなイメージを抱いて敬遠していたけど、意外と柔らかくて面白い。
しかも誤字・誤文法が無くて読みやすい。
BLは、校正を省略す予算割愛ジャンルなのか、誤字だらけで辟易する作品が多いけど、
菅野先生のこの作品は「校正者」がテーマだけあって誤字がほぼない。
さすが!と思った。
この一巻目を読んだら、noteで紹介されていた『愛する』(キャラ文庫)を読む予定。https://bit.ly/3M1c0zU
歴史校正者というしごと、初めて知りました。校正者というのはイメージできましたが、歴史に特化した方もいらっしゃるのですね。
そんな、校正のプロ、受けの正祐。感情を入れて構成してしまう作品の作者が攻めの大吾。
文体が読みにくいと思われる方もいるかな、と思いますが、BL小説には無い感じで私はけっこう気に入りました。
ストーリー中に、色々な作品が出てきて、あとがきにも書かれていましたが、それらの作品に興味を覚え、読んでみたくなりました。
滝平二郎さんの名前を見た時はもうね、小学校の頃の教科書を思い出しました。
そして八郎の話で、正祐の「八郎を愛するものの気持ち」という視点は凄いなと。私自身が目から鱗でした。
シリーズになっているので、次の作品を読むのが楽しみになってきました。
そして菅野さんのほかの作品も気になってしまいました…
しかし、ある意味神なんですが、萌なのはラブ、の部分がやっぱり萌じゃ無かったから。正祐の想い、大吾の愛、が小難しくて…これは巻を重ねていくと高まるのでは無いか?という期待。
時代小説作家の攻とその担当校正者の受のラブストーリー。
そういう設定だから登場人物の話し方が割と大仰で、それが独特の雰囲気を醸し出しています。
二人とも家族との縁が薄いおじいちゃん子で、そのおじいちゃんをなくした孤独がわかる者同士として、そして本好きとして存分に語り合える者同士として、惹かれあいます。
そういうシリアスな面もありつつ、他方で自分のやり方を曲げないエゴの塊の小説家VS愛読者でありつつも根っからの校正者として日々重箱の隅を突きまくる受の丁々発止のやりとりにクスッと笑わせられます。
身体の関係を持つに至るところはかなり強引な展開だけれど、攻が典型的な攻め様で、強引で亭主関白、大変封建的なオスとして描かれているので、受だけでなく読んでる方もなんとなく流されました。
令和のBLだなと思ったのが、攻の強引さの描かれ方とそれに対する受の態度。
平成だったら、強引だけど愛が有れば良い、強引に愛を囁いてこそスパダリとして描かれそうな人物だけど、この作品では全肯定はされません。
受も大人しい清純派なので、平成だったら貞淑な妻って感じでこういう強引な攻に付き従うタイプだったと思うのだけど(作者さんの昔の作品にはそういう儚げな受がちょいちょい出てきた気がします。)、この作品の正祐は大人しいなりに流されるままになる事をよしとしません。
当然揉めます。
でもそこで生まれる2人のやりとりがわかる!って感じだし読んでいて面白いのです。
あばたもエクボ、惚れたら全肯定なラブストーリーも良いですが、相手の欠点や互いに噛み合わないところをどう擦り合わせる?っていう現実世界ならよく盛り上がるお付き合いの悩みを読む楽しさがこの作品にはあります。
この2人がどうやって歩み寄るのか、続きが楽しみなシリーズです。
(プラスして、この作品では様々な文学作品が2人のやりとりで取り上げられるので、それを読むのも楽しいです。)
性格が水と油ほどに違う小説家と校正者という組み合わせ。
文学オタクによる文学知識や蘊蓄を絡めたケンカップルみたいななやりとりが最大の見どころだと思います。
お互い一歩も引かないやりとりをしつつも
「お前は説明しなくて済むのが唯一のいいところだな 話しやすい」と攻め。
「説明の必要がないところが、あなたの唯一の長所です」と受け。
お互いおじいちゃん子で、本の虫として育ち、文学に精通してるという共通点があるので、作品から引用した言葉一つ言えば、意図がきちんと伝わるという「共通言語」を持ち合わせているというところが地味に最強。
「最近滅多に、俺にまともに意見するやつなんかいない(それなのに、お前は違う)」と攻めが言うんだけど、受けは攻めにとって、人生の校正者みたいだなって思いました。
受けがちょっと変わってて、どこか浮世離れした独特の言い回しなんですね。
「あなたの言う通り私は一人で、それは元々のことでした。けれど祖父といた頃は確かに一人ではなかったのに、」とか。
文字を追えばわかるけど、耳で聞いたら、え?もっかい言って?となりそうな言い回しが多くて。
私はこの作家さんが初読み作家さんなので判断つかないのだけど、他の作品の主人公はこんな言い回しではなく、ごくごくふつーの凡人会話をしてるんでしょうか?
