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kageri ni komorebi sorekara midori
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
大正時代を舞台にした、若き伯爵の不自由な恋のお話。
お話を作るのにあたって、恋を不自由にする道具として、家とか、身分とか、登場するキャラがいろいろ言い訳しているけど、絵からはそれほど時代感は感じられないので、あんまり時代背景とかは気にせず、寧ろ、しがらみを言い訳に恋から逃げていた臆病な男が勇気を出して自分の恋に踏み出す、そんな単純な、いつの時代でも通じる恋のお話として楽しんだ方がいいと思う。
黒木が有馬への恋情に葛藤して、右往左往して、いろいろ辻褄の合わないことをしてみたりっていう中盤まではじっくりしていて良かった。
ちょっとした目線のやりとりとか、触れるか触れないかのささやかな接触に密かなエロスを感じさせるジリジリ感とかね。
でも、大震災後に行方知れずだった有馬を捜し当てて、ようやく再会した二人がそのまま盛り上がって…っていう、BL的にはメインディッシュなエロの辺りがなんだか駆け足でちょっともったいなかったかな。
大正時代、伯爵家に生まれた黒木は幼い頃から自分は伯爵家の跡取りという立場であり、繁栄の駒でしかない事、自分にそれ以外の「個」は求められていない事を知って育ってきた。
しかし、晩餐会でかつての学友・有馬と再会してから彼に惹かれていくのを抑えられないし、有馬も黒木に惹かれているのですが、家のことを考えると男色に走るわけにはいかず、黒木は妹と有馬の縁談を進めようとします。
この理由がせつないです。あらすじに「歪んでいく恋心」とありますが、確かにそうなのかもしれないけど自分ではどうやってもかなえる事の出来ない望みを託すしかない黒木を哀れに感じます。
ただ題材的に、大正時代の今とは比べものにならない家長制度、伯爵家という立場、禁断の恋、関東大震災というかなり濃い題材を詰め込んでいるわりには、お話のスケールがちんまりしているなぁと。
息苦しさや、盛り上がり、激動といったものが少々欠けていて、へ?もう終わってしまったの?と思ってしまいました。
明治から大正時代にかけてのお話。これくらいの時代って、かつては爵位とか財閥の話は余り詳しく描けないと聞いた記憶が有ります。以前は、存命されている人もいるから、との理由だとか。(うろ覚えかも)
でも、さすがに今は描きやすくなっているのだと思います。
爵位とか、財閥とかの方々は自由に恋愛が難しかったでしょうし、何よりも男色も江戸時代より制限されたんだろうなぁ…
性別で性差の行動が制限されて、今よりずっと辛く感じていた人もいたのだろうと想像するのです。
黒木も伯爵位をもち、お家存続のための駒と自覚している。だけど、学生時代の同級生、有馬に解決しがたい感情を持っていたのですね。
有馬は、有馬で思わせ振り。
じれったいけど、難しい感情を相手にぶつける怖さは、強かったんだろうと…
ところで。このお話は、上下巻くらい有るボリュームだとしっくり来そうです。明治から大正デモクラシー、関東大震災の辺りのエピソードがじっくり有ると面白そうだと感じました。
黒木と有馬が、変わっていく時代を互いを信じて生きていくのが読めたら最高かも。イチャイチャをおかわりしたい~!
みよしあやと先生は作画が丁寧で、読みやすかったです。
大正時代が大好きなので、初読みの作家さんですがこのネタは迷わず購入。
ワクワクしながら読みましたが、う、うーん。
ごめんなさい。私には合わなかったかも。
悪くはないのですが、激動の時代の禁断の恋の割には盛り上がらずになだらかに終わってしまいました。
確かにあらすじ通りなんですよ。ただ「どうしようもなく」とか「痛いほど」とか「押し殺す」みたいな、激しい感情の動きが二人からは読み取れませんでした。
描きたいものは分かるのですが、もう少し勢いが欲しいなあ。
特に時代ものは、大袈裟なくらいでちょうどいい気がします。
そういう起伏が激しいお話が不得手な作家さんなのかもしれませんが、だとしたらネタ選びや話の運びを考え直した方がいい話が描ける気がします。
玉響に似てるという話題が出ていましたが、私は似てるとは思いませんでした。
大正時代と言う設定があまり好きではなくてどんなものかなぁとマイナスイメージから入りましたがそれほど難しさはありませんでした。伯爵と言う地位とか、家長とかが今の時代のものより障害になっていて、どう落ち着くのかなぁと思っていたら、まさかの震災。そーきたか!って感じでした。確かに、あれを体験したら体面とか体裁とかどうでもよくなると言うか、後悔しないように自分に正直に生きなきゃと思うんでしょうね。
妹もしっかりした子で最後まで予想通りだったし、主人公だけがうじうじしてましたね。惜しむらくは有馬君が主人公の黒木君にひかれたところをもう少し掘り下げて細かく書いてほしかったかな。