色悪作家と校正者の多情

iroakusakka to kouseisha no tajo

色悪作家と校正者の多情
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神10
  • 萌×214
  • 萌4
  • 中立3
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
6
得点
121
評価数
33
平均
3.8 / 5
神率
30.3%
著者
菅野彰 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
色悪作家と校正者の不貞
発売日
価格
¥620(税抜)  
ISBN
9784403524868

あらすじ

あなたを殺してしまいたい。
いいえ――私は今、あなたに殺してほしいのです。
まだあなたが、身の内にいるこの時に――。

大吾(だいご)を知り、恋を知って、
それまで覚えたことのない強い感情に
何度も身を灼く想いを味わうようになった正祐(まさすけ)。

一方、色悪な大吾には、当然過去の恋と別れがあった。
文壇を騒がせたというそのロマンスを、
ある日 篠田(しのだ)から聞いた正祐だったが……。

おまえはまるで、読み解けない本のようだ――。
色悪な人気作家×頑固で真面目な校正者のラブ・イシュー、
人気シリーズ第四弾!!

表題作色悪作家と校正者の多情

東堂大吾、文学賞獲得に意欲を燃やす人気小説家
塔野正祐、東堂の小説の校正を担当する校正者

その他の収録作品

  • 式場作家と校正者のデート
  • あとがき

レビュー投稿数6

シリーズ4作目

大好きな「色悪作家と校正者」シリーズ4作目。これは単品で読むのは勿体ないと思いますので、よろしければ1作目からどうぞ。キャラ達がすごく好きですが、森鴎外とか幸田露伴などの各種文学談義部分はちょっと苦手(先生すいません・・・)なので萌2にしました。今回は攻めの元カノや受け母やら評論家等が攻めをコテンパンにやっつけていて、少し攻めが可哀想に思えたお話、「雑誌掲載された本編150Pほど+その続き60P超+あとがき」です。

大吾が久しぶりにインタビューを受けたと思ったら、好みの女性についてトンデモ発言をしたために大炎上中(笑)。同僚の篠田からその話を聞いた正祐は、その後、またもや篠田から大吾の昔の女性関係の話を耳にして・・・と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
篠田(超一般的思考を持つめちゃくちゃいい人。救われる・・)、百田(攻め受け行きつけの料理屋のおやじ)、受け母(女優)、攻めの元カノ(作家)、宙人(新進気鋭のチャラい小説家)、光希(受け弟、アイドルグループセンター)ぐらいかな。光希も宙人も篠田も受け母の麗子も大好き・・・受け姉が伝聞でしか出てこなかったのが唯一残念。次回作に出てくるかな・・・?

***攻め受けについて

要は「攻め受けがめんどくさく、ぐだぐだしているお話」と言い切ってしまうと怒られてしまいそうなのですが、私にはそう思えます。じゃあ何がいいのかっていうと、キャラがすごく好き。

今回は正祐の駄々っ子ぶりが可愛くて、それにすっかり振り回されている大吾。そして麗子さんやら元カノの冬嶺先生やらにすっごくやり込められていて、ただの小学生男子か!という様子でめっちゃ面白かったです。色悪作家のはずなんだけど。

正祐は相変わらず驚異の思考の持ち主で、シリーズ最初の方は大吾が正祐を振り回すお話かと思っていたのですが、すっかり逆転。嫉妬やら悲しみやらで涙する正祐をみて、大吾はおろおろ(読んでるこっちはあまりの情けなさに大爆笑)です。

正祐のことを心から思っていると分かる母やアイドルセンターの弟、篠田さんもとっても好き。みんな正祐のことをとても心配して、変わりつつある正祐に気付いていて心を寄せてくれていて、読んでいるとこちらの心がほっこり温かくなります。

相変わらず二人漫才しているようなシーンもありますが、不器用ながらも少しずつ心を重ねよう、変わっていこうとする二人がとっても良いなあと思った今回でした。
正祐、成長してきてます!