あくまでこれは、語彙力や知識量は半端ないのに、コミュ能力が欠如してるために会話にふさわしい言い回しができず、文学作品まんまの会話をしちゃう人ってのを演出してるだけなんでしょうか?
それだけに最後の「私はあなたが好きですよ」という受けの平易な言葉が、やればできるんじゃん!!正祐!!と思ってしまいました。
なかなか面白かったのだけど、作家さんの蘊蓄披露みたいなものを感じるところが正直ところどころあったな……。
あと2割少なくて良かったと思います。
ーーーー
「不幸が凡庸な日常であることに気づくためにエドワード・ゴーリーは「不幸な子供」は大切な本だ」と完全同意して意気投合したというくだり。
あの本を絵本コーナーでうっかり読んでしまい、うわ……という感想以上のものを抱けなかった私なので、壁になって二人を見守っていても、会話についていけないわ……と確信しました。
色悪作家と校正者の不貞
タイトル通りのお話ですね。
しかし不貞をおかしたことで二人とも新しい人生を進めたのではないでしょうか。
とくに歴史や書籍についての言い合いはとても興味深いし面白かったです。説明の必要がない相手というのはいいですね。好きな分野で比喩したり語り合えて。
さて物語は誰とも関わらず生きる正祐と何も持たないようにしてる大吾の、校正者と作家という顔も知らないはずの関係から情人になって、お互いに生き方を変える力をもらい愛し合うお話ですかね。
もう二人とも読んでいて辛くて。なぜそこまで祖父のことを引きずるのかな。でも自分の唯一の理解者でかけがえのない身内ですもんね。
なんだかBLとして楽しむというより、二人が過去を乗り越えて視界が開けて新しく歩むのを見守る感じでした。
初めての作家さんで読むのに時間がかかりましたが読み応えがあると思います。
最後の書き下ろしで描かれた、「何故、校正者を受けにしたか?」という理由がなかなか痛烈でしたね〜。この小説を一冊読めば、作家さんの気持ちが少しは共感出来る仕様になっていて、なかなか憎い演出です。
菅野彰先生といえば、BL小説では「毎日晴天!」シリーズが有名です。晴天シリーズの一巻を読み出した時は、文体がフリーダムで正直読みにくい荒削りな印象がありました。ところが、途中からストーリーがどんどん面白くなって虜になり、今では長いシリーズを追いかけている次第です。
「毎日晴天!」の一巻の出だしの頃と比べると、長年の経験の賜物とはいえ、作家さんとしての成長ぶりが恐るべしだなーと唸らせられました。タイトルから受ける印象と違い、内容重視のバリバリ一般小説です。BL要素は薄めです。
受けが校正者なので、地味な話かなーと思いしばらく積んでいたのですが、読み始めたら止まりません。浮世離れして捻くれ気味のカップル、作家の大吾と校正者の正祐の文学を絡めた尖ったやり取りがいちいち面白くて…。また校正の仕事が歴史校正も入った奥深い世界だと知れて興味深かったです。
BL小説はハードカバーでも購入しますが、文芸書は持ち運びを考え文庫本しか買わない自分には傍ら痛い話も出てきましたが…w 読書が好きな人には特に楽しめる内容になっています。高校時代の文学史を思い出し、懐かしい気持ちになりました。大きな事件がある訳でないけれども、ユーモアを誘いつつ、じーんとくる人情味もあり非常にバランスの取れた小説でした。
菅野先生の一般書も読もうと思いました。
書き下ろしの八郎の話もとても良かったです。二人の性格の違いを何よりも分かりやすく表現されていて、面白かったです。子供の頃に読んだ「花さき山」は懐かしすぎて。。小説は読む人の性格や見方、バックグラウンドにより受け取り方や感想も変わってくるから面白いんだなー思いました。
BL系で文学史的要素を取り扱ったもので思い浮かぶのは、BLゲームの「古書店街の橋姫」が斬新で傑作だと感じている作品ですが、この小説のように二人芝居で進むような形式も味があっていいなー。「古書店街」の主人公の玉森君もたいがいだけれど、「色悪」の正祐君も負けていないアクの強さ。文学系BL青年って拗らせやすいのかも。二人とも好印象ですがね。
