還らずの夏

kaerazu no natsu

還らずの夏
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神67
  • 萌×235
  • 萌21
  • 中立3
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
20
得点
541
評価数
128
平均
4.3 / 5
神率
52.3%
著者
暮田マキネ 

作家さんの新作発表
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媒体
漫画(コミック)
出版社
三交社
レーベル
Charles Comics
発売日
価格
¥650(税抜)  
ISBN
9784879194916

あらすじ

愛してるから、さようなら。
オメガバース作品を含む珠玉の短編集
コミックス創刊第1弾!
初版限定描き下ろしペーパー付! !

「高校出たらさ、二人で暮らさね?」
陽(はる)と奈津(なつ)は物心つく前から、何をするにもどこへ行くにも二人一緒だった。
ずっと、こんな日々が続くと信じていたのにーー
君がいない夏がくる

表題作還らずの夏

田富奈津(なつ),17歳
若草陽(はる),19歳

同時収録作品『不機嫌なつぼみ』『咲き初めの焦燥』

貢川優馬,サラリーマン,α
忍野環,同期,β(仮)

同時収録作品いちばんしあわせ

双葉伊智,使用人
結,御曹司

同時収録作品All things I know.

真(しん),息子
明(めい),育ての親

その他の収録作品

  • 描き下ろし(各作品それぞれの描き下ろし)
  • あとがき
  • カバー下(各作品についての説明)

レビュー投稿数20

やり切れない切なさ

暮田マキネ先生の作品は全部好きですが、やり切れない切ない終わりが好みなので、特にこの短編集は好きです。



あとがきにもありますが、主に「涙(というか最愛の人の死)」・「オメガバース」・「心中」・「縛」の4つのテーマの短編が収録されています。

表題作品である巻頭の「還らずの夏」がまずめちゃくちゃ切ない。涙なしには読めないけど、これで暮田先生を好きになったとも言える。
登場する3人それぞれの気持ちも痛いほど伝わるし、3人ともが心から願う幸せになれないやるせなさにしばらく動けなくなるほど。



2〜3番目はオメガバースの「不機嫌なつぼみ」その続編の「咲き初めの焦燥」。
この短編集においてちょっと箸休めのようなほっこり作品で、あって良かった^^;



次は心中がテーマの「いちばんしあわせ」
悲しい結末ですが、このタイトルがしっくりくるなんとも言えない物語。



最後は一応家庭内恋愛の「All things I know.」
血は繋がっていない父子による執着系なストーリーなのに、父であるメイが抜けてるので、うっかり微笑ましく思ってしまう不思議。この物語の続編があるので、気になる方はぜひ!



そして、書き下ろしがそれぞれあって本編と違って癒されるんだけど、表題作のカバー裏はどーやっても切なくて、心臓がキュッとなる(T-T)




所謂ハッピーエンドはありませんが、定期的に読みたくなる大好きな作品です。

0

ラストの後日談で「酷すぎる…」と思わず声が出た

短編集です。
暮田先生の作品は初めて読みますが、絵が綺麗で読みやすいです。

表題である還らずの夏を読んで、「ヴッ…」と少し落ち込んで、でも大丈夫、わたしは彼らの幸せな時間をほとんど知らないからつらくてもすぐ立ち直れるよ!と、メリバ読書特有の謎ポジティブが発動しました。
しかし、読み進めていくと、なんということでしょう。
あったのです。幸せな夏の時間の漫画。
「ずっと一緒にいような」
このセリフを読んだ私は、このレビュータイトル通りの言葉が口をついて出ました。
「ひ、酷すぎる…」
順番って大事だと思うんです。
例えば、幸せな過去の時間→辛い現実だったら、まだその後泣くだけで終わります。
しかし、この作品では、幸せな過去の時間(少量)→辛い現実→幸せな過去の時間(少量だけどどれだけ2人が愛し合っていたかわかる)という、メンタル潰しにかかってるのかな?疑問に思ってしまうような攻撃を受けました。(でもそれが良い)(涙の数だけ強くなれるよ)
ちなみに、現実時間で受けの子が死亡エンドだったらこの攻撃は幸せみを増させるものになると思いますが、作者さんがあとがきで言っていた通り、多分受けの子は幸せになれないので、一生なつのことを思い出しながら生きていくんだと思うと、「ずっと一緒にいような」の言葉のしんどみが変わってきますよね。
泣ける分には泣けますし、後日談含めとても良い作品なので、地雷でなければぜひ読んでいただきたいです。

