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immoral curriculum
ちるちるさんの作家インタビューでお見掛けして、面白そうだなと思って購入してみました。内容をざっくりと。すみません、ネタバレしてます。
主人公はとある大学の薬学部4年生の鹿嶋くん。イケメンで勉強もそつなくこなすいわゆるリア充くん。彼視点で話は進みます。
学部内で人気のある斉藤教授の研究室に配属が決まったところから話はスタートします。
そこで彼は斉藤教授の愛人と噂される助教の綾川と知り合いに。ミステリアスできれいな綾川さんのことが徐々に気になり始める鹿嶋くんですが。
ある日、斉藤教授と綾川さんがキスしているところを見てしまい…。
というお話。
背表紙に書かれている、
教壇に立つ冷たくて美しいあの人は
ヒトのものだったー
という文句から、斉藤教授の恋人である綾川さんに鹿嶋くんが片想いしちゃう話なのかなと思って読み始めたのですが、全然違うお話でした。
元々綾川さんと教授は恋人同士だったのですが、今現在はとある出来事をきっかけに綾川さんは教授の仕事上の道具として、様々な男たちに抱かれ利用されている、という関係に。
そんな綾川さんが可哀想で、そんな関係をやめさせようとする鹿嶋くん。
なんですが、そもそも綾川さんが教授の「道具」となった過程がよくわからない。
教授の勘違いだったわけですが、綾川さんがなぜそこまで自分を犠牲にしてまで尽くすのか。二人の過去の話が描き込まれていないので、綾川さんの教授に対する想いにいまいち共感できなかった。
そして、鹿嶋くんが綾川さんに惹かれた理由も今一つ理解しがたいところが。
彼自身、教授と綾川さんのキスシーンの写真をネタに綾川さんと関係を持っていたわけで、そこから急に綾川さんを教授から救い出したいと思うようになる過程がよくわからなかった。
設定やキャラクターは面白いものの、展開が急すぎてストーリーについていけない感が。
もともと綾川さんのことが好きだった鹿嶋くんが、教授との関係に気付いて助けてあげたいと思った、というストーリー展開のほうが自然だった気がします。設定を盛り込みすぎちゃったかな、と。
終盤にもう一つ短編が収録されています。
『やさしい奈落』。
フルールコミックスアンソロジー『魔王受BL』に収録されていたお話。
人間と魔族が戦っている世界が舞台。
劣勢になった魔族が人間からの停戦協定の申し込みを受け入れ、魔王さまが人間の元へと赴きますがそこで騙され囚われの身となってしまいます。
けれどそこで魔王さまを待ち受けていたものは…。
魔王さまを捕らえた国の王子の、魔王さまへの恋心が健気で可愛らしかった。ずっと魔王さまだけに恋していた王子。
けれど、肝心の魔王さまの、王子への想いはどうだったのかな。
媚薬をつかわれ、一方的に抱かれるところで話は終わってますが、この二人の恋のゆくえがすごく気になりました。
二つのお話が収録されていますが、全体的に話のツメが若干甘い気がしたのが残念。けれど絵柄はきれいだし、設定はとってもツボ。
今後に期待したい作家さんでした。
『インモラル・カリキュラム』
遊び人な薬学部所属の大学生×愛欲に翻弄される助教授
『優しい奈落』
人間界の王子×囚われの魔王様
上記の二作品が収録されています。
+++++
『インモラル・カリキュラム』について
“教授の愛人”と噂される助教授の綾川がいる研究室に配属になった薬学部所属の学生・鹿嶋、彼は帯タイでは遊び人と評されているのですが、本編を見る限り、遊び人というよりワンコ属性な印象。
設定に惹かれて購入したのですが、全体的に起伏に欠ける展開で終わってしまうのが残念です。
個人的な意見ですが、文章の説明のみで済ませてしまっているシーンが目立ちます。
その文章についても、時系列の説明メインのどちらかというと淡白な質のものである為、読み手からすると感情移入できる場所が少なかった所が物足りなさの原因なのではないかなと思いました。
登場人物の心理描写(葛藤など)を丁寧に描いてくれると設定が生きたのではないかと思います。
とは言え表紙カバー絵は惹かれるものがありました。
後続の本は何冊か読んでおりますが、初めての単行本でこの画力だったとは存じ上げず……手や手首、横顔等、多少不自然で気になる所もありますが、全体的には綺麗な作画です。
+++++
『優しい奈落』について
表題作と同時収録の短編です。
人間界の王子×囚われの魔王様というカップリングですが、王子に華がなく『王子なんだ…?』とそこにびっくりしました。
魔王様は地下牢らしき所で鎖に繋がれて囚われており、王子にあれやこれやされるのですが『魔王とは?』『魔王である必要性』という疑問が脳裏になかったと言えば嘘になるかもしれない、です。
『モブ顔の第三王子×穏健派の魔族(参謀あたり)とかだとしっくりくるような気が』という感想を持ちました。
初めての単行本だそうです。
絵もお話もそこそこ面白いのですが、何を書けばいいんだろう?と困ってしまうほどこの台詞に、この表情に、萌え~ということがない作品でした。一番の盛り上がりは鹿嶋が薬品の盗みを疑われてすぐに綾川さんが誰の仕業かピンと来て駆け出すシーンかな。
鹿嶋も帯に書いてあったほど遊び人という感じでもなく、優等生だし、なにより全員おとなしめ。理系男子の物静かなインテリ同士がこそこそ取り合ってる感じでした。
しかし、鹿嶋はなんで綾川さんをそこまで好きになったんだろう?お堅いタイプだから落としがいがあって好きと言うくらいしかわかりませんでした。