終わりなき夜の果て 下

owarinaki yoru no hate

終わりなき夜の果て 下
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神16
  • 萌×25
  • 萌1
  • 中立0
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
4
得点
103
評価数
23
平均
4.5 / 5
神率
69.6%
著者
和泉桂 

作家さんの新作発表
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イラスト
円陣闇丸 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
シリーズ
この罪深き夜に
発売日
価格
¥998(税抜)  
ISBN
9784344820708

あらすじ

清澗寺伯爵家の長男の国貴は、軍を裏切りながらも密かに生き延び、一族を捨てて恋人の遼一郎と上海で逃亡生活を送っていた。国貴は素性を偽り、つましくも幸福な日々を送っていたが、遼一郎がまたも秘密を抱えていることに気づく。不安が増す中、国貴は弟の道貴に見つかってしまい…。雑誌掲載作に加え、道貴のクラウディオと甘くも激動の日々を描いた書き下ろし作品、初代伯爵・貴久の掌編を収録した、清澗寺家シリーズ第一部完結編・下巻。

表題作終わりなき夜の果て 下

成田遼一郎
清澗寺国貴

同時収録作品せつなさは愛の妙薬

クラウディオ・アルフィエーリ
清澗寺道貴

その他の収録作品

  • 幸福な朝
  • 暁闇
  • あとがき

レビュー投稿数4

本編もいいが、貴久と嵯峨野の話が好きですー。

清澗寺家シリーズ第1部最終話の下巻。
好きなCPのお話から読む、という方もいらっしゃるかもしれませんが、時系列的には前から順に読んでいくのがベストかと。
「暁闇」だけは別ですけど。
それまでの3作は順に時間が進んでいて、それぞれはその前の作品の余韻を含んでいます。

「終わりなき夜の果て」(後編)
先にCDを聞いているので話の流れはわかっているのですが。
やはりそこは文字だと入ってくる情報量も多く、CDでは細かい部分でカットされているところとかもあって(細かい流れには関係のない部分で)そういう詳細な部分が知れて良かったです。
個人的に気に入ってるのが国貴と遼一郎が清澗寺家から抜け出す時の風呂場に繋がる通路。
CDではカットされていた部分ですが、この通路が出来た理由とかがなんともらしくて。
それで作ってしまうのだから、さすがというかなんというか。
メインは国貴と遼一郎の絆の物語でもあるんですが、これはやはり清澗寺家の家族(+恋人たち)の絆の物語でもありました。
やっぱり好きなのは国貴と和貴の兄弟のシーン。
それまでのそれぞれに抱えていた思いを氷解させる時間になってて。
それでも、どんな時でも深沢だけは独占欲万歳なところがあって『NON歓迎』で。
ホント、深沢ったら…。

「せつなさは愛の妙薬」
クラウディオ×道貴
国貴たちを見送った後、アメリカにやってきた2人のお話。
この2人に関してはなんというかいつでもどこでも平和にイチャラブで暮らしているイメージがあったので。
というか道貴があまり悩んでいるイメージがなかったので、今回のお話で将来のこととかいろいろ悩んでいることに、誰しも平坦には進まないものだなぁと思いました。
年が離れているせいで早く釣り合う立派な大人になりたいと思う部分があって。
普段の道貴ならきっと簡単に相談したり話し合ったりできるような話題でも強がってしまう部分があって。
それが逆にお互いに不信を抱くに至って。
4年近く一緒に暮らしていて喧嘩もしなかったくらいの関係に亀裂が入って。
それでも、それぞれが本当に信じている部分はちゃんとあって。
素直になればいいだけの部分があって。
弱さを認められるのもまた大人で。
最後はやっぱり甘々。
というか、クラウディオのセリフはどれもこれもがフツーに聞いたら「ヒーッ!!」と思うほどに気障ったらしい甘やかな言葉ばかりで。
さっすがイタリア人☆と思わざるを得ません。
当然のように脳内には諏訪部ボイスが付き纏います(笑)
それをすんなり受け止められる道貴もまたスゴイなぁと思ってしまったり。
あと、この物語では時代背景として世界恐慌が盛り込まれてます。
なんか歴史の授業で習った事件?とか出てくると現実味が帯びてくるというか。
ホントに清澗寺家ってあったんじゃないだろうか、なんて錯覚しそうになりますね(笑)

「幸福な朝」
遼一郎×国貴
道貴たちが新天地へと旅立つのをひっそりと見送った後のお話。
とりあえず、国貴がかわいくなってます!
あの厳格な国貴はどこに(笑)
徐々にシリーズが進むにつれて、というか「終わりなき~」後編あたりから遼一郎に対して、傍目に見てもかわいい部分が増えてきたような気はしていたのですが。
今回のラストの遼一郎が「我慢します」と言った後の答えがかわいくて困りました。
なんだ、我慢しなくていいんだ!(笑)
素直に欲しい時に欲しいと言えるのはなんだかいいことだぁと思いました。