他の4編は心中していたり束縛エンドだったり、幸せオメガバースだったりするので、割と読みながらメンタルは保たれました。(後日談で崩れましたが)
つらいけど、乗り越えてこその幸せがあることを知っている腐女子、腐男子の皆様に、是非ともおすすめしたい一冊です。

0

シリアス系短編集。

暮田マキネさんの独特な絵柄と作品の空気感が好きで、遅れましてですが読ませていただきました。

まず表題作で泣けました......しんどい.......ハッピーエンドになれない2人に胸が締め付けられました......最後の表情がもう......。でもやっぱりこの1冊のなかで1番好きなお話です...辛いのに...なんでだろう......涙

そして表題作の他にも4作品ほどあるのですが(ハッピーエンド作品もあります!)、全体を通して重めの雰囲気に感じます。

最後の作品の「All things I know.」はファザー・ファッカーの2人ですね!?!?
ネタバレなしで読んだのでここから繋がっていたのか....と嬉しくなりました♪

0

表題作がよかった

表題作「還らずの夏」。
よみがえることのない奈津、に掛けているのかな?
登場人物も はる、ヒデあき…四季です。(冬はどうした⁉︎)

奈津と陽の言い合いのシーン。
勢いよく頁をめくると、そこにはふわりと浮遊している奈津の姿が!
見せ方上手いなー!

あと大好きなシーンがもう一つ。
陽は抱き締めてきた秀明を突き飛ばし、奈津に必死に手を伸ばしてその胸に飛び込もうとする。
が、その瞬間、二人の身体はお互いを通り抜ける!
そしてめくって次の頁。
ずしゃあっっ、と大きな音を立てて大ゴケするのです。
少しコミカルでもあるのが逆に泣けた。

対して秀明。
彼は泣きじゃくる陽をしかと抱き締めることが出来る。
生者と死者の如何とも出来ぬ隔たり……。
残された者と残し行く者。
そして生者は死者には勝てないのです。

還らないものもあれば、記憶に刻まれ失われることのない永遠もある。
スペシャルサンクスの後を見落とさないで。


他は、続きもののオメガバ2作。
心中もの。
「ファザーファッカー」の元ネタ話。
それぞれ趣向が違って飽きさせない。

この作家さんは言葉が文学的。
このコミックスには無かったけど、素敵な文章を引用したり。
叙情的な世界に引き込まれます。


1

表題作もいいのですが「All things I now

のちの「ファザーファッカー」となる読み切りです。
この読み切りの方が、淡々として心に響きました。

主人公がメイを愛すること、そのために「マコト」になること。
その決意が、のちの作品より強く感じられました。

Hなシーンだけではなく、Hに到るまでも、作者の駆け引きのうまさを感じ取れました。

0

表題作にひきずられる!

還らずの夏
切ないよー。あんなに仲良かったのに、幸せで同居の予定もあったのに。お互いが全てだったのに。

奈津が陽をかばったから…。でもきっと守りたかったんだよね。いつまでも3年経っても陽の傍を離れられなくて。
でも陽に7年も片想いして片田舎の大学まで追いかけてくる男の子がいて…。
陽はその子のこと好きなのかな?
奈津を追いかけずに…。
奈津がごめんなって泣くのが悲しすぎる!

