特典付き
samidareshoutengai hatsukoi shitakuchu
商店街の真ん中辺りにある創業150年の和菓子屋と呉服屋が舞台です。
和菓子屋は娘と息子(有平)、呉服屋は孫(花菱)が後継候補。
商店街ものは和菓子屋と洋菓子屋、呉服屋とテーラー、洋食屋とラーメン屋、お茶屋さんとリーマンなどいろいろ読んできましたが、今回は和菓子屋と呉服屋です。
親世代が亡くなったことで繰り上げ後継という設定は以前も見たことがありますが、こちらもそうでした。あと呉服屋のビジュアルがハーフっぽい感じから「これ、読んだやつかな?」と思ってしまいました。攻めが自宅の2階で受けに浴衣を着せてあげて…というシーンも別の作品で見たことが…。
既視感多めですが、この作品では他の作品よりも「後継問題」に揺れる主人公の気持ちがより繊細に描かれていると思いました。
レールの上から外れたいと反抗していた花菱と、味を受け継ぐという信念のもと鍛錬してきた有平。
姉の方が商才に長けている、継がなければ花菱といられる、でも花菱と一緒にいたら呉服屋の後継は…などなど悩めば悩むほど八方塞がりになるのがもどかしい。
意を決した有平が花菱に言った言葉が心に残りました。
「俺たちは中間地点なんだ」
徳川15代の将軍たちが12代、13飛ばして14代というふうにはいかないように、有平も花菱もそれぞれの店の150年を後ろにつなげなければいけない、自分のしあわせのためにここで終わり!というわけにはいかない重みが改めて伝わってきたシーンでした。
この辺りは胸がきゅうっとしたりじわっとしたり忙しかったのですが…。
この作品は攻めを好きになれない方が多いかなと思います。
反抗期は女遊びが盛ん(朝帰り多数)だったけど、早朝から仕事に勤しむ有平の姿に心を打たれて改心。この改心するシーンは良かったのですが、有平を好き好き言い出すのが突然すぎて…。
あとラストのまとめ方も、あんなに悩んだ有平が可哀想で「何だったんだ」という感じ。
簡単に言うと、好きな子をいじめるタイプでした。
もうひとつ、商店街の青年会的なものに所属する酒屋と神社の息子の話もあります。
こっちの方が好みでした。酒屋の息子がイケメンすぎて…。ただ神社の息子の顔が猫娘なのが…。
初読み作家さんです。
中身の絵柄も表紙のイメージ通りで、スッキリ綺麗な絵で読みやすかったです。
最寄駅から少し離れた場所にある商店街の跡取り息子たちが主人公です。
歴史ある和菓子屋や呉服屋、神社や酒屋等の年の近い青年たちが地元の夏祭りや年末年始行事に一緒に取り組む様子が描かれています。
祭りや着物を着て行事に参加するエピソードが描かれているので、日本的な雰囲気がしました。
よくあるお話だと思うのですが、それまで派手めに女の子達と付き合っていてノンケと思われた人が、どうして急に?という疑問が最後まで付きまといました。
その辺りの心境をもう少し知りたかったです。