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daren no misogi
『蛇淫の血』の続編。
2008年の作品の新装版です。
シリーズとしては『蛇淫の血』→『蜘蛛の褥』(久隅×神谷)→本書→『赫蜥蜴の閨』(臣×洸己)の順。
あらすじ:
前作で、岐柳組の跡取りとして拉致された凪斗(受け)。
組を継ぐ覚悟を決め、組長補佐役・角能(攻め)のため強くなることを誓いますが、敵対勢力の度重なる襲撃に心が折れそうになり…
平凡な美大生だった凪斗が、愛する角能のための強くなろうと極道の世界であがく姿を克明に描く本作。
次期若頭としての資質、カリスマ性はあるものの、ごく最近まで一般人であった凪斗がそう簡単に組のトップに立てる筈はなく。
心身共に容赦なく痛めつけられ、その傷を糧に少しずつタフに成長していく凪斗の姿に胸が熱くなる展開です。
敵の襲撃で大切な人が命を落としたり、自身もクスリを打たれ犯されたり…
様々な困難に直面し、一時は廃人状態となる凪斗。
しかし自身の内に眠る『蛇』の血や、角能への愛によりギリギリのところで復活。
平凡な青年としての『円城凪斗』と、極道の血を引く『岐柳凪斗』という二つの人格を兼ね備えた大人の男性へと成長していきます。
角能はそんな凪斗を補佐役として支える立場ながら、彼に拒絶されたら常軌を逸した行動に出る等、感情的で脆い一面も。
凪斗を犯したり、凪斗の絵もろとも焼身自殺を図ったりと、凪斗を想うが故の捨て身の行動に激情を感じます。
角能の方が年上で腕も立ちますが、新しい若頭として覚醒していく凪斗に翻弄されている面もあり、あくまで『従者』の立場にとどまっているところが本書の面白いところ。
凪斗にとって角能は何より大切な存在ではありますが、彼の精神的成長や若頭としての決断においては、角能は基本的に蚊帳の外。
攻めに守られるのではなく、受けが自力で考え答えを出していくという展開が大変興味深く、しかも元一般人の凪斗がそうやって苦労を乗り越え成長していくという展開に胸を打たれました。
普通の青年が極道の世界で揉まれ強くなっていく過程に凄絶なドラマがあり、沙野さんが「渾身の一作」と言われるのも納得。
読み応えあるヤクザBLに仕上がっています。
萌の面でも、補佐役×若頭という設定を活かした関係性が絶妙。
凪斗が角能のことを名前で呼び捨てにするシーン等、時に主導権が逆転する瞬間が堪りません。
書き下ろしは、故人を偲びつつ甘い一時を過ごす二人が描かれた、萌と感動の詰まった内容。
暴力的表現が苦手でなければオススメの一冊です。
ちなみに本書で凪斗を拉致した熾津組若頭・臣の人となりや、岐柳組VS熾津組の終着については、シリーズ最終作となる『赫蜥蜴の閨』で詳しく描かれています。
シリーズ集大成としてこちらもかなりオススメの一冊です(こちらはルチルで文庫化予定とのこと)。