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sorekara kimi wo kangaeru
短編集でここまで心打たれる本は初めてかもしれません。
4作品が収録されています。
切ない余韻が残るハッピーエンドじゃない話も、
ちょっとバカっぽくて可笑しい、でもキュンとくる明るい話も、
シリアスで現実的な題材の、夜明けの光があたたかで感動的な話も、
どれもこれもそれぞれにとてもよかったです…
キレイ過ぎないアナログなタッチも、
話に説得力と現実味を出していて、雰囲気があって、好きだなぁ。
■表題作「それから、君を考える」
生まれ育った田舎を出てどうしても東京の大学に行きたい…
そう願い、煮詰まりながらも懸命にひたすら受験勉強に励む受け。
笑顔で応援し、支えてあげつつ、
そんな受けに片想いをしている幼馴染みの親友(攻め)。
受けが受験に合格すれば、ふたりは離ればなれ。
それでも、
過疎化する何もない田舎町に残り、家業を継ぐという攻めが、
その理由を穏やかに語るシーンは、強く胸を打ちます。
それをあのタイミングで知った受けはどんな気持ちだったろう…
タイトルの意味を考えながら、想いを巡らすと余計に胸が苦しいです。
■「最後の命令」
同窓会に集まって、そこに姿を見せない、
高校時代のある同級生との過去に想いを馳せる短い話。
挑発的に命令をしてくる同級生、
その命令はやがて色欲が絡むようになり、そして最後には……
今も忘れられない彼への強い想い……余韻が切なくも美しく残ります。
■「Young oh! oh!」
中学時代、初めてできた彼女に趣味のフィギュアを見られて罵倒され、
それがトラウマになって、女子が苦手な八方美人イケメンになった受け。
女子からのしつこい告白を断るために、
「実はホモで彼が好きなんだ!」と通りがかりの同級生を巻きこんだら、
それが凄いヤンキーで、本気にされて付き合うことになって!?という、
めちゃコミカルなお話。
ヤンキーの方から別れたいと言うように画策する受けと、
そんな受けに本気になっちゃった、実はいじらしいヤンキー攻め、
ふたりのやりとりが可笑しいんだけど、すごくピュアで、ときめく…!
■「夜明け前が一番暗い」
このお話が一番長くて、本の2/5ほどを占めています。これだけHあり。
両親の離婚にひどく落ち込み傷ついている真面目な受けと、
その元に駆けつけて、側にずっといて傷を癒そうとする親友(攻め)。
高校生にとっての、
家族がバラバラになる辛さ、影響力の大きさ、
それで自暴自棄になって自分が抑えられない様が、すごくリアル。
受けは、攻めの手を振り切って女の元へ行ってしまうけれど…
(女性とのHの描写は無し)
どうしようもないことと、未熟さを抱えても、ふたりなら…
事後の攻めのあたたかな言葉と笑顔、
そして、明るい未来を予感させるような、
ふたりを包む夜明けの光が、とても印象的です。
高校生だから、きっと、こんなにも眩しいんでしょう…
言葉では伝えきれない真剣さと熱と、
不完全でキレイなだけじゃない想いが、詰まっていると1冊だと思います。
シリアスなものが苦手じゃなければ、ぜひ読んでほしいです。
この作家さんの初商業コミックス、発売をとーっても楽しみにしていました!
私は表題作の「それから、君を考える」が1番好きです。
結末的に苦手な方もいるかもしれませんが田舎の高校生2人を等身大に描いていて、ストーリーもキャラクターもすごく素敵です。
受けが閉塞感を感じている小さな町。
そこの夏の風景、冬の風景、2人が過ごす季節ごとの美しさを読者は読み進めていく内に意識しなくても見ているので、終盤の攻めの告白が心に染みていきます。
他の3本の作品もそれぞれテンポやテーマは違ってきますが共通しているのは全てで高校生が描かれていることですね。
子どもだけど子どもじゃない。だけど大人でもない彼等のその時にしか見れない表情、心情、関係性を魅力的に表現してくれている短編集だと思います。
読後は素晴らしい高校生たちをありがとう!!と叫びたくなりました笑
これからが楽しみな作家さんです。
表題作のそれから君を考えるは泣きそうになった
後3ヶ月で好きな大好きな愛しいタカシは東京に行ってしまう
あの教室でのシーン
くじけそうになった時「大丈夫」と言ってくれたヤスの言葉を思い出すシーン
ヤスがタカシに告白するシーン
そしてラスト!!
