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mijuku na rakuen aruiwa
◆旅すること
夢も希望も薄れかけた疲れきった大人と、家庭や学校に絶望しながらも未来のある子供。家出した中田を匿ってくれた安藤だけど、相手が未成年だから優しく接するというわけでもなく、時には辛辣な言葉も投げる。中田は好きで留まっているのですが、全体的に閉塞感のある、2人きりの閉じた世界という雰囲気がありました。放っておいても良かったのに、結局警察に通報した安藤は、やはり1人の子供の未来を潰すことに罪悪感を感じる一般的な大人だったんでしょうね。心まで腐ったわけじゃない。大学に行けば自由度も上がるし、開けた世界をその目で見た上で、それでも安藤の元がいいと言うのなら、会いに来たらいい。冷めた温度の中にも、確かな熱情は感じました。
◆草叢に隠れた
大学の先輩にヤリ捨てされる後輩。ただ、先輩が完全なクズかと問われれば、恐らく彼にも少なからず未練はあるんだろうという印象でした。画的に惨めなのはもちろん後輩だけど、そうやって相手を捨てるような真似しかできない先輩の方が、後々まで心に影が残るんじゃないかなぁと。短いながらも余韻の残る作品でした。
ふたりが共に生活する光景はまさに未熟な楽園でした。
映画監督の夢破れしフリーターの海(攻)と進学校に通いながらも両親からのプレッシャーに負けてしまい家出中の智也(受)。そんな智也くんを海さんが家に招き一緒に暮らす事になります。
家に連れてきたものの未来も希望もある智也くんのほうが価値があると感じてしまい強く当たってしまう海さんと、海さんが過去に携わっていた作品を見て「すごい」と言う智也くん。どうして人間って自分以外全員を「すごい」と思い、自分は誰よりも劣っていると思うのか…このふたりの心情がリアルすぎて鳥肌が立ちました。
呼吸をする意味がわからなくなると感じていた海さんに生きる希望ができて安心しました。将来、恩返しに智也くんが迎えに行ったら海さんはどんな反応をするのか…とても楽しみです。作者さんは現在漫画を描いていないようですが、いつかこのふたりの続きを何処かで読めたらいいなと願っております。
「オネエ・女装攻めBL」という他社のアンソロの中で知ったkayamaさん。
女装にはまる高校生男子たちの倒錯感・仄暗さといったものを鮮やかに切り取った非常に印象的な作品を描かれていたので、もっとこの作家さんのを読みたいなと思ってこちらの本を購入し、読んだのが約半年前。
読んでみたら思ってた以上に、私の手に負えない感があり(一番最後の作品が特に)、感受性を試されている…と思ってしまった。
(あ、でも女装BLもけっしてわかりやすい単純な作品ではなかったし、そこがいいなぁと思ったのだったっけ。)
万人受けはしないけど、お好きな方には死ぬほどたまらない作品ばかりだと思います。
王道よりもサブカル系が好きな人とか、すっごく合う気がする。
【旅すること】
夢半ばで映画業界から逃げ出しコンビニで働く男と、進学校で良い成績が取れず家族から責められて家出してきた高校生との奇妙な同居生活を描いています。
二人とも夢がなく、先が見えない不安感、行き場のない苛立ちや挫折感といったものが二人が暮らす狭い部屋の中にぎちぎちと詰め込まれています。
その閉塞感に息苦しくなるほどですが、少しずつ動き始めていった末のラストはまだまだ不確かですが、どこかぽっかりと明るいものを感じます。
【communication】【home】
10代にやんちゃしていた頃の傷が全身、頭にまで残っているみのる君。
現在はその過去を恥じていて、傷が見られるのを恥ずかしいからと初めてのエッチのときに電気をつけたがらなかったみのる君。
このキャラ、萌える〜。
こんな一見穏やかそうに見えるキャラのやんちゃな過去。
それを自慢げにしてたらただの厨二だけど、恥じてるところがいいじゃないですか。
そんなみのる君に惚れてる恋人目線で描いた作品が【communication】で、これが一番癖がなくて誰でも楽しめると思います。
【home】はそんなみのる君の過去と家族との確執を描いていて、ちょっと重苦しさはあるのだけど、恋人の存在がみのる君の救いになっているのが感じられて、この連作が一番BLっぽいと思う。
【草叢に隠れた】
読んだあと、行き場の感情の始末に困る作品。
先輩が鬼畜だわー。
大学の先輩後輩集まって、河原でBBQ 。
二人は接点がないかのように見えて、なんとなく示し合わせて抜け出して河原の草の陰でエッチしちゃうのだけど、中出しどころか中でおしっこしちゃうんです、先輩が!!
めっちゃゲスい…。
けど、これは先輩のあえての仕打ちなのか?
