ボタンを押すと即立ち読みできます!
逃れられない淫らな格差
caste bl
2017年度の不健全図書と挙げられたうちの一冊だというので。
逆に興味をそそられてしまうのだが。
いやはや。むしろ、この位ならフツーだと。もっと凄いのあるよね的な。
もしかしたら、タイトルに難あり? 人権侵害的な、そういう事にも言及されてたみたいだけど。
そんなに危ないものは見受けられ無いように思う。
◆「与えられるもの」小道明奈 先生
アラブ的な、異国の物語。
奴隷として王子に買われたノアは、王子から寵愛を受けるだけでは無くて、本物の愛の告白を受けるという優しい物語。とても短いけれど、一番好きかも。
王子が金髪のノアを天使の様に思っていて。ノアも健気で愛らしい。
◆「一人前になる為に…」渦井 先生
家政夫になる為に大きなお屋敷に雇われる田中。
先輩風を吹かす、ツバキたちに夜毎嫌がらせをされているが、実はそれは訓練だった⁈
このお屋敷のご主人にお仕えする為の…。っていう主従あるある。
◆「王子様の言うとおり」アヒル森下 先生
誰もが羨む、学園の王子様・西園寺に見染められ、ヒエラルキーの頂点、西園寺の恋人に任ぜられる中島。迷惑だと思っていた中島だったが、アッサリ西園寺の可愛さに陥落。陥落BL。
◆「葬送ドミナンス」上原あり 先生
ここで、急に不穏。不穏BL。後継である長男の結婚式の最中に乗り込み、兄と自分の不適切な関係を暴露する、弟の江。しかし、それは全て次男の初の謀略だった。
兄弟の名前が、茶々、初、江。という、戦国時代を生きた、浅井三姉妹と同じなのは何故なのか。
◆「スター・テンプテーション」五月女えむ 先生
同じ事務所の後輩に居場所を奪われた、龍二。長年勤めたラジオのパーソナリティーも今日で最後。
寂しく思っていた龍二の前に現れたのは、人気スターの後輩アイドル・薫。
流されるまま抱いてしまうが…。うーん。特に刺さるところは無く。
◆「Blue Rose」 羽純ハナ 先生
生徒代表で、貴族の出自のレオナルドは、日本から来た財閥の息子・トオルに夜毎、その美しい身体を蹂躙されている。という、短過ぎるショートストーリー。
貴族の誇りは何も役に立たない。という、哀しみ。
◆「蜂と椿」 沖奈じじこ 先生
ヤクザの椿は、拾った蜂谷を用心棒+愛人として囲う。
蜂谷は、椿に恋心を募らせていく。椿がそりゃもぅ抱かれます。
ヤクザというのは抱かれたいのかねー。っていう。
◆「シークレットコネクション」 蜂巣 先生
名門大卒の八神は鼻に付く先輩風を吹かして、呉島をイラつかせていたが。
ある日、八神の秘密を握ったことで、形勢逆転‼︎
という、BLあるある。八神が乱れ過ぎです。
◆「司煌くんは素直にならない」 雨宮かよう 先生
司煌は、AVのトップスターだったが、年齢的な転機を境に、タチ俳優へと転向する。
相手役に抜擢されたのは、パッとしない新だったが…。というAV BLあるある。
◆「ぼくの神様」 茶渡ロメ男 先生
…申し訳ないが、この辺りまで来ると流石に飽きてしまって。何度も本を投げ出してしまう。
人気同人作家のワタナベさんとニッチな作風のニノ。でも実はワタナベさんは、ニノのファン。
っていう。こういうのも割とあるあるですね。ワタナベさんに誘われて、ニノはアッサリ一線を超えます。ワタナベさんはもちろんメガネ男子。
最後まで、読むのはちと辛い。そして、不穏BLはあれど、少ない方だし。
それより何より、一つの作品それぞれが短過ぎて、読むのに忙しく。少々疲れてしまいます。
「カースト」と謳っているので、主従とか身分差とか、そういうテーマで描きたいみたいなんだけど。その障壁を越える面白さはそれほど無いかも。
「不健全図書」というセンセーショナルな煽りも、今となっては過大広告に他ならないかも。
巻頭の作品、可愛く甘い「与えられるもの」にのみ、評価は「萌」です。
10作品収録のアンソロジー。
以下、収録順にざっと。(作者様敬称略)
小道明奈「与えられるもの」
何故か王子に身請けされた奴隷。ただひたすら王子に可愛がられるだけで自分からは何もしなくて良い事が段々不安で…
なんのヒネリもなく、王子は奴隷くんに恋しててプロポーズまでするお話。
渦井「一人前になる為に…」
大学4浪して進学を諦め、妙に待遇の良い家政夫に応募したが…
見習いの一年目は昼は雑用、夜はひたすら男(御主人)を受け入れる用に体を開発される日々だった!でも一年後すっかり慣らされてしまいましたとさ。
アヒル森下「王子様の言うとおり」
全寮制男子校にスポーツ推薦で外部から入学した中島は、学園の「王子様」から僕のL(恋人)にしてあげる、みたいに言われたけれど…
王子様の本来の素直さや天然さが可愛いお話。
上原あり「葬送ドミナンス」
本家長男の結婚式の最中に爆弾発言をブチかました妾腹の三男。しかしそれは次男の策略で…
どう転んでも地獄でしか無い三男の不幸。
五月女えむ「スター・テンプテーション」
人気が落ちてきたバンドメンバーの心の支えはある一人のファンのファンレター。
そのファンは実は…というお話。
羽純ハナ「Blue Rose」
パブリックスクールで人種差別に遭う日本人。だが彼の目的は…というお話。
トップカーストの貴族の子息が家の事情で日本人なんかの所有物になる…と言われちゃうと、日本人としてはどう読めばいいの?
沖奈じじこ「蜂と椿」
ヤクザBL。
拾った男をそばに置いて自分を抱かせる若頭。
蜂巣「シークレットコネクション」
大手企業ではくすぶるしか無い地方大卒の呉島。一方政治家の息子で名門大卒の八神は呉島を見下している。
しかしある日呉島は八神がゲイである事を知り…から始まる下剋上ストーリー。
雨宮かよう「司煌くんは素直にならない」
No.1ネコAVスターが今回タチ役で撮ることになりモブネコ男優を抱くが、何故かその体に溺れそうに。なんでスターの俺がこんな子に⁉︎
茶渡ロメ男「ぼくの神様」
同人活動界隈。
全く売れないグロ系作品を描く底辺サークルのニノは、憧れのシャッター前のカリスマ・ワタナベさんと知り合いになれて…
ワタナベは実はニノの大ファンだった、というお話。襲い受け。
お題が「カースト」だと結局「低位攻めx高位受け」になりがちで、このアンソロもその傾向はあるけれど意外とバラエティがあったと思う。
アヒル森下先生作品と、推しの雨宮かよう先生作品が好きでした。