「拝啓、泣きたくなるほど恋しいあなたへ」

罫線上のカンタータ

keisenjo no cantata

罫線上のカンタータ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神97
  • 萌×236
  • 萌11
  • 中立3
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
17
得点
665
評価数
148
平均
4.5 / 5
神率
65.5%
著者
早寝電灯 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
ホーム社
レーベル
アイズコミックス.Bloom
発売日
電子発売日
価格
¥750(税抜)  
ISBN
9784834265040

あらすじ

漫画家を目指している大学生の葉治は、ひとつ上の先輩である爽人に初めての恋をした。

爽人は人当たりがよく穏やかな性格をしているが、いつも手袋をしている理由を誰にも話そうとしない。

「手紙を書くのが苦手」だと言う、彼のその手袋の下に隠された秘密とは——…。

早寝電灯が紡ぐ、『手紙』で繋がるオムニバス・ラブストーリー。

・コミックス描き下ろしあり。

表題作罫線上のカンタータ

坂上葉治,大学生で漫画家→漫画家
古賀爽人,大学生→会社員

同時収録作品罫線上のカンタータ

皆戸蒼爾(港),大学生,二次創作のBL小説書き
周防あける(スオ),美容師専門学生,二次創作の絵師

その他の収録作品

  • 描き下ろし
  • 時系列(カバー下)

レビュー投稿数17

何が言いたいかっていうと、とにかく最高!

はぁ〜、素敵でした。
もともと心理描写がお上手な作家さんだと思っておりましたが、ストーリー運びの巧さと構成の面白さに引き込まれました。

「手紙」というアナログな手段で繋がるオムニバスで、言葉が文字が繋ぐ想いの数々に胸がいっぱいに。
二組のカップルが交互に描かれ、時系列もバラバラなのにしっかり連作として成り立っています。
しかも、ごちゃつかずストンと入ってくるからすごい!

・漫画家兼大学生・葉治×訳あり先輩・爽人
・二次創作BL小説家・港×二次創作漫画家・スオ

葉治が描いた漫画『岸辺の手紙』がキーポイントになっており、ストーリーに深みを与えています。
この漫画のラストにも泣いてしまった。
手紙じゃなければ伝えられない言葉があるのだと。

綺麗なだけじゃなく人の弱さやエゴも表現されており、登場人物一人一人に光が当てられています。
派手さはないけれど、表情の一つ一つが切実でグッとくる。
各話のタイトルも秀逸で、アニメのエピソードタイトルみたい。
エモーショナルで繊細なラブストーリーになっており、ものすごく読み応えありました。

電子の描き下ろしには、時系列の説明があります。
これがあるのと無いのとでは違う気がする。
ありがたかったです。

14

神です!

作家買いであらすじも見ずに買ったので、1話目を読み終わった時に、これって短編集なのか?と思ったくらい。
というのも第一話も第二話も、それぞれが短編の一つとしても楽しめる完成度だったから。

私は早寝電灯さんの短編が好きなんです。
見せ方とか、切り取り方とか、緩急がすっごく巧みで。
そういう短編としてでも読めるような「手紙」をモチーフにしたお話が集まって、一つの長編となっているというところが嬉しさ100%。

もうね、言いたいことはいっぱいあります。
まず、あえて「手紙」というところが、まず最高。
手紙を選んだ意味や、手紙でしか伝えられない気持ちがある。
そういうところが、繊細に描かれているんですね。

そして手紙だけではなく、「小説」や「漫画」そして「文字」そのものにもスポットが当てられている。
ちなみに1カプ目の葉治が描いた『岸辺の手紙』という漫画。
これは文盲の少年が主人公なんだけど、この漫画が通奏低音のように全編の基盤を支えていて、時折顔を覗かせて、やがて遥かなるところへ着地する。
ここが本当に泣けました。
ブラボーです。

文字って、言葉って、気持ちを誰かに繋げるために、届けるためにあるんだなぁってそんな当たり前のことに改めて気づかされる、そんな作品でした。

あと、何と言っても伝えたいのは、私は早寝電灯さんの描く「涙をこぼす」シーンがとてつもなく好き!!!
ものすごくハッとさせられるんですよね。
この作品にもそんな印象的なシーンがいくつかありました。

というわけで、この作品の魅力が少しでも伝わりますように……。







ーー

1:あい言葉は手紙にかいておいた
漫画家志望の後輩・葉治と、手袋を常にしている先輩・爽人の大学時代のお話。


2;突然のDM失礼します。ファンです。
ネットで交流していた同人BL小説家の港と、同人漫画家のスオがリアルで出会ったお話。

3:手の甲への訪い。幸いの足音
漫画家になった葉治と、会社員となった爽人。
いまだ恋人関係ではない二人だけど……。

4:遠方にいるあなたから。愛をこめて
港視点のお話。

5:書いた手紙はもう出してきた
恋人同士になった葉治と爽人のお話。

12

もう尊い!

