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sen no hana
依田作品のなかで、この作品が一番好きです。好きすぎてレビュー書く筆がぜんぜん進まないぐらい好き。
『真夜中を駆け抜ける』の続編です。
出来上がっちゃったカップルの話ってあんまり好きじゃないのに、この作品だけは、なんか別格で好きだった。
付き合ったのちの切なさを、ライバルというライバルを出現させることなしに、ここまで上手く表現できることにも驚きました。
何度も泣きました。泣きながら笑いました。
この二人が永遠に幸せでありますように。
こんな深い『誓います』を他に知らない。
男同士でずっと続けていく事をきちんと描いてくれて嬉しい。
恋愛してその先。
結婚などがないその先が見えていて、
ファンタジーを通り越したその先の希望を描いてくれている。
渋い作品。
でも人生の節目節目で読み返すことになるような、
私を支える作品です。
2巻も面白い~~~(・V・)
「ブラックボックス」
昇は、邦画の巨匠、篠田監督にインタビューすることになる。二万字のインタビューを取る為、あの手この手でセクハラ攻撃をかわす昇。最後の最後で救世主になるのは、なぜか何も知らない勇気なのだ。
インタビューのテープ起こしを自分でやらなきゃいけない昇に同情しました。有名なホモ映画を撮った某監督がなぜか脳裏をかすめたり。
「沈黙」
近所の老婦人から絵の修復を依頼された勇気は、その絵が生前人気画家だった杉田満の初期作品ではないかと疑いを持つ。タイミング悪く、絵の持主が亡くなってしまい、困った勇気は昇と共に探偵まがいな事を始める。友人に妻を寝取られ、人々から忘れられていく画家の存在を知った勇気は、ちょっと良いことをする。
勇気が意外と真面目に画家してんだなと見直しました。杉田の奥さんのように昇もいつか勇気の元を去ってしまうんでしょうか。そうならないよう、大切にしよう。
「(JUST LIKE)STARTING OVER」
勇気に見合いの話が来る。昇は勇気と別れた方がいいかとも考えるんだけど、勇気が描いた自分の絵を見て思い直す。
昇が情緒不安定です。「愛人でもいいしー」「一生一緒にいたい」「別れた」・・・ってたったの10ページで言ってること変わりすぎなんだけど。「どんな女にも渡さない」できゅんとした。頑張れ!
「退屈な読書」
勇気はアル◯スの少女ハイ◯にハマっている。一方、昇は期待の新人作家宇田川信の育成にハマっている。神戸の震災で母親を亡くした宇田川青年の心の傷は深くて・・・だけど、大人は仕事をしなくちゃいけない。
小学生の頃、図書館でハ◯ジのビデオを予約して一年後に予約ビデオが届きましたってはがきが届いた時の虚しさを思い出しました。いいよな、○イジ。30歳になっても見るかどうかは別として。
「千の花(前後編+エピローグ)」
勇気の父親が亡くなった。だけど、昇は何も聞かされていなかった。自己嫌悪に陥る昇とやる気の出ない勇気はなんとなく疎遠になる。宇田川と土屋嬢の結婚式の日、昇(土谷)が結婚すると勘違いした勇気がはさみを片手に式場に現れる!修羅場か、やばば!でも、最後は、結婚式に便乗(というか乗っ取り?)して結婚の誓いをしちゃうはた迷惑なゲイカップルでした。
勇気の短髪、めっちゃかっこいい。髪切ったら、図体が余計デカく見えます。宇田川が幸せになって良かった。結婚式の乗っ取りは、人生で一度はやってみたい。しかし、昇ってば、親にカミングアウトしちゃって、大丈夫なの。
依田さんのセンス、ホント好きです。時々、冗談キツくて心臓に悪いんですが。
画家と編集者のシリーズ第2弾。
この巻で描かれるのは、二人が家族になろうとする過程である。
仕事が充実する一方、親や親戚に結婚のことを問われたり、周囲の者が結婚したり、近しい者の死に遭遇したりすることで、否応なく自分の身の振り方を考えさせられる30がらみという時期が丁寧に描かれている。
表題作『千の花』の終盤、出席した知人の結婚式のチャペルの最後列で、他の参列客には知られることなく牧師の言葉に誓いを立てる二人の姿には、いつもどおりの雑な言葉を交わしているにもかかわらず、新郎新婦同様、いやそれ以上の決意が感じられるのである(唯一彼らを目撃してしまった牧師は気の毒なほどに動揺しているが…)。
続巻が待たれるが、はて、いつになることやら。
3冊ものの2巻目。
この一冊はも〜う濃い!
