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ochita tenshi wa shinanakerebanaranai
ちるちるユーザーの方のオススメに上がっていたので手に取りましたが、やはり間違いないですね〜。
この作家さんは海外ものは初めてだそうですが、流石ベテラン作家さんだけに安心して読めます。
モノクローム・ロマンス文庫を読んでいるかのように違和感のない翻訳風小説で、文章も躍動感があり、スリルを持って読み進めました。登場人物も個性があり、会話のやり取りもテンポ良く面白かったです。
猟奇事件をテーマに取り扱っていますが、サスペンスもので、犯人や真相はある程度読者に読める展開になっています。その上で最後に真相等が明かされて、結末が予想外・・では無いんですが、そこが作家さんの力量で、真相もなかなかに魅せられ、心に残るものとなっていました。
表紙を開けた次のページの何気ないイラストに全てが詰まっているので、一冊読んで振り返ると、なかなか切ないものがあります。
BL面は受が女性的な容姿であったり、最初からお互い惹かれあっている設定等にBLものとして物足りないパターンだなーと思っていると、意外に受が誰よりも言葉使いが男っぽかったりして、ツボにハマりました。恋愛も事件に並行してナチュラルに発展していく感じで、そちらも楽しめました。
ストーリー自体は痛ましい部分もありますが、設定等は作り込まれているので、海外風サスペンスとしては充分楽しめると思います。作家さんの総合力で読ませる作品だなーと感じました。
こちらの作品はミステリーです
主人公レイモンドは母親に虐待されて育って
たぐいまれなる美貌ゆえに4歳で修道院というカルト団体にさらわれ
解放された時は7歳だったという非常に困難な人生のスタートでした
解放されても引き取る母はすでに亡くなって
施設に入っていたところ母の友人リサが後見人になってくれて
モデルの仕事をして細々と収入を得ているけれど
ほとんど引きこもりの生活
そこを変えたのが冒頭の事件です
修道院時代の仲間バーバラが墓地で殺害されて
そこで、捜査しているジェフリーがやってきました
彼は実は…
懸命に生きるレイモンドが健気でした。
つい周りは手を差し伸べてしまいたくなるような!
2017/07/24発刊の作品で、冒頭に「亡き父に捧ぐ」と入っていました。
著者の初の海外もので、ミステリー。
「神官シリーズ」を読了したので、気になっていたこの作品を購読。
「堕ちた天使は死なねばならない」という妄執を持つ連続殺人鬼による、或る宗教団体に拉致された被害者「天使」と呼ばれた7人の美少年達が、事件解決後も幸せになれず被害に遭う事件。「小さな天使」を庇って。
余りにも美しいと、人を虜にする魔性を発揮するものなのかもしれない。
人の心を制御する知恵が無いと、無自覚無意識のうちに自分も他人も不幸にしていく、美しければ幸せになれると限らない、というお話。
墓場で殺されるシーンから始まり、FBI勤務の従弟を持つジェフリーが登場、
なんとなく臭う説明が付記されているので、結末が読み取れてしまうのが少し残念。読み進むと、あーやっぱり、と思ってしまった。
「小さな天使」の過去に受けた虐待経験のトラウマの発現が、ジェフには違っていた。
それはどうしてなのか?という部分をもっと仔細に書いて欲しかった。この作品で物足りないのは、そこだけ。
作品の中の架空の人物だけど、解決後の幸せを願いたくなる、凄惨な事件。
吉田珠姫さんらしい、愛を軸にしたミステリー、
作中に何度か出てくる「世界は美しい」という一節が印象深かった。
アメリカが舞台で攻めも受けも脇役も全部アメリカ人。ファンタジーと違い、実在する地名や組織が出てくるのであまり適当にも書けないので大変だと思いますが、読む方としては色々検索して「クワンティコって所にFBIアカデミーがあるのかあ」とか「ニューオーリンズってこのへんにあるのかあ」とか妄想するにもリアリティが増して楽しさ倍増です。大好きなジョシュラニヨンさん作品とか柏枝真郷さんのホーリーアップルシリーズを思い起こさせます。