意外とデートとかしてくれる攻めは、荒々しく野性味があるように見えて職業的にも知的なところがギャップで受けよりも先に絆されてしまう私(笑)
良寛という人物名が出てきたのには驚いた。BLでこの人の名前出てくるの見たのは初めて。良寛は幼少期に深く馴染んだものだったので懐かしくなった。
まず最初のセックスにまで持っていく過程と会話のキャッチボールが今までにないやり方で新鮮さを覚えた!
理屈を捏ねくり回したような理路整然としたような受けの喋り方がちょっと私の琴線に引っかかった。
「涅槃寂静ほども望んでいません」
「使用単位にはせめてナノを用いろ、普通はわからんぞそれ。」とかこれからヤルってのにこの会話…なかなかシビレるw
そして事後の攻め作家の作品が好きな受けへ
「〜俺を愛してるんだろう?」
「主語が抜けています」
「おまえが抜いたのは目的語であり、所有格のついた名詞だ」
弁舌…たまらん…。本を愛して、言葉を武器に巧みに操る登場人物じゃなきゃこんな会話成立しない…
この二人は阿吽の呼吸かのようにポンポンと会話のキャッチボールが出来ていてなおかつ相性が良いというのがポイント!
趣のある庭と家を褒めるのに「私は次にあなたと二人きりになったら、草を食んで生きる牛に殺生をさせるような惨い真似はせずとも、自分でしなくては行けないことだと考えていました。…この家と庭の緑が私からその考えを奪います」という受け。に攻めもわからん、説明しろと言いう。こーゆー持って回った言い回し(この表現が適切でないかもしれないが今他にそれ以外の言い方が思いつかなかった)が割と常に出て来て、それが苦じゃなく感じられるのが貴重だなと思った。むしろそれがこの作品らしさ、を出しているようで他の作品にはない個性みたいなものを好ましく思った時点でより本編にのめり込んで行った。
また光源氏の引用を心情にあてはめるのも面白い。
一見、その引用や例えが遠回しで意味を飲み込みずらいところを倦厭しそうなところをテンポがいい会話とわざとらしくない説明で補ってくれているので気持ちよく読める。
森鴎外、春琴抄、羅生門など例えが秀逸。
その内容を知らなくても本好きなら無視できない言葉や作家たちが散りばめられていてこの本編も、それを引用する作品も読みたい気持ちを上手く擽ってくれた
私は…そう思うのだけれど、その登場人物たちの会話の独特な例えや引用がハマれば面白さに拍車が掛かるんだけど、ハマらないと…評価が分かれそうだなとは思った。
受けと攻め御用達の居酒屋店主は、2人の祖父のようにこう揶揄って嗜めてる。
「嫌いは好きの裏返しだよ。好きと嫌いは、どっちも相手に興味がなけりゃ始まらない気持ちだろう?」本当にこれに尽きる。
本編の後の小話?『八郎』でも二人の意見が食い違い、生き方と考え方が違うのにそれでも傍にいるというのがこの物語の真髄なのかなと思った。
意見の違うものを批判したり排他するのではなく、あるがままに受け止めて擦り合わせる?共存というのかな…それが出来る二人になってくるのが良かった。片方だけが受けいれてるのではダメで、2人がお互いに違うとわかりながら歩み寄っているのが素敵で、私の人生においても理想だなぁと思った。
最近作品の意見が合わない友人と会話していたのでより、感情が入ってしまった。
さらにその後、居酒屋店主の老翁が〆に入ってくれるのには物語の構成がさすがだな〜と感じた。
あとがきにもあるように作者様が楽しんで書いておられるのがよくわかる話だった。
作者様が今まで読んでこられた本について思ったことを登場人物たちが代弁してくれたりするのかなと思うと私自身も読んでいて楽しかった。
この物語ができたきっかけも知れてクスッとできたり、アンケートに『このシリーズで知った本を読んでみようと思います』って言葉が多くて嬉しいという話も私も同じように思ってもっと本を読んで知識増やそうと誓った!