短編集でここまで心打たれる作家さんは知らないです(私は)
三次元女子超こわいって話は笑いました(笑)
切ない話は切なくてコミカルな話はコミカルでって両方しっかり描けるってすごいなーって思いました!
なかなか居ないですよ。こうゆう作家さん
ファンになりました‼これは神作品です‼
成就しない恋ってのもいいですね。
こちらの作品、よっつのお話のうちふたつがそんな感じでした。
『それから、きみを考える』
アテクシ的切なさ度100
これは初っ端からヤられました、エロなしでこんなに心打たれたのあんまりないです。もー切ないのなんのって!
ド田舎に住むDKのお話。
町を出たいタカシと残って豆腐屋を継ぐヤス。
このヤスがどれだけタカシのことを好きなのか痛いぐらい伝わってきてですね、泣けちゃいます。
両親すら反対するタカシの東京の大学受験。そんな中応援してくれるのはヤスだけだとタカシは言うけれど、ホントは一番行って欲しくないのはヤスなんですよね。
でも好きだから、ヤスはタカシの味方でいたいんです。
眠るタカシの髪にそっとキスを落とし、タカシがいなくなる半年後を想像して掌で顔を覆ってるシーンはグッときた。
タカシが受験に合格し、東京出発の前日にキスして抱きしめて告白するシーンはもう言葉にならない、ただ切ない。
豆腐屋継ぐのもタカシがヤスんとこの豆腐が好きだから。
この町が嫌いだというタカシに、タカシが居たから俺はこの町が好きだったと伝えるヤス。
「大好きだった……心の底から」
ヤスのこの言葉が全てを物語ってます。
両想いかもわからない、全くハッピーエンドではないけど、このお話はこの終わり方がイイ。
最後のタカシの涙は何を思ってのものなのか、読者の想像次第です。
『最後の命令』
これは!このページ数でこの満足感すごい。
高校の同窓会での佐野の回想です。
高校時代の周防と佐野。
命令する者と従う者。
周りからはイジメやパシリに見える関係も、佐野にとっては自らが望んだものだった。
周防から言い出したキスの命令、ふたりの関係の終幕も周防からの命令。佐野は全てを周防の望み通りにするだけだった。
だけど、どれだけたっても周防のことは忘れられない…は〜切ない。
周防がどんな男なのか何もわからないのに、こんだけ存在感があって、佐野がどんだけ周防に惹かれているか、そして周防にとっても佐野が特別の存在だったというのが伝わってくる、このふたりの倒錯的な関係性がたまんない。
この作者さまの、全てをハッキリさせない展開の持ってき方と終わり方が好きです。
普段のわたしのエロ脳だったら、ナッスィンエロの場合どっちが攻めか受けか即妄想突入ですが、この2作はそんなレベルではない。
実らない恋、通じあわない気持ち。ああ、これもBLだよな、と思わせてもらえた切ない2作でした。
『Young oh!oh!』
こちらはコメディときどき切ない系のお話。
隠れオタのイケメンが、女の子からの告白を断るために、自分はホモだからと言い訳に使った通りすがりのヤンキーとラブになる、という結構ありそうな展開ですが、ヤンキーが可愛くて最初から最後まで楽しめました。
そしてこれは…わたしの中ではヤンキー受希望なんですが!!
『夜明け前が一番暗い』
最後は切なシリアス。エロあり。
幼馴染の大輔(攻)と要(受)。
両親の不仲とグレる妹という家庭問題の中、優等生で居続けた要と、それを側で見守ってきた大輔。
この大輔がたぶん結構遊んでるチャラ男っぽい感じなのですが、要にだけは特別で、『要ちゃん』って呼んでたり、要の親の離婚が決まったらすっ飛んでったり、というちょっとしたギャップがいいですね。要のことがめちゃくちゃ好きなんだっていうのがよくわかる。
親の離婚というツライ問題でつまづいた要と、今までもこれからも支えになるという大輔。
大輔も、自分の気持ちに応えてくれた要によって救われます。
ナイーブな問題に直面したDKの物語ですが、最後はハッピーエンドでした!
