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kaerazu no natsu
短編集です。
表題作は、アンソロ『涙BL』に収録されていた作品だそうです。
いや、もう、号泣ですよ…。途中うるっと、そしてラストの攻めの涙を見て号泣。
これに関しては、核心的なネタバレになってしまうので、あらすじは書くのを控えます。BLを数多く読んでいたら、たまにこういう作品に当たるのですが、油断していたからちょっとキました。『涙BL』未読でこれが初見だったので、泣ける作品ばかり集めたアンソロジーにこの作品が入っているのを読んだ、というのとは違い、心の準備が足りていなかった。
他短編が3点。うち印象深かったものを。
『不機嫌なつぼみ』『咲き初めの焦燥』
オメガバースです。オメガバースにしては衝撃的な展開も、かわいそうな展開もない、可愛くて切なくてエロキュンな話でした。
同期で入社したαのエリートと、βの地味な社員。α攻めはβが好きでまとわりついてくるんだけど、βはそれをやや邪険にしています。でもお互いに、誰か別の社員に相手のことを悪く言われたらかばうという萌える間柄です。
あるときαである攻めに縁談が持ち上がります。それにショックを受けたβの身体にある変化が、という展開。
絵が綺麗で、和風のすっきりした顔立ちのキャラが多いです。普段は淡々としている、楚々とした風情の受けが乱れるところがすごくエロス。αなのにワンコな攻めも可愛いけど、受けがすごく可愛くて愛おしかった。ラストのオチにも笑いました。妹さん…。(笑)
あとは主従の話、義理の親子の話が入っていました。
評価としては表題作とオメガバースが神、あとが萌×2というかんじです。
タイトルからして痛い話なんだろうなあ…、と手に取るのをためらっていた作品でした。けれどちるちるさんの「BLアワード2017」にノミネートされているのを拝見して、どうしても読んでみたくなり購入。内容はすでに書いてくださっているので感想を。
短編集ってどのお話も短い。なのでツボに入る話だともっと読みたいと思うし、話に入り込めずに終わってしまう作品もそれなりにあったりするんですが。
うん、どのお話もとっても良かった。
なんだろう、しぐさとか、表情とか、たった一言の言葉だったりとか。そういったものの描き方が非常にお上手で登場人物たちの内面までしっかり読ませる作家さんなんだな、という感じ。
なので反対に言うと、登場人物たちに感情移入しすぎちゃってつらかった…。
どの話も切なかったり、痛かったり病んでたり。ハピエンと言えるのはオメガバースものの話だけではないだろうか。けれど読後感は悪くない。きっと、どの話も、愛情にあふれているからなのだろうと思うのだ。それが、決して他人に理解しがたい形であったとしても。
なのでもしかしたら読み手を選ぶ作品かも。甘々で、ほっこりした話を好む方にはお勧めできない。けれど個人的にはとってもツボでした。初めて読んだ作家さまでしたが、違う作品も読んでみたいと思います。
面白かった!短編が何話か収録されていたが全部面白かった!
1話目、切ない 死んだ彼氏が可哀想だけど生きてる人が大事になるのは仕方がないのかな?
2話目と3話目は繋がってて、3話目の最後のコマが笑えた 。
4話目、少し私には理解し難くラストは結局どうなってしまったのでしょうか?
5話目、息子は養父自身が好きでだが、養父は息子を通して息子の本当の父親が好き、何か可哀想だけど一応ハッピーエンドになるのかな?
巻末の書き下ろしも短かったけど面白かったです!表紙をめくって見比べると左の男の子がいないのと、右の男の子の表情が寂しいのが印象的でした。
この作品集以前は、可愛い系だったので、大人の耽美風の作品にチャレンジしてみたのだと思う。
読み返すと、自分自身の廻りで亡くした人の思い出と重なって来る。誰かの命日に読むと、ず~んと重くなります。
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還らずの夏(死に別れ)
陽にしか見えない若草。
二人で事故に遭って、若草だけで帰らぬ人となってしまった。生き残った事を責め続けていた陽。
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不機嫌なつぼみ(運命の番との出会い)
忍野が勤務先で出会った貢川は、初めて出合ったαだった。忍野は、発情が未だ来ないΩ男子、βに擬態。運命の番との出会い。
咲き始めの焦燥
忍野と貢川の最初の出会は、3年前の入社式だった。何故か惹かれて興味を持つ貢川。片思いだと思っていたけれど、番の返事を受けて喜ぶ貢川。
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いちばんのしあわせ(心中)
「お前は今日から結のものだ 結の為だけに生きるんだ 伊智」
病身の結には、許嫁が居る。結が欲しかったのは、心。結の希みを叶える伊智。
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all things I know 「ファザー・ファッカー」
サエは、メイの妻。僕の母。
メイはサエの夫。僕の父ではない。
僕の父は、マコト。僕が生まれる前に死亡。メイはマコトを愛していた。
僕=真(シン)。メイを愛しているので父さんと呼べない。
僕は、メイと暮らしている。シンは実父のマコトに似ている。