作者様の言う『本が入口になって他の本を知る』というのが好きなので今回色々勉強になった!
本編からあとがき、最後の1ページまで楽しめる本で、本好きさんにオススメしたいBL❤
シリーズ4冊もう買ってあるので一気に読みたい〜❤
受けの弟もとても良いキャラで出番少ないはずなのにその魅力に持っていかれそうになった!
主役の攻めを喰ってしまいそうな存在感放ってた…
今後もちょっと受けとか物語に絡んで欲しいな〜
うーわー、めっちゃくちゃ回りくどくて持って回った言い回しの文章だなこりゃ。
冒頭は特に誤読させる為に狙ってるのが分かりすぎてちょっと鼻につくなあ。
だけどこれを良しとする層が一定数いるのは知っているぞ。
そして年代でもこれを面白がれる時期があるのを知っているぞ!
…残念ながらそれはもう過ぎてしまった…。もうちょい若いころに読んだ方が面白がれたな。
今は素直な文章が好きだよ、どっちかというとね。澄んだ青空のような文章のが良いよ自分は。
これ、オタクの恋だよね。文芸オタクですよ。
理系の奴が、その知識を知らない人に説明するのが面倒で面倒で、同じ知識持った奴と知り合った時の楽さと言ったら!とか、アニメオタクが、古いアニメを説明せずに会話できる同士と知り合って感動!あるいは鉄道オタクが(以下略)と同じで、それが文芸及びそれに付随する雑学って事なんですね。
多分にその所為なんだろうけど、会話が何だか舞台のセリフしゃべってるみたいなのと、妙に青臭くて恥ずかしくなってしまう場所があるのが困った。しかし登場人物は30歳と27歳、現代では「青二才」と言ってもいい年齢なら致し方ないか?青二才って何歳まで言っていいんだろうか。
…とこのようにですね、「うーん」とモヤモヤひっかかり、「いやでも」と自分でフォローをするという謎思考を何度もしながら読み進むというなかなか疲れる本でした。
あとなー、なんだろうなー、キャラクターを通して作者がひけらかしたい知識(と考察)を披露していると思えなくも無いんだよな。しかしこう書くとひけらかす程の知識ではありませんとか言われそうだな。そういう空気感が漂っていて嫌だな、でもそう感じるのは性格悪すぎかな…って思っていたら、あとがきで本当に作者まるだしの話だってことが分かって、さすがにちょっとげんなりだよ。
帯文は「どっちがいい!?殺されるのと 犯されるのと!」です。
何やら物騒な文言ですね。
発売当時に読まなかったのは、この帯文がついていたからだと気づきました。
ちょっと長めの小説が読みたくて、2018年冬時点でシリーズ3冊目まで刊行されているので挑戦しました。
タイトルは「色悪作家と校正者の〇〇」で統一されていて、この「不貞」が1巻目です。
続巻は「貞節」「純潔」ですが、1冊でもキリのいいところで終わっています。
なかなか個性的な登場人物達でした。
会話が、中でも正祐(まさすけ)の会話が独特で笑えます。
脇キャラに奇抜な人がいることが多い中で、メインキャラの正祐が一番ぶっ飛んでいます。
正祐は校正者ですが、「暗黒の校正者」だという自覚があります。暗黒です。仕事は鬼です。
代わりに小説家の大吾が常識ある人物かと思いきや、そうでもない。
ビブリオ・ラブコメだそうですが、私にはラブが薄い印象でした。
2人の間にラブはあるけど、小説・文学へのラブと仕事へのラブのほうが幅を利かせている気がします。
2人のラブがまだそんなに甘く感じる訳でもないといいますか。
議論に始まり、会えばずっと話していますが、いつもどこへ行きつくのかわからないドキドキがあります。
