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jkagerou no mori
唐突で強引で無茶で無理。
え、それってアリですか?
ラストはもちろんラブラブなんだけども・・・なんだかえらい力技だなあという印象が拭えない作品だった。
中学生の時に画家・北川陽瑚の「落鳥」という掛軸に出会い、その絵に魅せられ続けていた大学生の葛西実紀。
そして父の代わりに贋作を描き続けることに苦悩していた、若手画家の北川陽瑚。
まず驚いたのがアトリエを訪ねて行った実紀が、いきなり北川から激情のままに強姦されてしまうシーンだった。
しかしこれは物語。
なにか仕掛けがあるはずだから、それに納得出来れば良いわけで。
ところが読めば読むほど「?」という気分になる展開に、ついつい頁を捲る手も速くなった。
本意ではない絵を描き続けることは、芸術家としての誇りを自ら傷つける行為。
しかしそれも自分が選んだ道であり、投げ出すことも出来ず苦しみにもがく北川。
そんな贋作製作に疲れ果てていた彼が、自分を見失わないためにこっそりと描いたのが、掛軸「落鳥」だった。
そして偶然にその作品に出会い、感激した実紀が熱心に綴った手紙・・・これに支えられていた北川なのだが、だからって実物に会った途端にギャー!と怯える実紀に乗っかかっていくなんて、そんなのありなの?!
アーティスティックな性質を突き詰めていったら、こうなるの?
しかもこれだけの目に遭った実紀にしても、北川の苦悩を聞かされるにつれてあっさり懐柔・・・。
思うにこの2人の間には絵に対する強烈な執心しか感じられなくて、相手ではなく絵に恋をしている風にしか見えなかった。
惹かれ合った理由も、その絵を生んでくれた北川だからであり、その絵を愛してくれる実紀だからであって・・・もちろんそれはきっかけであり、偶然の出会いから始まるのが恋であるのは重々承知なんだけども、やはりどうしても絵を取っ払った後に残る互いの気持ちというものには、首を傾げざるを得なかった。
久々に酷評で心苦しいが(笑)、それくらいにいきなり強姦された実紀が、北川の全てを許してしまう心の動きが不明過ぎた。
けれどもお陰で何度も読み返してしまった作品だった。
これはしてやられたりなのか(;´Д`)
もういっそ呪いの掛軸とかだったら、ホラーで片付けられるのに!