不機嫌なつぼみ
いきなりオメガバース作品です。短編集だったんですね。
クールなβの主人公と王者の貫禄のαの同期。
いい同期だなと思っていたら!
まあまあ、なんてことでしょう!良かったね!

1

ほの暗い

ハピエンなのかそうじゃないのか、短編集で鬱々としてるのに不思議とじわじわ。
台詞が印象的で、ほの暗い雰囲気に惹きこまれました。
あとがきの「性欲の強い地味受け最高ですね」には完全同意です!

ファザーファッカーの前日譚が読めたのが良かったです。
英文と日本語訳が微妙に違うの苦い…
本編のやりきれない切なさは悶えたけども、本編最後の赤ちゃんの頃の足のエピソード…赤ちゃんの指ってめちゃくちゃ尊いやん?それ見ておいて、そんな幼い頃から見守ってて、恋心になるのって…ちょっとドン引いてたんですけど、前日譚を読んだら、まぁこの二人なら仕方ないな、二人とも歪んでたんやなって気持ちに落ち着きました。

0

あとがきの後で、さらにやられる

暮田先生の作品は、レビューが書けないものが多くて…。
受け取るものが多すぎるとしばらく惚けてしまって、落ち着くまでに時間がものすごかかる。
そこからこころに残ったものを文字にする作業が困難で。
この作品もレビューが書けるまでに何年かかって、何度読み返したか分かりません。

【還らずの夏】 神
ずっと一緒にいられると思っていた夏の日。
幼馴染の奈津と陽(はる)は、お互いに想い合って、そんな日が永遠に続くと信じていたけれど…。
泣けます。号泣です。
短編でここまで心を揺さぶられる作品は、数えるほどしか記憶にないですが、その中でも常時トップ3に入る名作。
テーマがズルイと言えばズルイけど、それでも何度読んでも泣けます。
最後の2ページは胸が潰れそうになりますので、ご注意を。
あとがきの後でまた泣かせに来ますので、そこもご注意を。

【不機嫌なつぼみ】【咲き始めの焦燥】 萌2
同期入社の貢川(くがわ・α)と忍野(おしの・β)。
お互いに仕事ぶりを認め合う2人だけれど、忍野には誰にも言っていない秘密があって…。
前半は忍野目線、後半は貢川目線です。
両サイドの胸の内が分かる構成、たまりません。
発情期が遅れているΩという設定だと、たいてい運命の番に会った瞬間にいきなりヒートが来ることが多いですが、ちょっと違う設定。
あまあまでべた惚れな貢川の忍野への好奇心が、恋情に変わった過程をもっと詳しく知りたかったなあという気もしないでもなく。

【いちばんしあわせ】 萌
資産家の御曹司(結)と使用人(伊智)の恋。
さらに大きな後ろ盾を得るための政略結婚を前に、2人は…という話。
短い中で伊智の生い立ちや2人の関係など、必要なことはしっかり押さえられています。
ただ、ちょっと分かりにくい構成になっていて、結が入院している理由と崖の上のシーンを結びつけてみたり、いろいろと脳内補完するしかないのが難点。

【All things I know】 萌
言わずと知れた『ファザー・ファッカー』の始まり部分。
父親だけど父ではない明(めい)、父だけど会ったことすらないマコト、母だけど明と真(しん)のいる家から出て行ったサエ。
あちらだけ読むと、真がどうやって本当の父親のことを知ったのか、木曜日に明がしていることをどうやって知ったのか分かりませんが、そのすべてがここに。

メリバからオメガバースまでいろいろありますが、何はさておき奈津が切なすぎるんですよ…。
しあわせにしたかったよね、しあわせになりたかったよね、って思うと、涙が止まりません。
こういう設定自体は他の作家さんも描いているし、その中ですごく好きな短編もあるのですが、置いて行かれた方目線と置いていった方目線で、また感じることが変わってくるわけで。
はあ…、もう一回読み返してこよう。
本当に良い作品です。