タイトルの「不貞」がどの辺のどういう事を指すのかわかりませんでした。
すんなり共感できる人物はいなかったので、いつもよりも傍観者気分で読みました。
読むときの気分によって、面白く読めるかどうかが左右される物語だと思います。
評価も変化しそうです。
口絵は、2人が扮装している(?)イラストで通常と違っていて珍しいです。
菅野先生の作品は初めましてです。
設定は面白いし、何よりもプロローグが気に入りました。まさか小説上の登場人物の話しとは。。
ちらほらと文学作品情報が出てくるのも面白く勉強にもなりました。
私には相性が良かったようで、読みやすい文章でした。
ただ、BL的にはあんまり。。
正祐視点だから仕方ないとはいえ、大吾が無責任に手を出した風に見えました。
なんだかずっと、正祐が憐れでした。二人の関係性が中途半端な念者と若衆に見えました。
あと、おじい様も回りくどい「正祐」って名前じゃなくて、他になかったのかな?って余計なところが気になってしまいました。
まだ序章のようなので、続巻を読んだら評価が変わるのかもしれませんが...
続巻読むか検討中です。
色んな要素がぎゅぎゅっと詰まっていててんこ盛りで読み応えありな作品です。
二人のやり取りがとても軽妙で、楽しく読了しました。
漫画やドラマ化されて校正者という仕事に馴染みがある方は、結構イメージしやすいかと!
お仕事モノとしても楽しめます。
小説家と校正者ということもあり、この作品には色々な作品や豆知識的なのも出てきます。
「それが楽しめるか、知ってる作品があるか、なくてもその作品が読みたいと興味を覚えるか」かどうかでとっつきやすい・にくいはあるかもしれませんが、ぜひ読んでみて欲しい作品です!
受の校正者の心に抱えている・大事にしているモノや人についての思いと、自分の気持ち、相手への気持ち等色んな関わりの中で「気づき」があり成長していく様がとても面白く、気持ちよく読了しました。
攻の小説家は最近では余り見かけなくなったタイプの傲慢で亭主関白ぶりなのですが、そんな彼の奥底に触れると愛おしくなってきます。
まだ二人の関係は始まったばかり。
続編があるのでまだまだ楽しめそうです♪
電子書籍で読了。挿絵、あとがきあり。
出版関係のお話を書くと菅野さんのお話はとても面白いです。
これはやはり、菅野さん自身が小説家というご自分の仕事をすごく好きで、誇りを持っていらっしゃるからだろうと思うのです。
華やかな家族から浮いてしまって、愛されているのに孤独を感じて来た校正者が、やはり孤独を感じざるを得ない生育歴を持った小説家の作品に惹かれ、延いてはその本人にも惹かれていく過程を描いているのですが、ドタバタにも近い二人の言い争いと、それに相反する大吾の寂しい心象風景が一つのお話の中で矛盾せずしっくりと解け合っているのは菅野さんの持ち味。
それと同時に、この本は『小説というフィクションが人生にもたらすもの』を教えてくれる本だと思います。
大吾は塔野の執筆する時代小説の登場人物を心の支えにしてきたのですが「ああ、実生活で困難にぶつかった時、私も小説の登場人物を頼りに頑張ったことがある」と思いだし、塔野がその人物の死に必然性があることを大吾に話す度に「うん、そうだ。いつか必ず人は死ぬ。たとえそれがフィクションの世界の中でも、その時は来て、それを書かなければ嘘になってしまう」と納得する。
そして私も思い出しました。
そうやって本を読んで来て、同時に実人生も積み重ねてきて、リアルでもフィクションでも、沢山の人から影響を受けて今まで暮らして来たんだなぁ、ということを。
