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青の軌跡シリーズの二作目。
前作での事件に関しての報告が連邦上層部の目にとまり、船は視察を受ける事になる。
しかし視察団に紛れて反乱を企てる一群が乗り込み、船はのっとられてしまい…
一作目の謎解き系から一転、アクション系の展開になります。
面白いです!
最初にキーになる要素は提示されているので、ある程度読める話ではあるのですが、
カイの三四郎との関係や心理描写も読み応えがあり、
悪役も華やかで魅力的だし、事件の実際の展開はハラハラドキドキします。
もう一組のバディは眠らされてしまい、三四郎は拘束され身体的に痛めつけられてしまう。
カイは監視下に置かれ厳しい状況に追い込まれながら、何とか三四郎と船を救うべく奮闘する。
普段は反発ばかりの二人が、離れていても互いの力に信頼を置いて全力を尽くすのが痺れるし、
三四郎が暇に飽かせて作った様々なオリジナルの仕掛けが、非常に役に立つのも痛快です。
カイの持っている精神的な欠陥というか、しんどさのようなものが浮き上がる話でもあります。
生に対してシンプルに執着を持つ三四郎に対し、常にどこかで死を望んでいるようなカイ。
抱き合うことで、彼の死への誘惑をダイレクトに感じ取る三四郎が
「負けない!」と決意をするところがとてもいい。
最後、コールドスリープさせられていたサンドラとロードが起き、
船に穏やかな日常が戻って来たところでの、パスワードのくだり。
勿論落ちは分かっていたんですけれど、ですけれど、もう楽しくて爆笑でした!
シリーズ3冊目。
三四郎とカイのささいや喧嘩が日常となった頃。
三四郎がまたとんでもない装置を作り出し、それに関することでカイを怒らせてしまう。
前回に事件の調査という名目で送られてきた使節団だったが、それは実は反乱分子であって。
三四郎は捕らえられ、カイは加担することを求められるが…。
三四郎のいたずらっ子っぷりは顕在で。
それ故に、またカイの逆鱗に触れることになるのだが、それは三四郎が予想していた以上のモノをもたらしたので仕方なくもあって。
そんな中で起きた反乱にそれぞれの意思で立ち向かっていくことになるわけですが。
それなりの、というかかなりの信頼関係(技術面とか)にある2人。
バラバラに行動させられているし正しく意思の疎通が図れているとは言えないけれどなんとかこの難局を切り抜けようとしていて。
とはいっても、そこにもまた2人の両極端な面が見られるのですが。
どうやっても助かろうとする三四郎。
自分以外(三四郎が)助かればいいと思っているカイ。
自分の命に執着のないカイの存在こそが三四郎にとっては一番の不安材料でもあって。
カイの施した小さなマシン(?)によってカイと反乱分子の副官であるサーシャとのやりとりを聞かされるハメになった三四郎の苛立ちとかなんかすっごい読んでるこっちも一緒に苛々するというか…。
そんな三四郎が全て終わった時に「間に合って良かった」と吐き出したシーンがすごく好きです。
それを感じとるカイの雰囲気も。
三四郎がそうやって要所要所で素直な気持ちを吐露してくれることがカイにとってプラスになっていけばいいと思うし、三四郎はそう成りえる貴重な存在なんだろうと思う。
今回、三四郎が抱え込んだカイの根底の心情はまだカイが知らないもの。
それがいつか暴かれる日は来るのだろうか…。
今回、反乱分子のキャプテンであったグイドとサブのサーシャの関係も見ものでした。
サーシャのあの風貌からは想像できない程の激しい感情はそれだけグイドに対する想いが強いということで。
それがどれだけグイドに正確に伝わっているだろう?と疑問に思うところはあったのですが、三四郎とカイが語っている場面でもそれなりにグイドがちゃんとサーシャを想っていることが見てとれてよかったかな。
彼らの未来について三四郎が出した決断はそれほど明るいものではないのかもしれないけれど、せめてその日が来るまではこの2人の間にももっと穏やかな愛情の日々が流れればいいのに、と思わずにはいられませんでした。
サーシャに幸せでいてほしい…。