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airen no ori
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
『愛煉の檻 紫乃太夫の初恋』の2作目にして完結編。続き物なので前作を読んでいないと理解できません。未読の方は前作を読んでからこちらを読まれることをお勧めします。
さてさて、楽しみに待っていた続編である今作品。ちょい厚めの、読み応えのあるページ数。なるべくネタバレしないようにレビューを書きたいと思います。
前巻で謎だった部分が明らかになっていきます。
紫乃が「天才」と言わしめるほどの刀匠としての腕を持ちながら陰間へと身を落としたのはなぜだったのか。
妖刀を手にしたことで鬼へと変貌してしまった不老不死である妖刀鬼を殲滅させるための方法とは。
紫乃自身が持つ、鬼の『秘密』は何なのか。
紫乃とミハエルの恋の行方は?
鬼の血を引く紫乃が、妖刀を生み出してしまった理由に気づいた時の、彼の葛藤と絶望を思うと胸が詰まりました。
刀匠として刀を打ちたいと願う気持ち。
ミハエルとの、恋の証として生まれてきてしまった妖刀への想い。
ミハエルへの恋慕の気持ち。
そして、妖刀鬼を滅するために、若干21歳の紫乃が出した答え。
誰に打ち明けることもできず、葛藤の中、紫乃が導き出した彼の覚悟が切なかった。
そしてそんな紫乃を守るためにすべてを投げ出すミハエルが超絶にカッコいいです。胸の内を見せない紫乃の気持ちを汲んだうえで、親友である時宗の力を借りつつ少しずつ真相に近づいていく。
紫乃もミハエルもカッコいいのですが、脇を固めるキャラもとても好き。
お坊ちゃん育ちで気の良い時宗。もう少し彼に活躍してほしかったなと思ったりしました。
そして紫乃の側仕えの千景。彼の紫乃に対する忠誠心と恋慕の情に激しく萌えてしまった。
最終的に、望んだものすべてを手に入れることのできない二人ですが、何を投げ打っても手に入れたいと願ったものはお互いだけ、という二人の恋心がすごく良かった。これからずっと、二人幸せでいてほしいと願ってやみません。
そして、小山田さんの挿絵は今回も神だった。表紙なんか鼻血が出るかと思うくらい素敵…。画集出してほしいなあ。大きな絵で堪能したいです。
お互いを信頼し、自分のできることで相手を守りたいと願う。そんな二人の想いに胸を打たれました。
文句なく、神評価です。
陰間の恋を描く一味違ったこのお話がいよいよ完結編と聞き、ものすごく楽しみに待っていました。
前作にてけっこう壮大な設定だったので、逆に完結編なんだ!と感心した半分、一体どう収集つけるんだろう…と思っていたのですが、まったく不安要素もなく、天晴れとしか言いようがありません。
陰間でありながらも『処女太夫』である忍。
寝子客ばかりを相手にし、後ろを許すのはただ一人。
紫ばかりを着る忍にとって緋色を纏うのはミハイルのためだけ、というところがなんだか可愛いポイントだなぁと。
今回、覚悟していた通り、もの悲しくやりきれない背景に胸を痛めることが多かった。
妖刀鬼を滅ぼす為に忍が決める覚悟、どんな結末になろうとも忍を選ぼうとするミハイルの覚悟、二人を弄ぶように動く黒幕の思惑…。
純粋な気持ちから打った刀が、欲を抱えた人を妖刀鬼と変えてしまうことに、忍がどれだけ胸を痛めたか。
そしてすべてを終わらせるにはそれしか道がないと理解しながらも、ミハイルと生きたいと思ってしまう忍の切なさがすごく苦しかった。
でもやはりミハイルは偉大な男です。
忍の命を選ぶときっぱりと言い切るのですから。
二人をつなぐ絆は深く、お互いがお互いを迷いなく信頼しあっているからこそあの刀は生まれ、そして宿命に抗う力を得られたのかと、そう思わずにはいられない。
すべてが終わったとき、失ったものは多かったけれど…一番大事な、何にも代え難いものはちゃんと二人に間に残りました。
ミハイルの命が尽きる、その時は。
きっと忍はついていくことを望み、ミハイルも忍を連れて行くのでしょう。
唯一、愛する者の手で最期を──。
どうかそのときまで、ラベンダー畑に囲まれて、穏やかに暮らしていけますように…。
感無量・・!!