6

突き刺さったままの恋の残骸の正体とは

本シリーズは人気小説家と彼の時代小説の校正担当者のお話です。

攻様の理想の女性像に端を発して過去の恋人の登場による一悶着と
騒動を経た攻様が受様と恋人らしいデートを計画する短編を収録。

攻様は出版不況と言われる中で時代小説でミリオンセラーを飛ばす人気
小説家です。 しかし、その性格には難ありで、久しぶりに受けたインタ
ビューで好きな女性のタイプで大炎上を起こしていました。

攻様はわざわざくだらないことを訊くと言い添えた上で「美人で気立てが
良く気遣いが細やかで・・・少し愚かなほうが扱いやすい」と言い放っていて
火がたつのは必然というものです。

そのまま掲載された事も担当編集者も止めようがなく、攻様が悪意を持た
れている証拠です。同僚から炎上騒ぎを教えられた受様は「自分も愚かで
扱いやすいのか」と思わず口にするところでした。受様は攻様の時代小説
の校正担当者で、彼の情人でもあったのです。

同僚はわざと露悪的な事を言ったとしてもかばいようもない人だと言い、
受様も攻様の中にそういう最悪の価値観があるからこその発言だろう
という事は否めません。

しかも今、受様が校正している攻様の新作には、自己犠牲の激しい男性に
都合のよすぎる女性が脇役で登場していたのです。様本人を知る者として
見ても俯瞰で見ても、攻様の求めるこういう女性像はいただけないと苦々
しく思ってしまいます。

同僚はよくそういう女性を書くという事は攻様の理想像なのか、そういう
女性が現実に側に居るのかもしれないと分析します。それを受けて受様は
傲慢な攻様に向き合って寄り添おうと思ったら、女性が尽くしてしまうと
いうより、尽くさざるを得ないのではないかと思うのです。

同僚は実際のところ攻様は女性を軽視するというよりも、少し愚かしい
ような憐れな女性がタイプなのではと言い、受様も見るからに色悪という
言葉が似あう攻様の隣にはそんな女性が似合いそうに思います。

そんな同僚の言葉から受様は自分が女優の母と姉以外の女性像と言うモノ
がないことに気付きます。初恋は文学の中の女性であり、実際に付き合て
いるのは男性なのです。

受様は情人になってそろそろ1年が経つ攻様に色悪というイメージを抱き
ながらも実際の女性遍歴と結び付きにまだ至れていなかったのです(笑)

そんな攻様と地元の居酒屋で共に夕食をとった際に、つい攻様の女性遍歴
について「凄いのか」と直截に訪ねてしまうのですよ(爆笑)

しかも受様に追及された攻様は受様を「葵の上」に例え、「明石」の様な
女が最高だと言い、家族以外の女性の話をしたことがない受様に女性への
敬意があるのかと訊ねてくるのです。

そこで受様は今ちょうど読み進めている女性作家を話題にするのですが、
なんとその作家こそ攻様が過去に結婚まで考えた恋人だったのです!!
しかも攻様と女性作家は二回りも年の差があり、彼女は攻様の求婚を歯牙
にもかけず、攻様はそっけなく振られてしまっていたのです。

そんな過去があるにも関わらず、攻様が懲りずに書いた文芸小説の新作は
件の女性作家の新刊と対の様に並べて平積で販売されるのです。

その上、来年公開の攻様の時代小説の映画では、初めて攻様がヒロインを
指名した事が話題になります。そのヒロインとは攻様の初恋の女優であり、
受様の実の母親だったのです。

攻様に絡む2人の女性は受様の心を千々に乱し!?