BLっていうのは、時々こんな風に人生について考えちゃう作品があったりするから面白いジャンルだなぁ。しばらくはこのジャンルから離れられないな。
相変わらず、菅野さんの文体は癖があって向いていない方もいると思います。
もってまわった言葉を選ぶ処もなきにしもあらず。
にゃんみさんが仰っているように、言葉のリズムを重視していらっしゃるのかなと思いますので、古典の授業が嫌いでなかった方は向いていらっしゃるのではないかとも思ったりします。
ここから先は書くかどうか迷ったのですが、菅野さんは長い経歴をお持ちの作家なので書いてしまいましょう。
『毎日晴天!』の最新巻をお好きな方であれば、このお話は読んだ方が良いと思います。
主題が同じだと思うのですよね、あのお話と。
菅野さん、お名前はよく拝見していましたが、たぶん初読み作家さんです。
最初の数ページであまりに文章が合わずにびっくりしました。ここまでの拒絶反応は初めてでとても貴重な体験だったので、なぜ合わないのかを自分なりに分析してみました。
まず目が滑るように感じ始めたとき、登場人物の名前だけが妙に目につきました。書かなくても伝わる文章にも主語を付けている、なので一ページ内で同じ名前を読む回数が他では類を見ないほどに多い。そこを煩わしく感じてしまったのかもしれません。
一番合わなかったのは読点の位置で、意味を伝えやすくするための位置ではなく、リズムが心地良く感じられる位置に付けている。二度読みすれば意味もすっと入ってくるので快感になりそうな文章ですが、物語に没頭しにくいです。
そんな感じで読んでしまいましたので、中盤からはただただ苦行でしかなく。登場人物も行動の意味が分からないことが多々あり、読後は疲労感だけが残ってしまいました。
これを読み応えに変換できればよかったのですが、お話もそこまでして読むほどの魅力を感じられなくて残念でした。
ここまで合わない文章があるのか、という衝撃を受けた記念の記録です。
校正者の正祐(受け)は自分が担当している作家・東堂大吾(攻め)の作品で大好きだったキャラクターが死んだことを悼んで一人飲み屋で通夜をしていた時、当の作家が「試しに一人殺してみた」と話しているのを聞き、我慢できずに声をかけてしまいます。その時から飲み屋で会うたびに言い合う関係になります。
正祐の校正は重箱の隅をつつくように細かく、大吾には不評だったのですが、ある日とうとう正祐の書き込みに怒った大吾が正祐の会社に殴り込みに来、正祐が担当だとばれてしまいます。
正祐は映画監督の父、女優の母、姉、アイドルの弟と華やかな芸能一家において唯一の鬼っ子で全くなじめない幼少時代を送っていました。そんな正祐を気遣った祖父に引き取られるのですが、就職後その祖父が亡くなってしまいます。正祐はそのことをずっと受け入れられないでいました。
大吾は戦場ジャーナリストだった父を早くに亡くし、再婚した母に反抗し、祖父に引き取られます。今生に全く未練のなかった祖父が大吾を引き取ったことに未練が生じ、死にたくないと泣いたことが衝撃で自分は何も持たないと心に決めるのです。
未練になるようなものは何も持たないと心に決めた攻めが校正者の受けに執着する話かと思ったのですが、ちょっと違ったように思います。
はじめの軽快な言葉の応酬はとても面白かったです。
変人同士の正祐と大吾とのやり取りは言葉で殴り合いしているみたいで面白いし、変人の正祐と一般人の感覚をもつ同僚の篠田とのかみ合ってないようなやり取りは楽しかったです。
こういうのが続いたら楽しかったと思うのですが、大吾に担当校正だとばれてからの展開は私にはちょっと好みではなかったです。
