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comic marginal
ちるちるさんのBLニュースでこの雑誌の創刊を知り、作者陣を見て思わず購入。電子書籍ってあまり好きじゃないんですけどね…。文善さんやシビトさんが、しかも「人外」を描かれてると聞いたら、買っちゃうよね?という事でお買い上げ。
で、内容はというと。すみません、ネタバレしてます。
まず表紙が美しい…!
文善さんの描かれる独特な世界観満載な絵柄と美しい配色に目を奪われます。紙媒体で手元にほしいよ~。
全部で6話収録されていますが、中でも気になった作品をチョイスしてレビューしようと思います。
文善やよひさん『わだつみの嫁取り』
タイトル通り、海の神さま(=人魚)と、人間との恋のお話。
六十年後 庚午の元旦に
またこの海で落ち合おう
という出だしで始まります。
海辺に立つ渋いオジサマ・キヨ。ストーリーはキヨ視点で進みます。
まだ早かったか、と思う間もなく、海から飛び出してきたのは人魚で。
人魚に飛び掛かられたキヨは岩場に頭をぶつけ大けがをしますが、それで死ぬこともなければ弱る様子もない。
実はキヨは、人魚の身体を分け与えられ不死身になったという過去を持っていて…。
というお話。
エチシーンはあるものの、挿入までは致していない様子。
つか、「人魚」だもんねえ…。
しかし、この人魚さん、触手持ち。その触手でキヨを性的に追い込むシーンがこれまたえっろいです。
二人の出会いは。
彼らが過ごしてきた歴史は。
そして年を取らず死ぬこともできないキヨの人生は。
そういったものは全く描かれていないのですが、お互いが求めあっているのはすごく良くわかる描き方で、なんかちょっと切ない。だって、彼らは60年に一回しか会えないみたいだから。
恋煩シビトさん『パンデモニウムより愛をこめて』
時々下界に降りてきて、迷える人間たちを救うことを生業としている天使さまのルイ。
ある夜、彼は写真家の子門に写真のモデルになってほしいと声をかけられ子門の家までついていきます。
そこで彼が見たのは義理の息子(奥さんの連れ子)の写真で。
はじめは妻を心から愛していた子門さん。けれど彼女の連れ子である男の子に初めて会ったとき子門さんは…。
というお話。
奔放な母親の恋愛の邪魔にされてきた息子。
母親ではなくて、「自分」を愛してほしい。
そう願う息子の前に現れたのは天使さまとは相反する悪魔のマルコで。
息子を誘導し、義理とはいえ親子で愛し合うよう仕向けさせるマルコと、そんな不道徳なことはやめさせなくては、と奮闘するルイ。
写真家と彼の息子の背徳的な行為に見せかけて、実はマルコとルイの間にも何やら因縁があるようで、続きがすごく気になります。
シビトさんの絵柄とこういう病んだ話ってすごく合っていて、話に引き込まれました。
佐崎いま+高瀬ろくさん『ねこまたぐらし』
猫又が認知されている世界が舞台。
付き合っていた彼氏に、「女の子の方が良い」と捨てられて、でも未練がましく元カレを忘れられない昌平。
そんな元カレを吹っ切るために、元カレが残していった私物を捨てに行った帰りに捨て猫を見つけてしまいます。
雨降りの中ひとりぼっちでいる猫を放っておけず、つい拾ってきてしまった昌平ですが、実はその猫は猫又で…。
というお話。
猫又というと妖艶な、身体の大きい姿をイメージしていましたが、この猫又の環(タマ)は小さく、見目麗しいビジュアル。なので昌平はこの子を女の子だと勘違いしてしまいますが、本当は男の子で。けれど娘が欲しかった、と言われたタマちゃんは本当のことを言えず女の子のふりをしちゃって。
雨降りの夜、拾って優しくしてくれた昌平に可愛がってもらいたい。捨てられたくない。と健気に思い、昌平の望むとおりに「娘」でいることを選んだタマちゃんが健気でめちゃんこ可愛いです。
元カレに捨てられたトラウマから、恋は封印しタマの良きお父さんになろうとする昌平と、昌平に捨てられまいと娘を演じるタマちゃんの恋のゆくえは。
猫又は大人になると昌平さん好みのイケメンになるらしいです☆
タマちゃんがどんな素敵な猫又に成長するのか楽しみです。
人外をテーマに新たに刊行された本作品。作家さんによって様々な「人外」が表現されていて面白かった。「人外」ゆえに障害のある恋、というのもなかなか萌えました。
『marginal』という雑誌のタイトルもセンスがあって素敵でした。
次巻も読んでみたいと思います。