金髪碧眼の美少年7人が変態カルト教団に数年間監禁されていた事件があり、その14年後から物語は始まります。BL以外のミステリー部分もなかなか骨太で読み応えがありました。BL部分は試練ばかりの辛い人生を送ってきた受けが初恋を貫くというロマンチックストーリー。犯人は割と早くわかったのですが、吉田先生はメリバもたくさん書かれているし死人もたくさん出るような過激な作風でもあるベテラン作家なのでそういう意味でも最後までドキドキが止まらず楽しめました。
こういう海外が舞台で登場人物が欧米人という作品がもっともっと増えるといいな。洋画を見ているようなワクワク気分が味わえるので。
タイトルと表紙に惹かれて購入。ネタバレ含んでいます。ご注意を。
アメリカ・ニューオーリンズが舞台。
金髪で、背中に翼のタトゥーを持つ人物ばかりが殺されるという事件が勃発。しかも、被害者を殺害後、その背中のタトゥーの部分の皮膚を剥いで持っていくという猟奇事件。その事件を捜査する刑事たちに「ウィング・リッパー」と呼ばれるその事件を捜査するのが、主人公のジェフリー。
州をまたいでの事件のためFBIがメインとなり捜査しているのですが、そのメンバーの一員が、ジェフリーのいとこであるカイル。有能で、人として完璧なカイルを尊敬しているジェフリーですが、ある日事件がらみで出会ったのはジェフリーが昔救ったことのある幼児誘拐事件の被害者・レイモンドで…。
というお話。
レイモンドがかつて巻き込まれた誘拐事件。
そこで彼が経験した、凄惨な日々。
レイモンドを筆頭に、誘拐されてきた子どもたちが、「ウィング・リッパー」の被害者になっているという事実。
そして、レイモンドとジェフリーとの間に育っていく恋心。
「ウィング・リッパー」が誰なのか、という謎解きは早々にわかってしまう所はあれど、ミステリーとしての展開も面白かったし、ジェフリー×レイとの恋愛という部分でも面白かった。
誘拐事件の被害者たちの過酷な過去と、孤独な現在。
そして、犯人の目的。
何より、殺人事件が盛り込まれていること。
全体を通して暗く、凄惨な展開ではあるので、もしかしたら読み手を選ぶ作品かもしれません。けれど、めちゃめちゃ面白かった。レイを愛する周囲の人たちの、彼に向ける愛情に思わずウルっとし、孤独だったレイがジェフリーという存在を得ていく過程にも激萌えした。
舞台がアメリカだから、なのか、普段の吉田さんらしい文体はちょっと鳴りを潜めていて、翻訳モノのような文体だったのも新鮮。あえてこういう文体にしてるのかなあ…。
犯人は何人も人を殺めているシリアルキラーで、なのでこういう感想を持つのは不道徳なのかもしれないけれど、犯人が可哀想で泣けた。方法さえ誤らなければ、彼も幸せを手に入れられたと思うんだけどな。犯人の過去が不憫だったのも、哀れに感じた要因だったと思うのだけれど。
レイはきれいな容姿をしていて(yocoさんの挿絵が半端なく美しいのもある)、子どもの頃に誘拐事件の被害者だったという過去があるせいか儚い青年をイメージしがちだけれど、言葉遣いが乱暴なのでちょっとギャップがあってそこも良かった。
電子書籍で読了。スタイリッシュな挿絵有り(多分ですが紙の本だったらもっと雰囲気が良いのでは)。
読んでいる最中、何度か「あれ?ハヤカワミステリだったっけ?」と勘違いしちやうほど、翻訳ミステリの空気をまとったお話です。謎解きものではない(と、思うんですよね)のですが、ドキドキしながら読んだ方が絶対に面白いと思うのでネタバレなしで行きたいと思います。
物語の長さがミステリとしては若干短く登場人物が少ないため、ある程度の展開は前半部分で解っちゃうのですが、緊迫するサスペンス感や登場人物の千々に乱れる心情などがクールな文章で描かれているので、最後まで緊迫したまま(つまり、読むのを止められずに)楽しめました。
こういうお話の場合、濡れ場が無理矢理挟まれちゃっていると私は一気に興ざめしちゃったりすることもあるんですけれど、この本はそんなことなかった(すばらしい!)。っていうより、濡れ場自体が物語の成立に必要なものとして書かれていると思うんですね。『BLのお約束』ではなくて。
その二つを併せ持った後にやってくる怒濤のラスト!