大吾が正祐との認識のすり合わせをしようと襲撃してきたことはわかりますが、怒鳴りあいになり、「殺すか犯すかしないと気が済まない」と思ったとしても実行するのはどうなんだと思いました。大体、それに従う正祐にも理解できなかったです。
正祐は大吾の作品を愛していると豪語していたましたが、関係を持った後牛裂きの刑にしたいと何度も考えるほどなのに、その後時々呼び出されても素直についていくところをみると、実際には大吾のこともはじめから愛していたということなのでしょう。
そして大吾は一度関係を持ったら責任を持つというのはただの義務感なのか本当は違う感情からなのか。私はもう少しわかりやすい愛が好きなのでこの二人に共感できないしよくわかりませんでした。
自分の情事を小説の参考資料にするデリカシーのない行為も受け入れられませんでした。そのことを全く悪びれないのも納得できない。
正祐視点なので、何も持たないと豪語する大吾がいついなくなってもおかしくないと常に空虚な気持ちでいるのも辛くて。大吾がどういう気持ちながかがさっぱりわからなくて、読むのがしんどかったです。
もう少し正祐に執着するとかあるとよかったのですが、私には情人だといいながら自分の都合の良い時だけ呼び出す都合の良い相手として扱っているようにしかみえませんでした。
ただ、大吾が逝ってしまった人をいつまでも放せない正祐を諭すところはよかったのです。祖父の死からずっと立ち直れなかった正祐がやっと離れることができて本当によかったと思いました。ただ、いかんせん祖父の代わりになるはずの大吾があてにならない。
ちゃんとお互いを持とうと話した後でもやはり熱量のあまり感じない(特に大吾)二人の関係にはもう少し一緒にいたいとかなにかないのかと思って不満でした。
それは絡みにも感じました。濃いと正祐は言っていますが、全くそんな風に読み取れる描写がなくて本当に濃いのだろうかと思ってしまうくらい、淡々としたものだったと思いました。
二人とも様々な作品を読み込んでいるので文学作品や作家や絵本がたくさん登場します。知らない作品もありましたが、自分の記憶の中にあるそれを呼び起こすのはとても楽しかったです。
登場人物も皆濃い人ばかりでした。
正祐のブラコンの弟は自分勝手なようで兄を心配するかわいい弟だったし、居酒屋大将は二人を宥める好々爺だし、同僚の篠田は一番普通の感性をしていて正祐との会話が楽しかったし、社長の正祐への評価と態度は面白かったです。
一人でいることを選んでいた二人がお互いを持とうと思ったのだから仕方ないのかもしれないですが、細い糸でつながっているだけに見える関係はなんとなく不安に感じるので、もう少し熱量をもった二人の話が読みたかったです。このお話はシリーズ化されていて、後2作はあるということですが、この先どう
なるのか少し気になるところです。
最初から最後まで面白かった1冊。
あとがきまで読んでしまう面白さに脱帽です。
受けも攻めも最後までキャラのブレもなく。
本当に楽しめるお仕事ものBL。
歴史校正者として働く正祐が勝手に行う1人お通夜シーンから始まるこのお話。
え?どういうこと?と思いながら読み始め、分かった時には
攻めさんの作家・東堂とかなり言い合ってました。
この2人、1冊の半分は言い合ってるんじゃないか…?と感じるほど
ひたすらに言い合ってます。
ますが、傍から見れば変わり者同士の痴話喧嘩。
会話も内容も凡人には着いていけない(着いていきたいとも思わない)。
文学に知識を持ってる2人が出会えば、こんな会話ばかりなのか…!