本シリーズは雑誌掲載作のタイトル作に続編をプラスしての文庫化が定番
なシリーズで4作目となる本作は攻様の元カノである年上の女性作家と、
攻様の初恋の女優である受様の母親という2人の女性がキーパーソンとなる
話です。

受様は芸能一家の中で唯一芸術面に秀でる事なく、地味な性格のままに
他人との交流にも興味のない独特な世界を愛して生きてきますが、攻様と
いう作家を愛し、攻様の情人となってからは徐々に周りの世界に目を
向けるようになっていきます。

しかし、受様が愛した攻様は他者と戦う事で道を開いてきた傲慢な男前で
あり、2人がすれ違ったり、ぶつかり合ったのりしつつ、絆を深めていく
のが肝であり、楽しさなのですが

今回は攻様の炎上騒ぎのきっかけとなった攻様の好みのタイプから攻様の
女性遍歴について興味を持った受様の言動によって、攻様の苦い失恋話が
徐々に明らかになっていくのがとっても楽しいお話でした。

初恋の女優である受様の母親をイメージして書いた作品の映画化で、彼女
と対談し、攻様の様な無頼な男性が理想像とする女性は夢の中にしか存在
しないと微笑みながらコテンパンに熨されたり。

かつて同じテーマを与えられて出版した本で惨敗した女性作家との再びの
勝負を編集長から挑まれて断るという選択が出来なかったり。

結局、攻様って実に男らしい男なのですよ。受様の母が「今時珍しい男の
中の馬鹿な男」というように保身よりも矜持と夢を捨てられないって
スゴイですよ。それを評して「馬鹿な男」なのでしょう。

実際は打たれ弱いくてもやせ我慢でも立ち向かわずにいられない攻様がツボ
でした。攻様が元カノや初恋の君に勝てないはもう仕方がないですね♪

どちらかと言わなくても元カノや母親に年齢が近いので、叩いても叩いても
打たれ負けずに向かってくる攻様の様な男を可愛がる彼女達の気持ちがわか
ってしまい、たいへん面白かったです (^-^)

今回は作家繋がりで榎田尤利さん『ごめんなさいと言ってみろ』をおススメ
です。拗らせ系な受様のグルグルが楽しい♡

3

『源氏』になぞらえちゃうとスリリングなんだよな

このシリーズ、とても楽しみで。
大吾と正祐の関係性にあまり変化があるわけではないと思うんですけれども、ひょっとしたらこの『関係性があまり変化しない』という所が好きなのかもしれません。菅野さんの長期シリーズ『毎日晴天!』でも、行きつ戻りつしながら同じ所をグルグル回っている様な大河と秀の話が好きだものなぁ……

あとね、以前にも書いたかもしれませんが『文章萌え』している人たちが、文学作品というフィクションの世界のことを熱く語り合っているのが好きなんだと思う。いや、森鴎外は苦手なんだけれども。太宰治は大好でも『トカトントン』はいまいちなんだけれども。でも、それについて語っている人たちを見るのは好きなんですよ。オタクが話している風景が好きなのかなぁ……

世の中を達観しているように見えた大吾が実はそうでもなかったり、リアル社会との接点を持てなかった正祐がやたら情が深い人だったり、今作を読んで「ほう」と思う部分もありましたが「でも、考えてみればそりゃそうかも」とも思えちゃうんですよ。違和感がないと言いますか。

源氏物語が好きな(と言っても、現代作家の翻訳編しか読んでいない。一番好きなのは『窯変源氏物語』なので、源氏読みとしては異端なんだろうという自覚はある)私としては、何度も作中に出てくる『源氏物語の影』にビビっているんですよ。
今作の『年上の女性に振り回される大吾』っていうのも、どっか源氏の君っぽいのよね。
で、何が不安かって言えば『恋は相手を理解するものではない』という結末に至ってしまうのではないかということ。
そういう意味では、スリリングでもあります。