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書下ろし:貢川x環 他、
表題作の『還らずの夏』
線香花火のような儚くも美しい悲恋。
「終わらないで」と線香花火の灯りに願うように
彼らもまた2人の時間を終わらせたくないと願う。
儚く灯りが落ちた余韻は切なくて胸をしめつける。
裏表紙のデザインとカバー下を眺めた時、そう感じた。
物心つく前からずっと二人一緒。
この先もずっと、こんな日々が続くと信じていた。
最愛な恋人・田富 奈津を事故で失うも、
若草 陽の前に幽霊として現る奈津。
いつまでも続かない関係にお互い
このままじゃダメだと分かっているが
気づかないふりを続ける。
奈津くんは自分の身体が薄れていくのを感じていた。
だからこそ、自分の身体が消滅する前に
陽くん自身に自分ではなく他の誰かを選ばせる
必要があったのかなと思った。
そうでもしないと、陽くんは奈津くんの
後を追っちゃうから。
死んじゃってごんなぁと謝る彼の姿に
優しさと本当の愛を感じた。
『不機嫌なつぼみ』『咲き初めの焦燥』
オメガバースのお話。
まだ発情期がこないΩ・忍野 環はβとして
真面目に慎ましく生きてきた。
そんな忍野が会社の同期として出会った初めての
α・貢川 優馬と番になるお話。
『いちばんしあわせ』
使用人と御曹司の心中するお話。
母に虐待を受け育った伊智に
救いの手を差し出したのは御曹司の結。
ぬくもりも知らない伊智は、
結の為だけに生きる使用人。
結に「死ね」言われたら
命だって惜しまない伊智に
「側にいて」と結は言った。
結より先に死ぬくらいなら………。
伊智は結との約束を守るため
心中することを決める。
『All things I know.』
義理の親子の話。
息子のシンは、育ての父親であるメイを愛してる。
シンとメイは血が繋がっていない。
メイはシンの実の父親であるマコトを愛してる。
マコトはもうこの世にいない。
マコトの忘れ形見であるシンをメイは愛してる。
メイはシンなしでは生きられない。
そのことをメイは気づいていない。
だから教えなきゃ。
"All things I know."
読んでみて暗い結末が多いですが、
それは果たして物語の彼らはどうでしょう?
誰が"幸せ"なんて貴方が決めることじゃない。
自分自身が決めること。
そんなメッセージを感じる短編集だと
私は思いました。
のちの「ファザーファッカー」となる読み切りです。
この読み切りの方が、淡々として心に響きました。
主人公がメイを愛すること、そのために「マコト」になること。
その決意が、のちの作品より強く感じられました。
Hなシーンだけではなく、Hに到るまでも、作者の駆け引きのうまさを感じ取れました。
暮田マキネ先生の作品は全部好きですが、やり切れない切ない終わりが好みなので、特にこの短編集は好きです。
あとがきにもありますが、主に「涙(というか最愛の人の死)」・「オメガバース」・「心中」・「縛」の4つのテーマの短編が収録されています。
表題作品である巻頭の「還らずの夏」がまずめちゃくちゃ切ない。涙なしには読めないけど、これで暮田先生を好きになったとも言える。
登場する3人それぞれの気持ちも痛いほど伝わるし、3人ともが心から願う幸せになれないやるせなさにしばらく動けなくなるほど。
2〜3番目はオメガバースの「不機嫌なつぼみ」その続編の「咲き初めの焦燥」。
この短編集においてちょっと箸休めのようなほっこり作品で、あって良かった^^;
次は心中がテーマの「いちばんしあわせ」
悲しい結末ですが、このタイトルがしっくりくるなんとも言えない物語。
最後は一応家庭内恋愛の「All things I know.」
血は繋がっていない父子による執着系なストーリーなのに、父であるメイが抜けてるので、うっかり微笑ましく思ってしまう不思議。この物語の続編があるので、気になる方はぜひ!
そして、書き下ろしがそれぞれあって本編と違って癒されるんだけど、表題作のカバー裏はどーやっても切なくて、心臓がキュッとなる(T-T)
所謂ハッピーエンドはありませんが、定期的に読みたくなる大好きな作品です。
「はじめて、はじめました。」で初めて著者の作品を読んで、可愛いなと思って色々探ってるうちに見つけました。
短編集ですが、いちばんグッときたのは、表題作である「還らずの夏」と「いちばんしあわせ」。
メリバ系が好きな方は、スッと刺さると思います。
テーマアンソロジー収録の短編を集めた本。
「涙」「心中」「縛」が単独、そして「発情」と「オメガバース」が連作。
全体的に切ない系なのは、作者さんの絵柄や作風が地味目というか、とにかくみんな、伏し目がちだからかな。
その意味では、切れ長で伏し目がちな目元に萌を感じるって方には、超オススメ。
真っ直ぐな睫毛とか、星の入っていない小さめの黒目とか、目の下の隈とか、お顔の表情メインのエロが実に色っぽい。
オメガバース設定連作以外は、短いだけにちょっと物足りないところもあるけれど、適度にエロ切なくて、掘り出し物でした。
オメガバースのストーリー以外はどれも切なく少し病んでいる様に思います。
表題作の『還らずの夏』
二人が泣きながら「ごめん」とお互いに謝るシーンは、こっちまで胸が痛くなりました。悲しいけれど、前へ進むにはそれしか方法がないんだなぁ、と。
短編集なのであらすじは省きますが、息子と義父のストーリーはちょっともやもやしました。まず、母親がアレですが、真も父親の代わりと知りながら義父(しかもビッチ気味)を抱くのは結構爛れてますね。