と思える、ある意味阿吽な関係なんです。
正祐の「スケキヨ…」は、今思い出しても個人的にツボなシーン。
そんな変わり者2人に関わる、校正者の篠田や鳥八で小料理を提供する百田
実は家族想いの光希…と挙げればキリがない脇役さんもいい味出してます。
あと、このお話の魅力といえば数々出てくる文学作品。
知らないものから有名なものまで深く掘り下げて紹介してくれる
(会話がマニアックすぎて勝手に宣伝してる風な感じ)ので、
読んでみたいな、そんな視点で読むのか…!と
新しい発見や興味をそそられる事間違いなしです!
菅野ワールド、是非お試しあれ!とオススメしたい1冊でした。
続編もあるようなので、そちらも文庫化されるといいな…
菅野先生の本を読ませていただくのは2作目。普段読んでいるのと一風違っていてとっても新鮮でした。
小説家×校正者のお話なんですが、話し言葉にも関わらずとても言葉が丁寧。
表現が文学的といえばよいのでしょうか、時々辞書ひきたくなります。
森鴎外の高瀬舟だの山椒大夫だのが話題にあがったりもします(笑)
また、お恥ずかしながら校正者という方のお仕事内容を、今回初めて知りました。お仕事話がお好きな方は「面白い!」と思うのではと感じます。
キャラはどの人をとっても一癖あるとしか言いようのない方々で、とっても魅力的。萌えるか と言われるとそういう要素はあまり印象に残らず、キャラたちがとても面白い!という点で、萌2よりの萌 です。
本編:ディアプラス2106年ハル・ナツ号に掲載された本編220P超+後日談ショート書き下ろし18Pほど。(ホントに2106年って書いてあるんです、本編からひっかけたネタかと思いましたw)
地雷はあまり思いつきません。せつなさ+お笑い と感じます。
尚、当カプで既に2作、ディアプラスに掲載されているそうです♡
お話は、校正を生業としている正祐が、西荻窪の居酒屋で酒を嗜みつつ、好きだった人物(小説の登場人物)の通夜を心中でしていたのですが、どうにも我慢できず、横に座っている作者にくってかかるところから始まります。その後もその居酒屋を通じてその小説家と交流というか喧嘩というかが続いて・・(すいません脱字修正)
大好きな挿絵話をちょっとだけ。
挿絵の麻々原先生の描かれる正祐が本当にぴったんこでうっとりします。ちょっと寂し気な表情を描かれたら、№1じゃないだろうか・・そして本編、ショートとも中表紙があって、嬉しい~本編中表紙は、やんちゃ顔の大吾がかっこよいです。ショートの中表紙はなんとぷりっぷりの牡蠣♡です!牡蠣食べたいー
****************以下は、より内容に触れます
タイトルにあげたように登場人物が皆面白いんです。
正祐:国民みんながしっている女優の息子でめっちゃ女顔の美人さん。
ある理由により4年前からずっと一人の人を悼んでいることと、
生来の性格などから表情筋があまり動かない、ちょっと残念な人。
私は小一時間ほど説教垂れたくなりました。
大吾:小説家。野性味あふれる男前。傲慢、俺様、自分勝手、
なんだかありとあらゆる悪口を書けそうな方。なんでこんな奴に惚れるんだか・・・・
こいつにも説教垂れたいが、口では負けそうな気がする。
光希:正祐の弟。絶対ブラコン。アイドルグループのセンター。
萌:正祐の姉、女優。演技力抜群らしいが父親似な容貌。正祐は恐ろしくて近寄れないらしい。
篠田:正祐の同僚。割合まとも。
あと、正祐の母(女優)や校正会社の社長、出版社編集さんも少し出てくるのですが、もうどの人も可笑しくって可笑しくって、超楽しい。
途中、しっかりした印象の文章に少し読み疲れたのですが、そのおかげで一気読みではなく、二日に分けてじっくり楽しめました!続編では、光希のブラコン話を読みたいと思っているのですが、どんなお話だったんだろう?楽しみです!