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gyouten no kanata ni furu hikari
壮大な一族絵巻の完結編、その後編。
明治から大正、昭和、そして戦後へ……
長い苦難の果てに辿り着いた、それぞれの愛の行方、
タイトルの通り、まるで呪われたかのような一族の
光さすような結末が描かれた読みでのある一冊だった。
話は4つ。
『暁天の彼方に降る光』国貴編
1933年暮れ列車事故に巻き込まれて遼一郎を失った国貴。
駆けつけてくれたサラと共に、パリに向かうのだが……
『晦冥の彼方で待つ光』和貴編
こちらは戦後、狂信的な崇拝者に誘拐された和貴、
監禁されていた和貴を救いだした深沢だが……
『光降る彼方へ』
戦後4年、スイスでクラウディオと暮らす道貴は、兄国貴を探していた。
10年以上も音信不通、これで最後と思い定めて向かったリヨン郊外、
訪ねた農家で出てきたのは30前後の美女と小さな女の子だった……
『桜月夜』
最後はたった20ページあまりの小編、
明治28年の4月、国貴が生まれようとする日から始まる。
父としての自覚のない冬貴、伏見に名付けを頼む綾子、伏見の思い……
そして舞台は戦後へと移る。
冬貴と伏見が過ごすところに、国貴が見つかったとの電話が入り、
さらにそれから半年後、春の日差しの中で一族が揃う。
*
正直、二部以降は一部のドラマチックさは薄れたように感じていた。
同人誌を含めて、様式美と化していてそれはそれで悪くないのだが、
一部の持っていた濃密さをちょっと恋しく思ったりもしていた。
それでもやはり最後、激動の時代を超えてそれぞれの愛を確かめ
一族が揃った様を見ると、感無量!
*
遼一郎との長い長い流浪の日を越えて、国貴はようやく日本に帰り着く。
弱くて逃げるばかりだった和貴が、自ら望んだ訳ではないのに
清澗寺という重い家を背負わなければならなかった運命。
深沢に支えられながら、家を守り戦争を乗り越え、
血が繋がらないとはいえ子ども達を育て送り出し、
今やっと迷いも呪縛も捨てて深沢の懐で安らぐ日を得る。
そして最後を飾ったのは、私の愛する冬貴と伏見のおじさま。
一族が揃った日、冬貴の膝に上るひ孫を眺める伏見の心……
最後はその夜、月を眺める伏見の隣に寄り添う冬貴、
ようやくたどり着いた愛に、その二人の会話に、涙が溢れた。
円陣先生の美しい挿絵が、この壮大な一族絵巻を最後まで
見事に彩ってくれたことは、言うまでもない。
上巻による極悪な引きからの下巻です。
いったい全体この人達どうなるの!? という冷や汗展開で幕開けですが、もう最初っから飛ばしてますね。
異国での受難に続く受難に、いい加減心折れそうってところで本当にぽっきり心を折って下さった和泉さんには感謝したいです。
絶望の淵で慟哭する国貴の不憫っぷりにニヤニヤ……いえ、胸が押しつぶされそうな気分になりながら読み進めてましたら、ですよねーそうきますよねー、な安定のBL展開にほっとします。
正直ここにきてまだ風呂敷広げるのか、と驚いたものですが、NTR書きたかったのでしょうね……安藤のクソっぷりにイラつきながらも、不憫で健気な国貴とヘタレで全く動けてない遼一郎の関係に少しだけ萌えました。
最後の最後になって、BL攻のお約束が発動しましたが、どうにも私の中でこの攻はそこまでの魅力があるように思えなかったので、下巻は盛り上がった気持ちがしゅううぅと萎んでしまった気がします。面白かったですけど。
脇役がもの凄く魅力的で、そっちに持って行かれてた感があるのも残念でした。
そして和貴編も、これまた初っぱなからフルスロットル。
大概ヤバいやつだと思っていた鴉川ですが、大概とかいう次元の問題じゃないほどにヤバかったです。もう読んでて不気味を通り越してこわい。
話が通じないおかしな人相手に、和貴はよく頑張ったのではないかと……ぐるぐる同じとこを回ってた和貴CPも、この鴉川事件によって今度こそ丸く収まり、二人が仲睦まじく熟んだ泥の中にずぶずぶと沈んでいく様は、これだこれが読みたかったんだよ!!(転がり萌)という感じで、いやもう大満足でした。
そこからの兄弟再会、冬貴CPで締めという流れも最高に良かったです。
やっぱり清澗寺家を締めくくる最後の人は、この人達じゃないとね!
