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大学生の馨は書店で出会った子供・春樹からの
縁でその父の書店員・裕一郎とも交流を持つ様に
なり、その中で自分の祐一郎への恋心を自覚して
しまう。そして、裕一郎は裕一郎で…。
表題作もそうですがキス未満でも恋心ありと言う
関係をじっくり読ませる作家さんです。
肌を重ねる作品が一篇(「せなかに太陽」)ありますが、
その描写は懸命でありながらどこか淡々としています。
発散と言うよりは確認と言う作業なのでしょう。
きちんと恋に悶えるボーイズラブも、たまにはよろしいの
ではないでしょうか。
すみません、古本で入手しました。
2011年くらいの作品は読んだことがあったのですが、それ以前のものがなかなか見つからなくて。
今の作画の美しさは日々の努力の積み重ねなんですね。しみじみ尊敬します。
というわけで短編集です。
5つの短編が収録されていました。
「ONE STEP UP」
憧れの先輩の家の隣に引っ越してきた啓。
先輩は啓の一個上の幼馴染み・高哉と仲が良くて、啓にも良くしてくれるけど…。
ひとの恋心に触れて、自分の気持ちを自覚するパターンです。
わりとさらっとさくっとくっ付きます。
「せなかに太陽」
幼馴染みの陽射(ヒザシ)と葉(はっぱ)。
昔は小さい葉を守っていたのに、いつのまにか葉はデカくなって女子にもモテて…。
だけど、幼馴染みが最優先っていうやつです。告白は断らないけど一番は陽射。
幼馴染み離れをしたら、気持ちに気付いちゃったというやつです。
絵が今と別人!!
「上を向いて歩こう」
両親を亡くした大学生の桂(けい)は父の友人の家に住ませてもらうことに。
父子家庭のその家の子供・巽己(たつき)は年下にくせに生意気で…。
踏み込まれたくない高校生と、ぐいぐい踏み込むオカン系大学生です。
後半から一気にラブモードに入って、猛スピードでくっ付きます。
「ラブ・トゥギャザー」
写真の現像屋さん(と言うのか?)でバイトする気さくな大学生と近くの写真学校(原文ママ)に通うコミュ障気味な学生。
結構登場人物がはちゃめちゃと言うか、いろいろツッコミどころ満載な作品でした。
「その手をつないで」「真夜中のオレンジ」(描き下ろし)
バツイチシングルファザー(27)と、その息子に懐かれた癒し系大学生。
1つ目は出会いから気持ちが通じるまで、描き下ろしは通じてからの話です。
「再婚相手は子供と仲良くできるひとがいい」という世間一般のシングルファザー/マザーの理想が実現する作品でした。
全体的に作画もストーリー展開も若さが溢れています。
今、第一線で活躍されている作家さんの昔(刊行は2004年ですが、2000年の作品とかです)の作品って感慨深いものがありました。