フランク
atatakai basyo
田舎の市役所で自宅の訪問サービスをしている瑞人と東京でカメラマンをやってる健吾。
地元勤務で自由が利かない瑞人の元を、恋人の健吾が訪れて休日を過ごす…というお話。
変わらないと思っていた田舎の景色も、人々も少しずつ移りゆく…。
その切なさを胸に、だからこそ心の片隅に留まって残っていく愛おしいものを大切にしたい。
そんな気分にさせられる短編です。
田舎の秋の光に満ちた穏やかな空気感が作品全体を満たしています。
広大な景色をカメラに収める健吾の姿や、何もなくて空が広い田舎の景色が「ハイ・ファイ・ランデブー」を思い出させます。最初これを読んだ時に関連作かと思ったくらいです。
CannaVol.28に収められているというので調べてみたら、こちらは2013年2月22日掲載号だったそうで数年前の作品でした。
「ハイ・ファイ・ランデブー」がお好きな方ならきっとこちらも気に入ると思います。おすすめです。
別にバッドエンドでもなんでもないですが、この40ページ弱の作品から寂しさを吸い尽くそうとしてしまう性分。彼らの関係性も永遠ではなくて、どう変わっていくかは分からないけれどずっと続くわけではない。そんな気持ちになる。少なくとも彼は「またくる」。きっと。
ymz先生らしさを存分に感じる本でした。田舎暮らしは「ハイ・ファイ・ランデブー」に近い。人の距離感はymz先生に共通のソレ。
cannaの単話売りでちるちるの評価神率高い作品は大体当たります。