この手のお話しなのですべてが明るいものではないのですが、でも主要登場人物全員に注がれる慈悲と、悲しみを伴った許しに私も涙いたしました。
悩みつつ自分にとっての正義を貫こうとする探偵と、社会の理不尽から抜き差しならない状況に突き落とされてしまった健気な被害者が出てくる、よく『ネオ・ハードボイルド』とかって言われますが、あの手の雰囲気がお好きなBL愛好家はたまらんお話です(私がそうなんですが……もう、冒頭から完全にやられちゃいました)。未読の同好の士は本屋さんに走っていってください(またはポチってください)。
しかし、吉田珠姫さんは引き出しが多い作家さんなのね。『鬼畜』で『神官』で『この本』だからなぁ…… すごいです。
まるで翻訳小説のような地の文。
吉田さんには大正昭和初期のような文体で書かれる作品もありますので、舞台によって変えられているのだとすると本当にすごい作家さんなのだなと感じます。
わたしは翻訳物が好きなのですが、苦手な方はもしかしたらこちらダメかもしれません。
ただミステリー系がお好きな方には楽しめると思いますよ。
そこまで犯人を伏せているわけではないので謎解きという点を楽しむのではなく、雰囲気を。
ニューオリンズで刑事をする攻めのジェフリーと、対人恐怖症でひきこもりのレイモンド。
レイモンドは彼を知る人々からは無償の愛を受けながらも、幼少時にとある教団で軟禁されていたことが彼に影を落としています。
この物語でひじょうに心に残るのは、レイモンドに対する知人たちの愛情深さでした。
彼らにとってレイモンドは、犯人とはまた違った意味で天使だったのだなと感じ、そのため、先生そこまでしちゃうのですね…と読んでいて苦しくなることも。
yocoさんのイラストも相まって、自分にとってひじょうに印象深い作品となりました。
吉田珠姫さんのお名前はもちろん存じ上げていましたが、今回初めて作品を読みました。
吉田さんの紡がれる物語の内容やカップリングが私の求めるものと異なる気がして今まで手に取ることを躊躇していたのですが、今回「好きかも!」と惹き付けられるものがあり初購入。
まるで翻訳小説のサスペンスやミステリーを読んでいるかのような読書時間を過ごし、いわゆるBL小説の読み心地とは若干違いました。
読んでいて沸き起こる感情や感想もどちらかというと一般小説を読んでいるときに喚起される種類のもので、個人的に萌え的なものはありませんでした。
けれど、とても読み応えがあり強く印象に残る一冊となっています。
舞台はニューオーリンズ。
カルト教団(金髪碧眼の美しい男の子を誘拐して「天使」として育てる。監禁虐待)、連続殺人鬼、FBI、親による暴力、トラウマ等々。
内容は上記のように陰惨で辛く悲しいものであり、神の救いなどどこにもない!と叫びたくなるような状況なのですが、そこに挟み込まれるジェフリー(攻め)の親身で優しい心や真っ直ぐな正義感、レイモンド(受け)の無垢な魂の輝き、またはジェフリーの警察仲間の賑やかな明るさが物語に光を与えていました。
ちなみに、わりと早い段階で真犯人のあたりはつきますが、登場人物たちは気付かないまま物語が進行していくので読み手としてはその緊迫感やスリルも十分味わい楽しめました。
とはいえ、犯人当てがこの小説の本筋ではなく、あくまでジェフリーとレイモンドの愛情の話。
子どもの頃に出会った二人が大人になって再会する。
その点だけをみればとてもロマンティックな運命の相手とのラブストーリーだけれど、もちろんそうした甘い話ではなく・・・。
読了後に最も心を占めたのは「犯罪被害者が犯罪者になってしまう負のスパイラルをどこかで断てなかったのだろうか」という思いです。
真犯人はもちろん憎むべき悪なのだけど、彼もまた被害者で・・・。
そう考えると、最期にレイモンドが赦しを与えたのは作者の思う「救い」の形なのかもしれません。
ジェフリーとレイモンドの二人に関しては、最後は幸せな場面で終われたのでBL的には安堵して本を閉じられます。
どうか幸せに。
萌えを感じなかったのに「萌×2」評価としましたが、これは五つ星評価の星四つ相当として押しました。
過去に、カルト教団に捕らわれていたレイモンド。
その背中には薄く天使の羽根の刺青が残っていた。
金髪碧眼の男ばかりを狙って、殺してから背中の羽根の入れ墨を剥がす連続殺人。
果たして犯人の狙いは?
この本、とにもかくにも、表紙のカバーイラストに惹かれて購入。
中の挿絵も、レイモンドの美しさに説得力がありました。
分量的にはかなりのボリュウムの翻訳調サスペンスで、内容も幼少期の虐待が及ぼした結果の話のうえ、殺人シーンなども結構きつかったりしますが、事件の真相的なところは割とあっさりとわかりやすく解決して、サクサク読めます。
評価の難しい作品でした。
ストーリーは楽しめたのですが『萌』の高評価には繋がりませんでした。
海外ドラマの警察とかFBIとかCSIが出てくるものとか翻訳物ミステリーが好きな人なら興味が持てるテイストです。
私もクライムストーリーは好きだしミステリー小説も読みますが、それでBLやMLを読みたいわけではないのであえて手は出さないのですが、そこに好きなイラストレイター様がセットになっていたのでつい手にとってみたくなりました。
犯人や犯行に至る心情など最初から明かされるのであっさり見当はつくのでそういった謎解きの面白さや最後にまさかの逆転劇はないので、そこを求めて読むと物足りなくなります。
また、主人公二人が両思いになるまでの焦れったいあれこれはあまりなくてすんなりくっついて出来上がってしまうので、個人的に萌える展開はなかったです。
好きなものと好きなものをくっつけたらもっと素敵なるわけじゃないんだなと再確認した作品でした。