円陣さんの挿絵も、いっちゃん最後の二人の後ろ姿はもう何とも言えないほど神々しく、ここまで読んできて良かった……と満足のため息が漏れました。
この作品に出会えたことに感謝したいです。
第1部のラストが余韻のある終わり方で好きだったので、第2部完結編が出ると知った時に正直蛇足になるのではないかと思っていました。
上巻を読んでの感想は、国貴と遼一郎の別れや和貴の誘拐など、定番ネタだけれども1つ1つの描写が濃いので退屈はしないといった感じ。
第1部でわりと吹っ切れたと思ってた和貴も、年齢を重ねるごとに感度が良くなりすぎて逆にコンプレックスということで、1周回ってちょっと笑ってしまいました。
さあどう落とし所をつけるかとあまり期待はせずに読んだ下巻でしたが、3兄弟の再会シーン、冬貴に対して理解を示した和貴、他者に対しての愛情を言葉で表現する冬貴を見ることができ、心から読んで良かったなと思えました。
同人誌でも様々なエピソードが出ている本シリーズですが、この辺りの描写は商業の新書でなければ読めないものなので、このシリーズが好きな方にはぜひおすすめしたいです。
ただ、冬貴と道貴のエピソードは国貴・和貴と比べてだいぶ少なめなので、2人が好きな方には物足りないかもしれません。
挿絵は相変わらず素晴らしい。キャラの年齢がおそらくとんでもないことになっていると思われますが、あえて若い時のままになっているので現実に引き戻されることもないです。
余談ですが、和貴の貞操帯(これも挿絵あり)は深沢じゃなくてもびっくりです。
「この貞操帯では、あなたの◯には◯◯放題ですよ」というセリフは笑ってわずにいられませんでした。
リンクス2016年5月号に後日譚が載っていますが、シリーズ完結後にこの短編だけが収録される新書が出る確率は低いと思いますので、今のうちに購入した方がよさそうです。重版もかかったようなので今なら入手しやすいと思います。
内容は、道貴がDIYで家族のために椅子を作製するところから始まり、家族全員のエピソードが書かれています。
↑と、頭下げて拝みたくなるほど感動的な最終巻でした。
元はといえば監禁される和貴が見たい!!と不純な動機でここまで目指してきたのですが、その気持ちが満たされまくるどころか、深沢と和貴…二人が辿り着いた愛の形に圧倒され胸がいっぱいです。
鴉川さん…屈辱的なやり方で事を進めていきましたね。
結構ガッツリと書かれていて、監禁ネタ好きな心を揺さぶられました。
おまけに挿絵の破壊力といったら…今までで一番好きです……もう何度見返したことか…・
エゴイストなお姫様の貞操帯姿には純粋に声を上げてしまいました。
しかも、排泄も何もかも全て管理してほしいって、あの彼が!そんなこと言うなんて…
二人らしさの魅力を失わずとも落ち着いた甘さ感じる姿からはとにかく幸せ感じて…私もとっても幸福です。
あぁ、感極まりすぎるともう何も言えなくなるんですよ…
わざわざ文字にする必要ないよ、読んで感じてあまりの素晴らしさに悶え転がって…って。
とにかく出会えて良かった…マイベストセラーの一冊だと心から言いたいです。
ついに最終巻か……
長かった、実に。
倦怠感がありつつも、大きな満足感に浸されています。
やった事はないのですけれども、フルマラソンを走った後ってこういう感じじゃないのかしら?
前巻読み通した結果、一冊ずつを読んだ後には感じなかったこと、考えなかったことがあったので、この本の感想と言うよりはシリーズ全体を通した感想となります。
なんだかんだ言って一番感じているのは『人の心というものは、いつも一定の形を作っているわけではなく、乱れたり流れたりしながら変わっていくものだし、そもそも、ひとつの言葉で言い表せるものではない』ということかなぁ……
愛しているから憎む、嫌悪する。
認めてもらいたくて突き放す、逃げる。
何よりも大切だから壊す、捨てる。
清澗寺家サーガの男どもは理不尽なほど面倒臭いです。
でもそれは、間違いもなく私の中にもある感情で。
「本当のことを言ってしまえば良いのに」と何度も思いました。
でも言わないんです。
意地を張って言わない場合もありますが、それだけではなく相手を想ってのこともあるし、場合によっては『本当のこと』が自分に解っていないこともある。
実は後者が、結構多かったりもします。
自分でもよく解らない感情というものに振り回されて、人間は愚かな行為を繰り返すものなのだなぁ……
でもそこで人は生きていると思うのです。
性愛を伴うものばかりではなく、ポリコレに則ったものばかりではなく、袖振り合っただけの中でも、逃れられないほどの濃密な血縁の中にも、高貴な魂を持った人でもゲス野郎でも、人と人との関係の中に生まれる感情が新たな関係を生み出していくその場所が、私たちの居る所なのだと思いました。
抽象的な話を書いてしまって申し訳ありません。
でも、こういうことを考えてしまったんですよね。
そして、そこに愛はある。
愛という概念を持ち得ない冬貴の心にさえ、愛は存在している。
それを象徴するシーンが書かれていたことに、激しい感動を覚えました。
これだけ性愛まみれのエロエロ物語なのに、それも『たったひとりの運命の人』と番う話であるのに、そのラストが恋愛の大団円の終結ではなく『脈々と続く人の営み』を示唆するような結末で締めくくられるのは予想だにしませんでした。
個人的な感想ですが、後半の『化け方』がとんでもない長編連作です。
読んで良かったですよ、いやホント。