あとがきはシンプルなもので、表題作の二人が田舎の海辺で戯れている1ページ。
そしてそれをめくると、同じ場所に、おそらく成長したヤスがひとり佇んでいる絵…このたった1枚が、セリフもなにもないのに、これでもかという切なさを寄越してくるのです…
一冊を通して、表紙から素晴らしく、内容はもちろん言うことナシで、全体の構成も良かった。
読み終わったあと、萌えを叫ぶとかより、ひとりでじんわりと染み込んでくる読了感に浸る感じでした…
拙い表現ですが、スゴイ作家さまですねぇ。
セリフとかで表さなくても、キャラの気持ちとかがじわじわ伝わってくる。そんな表現ができる希少な作家さまだと思います。次回作もたのしみ!
初レビューします。
こちらのランキング上位で、表紙も良さげだなと思ったので買いました、内容は下調べしてませんでした、なので表題作を読み終えて、いやぁ続きが気になってくるなぁハッピーエンドになって欲しいなぁと思って読み進めたらあれ続き無いのね?!ってなっちゃいました汗
全体を通してすごく良い作品ばっかだと思います、表紙は爽やかさがあって青春だなぁって感じさせながらもどこか儚い空気を漂わせていて、これだけでも買いだと思いました。今思うと表題作はあれはあれで良い終わり方したのでは無いかと思います、とらのあなさんでの特典ではハッピーエンドらしいですけど…。二つ目はかなり短いながらも、けっこう現実的な話でした。3つ目は唯一コメディ色のある話で、不良ながらかなり優しいシャイなキャラが魅力的で良いなと思いました。最後のは、未成年の飲酒やら描写してて良いのかなぁと思いながらも終わるにつれて泣きじゃくってしまう様なでもしっかり良い終わり方してる作品でした。
とらのあなさんの特典が気になるから買い直したいなぁと思う程です。
読んでまず、作者さんは相当頭のいい人なんだろうなという印象を受けました。ストーリーに無駄がないし、文章が普通なら普段思いつきもしないような単語だったり表現だったりをされていたので、初めてのコミックスだけど、デビューコミックスでありがちなストーリーの不自然さは全く感じなかったです。
全体的に切ない系のお話が多かったのですが、間にコミカルなお話も挟まれていたのでバランスが非常に良かった。バッドエンドが二作もあったにも関わらず、終わり方がすごく上手に切なさを表現していて、普段はバッドエンド反対派なんですが、これはこれでという印象。その後のお話もあれば是非読んでみたいところではありますが。
一番好きだったのは間に挟まれたコミカルなお話『young,oh!oh!』です。
成り行きで告白されたヤンキーの辰郎くんが思いのほか素直でウブで可愛くてやられました。ただ成り行きで告っただけのケイジはそんなつもりはなかったのに相手がヤンキーだから本当の事が言えなかっただけのはずが、逆にどんどん絆されていってしまってる姿が面白かったです。初めてのキスシーンでまさかコマいっぱいに「うおおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああ」って書かれてるとか、中々斬新で笑いました 笑
恐らくまたこの作家さんがBL発売されたら買いますね。多分何出しても間違いないと思う。
レビューを拝見して読んでみたいと思ったのですがどこも売り切れ状態で。やっと手に入り読んでみました。内容はすでに皆さま書いてくださっているので感想を。
個人的に短編ってあまり好きじゃないんですよね。ツボに入る作品だと「続きを…!」って思うし、短い故に話に入り込めない作品はたくさんあるので。しかし、この短編集は凄かった。この短さで、二人の関係を端的に表せて、かつこの余韻。凄い作家さんが出てきたと感心しました。
個人的に一番好きだったのは表題作「それから、君を考える」でした。
何もない島で、これからの希望を見出すことが出来ず、東京に出ていくことでこの環境を打破できるのではないかと思うタカシ。
一方、タカシがいたからこの島が好きだ、と言ったヤス。
