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sekai de ichiban
初めて読んだ作家さんだったんですが、少女漫画も描かれている方なのですね。繊細でほんわかとしたタッチと作風なので、少女漫画がお好きな方には合うかと思います。
予想していた以上にどれも良かったので、他の既刊作にも興味がわきました。短編集ですが、奇抜な設定のものはなく、どちらかというと地味なものばかりです。
表題作「世界でいちばん」は叔父と甥で、子供のころから結婚の約束をしていて、でも大きくなった甥は今ではそんなことは無理だときちんと分かっています。
叔父の方が甥を追いかけている、という設定はあまり見たことがないかも。かわいらしくてしっとりとした作風が良かったです。
全体的に多く語らないのに優しい印象で派手すぎない感じがよくて、自分にあっていたと思いました。ちょっと古い印象はするので、合う合わないは人によって違うかも知れません。BLでない作品も入っています。
「僕はこんなに」
これがとても好きだったので、これだけなら神をつけたい!というくらいでした。
仲の良いカップルの直之と一臣ですが、直之は一臣の友人が彼の家に居候することになってから、言葉にできない不安が湧いてきます。
一臣はその「友人」とはサッカーしたり、殴り合いのケンカをしたり。
なのに「恋人」である自分は何をしても笑っていいよと許してくれたり、危ないからと駅まで送ってくれたり・・・。
もやもやが抑え切れなくなって、直之が言った言葉は「僕も殴ってほしい」。慌てる一臣が面白かったです。
自分を大事にしてくれることが不安だという、友人ならありえない恋人独特の感情だと思いました。こういう、男同士の恋だから芽生える不安や疑問を丁寧に描いた作品がとても好きです。