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tsukumo
九十九 老虎的俘虜
九十九とかいて「つくも」。
大切にされてきた「もの」達は、九十九の年を越え、百年経つと「命」を得て付喪神になるという。
そんな「もの」と人の交流を描いた短編達に、精霊が見えるシャーマンの青年が登場する短編がプラス。
琥狗作品ではおなじみの、凝ったコスチュームにたくましい肉体、そしてケモケモまみれのファンタジー世界。
おまけはチミッ子四コママンガと、安定のおもしろさです。
そんな中で珍しいのが「九十九しかくのはこ」
ちょっとだけ未来かもしれないけど現代物です。
普通にパーカーでリュックの青年が登場します。
ここで登場する「もの」はモバイル端末の中にいるAI。
服装は白シャツ、ベストにバトラーコート。
胸筋も腹筋もかけらも出てこない。
珍しい。
長い年月を経た道具などに宿るとされる「九十九神」(付喪神)を題材としたオムニバス作品集。
ハヤテさん作品らしく、どの話ももれなくケモ耳がついてきて、描き下ろしではお約束のちみっとマンガも読めます。
エロは全体的に少なめ。
■「九十九ーとらのとりこー」
エロあり。
人の寿命が五十年と言われていた頃の話。
虎皮で作られた外来の絨毯のお祓いを頼まれた若い宮司(受け)。
その絨毯から現れたのは、九十九神として絨毯に宿った虎の魂。
虎の姿のまま宮司を抱き、行為の途中から人の姿(ケモ耳)に戻るという一連の流れが大変エロくて良かったです。
■「九十九ーふたりいちぜんー」
エロなし。
「はし(箸)」に宿り、主人が食事する姿を見守り続ける木の精(箸なので双子)。
年老いた主人が息を引き取る際、初めて主の前に本来の姿を現します。
精と主の絆に温かい気持ちになれる話。
■「九十九ーぶんぶくちゃがまー」
エロなし。
古い茶釜を溶かして新しい茶釜を作るよう頼まれた鍛冶屋。
古い茶釜から現れたのは、少女のような外見の「分福(ぶんぶく)」という精霊で…
分福にほだされ、彼が消えぬよう策を練る鍛冶屋が男前。
分福も天然で可愛いだけに、エロなしなのが惜しいです。
■「九十九ーたまのくらー」
エロあり。
質流れの美しい枕を買った主人公の男(受け)ですが、それ以来、夢の中で角の生えた男に毎夜抱かれるように。
眠ることを恐れる主人公ですが、その一方で、夢の中で得られる快感が忘れられず…
オチはバッドエンド?
耽美でちょっとホラー風味のお話です。
■「九十九ーしかくのはこー」
エロなし。
人工知能AIが当たり前になったSF社会の話。
執事型のモバイルデバイス・ソウは、マスターの青年に10年仕えている小型AI。
マスターが機種変更を考えていると知ったソウは、型落ちで速度の落ちた自分は捨てられるものと覚悟しますが…
最後はほのぼのハッピーエンド。
エロなしですが、ソウの年上イケメン受けっぽいヴィジュアルは良い感じです。
■「それでもいいの」(全2話)
エロなし。
こちらは九十九神設定ではなく、シャーマンのお話です。
村のシャーマン・ナジャには、人の顔が動物に見えてしまうという悩みが。
大好きな養父・ヒドラの顔もピューマに見えてしまい…
キスどまりですが、ヒドラとナジャの親子以上恋人未満な関係が可愛く、癒されるお話です。
全体として、小品集という感じでちょっと物足りないですが、ハヤテさんの描かれるケモ耳はやはり素敵。
温かで可愛らしい世界観に癒される一冊です。
琥狗ハヤテさん、大大大好き!です。本作もハヤテさんらしい一作で、凄く面白かった!
命を持った九十九神と人との交流を描いた短編集です。
「九十九ーとらのとりこー」
外国から取り寄せた虎の絨毯が夜呻く…宮司の元にお祓いをして欲しいと持ち込まれた、見事な虎の毛皮で作られた絨毯。
宮司が絨毯の話を聴いて撫でていると中から虎の魂が現れて…精を注がれる宮司!
(痛み苦しみから抜けて、虎さんは良かったね!宮司さんにも大きな恩恵があることでしょう)
「九十九ーふたりいちぜんー」
元は大木、たんすや柱となって、今は「はし」になった木の精。
穏やかで優しく、食事を楽しむ主と共に過ごす日々。しかし、人間の寿命は短い。主の命が消える時、彼の箸もまた霊前に供えられた。そして共に極楽へ。
寂しいけど、とっても優しいおはなし。(エロなし)
「九十九ーぶんぶくちゃがまー」
古い茶釜を溶かして新しい型の茶釜を作れと依頼された鍛冶屋。
茶釜を溶かすために火にかけたところ、九十九神ぶんぶくが現れた!(少女みたいな外見です)
使われないなら消えてもいい、と涙する分福にほだされちゃったのかな、溶かさずに居に置く鍛冶屋さんです。(エロなし)
「九十九ーたまのくらー」
質流れで買った美しい枕(陶器製?)。早速それを使って昼寝をするが…
視るのは角の生えた男との淫らな夢ばかり。眠るのが怖い。でもあの夢をまたみたい…
ある晩の夢の中、遂に自分から男に抱きつく。男はケモノに変容し、部屋に残るは主人のないまくらばかり。ホラー風味。
「九十九ーしかくのはこー」
未来設定。心が宿るは小型AI、執事型のモバイルデバイス、ソウ。
10年使って、世の中は3Dバトラーになっている。型落ちで速度の遅くなったソウは、機種変更をするマスターとお別れ。
と思ったら!ハッピーエンド!(エロなし)
「それでもいいの」
ある村の若きシャーマン、ナジャは人の守護精霊が視える。でも、人間の顔が動物の顔に見えてしまう。自分を育ててくれた大好きなヒドラの顔はピューマ。元の顔ももはや思い出せない。
悩むナジャに、前シャーマンの長老は『門を開くのじゃ』と諭す。
覚悟を決めてヒドラの瞳を深く見つめるナジャの目に、人間の顔が見えて…(キスのみ)
「おまけの九十九たち。」
九十九神たち5組のその後を、ちみっこマンガで。なごむ〜!