タカシのこの歳ならではの閉塞感も、ヤスの、タカシが好き故のこの大人っぽさも、どちらも非常に共感できたし、そしてリアル感もすごく良かった。
最後のヤスの告白は思わずウルっときました。この続きが読みたい!と思う一方、この儚さがこの作品をより一層素晴らしくしているのだと思う。
どのお話も素晴らしいストーリーで、また短編ゆえに続きが読みたくなるけれど、これだけでも満足できる。短編ならではの魅力が存分に満喫できる1冊でした。
次回作も非常に楽しみです。
こうやってみんな大人に落ちていくんだな~って思わずにいられない、青春の終わりかけの日を切り取ったような短編集。
甘いだけじゃなくて思い通りにはいかない息苦しさやもどかしさや滑稽さもたくさん詰まってるけど、10代を悩まず消化してどうする!と思ってる私には、青春BLはこうあってほしいって理想がまんま形になったような粒揃いの作品集でした。
短編集で全作品甲乙付けられないくらいどれも良かったってのも初めてかも。
まさに珠玉の短編集。
物足りないという声もあるけれど、ここで終わる美しさというのもまたあるのではないかなと。
『最後の命令』なんかは特にそう思います。
収録順がまた秀逸な感じで、『夜明け前が一番暗い』の最後のページを読んだ瞬間、あぁもうこれ「神」しかないわ、と。
1作品の結末が、見事にこの1冊の結末にもなっているのですよね。
作家様が長けてらっしゃるのか編集さんが良かったのかは分からないけど、本来オマケであるあとがきとその次のページにあんなシーンを描き残してらっしゃるところを鑑みるに、このあたりの秀逸さも含めて作家様のセンスによるものなのかな。
「青春の終わりかけの日」ってワードもこのページから浮かんだものです。
どんなふうに生きても、夜はやがて終わるんです。
満たされず、だけど現状をどうにか良くしたくて、もがきながら青春を過ごした人は、ページを繰る手が思わず止まってしまうシーンにきっと何度も出会えると思います。
胸に響くセリフや心に残るシーンがたくさんある中で私が特に心揺さぶられたのは、『夜明け前が一番暗い』の大輔が要の言葉を受けて最後に涙を流しながら吐き出した
「今の言葉でどれだけ救われるか」
という言葉でした。
彼だけがこの作品集の中で唯一不自然なくらいに大人びて達観していて、私にはそれが逆に作中ずっと気掛かりだったので、ここでようやく大輔のちゃんと10代らしい内面が垣間見れてホッとしました。
電子配信が待ち切れず紙本で買って読んだのですが、あまりにも良かったので結局電子でも買い直しました。
カンナコミックスはカバー下や裏表紙も全部ひっくるめてちゃんと入れてくれる電子派にも優しい出版社様なのでありがたいです。
Renta版のオマケペーパーは『夜明け前が一番暗い』の続き(共通書店ペーパーと同じ)です。
紙本に付いてたとらのあなのリーフレット(あとがきの次のページの続き)も必見の神特典ですが、こちらも必見の内容です!
エッチシーンが最後の作品にしかないので、全体的に左右がハッキリわからないところも良かったかも。
因みに私はヤンキー攻め希望です。
余裕のないギリギリ感で走り出したら止まらなくなっちゃうとこを是非見たい。
迷宮のリコリスさま
コメントありがとうございます。
私は迷宮のリコリスさまのレビュー、読む前に拝読させてもらってたんですけど、読んだあとにもう一回読み返して表題作のところにグッときてました(;_;)
素敵な新人さんが出てきてくださったなぁって感じです。
あのヤンキー君は手繋ぎやキスであれですからね~!エッチになったら一体どんな風に頑張るのかと思うと、攻めは譲れません!(笑)
電子はそうなんですよ…出版社によりけりで…
修正面は販売サイトによりけりなところもありますし、買ってみないと分からないのがネックですねー。
因みにカンナコミックスは電子だとストアに関係無く修正が白抜きになっちゃうのでそこは要注意です。。。この作品はそういうシーンがないので大丈夫なんですけどね。
こんにちは!
