条件付き送料無料あり!アニメイト特典付き商品も多数取扱中♪
不器用なアーティスト×男運のないカフェ店員
kore wa kitto yume no naka no kiss
表題作と短編の2作品が収録されていますが、
どちらも繊細な心理描写とストーリーの深さで
読み終えた後にも心に残る1冊となりました。
まずは表題作の『これはきっと夢の中のキス』は
素直で頑張り屋だけど、男運に恵まれないゲイの湊と
少し天然だけど、穏やかで優しい芸術家の拓巳が
カフェの店員と客として出会い、二人で幸せになるまでを描いた
切なくも、最後まで読めば心がほっと温かくなる物語でした。
出会ったそのときから湊に惹かれ、心の求めるままに男の恋人を受け容れ、
恋人同士になった後には関係を隠そうともせず周囲へ恋人を紹介する拓巳。
そこにゲイとノンケの恋という障害は感じられず、
そんな順調さに前半は少々物足りなさを感じました。
けれど、そのまま一直線にハッピーエンドに向かうわけもなく、
拓巳の元カノの妊娠疑惑という中々にヘビーな問題が出てきます。
そこから拓巳が抱いてきた家庭への憧れやそのことを知った
湊の罪悪感など同性カップルのリアルな葛藤が描き出されます。
好きなのに拓巳を冷たく突き放さそうとする湊も、
みっともなく湊にすがりつく拓巳も切なすぎる…
互いに好きだからこそ失い、傷つくことが怖くて、臆病になり、
相手の言葉を聞く前に勝手に決めつけてすれ違ってしまっていた二人。
私は拓巳の言っていた
「何もかも全部欲しいってのは絶対に無理だと思うんだ」
ってその通りだし、誠実な考えだと思うんです。
どちらかを選んだ時点で捨てられた側にとって拓巳が悪役に
なることは避けられず、それでも一番大切な方を選び取ることが
拓巳の出来る唯一の誠意の示し方だったのだと思います。
そして、拓巳にとっての一番が湊であったことがただただ嬉しかった。
好きな人と幸せになるために努力ができる
湊と拓巳の関係がすごく素敵でした。
愛することも、そのための努力をすることも一方通行ではなく、
両者が同じ分だけ一生懸命になって、互いを向き合っていること。
二人を見ているとこういうのが本当の両想いなんだなと思えました。
二人の周囲の職場の上司や親たちもみんないい人で温かかったなぁ…
突飛な展開や物珍しさがあるわけではないけれど、
登場人物たちの心情や過程が丁寧に描かれていて好きでした。
同時収録の『密室恋愛』は表題作に比べると奇抜な設定でした。
出張ホストの彰人が客の元を訪れると
男が突然「自分は余命一ヶ月だ」と言い出します。
ひとりは寂しいから指名を一ヶ月延長し、一緒にいて欲しいという男。
自称・社長の崇は金はあるらしく、代金として彰人に大金を支払います。
そのくせ、彰人を抱くこともなく、ただ一緒にいるのみ、と謎だらけ。
けれど、崇の不可解な行動には切ない理由がありました。
短いながら、彰人が崇にほだされていく感情の動きが
段階を踏んでいて、きれいにまとまっていました。
せっかく気持ちが通じ合えたのだから、
この2人の後日談をもう少し読んでみたかったなぁ…
二作品収録されていて、どちらもしっとり切なさ漂う心情が丁寧に描かれていて好きです。
【これはきっと夢の中のキス】
付き合ってる男から暴力を受けながらも別れを選べないカフェ店員の湊。そんなある日カフェのお客さんに駅前のガーデンオブジェが好きだと話したところ、その男性がオブジェを作ったアーティストの拓巳だとわかり…。
「誰かを愛したい」「その誰かに愛されたい」「そして幸せになりたい」と願う湊の気持ちが、全編通じて切なく伝わってくる作品で、私は好きです。
湊の誕生日を忘れて男と浮気するようなDV彼氏にいよいよ見切りをつけて別れた湊は拓巳に惹かれ始めます。
拓巳も全力で泣いたり笑ったり表情豊かな湊に惹かれ始めてお付き合いを始めるのだけど、有名アーティスト拓巳とただのカフェ店員でしかない湊。ちょっと不安な気持ちに湊なりつつも拓巳の優しい愛情に包まれてなんだかんだと幸せそうな様子が好きです。
ところが、拓巳の耳に元カノが密かに出産していてそれが拓巳の子の可能性がある…という話を聞いて子供が欲しかった拓巳は動揺してしまったうえ、それを密かに聞いてしまった湊の前でも態度がおかしくなり…。
そんな拓巳に湊は別れを突きつけます。自分が身を引けば拓巳は望んでいたものを得られると…。「誰かを愛したい」「その誰かに愛されたい」「そして幸せになりたい」と願う拓巳だけど、愛してクレクレ願望ばかりではないところが健気で好きです。
そして湊と連絡がつかなくなった拓巳が自分を見つめ直して、一番望んでいるものに気づけたというところも好き。ほんの少〜しだけ攻めざまあ展開っぽいところもいい。
【密室恋愛】
ウリ専の彰人は指名されたホテルに向かったところ、そこにいたのは余命1ヶ月だという社長。
そして「一人は寂しいからそのひと月この部屋に一緒にいてほしい」という要望を言い出して…。
彰人が実はいい子で、そのおかげで…という実にうまくできたストーリーでこれも好きなお話です。
カフェ常連のアーティスト・拓巳と、カフェ店員の湊。
湊は「幸せになりたい」から、DV彼氏のことを必死好きでいようとする。
拓巳はノンケだけど、一生懸命で表情がくるくる変わる湊に好意を持ち始める。
DV彼氏の浮気現場に遭遇した湊は拓巳にすがり…
二人のはじまりは、湊は幸せ願望が強くて、ちょうどよく拓巳が居たようにも感じたけれど、話が進んでいくと、ただ拓巳のためを考えて悩んで傷ついてる湊のひたむきさにひきこまれます!
