太陽はいっぱいなんかじゃない

taiyou ha ippai nankaja nai

太陽はいっぱいなんかじゃない
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神10
  • 萌×22
  • 萌2
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
64
評価数
14
平均
4.6 / 5
神率
71.4%
著者
菅野彰 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
麻々原絵里依 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
シリーズ
色悪作家と校正者の不貞
発売日
電子発売日
価格
ISBN
9784403525834

あらすじ

物心ついた時から、ただ一人だけを愛してきた。指に触れることさえ許されず、思いを込めた眼差しを交わすだけ。だがその唯一の人が、別な相手と新しい未来を選んだ。そんな訳で、すべてを投げ捨て議員としてスタートしたものの、白州英知の心は空っぽだった。だが、英知のその昼行灯を許さぬ有能な秘書・四郎が、英知の心の扉をこじ開け、風と光を教えてくれた。二人が手探りで探す未来とは……⁉︎「ドリアン・グレイ」シリーズ、スピンオフ‼︎

表題作太陽はいっぱいなんかじゃない

白州英知、国会議員、38歳→42歳
藤原四郎、英知の秘書、28歳→32歳

その他の収録作品

  • 書き下ろし「日はたま昇る。何度でも昇る」

レビュー投稿数4

実は…

実は私は菅野彰先生の作品が苦手で、腹が立って読むことをやめてしまったシリーズがあります。
そんな中で唯一読み続けているのがこちらのシリーズなんです。麻々原絵里依先生の挿絵がこの作品にとても合っているのも理由です。

今作は「ドリアン・グレイの禁じられた遊び」で大失恋したあの方が主人公でした。抜け殻のような英知が可哀想でもあり、双葉を手に入れようと選んだのが議員とか「ふざけてんのかテメェ」とかも思ったりしました。そんな英知に手厳しい四郎にとても好感が持てました。

最初はこの2人の間に何も生まれそうにないので、どう最後まで持って行くのかと気になりながら読みました。前半は苦手な菅野彰先生の鼻につく感じの文章で嫌だなぁと思いながら読みました。ところが英知の元に四郎が縁を結んだDK2人が現れてから、俄然面白くなって来たんです。もう、夢中になって読みました。

英知が四郎の人となりを知って徐々に変わっていくのに凄く感動したんです。とにかく四郎って凄いし魅力的な人物でした。英知の中に深く根付いた澱を根気よく払って行って、その結果がもたらしたものに感動するんです。

現実世界とリンクしてお話が進んでいるので、今作では同性婚の法整備はかなっていませんでした。もし、同性婚の法案が可決されたならこの作品の続編を書いて頂きたいと思いました。

宙人と双葉との再会によって英知は未来に進むことが出来て本当に良かったです。
個人的には英知のキザな行動を容赦なく扱き下ろす時の四郎が大好きでした。

1

傷ついた過去を認めて未来へと歩きだす

今回は議員秘書から転身した野党の代議士と
保守派の代議士を父に持つ野党の議員秘書のお話です。

攻様が受様との出会いで新たな道へと歩み始るまでと
本編から数年後の続編短編を収録。

攻様の父は屋敷の主である自由党の有力代議士を崇拝し
秘書として仕えたのちに代議士となったのも
主である代議士の意向です。

攻様も実父同様に代議士一族に仕えますが
攻様が心を寄せたのは代議士の次男1人であり
彼もまた想いを寄せていました。

しかしながら2人の恋は攻様の父には許し難く
攻様は次男を見つめるだけで父に折檻をうけ続けます。

攻様は次男とともに家を出る決意をしますが
結果的には彼の手を取らず、主従関係を選ぶのです。

家を出た次男は攻様の名を筆名に文壇デビューし
現代文学の旗手と呼ばれる作家となります。

攻様は秘書となっても唯一だった次男を諦めきれず
代議士の不正をリークする事で道を作ろうとしますが
彼との恋を永遠に失う結果で終わり
攻様は社会党から出馬して国会議員となります。

攻様が秘書として長く務めた与党第一党の自由党と
社会党ではいろいろな面で違い、戸惑も多くあります。
その最たるものが攻様についた秘書である受様です♪

受様は20代後半と若く、服装もカジュアルで
庶民に寄り添う社会党の姿勢と懐事情を
可視化するな存在であり

失恋で何もかも虚しくなった攻様の非効率にも
惑わされず淡々と議員秘書業務をこなします。

受様は自由党の代議士の四男で
攻様と似た身の上の受様だからと
攻様の秘書につけられたのかと思いますが
それにしては受様は攻様に優しくありません。

果たして攻様は失恋を乗り越え
生きる導を取り戻す事ができるのか!?

