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kimi wa kireidayo
村上キャンプ先生の作品は「わたしがおじさんになっても」を読んだことがあるだけなので、勝手にサブカル風味なほんわか作風だとばかり思っていました。なので、この作品を読んでびっくり。好きだのキライだの、そういったハッキリした恋愛感情からはかなり外れたお話。両想いになる二人だって、最初は結構ズレてます。シノミヤのオチは衝撃的でした。シノミヤはユウちゃんへの恋心を自覚したくないのかと思い込んでたので…そっちかい!と…
ご自身の古い作品と同人誌をまとめた一冊との事。
非常にコアな感じがします。
起承転結キレイにまとまって〜というよりも、設定や展開がかなりストレートでむき出しな印象。
3作品収録。
「君はきれいだよ」
女装している事で脅されて関係を強いられている青年・ユウの物語。
このユウ(勇一郎)や脅してる胸糞男・篠宮の人間像がすごく客観的というか「醒めてる」とも言えるほど。
男であることがバレて興味本位で蔑まれて。いいようにされて。
この篠宮はイヤなヤツで、ユウをオカマと見下し、コンビニバイトの福田くんを見下し、女性たちを見下し。
なのにユウが他に好きな男がいることにいらだつ。
ユウの中学時代は悲惨。変態扱い。
そんな時友達ができて…というエピソード。それが実は福田くんなんだけど。
この福田くんがいい人。
いい人だからこそユウも傷つき、篠宮は苛立ち、結局は皆の関係性を変えていく。
「来週は結婚式」
これリアルでヤダ〜って感じ。
こういう男、いそう。ていうかいるでしょうね。
で、ゆいと。
こいつはこわい。
三島はさ。この時の思い残しが後を引いて結構な壮年になってから家庭壊しそう。
「スケルトン」
冒頭の尻が全て。というか。
橘が篠宮みたいな男じゃなくてよかったですね、倉持課長。
「君はきれいだよ その後」
これは衝撃‼︎
これこそがザマアというものではないでしょうか?
芯からゾ〜〜ッ‼︎とした。
タイトルになっている「君はきれいだよ」の中編は涙なしに読めません。中学生であの体験は辛すぎる。受けのゆうちゃんが頑張って大人になるまで生きてくれて幸せになれて本当に良かったです。
シノミヤ君も最低だったけど、少しずついい人になっていったのでいつかは幸せになってほしい。
「スケルトン」は超短編ですが爆笑です。作者さんの一番のお気に入りらしい。BLというよりギャグ漫画っぽいです。ラストは少しほっこりします。
カバー裏のあとがきまで全部楽しい満足の一冊です。
村上さんってこういう作品を描かれていたんだぁ…と目から鱗が落ちた気分。
私が読んだことがあるのは「BANBA BURGER」「スクリーン」「私がオジさんになっても」も三つ。いずれもほのぼの〜ハートフル系の作品ばかり。
なので、今回の「君はきれいだよ」のオチといい、次の「来週は結婚式」といい、ちょっとビックリしてしまいました。
今回ありがたかったのは巻末にあとがきで、村上さんご本人による各作品についての詳細な解説が載ってまして、これを読んでようやくなるほどなぁ〜と腑に落ちた気分になりました。
それによると収録作品は2013年〜と「今と比べるとなんかだいぶトガってる(誰にも何も言われずやっていた野犬時代)」作品ばかりとのことで、確かにトガってます。
【君はきれいだよ 前編・中編・後編】
コンビニに通う可愛い女の子がまさかの女装男子だと知って、それをネタに体の関係を強要している篠宮と女装男子の勇一郎のお話です。
お互いこれっぽっちも情はなく「初めては好きな人としたいから」という勇一郎の願いだけは聞き入れてやって挿入しない事だけを条件に好き勝手、勇一郎の体で遊ぶ篠宮はゲスい男です。
バイト仲間のチビで不細工な福田くんを篠宮は小馬鹿にしているんだけど、勇一郎が福田くんに片思いしていることに気づき…。
これはオチに驚きました。え?これで終わり?と。
で、あとがきによると「オチがオチなのでネタバレはやめてね」と同人誌のあとがきに書いたそうなので、私もオチは書きません。
【来週は結婚式】
堅実さだけが取り柄の三島は来週結婚するのだけど、全く心ときめかず自分の結婚すらも他人事。
そんな男が、電車内で出会ったデリヘルボーイのゆいとに心揺らぎ、ちょっと冒険してみようかな…と一歩を踏み出そうとして…というお話でした。
これもトガってます。なんといえばいいのか正直わからない…。でもそのうち好奇心から手を出してしまいそうな気がする。もう後戻りできない予感。
【スケルトン】
真面目で物静かな課長がまさかのTバックを履いている…!という秘密を偶然知ってしまった社員のお話。
それ以来、何をしててもスーツの下のTバッグが妄想で透けて見えてしまう様子に笑いました。
どんなオチになるのかと思いきや、最後の透けて見えたものが良くて短いながらうまくまとまっている作品だと思います。