>満たされず、だけど現状をどうにか良くしたくて、
からの3行が素敵過ぎて20回ぐらい頷きましたよ、私。
そして「走り出したらとまらなくなっちゃう」で吹き出してしまいました(笑)
電子版の収録内容は出版社で違うんですね!知りませんでした。
電子書籍サイトごとに決められているんだと思ってました。
カバー下とか裏表紙がなくてがっかりするのが嫌で、紙ばかりになってしまうんですが、どこの出版社でも全部収録してくれるようになったら、電子もいいなーって思いました。
今度、カンナコミックスさん、試してみます!
表紙とタイトルに惹かれて購入、短編集です。
濃い短編集でどのお話も楽しめました。濃いめの1冊なのでは無いでしょうか。
私はとても好きでした。基本的に切ないとか、現実のシビアさみたいなものもあって
どこか物悲しいような人間の描写が好きな人にオススメです。
ただ、表題作に関しては終わり方は肩透かしというか、
読む読者さんの「汲む技量」に助けられている作品だと感じました。
もちろん、それだけではなくて独特の作家性というものがあってこそだと思いますが。
またここに関しても、表紙とはまた違った味がありました。
表紙の印象よりは、ちょっと玄人向けかなと思っています。
個人的には、青春の思い出を切り取った一コマとして
キラッと光った一瞬だけをつまんだような読後感があり、たまに思い出してしまいます。
詩的な題名と、穏やかに綺麗な光を放っている表紙に惹かれて購入しました。
大学受験を控えるタカシと田舎に残り家業の豆腐屋を継ぐヤス。1年前の夏にタカシに東京の大学を受験すると聞かされてから、ヤスはどんな気持ちで過ごしていたのだろう?この町には行きたい大学も入りたい会社も、やりたいこともないと言うタカシ。一番応援したくないのに、頑張っているタカシを励ますヤス。好きだから、大好きだから。
街を離れる前日に、豆腐を持って見送りに行くよと言うヤスに、ふとタカシが口にします。「やっぱりこの町が好きじゃない。」「結局好きになれなかったな」と・・・。タカシがこんなことを言い出さなかったら、ヤスは告白することもなく、何もなかったように、友達として見送りに行っていたような気がします。ヤスだって1年の間に進路を変えることだって出来たはずです。それでも田舎に残ることを決めたのは、タカシとヤスの間には、限りなく透明だけど確かな壁があることを知っていたから。「この町が好きになれなかったタカシ」と「タカシがいるから町のすべてが好きだったヤス」。ヤスの穏やかな告白が胸を打ちます。「大好きだった。心の底から」
ヤスのいない東京を、タカシは好きになるのでしょうか?タカシがいるから好きだった町で、ヤスは何を思うのでしょうか?
『それから、君を考える』余韻の残る美しいお話でした。
*作中で何度もタカシがヤスのことを「結婚したい男」と言っているのですが、カバー下にそのお話があります。本編既読後に読むと、切ないです。
・『最後の命令』
この作品はすごいです!望むことはすべて叶えてあげたかったのに、絶対に叶えられない最後の命令。なんて切なくて悲しい命令なのか・・・。この作品でこれからもこの作者さんの本を読んでみたいと思いました。
・『Young oh! oh!』
シリアスから一転、コメディーなお話です!ちょっと切なくて笑えて、そしてヤンキーがすっごく可愛くて・・・お互いにありのままの相手に惹かれて行った。佐古も素直になれて良かったです。
・『夜明け前が一番暗い』
短編集の最後の作品。作品の並べ方も秀逸です!
要と気持ちを通じた大輔の言葉が心に響きます。「どうしようもないことってあるよね」これからも沢山のどうしようもないことがあるのでしょう。夜明け前は一番暗い、それでも必ず夜は明けるんだね。
デビュー作にして見事な短編集でした。これからも作品が楽しみな作家さんになりました。