雑誌掲載作のタイトル作に描き下し続編を付けた文庫化で
菅野先生の色悪作家シリーズのスピンオフ
「ドリアン・グレイの禁じられた遊び」の更なる
スピンオフとなります。

本シリーズの登場人物は実に難解な性格の方が多く
個人的に読み始めるのも、読み進めるのも
意識的に頑張り必須なシリーズなのですが

本作は既刊を読んでもよくわからなかった攻様なので
積本の最後の1冊になってようやく読み始めましたが
頑張って読んだカイのある素敵な物語でした。

様攻が唯一の人と屋敷の次男を愛したのは
彼が同性だっだからではありませんが
同性同士であるために父に成就を阻まれた事は
間違いありません。

マイノリティの問題は心のありように起因し
当事者たちの心を縛り続けるとともに
世間の人々をも縛る楔であるのかもしれないと
感じさせる物語でした。

相手にとっては悪気のない無自覚の差別や区別は
当事者でなければ気づかない事も多いのでしょう。
無自覚に当事者達を切りつける人々を変えていければ
誰にもが大切な人を家族と呼べるのかなと思いました。

1

人間らしい強さと弱さに共感

英知×四郎


前から読もうと思っていたシリーズ。
新刊の今作が初めて読んだけど、
問題なく、楽しめた。

英知と双葉のことが気になって、
あとがきでの先生のおすすめ通りに、
『激しすぎる憂鬱』と『禁じられた遊び』も読む予定です。


最初のページから、
主人公の英知の
恋の終わりの虚しさにもう胸が締め付けられる。
38歳の彼が、
30年間にわたるただ一人の恋を抱えていた。
それを全部捨てて、議員になるなんて・・・

読み進むと、
英知の心殺していた感情がさらにリアルで、
その相手の双葉への想いと関係が大体わかる。

そんな彼を支えるのは秘書の四郎。

四郎は28歳なんだけど、
コミュ力、空気を読むスキル、冷静さ、全部がすごい。
年下なのに大人の余裕で、
ひっそりとでも英知を支える。
彼の一言一言、本当に意味があって、
英知への思いやりがぎっしり詰まっている感じがする。

四郎の影響力で、
英知と双葉の結末が切なくても、
愛おしいものになってくれるのが嬉しい。

政界のシリアスな要素と雰囲気もあって、
同性愛に悩む高校生たちとの相談など、
社会問題も深刻に問われている。

父親や家庭環境から受けた価値観が違う
同性者として共通の境遇とする
愛情不足気味の2人が、
四郎の心強さのおかげで、
英知の奥にある空虚の穴が少しずつ埋めていく過程が、
次第に芽生える恋愛感情を繊細で描かれているから、
じっくりと読み応えがあって、
愛のための生き方も考えさせられる部分だし、
人間らしい強さと弱さ、寂しさなどに胸に迫る作品でした。

3

生きる

シリーズ買い。正直言って、あー……と思う箇所もあるのですが、ある部分がめちゃくちゃ好きなので萌2寄り萌にしました。スピンオフで、これ単独で読めるかというと絶対勿体ない。是非是非シリーズで。本編230P弱+後日談15P+あとがき。

双葉との人生を獲得すべく、父のように慕い仕えてきた政治家の不祥事をリークし、野党から出馬、政治家となった英知。しかし双葉は宙人との人生を選んでしまい、何も残らなくて何も出来なくなった英知に付けられた第一秘書は、与党の政治家一家出身という曰くつきで…と続きます。

攻め受け以外の登場人物は
白洲絵一(人気小説家、本名神代双葉)、宙人(双葉の恋人)、神代壮太(双葉の兄)、神代壮一(双葉の父)、竹中(神代家の家政婦)、宮越(壮一の支援者)、深山、宇野(英知と請願書をまとめようとする高校生)、羽田(英知の第二秘書)ぐらいかな。私には神代家の方々がほんとに沁みるの。

++攻め受けについて

攻めは幼い頃から神代双葉に仕え、愛し、でも愛することを実の父から禁じられ、思い詰めたことのある方。ようやっと双葉と一緒になれると迎えに行ったら宙人に双葉を掻っ攫われ、残ったのは野党の代議士という地位だけ。そこに至る過程や気持ちなんかは分かるんですよね。狭い。狭かったんだと思うのです、双葉と二人で。

それを受けが少しずつ世界を広げていくというか世界に向き合うようにしていくというか。四郎がお尻をぺしぺし叩いて目覚めさせていっているのか、という印象を持ちました。四郎も今まであれこれ大変だったはずなのに、何もできないでいる英知をよくまあ面倒見て。面倒見るのが好きなんでしょうね。すばらしい。

攻め受けのキャラはさておき、好きだったのは神代家双葉の兄と双葉の父。大切に育ててきた(と思っていた)英知にリークされ、大打撃を受けたのに、英知がしっかり自分の道を歩き始めた様子を嬉しく思っているように感じられて、沁みたんです。英知に「助けてやれず申し訳なかった・・・」と言葉を詰まらせそうな様子の壮太に、なんだかシンクロしましたねえ・・しんどかったんだと思います。それと神代父の支援者であった宮越の思い。刺し違えようとするほど、神代父を思っていたのかと思うと、その思いの強さにやはり沁みました。このシーン(刺し違えようとするシーン)の攻め受けとも、すごくカッコよく感じられました。

よくある恋話ではなく、惹かれているのかもしれないけど、その心を奥底にひた隠し、耐えて待ってタイミングを見計らって、その想いを発露するという感じのお話です。永田町なお話に興味がある方でしたら是非。

3

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