1

好きな作品だが大吾好きとしてはキツイ1作

今回は大吾の過去の恋愛が絡んだお話。
過去の大吾の相手像が今までと違ってはっきりと存在を感じてしまい正祐はもやもやとした気持ちを抱えてしまい…

率直に、私は大吾さんが好きなのですが今回はお馬鹿な小学生に成り下がってしまったように感じて、大吾さんの方が好きな私にはかなり読んでてキツかったです。
確かに彼は傍若無人ではありましたが愚かな人間だとは思っていなかったのですが…。
今回は女性達に馬鹿にされる描写が多く、正祐の気持ちを考えず盲目的に大吾さんが突っ走っていたのが残念でした。
お前が俺の何を知っているんだこれだから女はと大吾さんには言われてしまうかもしれませんが。
担当さんも今回の大吾さんの扱いには満足されてるようで、不貞、貞節の大吾さんが好きだった私は今回のような感じで今後も続くなら読むのが辛いなというのが率直な気持ちです。
しかし、大吾さんが初恋の人とお顔合わせをしてくれたのは嬉しかったです。
こちらはまた是非再会してほしいです。
再会した際には一波乱ある気もしますが…笑

書き下ろしには色悪作家と校正者のデートが収録されています。
こちらは従来通りの二人といったところですが、以前よりも二人の成長を感じられるお話でした。
私は本編よりも今回はこちらの作品の方が私は楽しめました。

大吾さんが好きな方はコミコミさんの小冊子を手に入れて読まれることをお勧めします。
大吾さんが過去の女性と別れた理由が書かれていますが、多少なりとも本編のもやもやは払拭できるかと思います。

作品自体は好きなので評価に悩みましたが今回はBL要素よりも大吾さんの暴走の比率が多かったように感じるので萌にさせていただきました。

3

日本酒沼も、はまると底なし

相変わらず、「鳥八」のお料理とチョイスされる日本酒は美味しそうですが、、、

このお話って、難しすぎませんか、
教養が追いつかなくて、だいぶ辛い。

今回のお話は、教養、知識的にはすごく大人びているのに、生きている人間の感情的な面では子供のままであった二人が、お互いに深く関係することで、それぞれ自分たちの中で今まで意識されることのなかった、「他人と関係を結ぶこと」を知って、お互いに成長していく話だと思っているのですが、子どもの年齢と肉体の本物の子供があちこち躓いたりぶつかったりしながら成長するのとは違って、なまじっか教養があるので色々まどろっこしいことこの上なく、、、

まあ、とりあえず、割れ鍋に綴じ蓋で、末永く一緒にいてください。です。

3

気持ち悪い女流作家

途中まではとても面白かったんです。
何というか正祐が人間らしいと思ったし、共感出来たし、もしかして萌2になるんじゃ無いかと思ったほどでした。

正祐の母親が対談で大吾を滅多切りにするのも面白かったし、正月に実家で会った母親が大吾を可愛いと言ったのに嫉妬する正祐もとても良いと思ったんです。

ですがやっぱり最後に地雷がありました。
あの冬嶺瑤子です。なんで大吾を彼女の元に向かわせたかな?

ちょっと考えて欲しいのですが、年増女流作家と愛人の若い作家、これ男女逆なら書きましたか?これこそ炎上案件ですよ。
どうして大吾の発言が炎上してるのに、瑤子のしている事が週刊誌なりに暴かれて炎上しないのか?彼女は向こうからしか来ないと言っていましたが、本当にそうなんでしょうか?
気持ち悪い女としか思えませんでした。菅野先生はこの女を素敵だと思って書いたのでしょうか?正祐の母親が大吾を魅力的と思ったことで相殺しようとしたのでしょうか?


そして若い愛人作家の事を正祐は賢そうと思っていたのも納得出来ませんでした。

菅野先生は正祐を女性蔑視のない、愛人をも平な心で見れる人物だと書きたかったのだと思います。でも自分の恋人がいくら愚かであろうとも腹が立たない正祐が一気に嫌いになりました。(元々好きでもなかったですが)

せっかく篠田との会話が多くて面白くなって来たと思ったのに台無しになりました。

あとがきに担当が大吾に結構プンスカとありましたが、私はずっと正祐に激怒しています。

1

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