そして拓巳の愛情も大きくなっていって、湊にそばに居て欲しいと心から思うようになる。
二人はこのまま幸せでいてほしい!
「密室恋愛」
ウリ専の彰人は、「余命一か月だからそれまで一緒にいて欲しい」と言う社長に買われ、一緒にすごすことになる。
そして一か月後…
絵が綺麗で、展開の見せ方がうまくて、今後の作品も読み続けたい作家さんです。
受けの湊がアーティストの拓巳にひかれたのは、優しさ?自分の顔を好きといってくれたから?ま、恋人に酷いことされた後にあんなに心配してくれたら、好きになっちゃうか。
前の彼氏に暴力を振るわれながらも、自分を好きになってくれる人なんて滅多に出会えないんだからと、我慢して好きで居続けようとする湊が案外あっさり別れてすぐ次の人とくっついた感じがしないでもありません。でも、二人が付き合うようになってからのあまーい雰囲気が可愛くて、出会えてよかったねと素直に応援したくなる作品でした。
高スペックぽんこつな攻めで2編。
湊は、自分の働いているカフェで、湊お気に入りの駅前オブジェの作者の拓巳と知り合います。
拓巳の落ち着いた優しさに惹かれる湊ですが…。
男運の悪い湊がDVクズ男とようやく別れて、拓巳とつき合い始めたけど、拓巳もまた、違った意味でのダメ男なのかな?
大人カップルの話なので、それなりにエチシーンはありますが、ストーリーの流れに沿って、切ない成分多めで展開するので、結構ガッツリと多彩な体位を展開している割にはエロ度濃厚には感じません。
同録のウリ専ボーイのお話も、寸止めテーマなのでエロ度は薄めです。
でも、この、すっきりした絵には、この雰囲気が合っていて、萌えるの。
電子の時から大好きな作品でした。
風緒先生の絵がとても好きなので、それだけでも萌え要素は100%です(笑)
受けの湊くんの評価があまり芳しくありませんが(笑)私はすごくカワイイかな〜と。
不幸を絵に描いたような彼氏にしか出会えてないようだけど、周りの人たちは彼をとても理解してくれてるし(お店のマスターと美登里さん。そしてお母さんまでも!)、それはそれで幸せのように見えますが...
好きな人とただ幸せになりたい、という彼の欲求は大きく、それを果たせないジレンマは計り知れないようで。
そんな中、ふとしたキッカケで知り合った芸術家の拓巳さん(攻め)。
彼は芸術家らしい子供のような無垢な(ある意味残酷なピュアさ)人で(笑)、湊くんの寂しさを受け止めてくれます。
でも、もともとは結婚を考えてたこともあるノンケ。
元カノが妊娠したのは拓巳の子かも?とか、ほんとは幸せな家庭を持ちたかった、という話を聞いてしまった湊は、拓巳に別れを告げます。
ここ、すごくツライ場面だったな...
心臓がキューってなりました(T_T)
そこからはまぁ王道なんですが、拓巳さんは湊くんの存在の大きさを再認識し、彼を迎えに行って...
なんですが、ちょっとだけ湊くんが抵抗。
ムダな抵抗なんですよ?うん、わかってます。でも、そういう気持ちになりますよね。もっと信じられる確証がないとね。
ここで引き下がらず、しっかり大人のオトコとしての本領発揮をしてくれた拓巳さんに拍手です!
あー、わかってたけど、ヘタレだったらどうしようかと(笑)
風緒先生の絵は、キレイでエロさもあるので私は大好きです!