6つの短編が連なっていて、それらを読むと日比谷勇気と土谷昇それぞれの心象風景やら、積み上げてきたキャリアやら、倦怠期と思いきやの嫉妬祭りやら、そんなものが波のように寄せては返すのですね。
無垢めいたやりとりでセクハラをかわす昇。
隣人に修復を頼まれた絵にまつわって、1人の女性の心の中を覗き込むような感傷。
隠れて見合いした勇気、実家のネコが車にはねられた昇。しんとした気持ちの昇の眼に飛び込む自分の寝顔の絵。そして『どんな女にも渡さない』と決意する。(この辺心情を読み取るの結構難しい。すごく感覚的ですね。)
昇が新たに担当している若い作家を成長させていく話。
深入りしすぎないようにしていた昇。そんな時例の作家・宇田川が、付き合って半年足らずの女性と21才で結婚することに。それと同時に勇気の父親が倒れ…
勇気が何も言ってくれなかったこと、自分がそう仕向けてたことに昇はひどく傷ついて。
そこから怒涛の展開で、昇が親にカムアウトしたり、勇気が誤解して刃物を持ち出したり、宇田川の結婚式で、最後列で「結婚」したり。
その後すっかり元通りの勇気に対して、急にふるえだす昇。
誰もがあるあると分かる描写を選ばない依田先生。どうしたんだろう、何が起きたんだろう、と感じさせる、その不安定的な面白さ。
もう1冊続きます。
昇は大人なので、寝技も使えば、セクハラもかわす。
狡いところも、臆病なところも。
勇気も、そんな昇を、閉じこめておきたいと思い、
重くなりすぎてもと遠慮したりも。
この本、何度読んでも、好きすぎて、泣いてしまって、
なかなか感想がまとめられない。
昇にザクロの実を食べさせたいと思っている勇気。
70になったら、籍でもいれよっか
そっちも雨、降ってる?
いっしょになろうか、とりあえず1年とか
勇気×昇シリーズ完結編(ですよね?)
読者が一番望んでいたというか、最高の形のラストだったと思います。
シリーズ中、引き際を考える物分かりがよすぎな昇が歯がゆく、不憫でしたが。
勇気を誰にも渡したくないとハッキリ自覚し、二人が幸せになる為に動き出した姿と、
そんな昇をしっかり受け止める昇に胸が熱くなります。
幸せになって欲しい二人でした。
余談ですが。
ロッテンマイヤーさん独身説には大納得です。
学生時代に少し付き合っていた事のある昇と、画家と編集者として再会した勇気。
再び付き合い始める二人の、大人の事情で色々問題起こしたり、などたばたの2巻目です。
勇気は、都心から少し離れた一軒家に一人で住んでいるのですが、昇にも是非ここへ越してきて欲しい。
そう何度も言うのですが、昇の方としてはふんぎりがつかない。
昇は仕事場が都心にあるので通うのが大変だし、家族や世間への体裁もある。
大人だからこそ、決断が難しい事もありますよね。
仕事上の付き合いの相手に嫉妬したり、家族の問題があったり、とちょっと難しい感じの2巻目ですが、最後はちょっとほろりときたりしました。
ちょっと変人で浮気性の年下攻めと、ややツンデレの年上受けですが、関係が深まってきて、どんどん男の夫婦状態に……(苦笑)
でも依田さんの作風なのか、地に足が付いた大人のロマンスというよりも、どこか飄々とした、浮世離れしたかんじがあります。
そこが好きなんですが。
何年も一緒にいるからこそ、情熱的な日々を超えたからこその二人の雰囲気。これが素敵に描かれています。むしろ淡白っぽくも見える二人なのに、ふとした瞬間に「この人のこんな所を好きになったのだ」と思い出す。そして、結局お互いのことを考えてる二人。いいなーって思います。本当に。お互いがどんな人間か(嫌な部分も含めて)分かっているから、二人だけの空気が流れているように感じます。それは会話の節々から伝わってくるのです。荒い口調だったり、言い回しだったり。通じ合ってると思わせます。
(JUST LIKE)STARTING OVER内の昇さんの言葉で、涙が溢れました。この人、勇気のことが好きなんだって。陳腐な表現で恥ずかしいですが。
この千の花は二人の恋愛が一つ区切られたんだと思います。これからまた違う形に変わっていく始まりの話でした。
二人共大人だし、二度目のお付き合いだし、だから付き合ってからを描いてもエロばっかりになっていないし、仕事や恋愛以外の私生活も描かれていて素敵なんです。
ヨリサエさんは素敵だなあ…いつもビターチョコみたいな作品を読ませてくれます。