「暁闇」
貴久と嵯峨野のお話。
これスゴイ好きです。
というか、貴久と嵯峨野の関係性が好きなんだと思う。
この2人の間に流れる独特の空気感。
身体を繋ぐことはなかったにしても、友情とかそんなものでは片付けられないもっと深い情のような絆のような。
ある意味、それぞれが「唯一」で「つがい」であったのだろうと思える部分が多くて。
嵯峨野の方がそうであろうことはこれまでのお話の中でも感じられる部分はあったのですが、今回のお話では貴久の中にもそう感じられる部分があって。
はっきりとした言葉では全く語られないけれど「特別」であるのは確かなんだろうな、と。
駆け引きめいた言葉の中に織り交ぜられる真実のような言葉がステキ。
プラトニックなもので構わないので、この2人のこれまでのお話をじっくりと読んでみたいと思わせられました。

和貴さんCPの次に好きなのは、この貴久と嵯峨野だと気付きました。
またこの2人のお話を読めるといいなぁ…。

そうそう。
「せつなさ~」では第2部に繋がるともいえる鞠子の兆しに道貴が気付いてたようです。

4

素晴らしさしかない

第一部完結編という言葉にふさわしいたっぷりの内容です。

家族が集まるところはほんとーーーーに感動しましたし次男推しなのですがもう全員愛おしくて…頭も胸もどうにかなりそうでした。
一人一人丁寧に描かれていたお話が一つにまとまり全員集合の流れはどう考えても胸熱じゃないですか。
恋人含めた清澗寺一家…が本当の家族であるとこんなに強く思わせてくれるとは……和泉さんの力あってこそですよね。

先にドラマCDを聴いていたのですが、細かな部分も読む価値ありまくりなのでセットで楽しんでほしいと思います。

道貴がとてもイケメンに成長していて…クラクラきました。
一番最初は次男目当てだったのに、いつの間にかどの人物からも目が離せなくなっていました。

何年経とうが読まれ続けてほしいシリーズだと強く思います。

1

未来に目を向けて

前半と続けざまに読みましたが、後半のほうが楽しめました!
神評価に近い萌×2です。
前半が内向き(家の中)の話なのに対し、後半は外向き(世界)な話だからでしょうか。

前半は長男・国貴と遼一郎のお話。
上海で暮らす国貴と遼一郎ですが、逃亡生活も遼一郎の体調の悪化から終わりが近いと感じ、国貴は自首をしようと1人日本を目指します。
家族との再会と、再び新天地への旅立ちのお話です。
後半はクラウディオ×道貴で、2人もまた、家族に別れを告げNYへ旅立ちます。そこで国貴達とニアミスするも、再びヨーロッパへ旅立って行きます。

困難や苦難もこの先大きい予感がするのに、それと同じくらい解放感や希望のある一冊でした。

1人家に残り、旅だつ家族を見送る立場にある和貴も、前半と違い客観的に見るとなんて立派でいじらしくて可愛いキャラクターなのか。
寂しいと泣く姿もすごく胸を打ちました。
おぞましい一族、みたいなニュアンスが何度も出てきますが、こんな可愛い一族ないよ!ていうくらい本当に可愛い兄弟達です。
恋愛小説ですが、家族愛が詰まった一冊でした。

海外で暮らす日本人は今と違って、ただ生きていくだけが困難な時代。
「愛する人と生きていく事だけ」をただ目的とした旅の果ては、(時に国貴と遼一郎)はどこに行き着くんでしょうか。

国貴も道貴もまだ長い旅の途中の気がします。この先のこの2人の動向をちょっとでいいからまた見たいと思ってしまいます。
二人とも可愛いのにベッドでは官能小説並みのえろさでそこもまたギャップがあって 良い作品です。

4

新生『清澗寺家』の誕生

上巻は『グランドフィナーレ』感が満載で、第一部のラストに向けた「読者サービス?」と感じる部分もありましたが、下巻は『今まで広げたお話を綺麗に畳んだ』という感じです。
その畳み方が、実に整然と美しいのです。特に表題作!

物語の中では容姿も性格も異なる兄弟として描かれてきた国貴と和貴ですが、こうしてみるとよく似ています。自己犠牲という名のもとに自分を投げ出し、全て一人で解決しようとするところが。
そういう二人の様を見る度に「話し合えよ!」とイライラし「やっぱりこの物語は私に合っていないや」と舌打ちし、彼らが何かを掴んだと思えば過度に期待し、そして、裏切られて臍を噛んで来たのですが、
やっと報われましたーっ!

手前勝手な思いを押し付け合うのではなく相手を思いやることや、肩ひじを張って強がるのではなく相手を信頼し弱さをさらけ出すことが必要だと、二人が思えてよかった。
自己肯定感の低さではピカ一の二人ですから、まだまだ何度もブレるでしょうけれど、とりあえずそこから始めようと思うことが、家や父という概念の呪縛から解き放たれる第一歩だと思うのですよ。

二人がその境地に達した途端、貴久(二人の実のおじいちゃんですね)が予言した「清澗寺家は冬貴で終わる」という予言に反し、あの冬貴も含めて家族の絆というか、そこまで確固たるものではないかもしれませんが『それっぽいもの』が現れた様に感じて、大変面白かったです。

長かった第一部。
全編を読み終わった今、私が感じていることは『肉と心は一つのものではない』ということです。
それと同時に『心が肉を伴い、肉は心に影響する』とも思わせられました。
一部、読み進めるのがしんどかった所もありました。
長大なメロドラマと言われる本作ですが「単なるステレオタイプな物語ではないよなぁ」と、最終的には感じた次第です。

3

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