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uzu
”性” と ”生” の深い因果性を描いた『性の劇薬』が話題の水田先生は電子発の作家さんです。
この『渦』からずっと水田作品を追いかけていたので、紙本デビューされたこと、本当に喜んでいます。
2話完結の電子単話です。
スイミングスクールのコーチ・あまのは、離婚してシングルファーザーとなった父兄・沖田のことが気になっている。
前は親し気に話してくれたのに、今は自分と目を合わせてもくれない。
ある時、息子が鼻血を出したことに慌てた沖田はプールに落ちてしまい、あまのが着替えを貸して、話を聞いてみると、、、
息子は沖田が作った弁当のことでいじめられたようで、沖田も精神的に参ってしまっている。
沖田は細くて頼りなげで、体育会系で育ってきたあまのは沖田を抱きしめずにはいられない。
「あなたを抱きたい」というあまのを沖田も拒めなくて…
平日の決まった昼間の時間に二人は逢瀬を重ねる。
沖田は妻に出て行かれ、息子を育てることに疲弊していたから、頼れるあまのの腕が心地良かったんだろうなぁ。
表紙からも悲壮感が漂ってますが、頬がこけた中年男の悲哀と孤独が、絵からひしひしと伝わってきます。
そんな二人の逢瀬を元妻に目撃されてしまって…
昼ドラかレディコミのような修羅場です!
元妻は母親よりも恋人でいたかった、その身勝手さから息子を愛さなかった。
自分から出て行ったくせに、沖田にヨリを戻して欲しいと詰め寄る、女の汚い部分を凝縮したような典型です。
この修羅場を収めたのが息子の素直でいて、真理を突いた痛い言葉なんですが、たった2話の短いページの中に、中年男の悲哀、愛さずにはいられない衝動、女の身勝手さ、そして子供の健気さが凝縮されています。
悲壮感漂う絵柄と合わせて深く印象に残っている作品でした。
『性の劇薬』で水田作品に触れた方には、ぜひ紙本化されていない電子単話作品も読んでいただきたいです。