十分堪能できる作品だと思いますよ〜♪
ダメな男にばかり引っかかってしまう受けは、付き合っている男からのDVで生傷が絶えない日々を送っています。
そんなある日、バイト先のカフェで、受けが好きな路上オブジェを作ったアーティストの攻めと知り合いになります。受けがゲイだと知っても気にしない、天然マイペースな攻めと、アトリエに遊びに行ったり楽しく交流する受け。
その裏で恋人のDVは激しさを増し、傷も増えてきます。攻めは心配するけど、「俺は彼と幸せになりたいから頑張る」と突っぱねる受け。
何ていうか、まあ好きにやってくれたらいいんだけど萌えないな…と思いながら読んでいたら、受けは恋人の浮気現場に居合わせ、殴って出てきた、と言います。喧嘩にはめっぽう強かった模様。そんなに強けりゃ今まで一方的に殴られ続けることなかったのに。
で、攻めをアトリエで待ち伏せ、恋人と別れたことを報告。「誕生日に別れて、1人でいたくなかった」とのこと。てかもうこれ攻めに気持ちは移ってたでしょ。案の定、アトリエでソッコー攻めにフェラして「これ、ください」。うーん…浮気した恋人を殴り倒してきたその足でこれ? と思ったら、受けがまったく健気に思えなかった。
まーそれで付き合い始めた攻めと受け。意外と微笑ましいお付き合いで、それはまあよかったです。でもすぐに、実は家庭を持つことに憧れていた攻めの、元婚約者の妊娠疑惑が。
攻めにやや避けられ、凹んで身を引こうとする受け。切ないし可哀想だし潔い気はするけど萌えない展開だなぁ…と思ってしまいました。この2人、出来上がった暁にはきっとペットでも飼うんじゃないかな、と思ってたらカバー下でやはり犬を飼ってました。わかりやすい。
同時収録作が1点。出張ホストが、自称余命1ヶ月の金持ちに1ヶ月貸切にされる話です。
受けを試す攻めって個人的にあまり好きじゃないんですが(攻めを試す受けは好きです)、この攻めは試しまくりでした。あとで「これこれこんなことを試してた」と事後報告するだけで、途中経過で試されてるのがわからないからよかったですけど、ちょっと「何様?」とは思ってしまいました。
まあ、この2人は上手くいってよかったな、と思えるカップリングでした。こちらのカプのその後の描き下ろしが読みたかったな。
書き下ろし含めて5タイトル収録されていますが、《密室恋愛》以外は同じカップルのお話です。
いいお話だった、面白いというよりは、いいお話。男運の無い湊君(受け)とアーティストの拓巳(攻め)2人が湊君の働くカフェで出会う所からお話は始まってます。謙虚で健気な湊君、彼氏から暴力振るわれても自己中に振舞われても『俺みたいな、どこにでもいるような奴が相手を選り好みするなんて‥』『ただ好きな人と幸せになりたいだけなんです』って簡単ようで難しい‥彼氏と別れて(グーパンチしてやったみたい)拓巳と付き合うようになっても湊の健気は変わらない、拓巳もいい人なんだけど湊だけが努力しているように見えて、ほんのほんの少しなんだけどイラっとする‥言葉のチョイス一つ似た言葉でも『湊の顔が好き』と『湊の表情が好き』では別の意味だよね。
拓巳と別れた婚約者の間に子供がいるかもと思い、自己完結で別れる決心をした湊‥辛そうで可哀想だった(涙)
山あり谷ありでもハッピーエンドだから良しとするか(笑)
拓巳のヒゲだけがどうしても受け付けないので、ヒゲを隠して読んでしまった‥
カバー下のオマケ漫画は癒される〜
愛し愛され幸せになりたいと願う湊は、付き合っている恋人(男)に暴力を振るわれていた。そんなとき、働いているカフェで出会ったのはアーティストである拓巳。だんだんと増える傷を心配する拓巳に湊は「あいつと幸せになりたいから頑張れる」と告げる。だが、その恋人は湊の誕生日にあろうことか浮気をしていた。さすがに堪忍袋の緒が切れた湊は別れを決意し、拓巳の元へ向かう。
風緒さんの漫画は、『ロングロングロスタイム』と『君に降る手紙のはなし』の様なサラッと読める純愛系が好きなので、こちらはあまり好みではなかったです。
元恋人からのDVとか、現在の恋人が家族を欲しがってることとか、結構テーマが重いのですが、風緒さんの漫画のテイストはどちらかといえばライトな印象なので、ちょっとちぐはぐな気がしてしまいました。ど素人がエラそーにスミマセン…。
でも、湊が健気なだけの受けじゃないことが分かったシーンはスカッとしました。元彼ざまぁ!