遠くに行っちゃうからわざと相手から嫌われるような事をする、だけど、一生忘れられないような事をして俺のこと覚えていてほしい、みたいなやつなの?わからん。
で、それをされた後輩が最後に「やべぇ…死にてー…。」というセリフで終わるので、読み終わった後に鬱っぽい気分になってしまいます。
評価は本当に悩む〜…。
萌萌と萌のまさにど真ん中って感じで、どっちかに寄せられない…。
悩んだ末に自分の好みとしては萌だけど、この作家さんにはこのままお好きなものを描いてほしいなぁと思う意味を込めて萌萌にします。
久しぶりに、いいコミックを読んだな、と思えるものに出会いました。
短編集と言うより中編集かな。基本的には同人誌をまとめた単行本のようです。
表題作は、映画の助監督という道をあきらめたフリーターのおじさん(といっても20代後半)と、家出した高校生のお話。
お互いの傷をなめ合うように体をつなげる二人。しかし、ラストには心地よいカタルシスが-
安易に流れるという言葉とは無塩の、人間ドラマを描いていて読み応えがあります。
他には、同じカップルですが、全く違うテーマを扱った2編と、短編が1つ。
communication/homeは、恋心を日常生活の中にリアルに描く作品と、家のトラウマに向き合うという2テーマでした。年上のみのるにべた惚れなのに、家族のことで屈折した思いを吐露するみのるに、言葉激しく真実をつきつけるところがよかった。
最後の短編は、無口だがバーべーキュー奉行の後輩と、軽薄そうな先輩の、遠距離になる前のBBQでの一コマ。切ない恋、かな。
この作者さんは他に連載などされているのでしょうか。是非今後も注目したい作家さんです。
なんていうか……いいと思います。
一本目は切れ目なしの100p弱、長い短編です。
自分の感想は描き切った!すごい!
人間のキラッとした部分ドロッとした部分をストーリーに組み込む力、その瞬間を切り取るセンス、そしてそれを丁寧に描写する画力もあります。
ただ萌えるかというと、、、
ストーリーとリアリティに全振りした結果か、BLと青年誌の中間みたいなテイストです。
良さをいかしたイイオトコを描いて欲しい。
次に期待してます。
あくまでこの一冊を読んだ感触ですが、登場人物のある一時期だけを切り取りとって、印象的に描写する短編向きの作風だなと思いました。三作品が収録されています。シリアスでダークなお話は苦手じゃないので、どれも好きな感じでした。
「旅すること」。映画業界に入ったものの、肉体的にも精神的にも限界を迎え、夢半ばで挫折した安藤と、家出してきた高校生・中田の奇妙な同居生活を描いた物語。
安藤は、子供の頃に世話になった人のことを思い出し、自分がしてもらったように中田に手を差し伸べたいのに、うまくできずにいる己の未熟さに苛立ち、葛藤する。親の期待にそえず、特にやりたいことがなかった中田は、後先も考えず、ただただプレッシャーから、家から、現状から逃げ出してきただけだった。
見ず知らずの他人と生活していくことで中田は少しずつ生きることを肌で感じていきます。それまで孤独に過ごしてきた安藤は、中田と接していく中で、人との触れ合い、心動かされる会話、見失いかけた大切な諸々を取り戻していくのです。この作品が、もっともタイトルに近いテーマだったと思います。
ハイライトはちるちるさんのインタビュー記事にも掲載されていたエッチシーンでしょうか。中田の複雑な心情を重ねたセリフにきゅいーん、でした。さすがちるちるさん、そのセリフをちゃんと見えないように編集して載せていらっしゃっていましたね。
「communication」「home」は、十代の頃やんちゃだったみのると、彼にゾッコンな圭吾のお話。いつもクールなみのるにも、誰にも言わずに恐れていたことがあった。今まで知らなかった相手の一面を知って、より親密に、心を許しあえる段階に進む…。短い中にも、ストーリーに起伏があって惹きつけられました。
最後に収録された作品は個人的に好物なタイプの短編。大学の先輩後輩同士、身体だけの関係でノンケの攻めにヤリ捨てされるっていうのはBLではよくあるお話。繰り返し読んでいくうちに、オープニングのコマや、二人にしかわからないように互いに視線を交わし合うシーンの中に、先輩の後輩への本当の思いが汲み取れるようで、妄想が広がります。忘れたくないから、あえて酷い仕打ちをするかのような…。
全体的にシリアスなトーンではありますが、チョコッと笑わせてくれるシーンもあって、あんまり暗すぎません。どのお話も二人のその後にまで想像が膨らみます。絵柄やセリフ、コマ運びの相性も良かったですし、エッチシーンも好みだったので、次回作も読んでみたくなりました。全ての物語をまとめたテーマを表すタイトルが、なんといっても秀逸です。