一巻読んで、「続きかよッ!」と、怯んだのも去年の事・・
この続きが出るのを、悶々しながら待ってましたーーー!
もう色々謎過ぎて、どう収拾つくんだこの話・・!と、悶々、悶々!
しかし、読み手を飽きさせない展開や書き方は、さすがです。
こういうファンタジーものは、その世界観にどれだけ読者を引き込めるか、状況を理解させる事が出来るかって事だと思うんですけど、今回、花魁もの独特の用語使いや言葉遣いには萌えました!
だって、「銀欄緞子(ぎんらんどんす)」ですよ!?なにそれ!?知りたい!!(笑)
部屋の中に、大縄に鈴が付いてるやつが天井からぶら下がってるとか・・
それだけで、なんかエロい!!
「緋襦袢」とかは定番ですけど・・「六尺褌」とか・・「紫襦袢」とか、もう言葉萌えですね。
特に唸らせられるのは、情事の描写。
お股のアソコらへんの多種多様な言い回しは、本当に勉強になります。
豪華絢爛多彩です。お布団なんか3枚重ねwww
唇に水飴塗って待ってるとか、それを相方が舐め取るとか、なんとも色っぽくて、想像力を掻き立てられます。
またイラストもすごくて・・(笑)
始め字で想像しつつ、そのうち表れる挿絵(まさに挿入絵!)を見て、「これかよ!」と身悶える私。
ミハイルの軍服姿だけでも、グッとくるのに、忍の足の付け根に絡む褌とか容赦ない。無表情で読むのムリ!
もう設定とかで鷲掴みされちゃってる自分が、言うのもなんですが。
読後感、最高。
途中、途中、辛い事もありますが・・まあ、そこでメッチャ身悶えつつ、悲劇で終るわけないからとページ数をチェックしながら読み進め、絶望的状況からの救済処置にガッツポーズし、とにかくラストまでの駆け足は、読んでて楽しくて仕方ありませんでした。
あとがきに、その後はこうなってるだろうっていう、おまけまで付けて下さって、本当しあわせな気分で読み終われました。
ラストの締め方って人それぞれですが・・
やっぱ「面白かったーーー!」で終りたいですよね!
いやー、ハラハラした。
かなり滾りました(色んな意味で)。
ガッツリネタバレしますので、ちょっとブランクを空けます。
味方をしてくれていた人達に危害が加えられ始め、忍のメンタルはかなりやられてしまいます。
「自分が死ねば眷属である妖刀鬼も現れなくなる」という解決方法を忍が考え始めた時、これはヤバイと思いましたですよ。「あれ?悲劇?悲劇で終わっちゃうの?」と、結構本気で覚悟しました。
ただ、そんな中でちょっとばかり希望が持てたのは、この2人の再会に妖刀鬼側がかなり深く関わっているのが次第に明らかになってくるから。
妖刀鬼側にとっても、刀を生み出す忍と彼の想い人であるミハイルは『なくてはならないもの』だということが解ってくるんです。
ただ、彼らが2人を必要とするのは『道具として』なんですよ。
「これなら希望があるんじゃないか」と思った矢先に残酷シーンが……
妖刀鬼達に監禁された2人が、情を交わすシーンの激しさは白眉!
こんなに切羽詰まって互いを必要とする濡れ場を読んでしまったら、滾らざるを得ません。『ギリギリの処で交わされる愛』を描いた名濡れ場だと思います。
また、妖刀鬼の謎が解けていき、解決の方法を希求する処も手に汗握ります。
特に、クライマックス!