作者買いをしました。
早寝電灯先生の作品はいつも切なくて、優しくて、雰囲気に合った美しい絵に圧倒されます。
今作も期待を裏切らず、切ないいい話でした。

一話毎に時系列と登場人物が代わり、一つの作品と手紙で繋がっている。

事前知識を入れないまま読んでいて、同じ世界線の話だと分からないまま読み進めていて、同じ本の話してるなぁとか分かってきて、最後に時系列の表見てうわぁ凄い!となりました。

爽先輩と葉治の話は本当に切ない!爽先輩の手の傷のエピソードや葉治の優しさが沁みる。

湊とスオの話は甘酸っぱいです。二次繋がりの2人がリアルで出会い、少しずつ惹かれていき、「岸辺の手紙」の内容に背中を押されて気持ちを手紙にする。

恋愛模様はとてもゆっくりで、丁寧に描かれています。創作活動についてや、アナログの手紙の力についても考えさせられました。

こんなに優しい話が読めてよかったです。上手く説明できる語彙力はないのでとにかく読んでみて欲しいとだけ言いたいです。

7

手紙で繋がる恋のお話。

2組のカップルの物語が交互に収録されてゆく
オムニバス・ストーリーでした。

全5話中、それぞれのカップルのお話が2編と3編。
1話目が攻め視点ならその続きでは視点が受けへと移り、
後ろの話が前の話のアンサー形式として綴られてゆきます。

1組目は大学の先輩と後輩。
集団の中で生き辛さを感じている葉治とある秘密を抱える爽人。
各々の事情から人の中に溶け込めない葉治と爽人ですが、
二人でいるときだけはありのままで、心地よさを感じられる存在でした。

同じ時間を過ごすうち、二人は互いに恋心を抱くようになりますが、
ほんのわずかな言葉の足りなさからすれ違ってしまい…。

抱く想いは同じなのに、相手を思いやりすぎて、
行き違ってしまうのがもどかしく、切なかったです。

一見明るいのに、過去の出来事が原因でその内側に繊細さを隠す爽人。
だけど、そんな爽人の痛みも不安も丸ごと受け容れてくれる葉治が男前でした。
はじめは葉治の一方的な恋慕に見えますが、話がすすんでゆくにつれて
爽人の葉治への想いも描かれてゆき、二人がちゃんと同じ質量で
想い合っているんだなぁとじわじわと伝わってきて良かったです。
甘え、甘やかし、少しずつ心を委ね合ってゆく関係がすごく素敵でした。


もう1組は二次創作活動がきっかけで出会った二次絵師と二次小説書き。
同じ漫画作品のファン同士でSNSを通じて知り合ったスオと港。
ネット上だけの繋がりだったのに、ある日、偶然リアルで遭遇し…。

同じ作品を愛するファン兼二次創作の活動者同士として出会った二人。
はじめは互いの才能への憧れだったものが、相手自身に惹かれ合ってゆき…

けれど、あるときスオは自分が港に向ける気持ちは
恋であることに気がついてしまいます。
港への想いを自覚し、恋しいと涙を流すスオに胸がぎゅっとなりました。

素直で感情がだだ漏れなスオに対していつもクールな港でしたが、
後編では彼の中に燻る作品への、スオへの熱が感じられました。

こちらの二人もまた言葉足らずですれ違いかけるも、
繋ぎとめてくれたのは手紙に綴られた“言葉”でした。

葉治と爽人、港とスオ、彼らのお話に共通するテーマは“手紙”です。
彼らの間には好きだからこそ伝えられないこと、聞けない繊細さがあって、
手紙は口では伝えることのできなかった大切な想いが込められ、
彼らを繋ぐ糸として重要な役割を果たします。
恋人になる前も、恋人になってからも、言葉を重ねて
絆を深めてゆく彼らに改めて言葉や伝えることの大切さを感じました。

2つのお話は登場人物が接触するなどの直接的ではないものの、
港とスオ編で葉治の描いた漫画が登場するなどの繋がりがあります。
その漫画『岸辺の手紙』は作中作として所々で差し込まれるのですが、
その描写がまた彼らの気持ちにリンクしていてぐっときました。

決して派手でも、劇的な展開があるわけでもないけれど、
読めばしん、と心に静かに響き、浸透してゆくような1冊でした。

6

素晴らしかった

2組のカップルのお話が交互に収録されているというのは珍しいカタチの作品だなと思いました。
手紙や漫画などどちらにも共通する部分がありながら、まったく別のお話になっているのが面白いところでした。

葉治と爽人は大学の先輩後輩。
長い時間を経て恋人になるまでが描かれています。
ひょんな出会いから親しくなり、距離が近付き爽人への気持ちは恋になり。
でもその想いは交わらずに気持ちだけが燻ったまま数年、友達の関係は続いていて。
その時々、それぞれの心境が叙情的に表されているのは
早寝電灯先生の作品ならではの美しさだな、としみじみ感じました。
葉治と爽人カップルのほうは
切なさとほんのりミステリアスな雰囲気を感じる部分もあったりして
大人なふたりの恋のお話だなという印象でした。