0

儚くも美しい短編集

表題作の『還らずの夏』
線香花火のような儚くも美しい悲恋。

「終わらないで」と線香花火の灯りに願うように
彼らもまた2人の時間を終わらせたくないと願う。

儚く灯りが落ちた余韻は切なくて胸をしめつける。
裏表紙のデザインとカバー下を眺めた時、そう感じた。

物心つく前からずっと二人一緒。
この先もずっと、こんな日々が続くと信じていた。

最愛な恋人・田富 奈津を事故で失うも、
若草 陽の前に幽霊として現る奈津。

いつまでも続かない関係にお互い
このままじゃダメだと分かっているが
気づかないふりを続ける。

奈津くんは自分の身体が薄れていくのを感じていた。
だからこそ、自分の身体が消滅する前に
陽くん自身に自分ではなく他の誰かを選ばせる
必要があったのかなと思った。

そうでもしないと、陽くんは奈津くんの
後を追っちゃうから。

死んじゃってごんなぁと謝る彼の姿に
優しさと本当の愛を感じた。

『不機嫌なつぼみ』『咲き初めの焦燥』

オメガバースのお話。
まだ発情期がこないΩ・忍野 環はβとして
真面目に慎ましく生きてきた。
そんな忍野が会社の同期として出会った初めての
α・貢川 優馬と番になるお話。

『いちばんしあわせ』

使用人と御曹司の心中するお話。
母に虐待を受け育った伊智に
救いの手を差し出したのは御曹司の結。

ぬくもりも知らない伊智は、
結の為だけに生きる使用人。

結に「死ね」言われたら
命だって惜しまない伊智に
「側にいて」と結は言った。

結より先に死ぬくらいなら………。

伊智は結との約束を守るため
心中することを決める。

『All things I know.』

義理の親子の話。
息子のシンは、育ての父親であるメイを愛してる。
シンとメイは血が繋がっていない。

メイはシンの実の父親であるマコトを愛してる。
マコトはもうこの世にいない。

マコトの忘れ形見であるシンをメイは愛してる。
メイはシンなしでは生きられない。

そのことをメイは気づいていない。
だから教えなきゃ。

"All things I know."

読んでみて暗い結末が多いですが、
それは果たして物語の彼らはどうでしょう?

誰が"幸せ"なんて貴方が決めることじゃない。
自分自身が決めること。

そんなメッセージを感じる短編集だと
私は思いました。

1

耽美的な描写の物悲しい作品

この作品集以前は、可愛い系だったので、大人の耽美風の作品にチャレンジしてみたのだと思う。
読み返すと、自分自身の廻りで亡くした人の思い出と重なって来る。誰かの命日に読むと、ず~んと重くなります。

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還らずの夏(死に別れ)
 陽にしか見えない若草。
二人で事故に遭って、若草だけで帰らぬ人となってしまった。生き残った事を責め続けていた陽。

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不機嫌なつぼみ(運命の番との出会い)
 忍野が勤務先で出会った貢川は、初めて出合ったαだった。忍野は、発情が未だ来ないΩ男子、βに擬態。運命の番との出会い。

咲き始めの焦燥
 忍野と貢川の最初の出会は、3年前の入社式だった。何故か惹かれて興味を持つ貢川。片思いだと思っていたけれど、番の返事を受けて喜ぶ貢川。
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いちばんのしあわせ(心中)
「お前は今日から結のものだ 結の為だけに生きるんだ 伊智」
病身の結には、許嫁が居る。結が欲しかったのは、心。結の希みを叶える伊智。
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all things I know 「ファザー・ファッカー」
 サエは、メイの妻。僕の母。
 メイはサエの夫。僕の父ではない。
 僕の父は、マコト。僕が生まれる前に死亡。メイはマコトを愛していた。
 僕=真(シン)。メイを愛しているので父さんと呼べない。
僕は、メイと暮らしている。シンは実父のマコトに似ている。

---
書下ろし:貢川x環 他、

3

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