まあ本当に、絶体絶命のあの部分で、ああいう解決方法をとるとは……
ここを読んで感じたのは、この物語は残酷な部分も併せて『壮大なお伽噺』だということなんです。
私は出版年月日を前後して先に『官能童話シリーズ』を読んでいたものですから、この辺がとても「犬飼さん的だな」と思いました。
魔法なんですよ。悪い意味ではなく、魔法が発動するの。
それも、愛による魔法が。
カタルシスが半端ねぇ!
欲を言えば、ミハイルと妖刀鬼の戦闘アクションシーンをもう少し読みたかったのですが、その部分を差し引いても大変満足いたしました(一喜一憂、ハラハラドキドキして読んだので大層疲れましたが)。
加えて、小山田画伯のイラストの大迫力も凄かった。
線の力が画面から飛び出してくる様で、力負けしない様に頑張りましたとも。
「面白い本を読むのには体力も必要なんだなぁ」と思わせてくれた、渾身のシリーズでした。
前作でミハイルと忍が結ばれたものの、忍は不死身の鬼で、しかも自分が作った刀が眷属として妖鬼を作り出していることを悔やんでるんです。
そして、同じく鬼だった父親は死んでしまったわけで、そこには謎があるはずだと考えます。
(忍自身は何度も死んでますが生き返ってしまう)
ミハイルと生きていくことを考えつつも、死ねば妖鬼も死ぬわけで、それで幕引きしたい忍となんとか解決したいミハイルの想い。
千景はイイヤツでした!
実は昔、顧客リストを盗み出したのは千景で、千景の元忍びを活かして活躍します。顧客リストを突破口にストーリーは展開していきます。
最後は圧巻のミハイルの愛と忍の想いで妖鬼達は絶えることに。そしてみはの故郷で野菜を作りながら幸せに暮らします。最後が野菜づくりに至るのがオモシロイ!
野菜を持った妖鬼(笑)
その後の二人をとっても見たくなりました。
遊郭もの和製ファンタジー後編です。
旭日国という架空の国の帝都が舞台。
幕末位の日本に似た感じの世界感で、帝都郊外の海に浮かぶ孤島吉原の奥に、男娼ばかりがいる奥吉原があるという設定。
受け様は大店の御職太夫、忍。
10代で人間国宝になった天才刀匠だったのですが、鬼の血をひいている為に、忍が作った刀を手にした人間が人を殺す悪鬼になってしまう悲劇が起こり、奥吉原で身を潜めて生きている。
攻め様は旭日国の同盟国、アルメルスの貴族軍人ミハイル。誇り高い剣豪で、少年時代の忍と出会い、恋に落ちる。
前編では、忍の刀が妖気を持ち悪鬼を生み出すようになってしまったのは、ミハイルと出会い恋をして、鬼として成熟したからだという事が判明。
人を愛しただけなのに。愛したことで鬼として成熟した忍の妖気が刀に宿ってしまい。忍が鬼魄を込める対象が刀で、愛した相手が剣豪だった為に、その妖刀を手にした人間がミハイルに似た殺傷能力の高い鬼になってしまう。
忍は自分の罪業に苦しみ、ミハイルへの愛も捨てられず、とても切ないです。
そして後編。
完結編とあるけどこの設定全部書き切れるの?って思ったのですが、さすが犬飼先生。
伏線をぐいぐい回収しまくり、きっちり書き切ってます。
そこがそうきたか!と思いつつ、その判明する事実が悲しくて。
忍もミハイルもとてもとても辛い目に遭うし。
読んでいて、切なくて胸がつぶれそうになりました。
ミハイルと忍は求め合っているのに一緒にいられない事が多くて、それも辛くて。
物語として間違いなく名作なのですが、個人的な好みでもうちょっと糖度が欲しかったので萌2です。
愛より切なさの方が上回ってしまいました。胸が痛い。
甘さより、胸を締め付けられる様な切ない物語が好きな方には全力でオススメします( ´ ▽ ` )ノ
2015年刊。
物語の折り返し点だが妖刀鬼の謎、黒幕の正体、ミハイルと忍の恋の行く末等、想像力が追い付かないので、あれこれ詮索せずに読み進めた。
忍が故意に隠している事があっても真実を追うミハイルの知るところとなるが、すれ違う前に敵方の新たな陰謀に巻き込まれていく。
後半にきてピッチの早い展開だが、一気に読み進めていく分には不満はない。
ただ、忍にとって自身の打った旭日刀・雷斬に子供同然の感情が湧くというのは分かるが、雷斬の影響を受けて妖刀鬼に変わってしまった者にも我が子のように捉える?辺りがいまいち理解できない。
最後に鍛刀できた旭日刀に秘められた魂が使い手・ミハイルの魂と呼応して…って展開も納得できるが、彼と再会する前に忍が打った雷斬には何故妖刀鬼を誕生させる力があったのだろう?