港とスオは同じ趣味を持つ者同士。出会いがネットというところは今どきだなと思いました。
ネットでの繋がりは手軽なのが良いところだけど、希薄な関係にもなりがち。
でもお互いが想いを伝えあうようになるまでの
その時間がとても尊くて、運命的な出会いだったんだなと感じました。
港が女の子と歩いているところを見てスオは逃げてしまったり
衝動に駆られるように港がスオに気持ちを伝えていたり…
フレッシュさがとても眩しくてキュンとしました。

港スオカップルは葉治たちの過去が少しでも違うものになっていたら、きっと出会っていないんでしょうね。
そんなところにも繋がっていくのも本当にすごいなと思いました。

5

説明できないけど感動

感覚的に神だと思いました。
でもその説明が言葉ではできない感覚です。

一番最後にある時系列を読んだときに、トドメを刺されました。

二組の男の子たちが漫画で繋がっていて。

爽人の手の秘密や母の手紙を読まなかった後悔、手袋で人と深く関われないこれまで。
好きだけどとっさに言ってしまった断りの言葉。
でも繋がっていたくて苦手だった手紙を書き続けて。
何年もそばにいて…。
攻めの包容力にバンザイ!

港とスオ、ネット?メッセージで繋がって、お互い好きで好きで。好きの意味は…。
港が抱えているもの、救われたもの。

時系列を見たら、ぐわっと感動しました。
そんなにずっと一緒にいたんだー!

4

変なアカウント名にしてなくてよかった

早寝電灯先生の長編が読みたいななどと思っていましたけど、先生はコンパクトな作品の方が得意なのかな?

同じ世界観の2つのCPで、手紙を軸にした1冊です。相変わらず巧みな構成で魅了してくれる。最近先生の作品に対する"巧い"の気持ちが先立って萌えは得てない気がしてきました。大好きなんですけどね。BL漫画より一般漫画読んでる感覚に近い。

5話で急に葉治と爽人の顔と身体がふっくらした気がするのは私だけだろうか。幸せ太り?

漫画や小説などの創作物も時間を超えられる手紙だなぁと。それも一度に多くの人にメッセージを伝えることもできる優れもの。

4

流れも良い

作家さまのコミックス今までで一番好きかも!
2カップルがかかわってくる(?)お話の流れも告白の後の流れも良い。
あの短編のメッセージがめちゃ気になる。

1

いつもながら読むのが楽しくて❤︎

2組のラブストーリーをオムニバス形式で
描かれています。
この2組にも接点で交わる裏設定があります。

モノローグが多めの作家さんですが、
台詞がないコマでも魅せる描き方が素敵で
読み応えというか、好きだわぁと毎回思ってしまう。読むのが楽しくなる作品を描かれるなぁと思います。

今回は、手紙がキモになってますね。
タイムラグが生じるのもそうだけど
筆の跡みたいなところから、差出人がバレるかバレないかという萌えが素敵なアイテム?
作中のテキストも、遊び心のある書き方をされていて楽しいです。

内容については、なんといっても、
キャラにぐっときました。
1組目のカプは、私好きです〜

普段は思ったことをはっきり言うけど
大切にしたい人の前では、発揮することなく
彼の方から話すのを待つ攻め。
当たり前っちゃ、そうなんだけど
ラブストーリー上にあってはときめかないわけないのですよ。

正直、描かれる心理描写に惚れぼれしてしまって、
読み終わったあと、ちゃんと内容を理解するためにもう一回読み直したりはしたんですけど、素敵な気持ちにさせてもらったのは間違いなくて、良かったら読んでもらいたいです〜

1

読めば読むほど

素敵なタイトルと表紙に惹かれて購入しました。
小説や漫画を創作している登場人物を含む2カップルのオムニバスでした。

葉治×爽人(1話、3話、5話)
大学の先輩後輩で、漫画を描いている葉治が密かに恋をしている先輩の爽人は何故か常に手袋をはいているのだが…というお話。
好きだから知りたいけど、訊けないという葉治の心の機微が繊細に描かれていました。
手袋の謎や、手紙が苦手な訳などを爽人が語り出すのですが、葉治には知って欲しかったんだよね。
3話は数年後、漫画家になった葉治と社会人になった爽人で、1話での葉治の告白の返事が上手く出来ずにすれ違った後にまた友人に戻った2人のその後でした。
数年後にやっと言えた率直な気持ちが温かく、ずっと耐えていた葉治の涙にも胸が熱くなりました。

湊×スオ(2話、3話、描き下ろし)
ある漫画のニ次BL小説を書いてる大学生と同じジャンルの漫画を描いている専門生のお話。
その漫画というのが葉治の作品だという世界線です。
SNSでの繋がりしかなかった2人がひょんなことからリアルで出会って…な始まりです。
伝える事の大切さ、言葉の力を感じさせられる作品でした。
描き下ろしのスオがめっちゃ可愛い&湊がエロ良いので皆様にも読んでいただきたい!

電子限定漫画は2組のカプがニアミスするお話です。
それと2組とお話の時系列が横軸で記されているのが良かったです。

1度目より2度目、2度目より3度目と、読めば読むほど良さが増していくスルメ作だと思います。
理解も深まって、また違う感想も浮かびそうな作品でした。

8

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