過去から最後までの忍の鍛刀には疚しい邪念が籠る隙が無かったようなのだが…
恐らく、この辺りは鬼の血とか明かされる事の無かった謎に関わってくるので、読み手の一考に任せられてはいるのだろうね。
この話は"刀に込められた魂"ってのが鍵になってくるのでは、と自分は思うのだが、どうも想像が追い付かない…
犬飼さん作品を語る毎度の誉め言葉だが、キャラクターは勿論、物語上の世界観、舞台にも惹き付けられる。
今回遊郭要素ってのはこの話のメインではないにも関わらず、奥吉原という舞台設定は魅力的だった。
元は忍が素性を隠す為に潜んだ地ながらも、その地で良好な関係を築いていた様子が伺える。
最後まで粋な伊達男ぶりが周囲を魅了していたんだね。
前巻ではそこで忍の男臭さが抑えられていてちょっと残念とは感じたのだけれど、見方が変わった。
再び奥吉原に戻ってからの忍は、一時でも世話になった場所にて"飛ぶ鳥跡を濁さず"のような心意気のように感じて素敵だなと勝手に自己変換したのだった。
ラストの締め括り方も素晴らしい。
騒動が収まったとはいえ、若くして晩年を迎えているような二人には僅かに寂しさも感じるが、作者あとがきのようなアフターストーリーも覗いてみたくなってくる。
前巻がとても面白かったので今作も期待が膨らんだのですが、読んでいくうちに疑問がわいてきてモヤモヤが残りました。
それは、妖刀鬼事件の犠牲者についてです。
忍とミハイルが出会い、強烈に魅かれあったことが発端となって生み出されてしまった妖刀鬼。
妖刀鬼事件の犠牲者(遺族含)に対して、この2人は何らかの形で関わっていくのかとても気になっていました。
しかし事件後の旭帝国については触れられていませんでした。
様々な人達が巻き込まれた事件にも関わらず、メインカプの間だけで話が終わってるように見えたのが個人的にすっきりしませんでした。
お墓参りすらしないのかな?
BL的には何の問題もないと思うのですが、どうしても"罪のない人達が犠牲になった”という後味の悪さに引っかかってしまって納得できない部分が残ってしまいました。
忍も自責の念にかられるなら、なんでその気持ちを行動に移さないのだろうと思います。
状況的にできないのだとしても、逆にアルメルスで心機一転できるものなのか疑問に思いました。
そういった所が忍の刀匠としてのプライドや責任のなさに見え、ただ悔いてるだけのよう見えました。
個人的に、悔やんでるだけの状況というのは自分が幸せになることに罪悪感を抱いたりするので忍が理解できませんでした。
事件解決後の2人の新たなスタートは素晴らしいと思いますが、事件をぶっつりと切ってしまったようにも思えて不自然に感じました。
事件が解決されても傷は残ります。
人々に残された傷をもう少し丁寧に書いてほしかったと思いました。
それでも最後までその世界観に引き込まれた素晴らしい作品でした。