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kamisama no ude no naka michiru heya
山田・D・米蔵名義で出された同人作品「満ちる部屋」を電子化したもので、商業作品「神様の腕の中」のスピンオフ。
全13話450ページの大ボリュームでガッツリ読めます。
展開的にも山あり谷ありで読みごたえ十分。
本編との繋がりは舞台が同じという以外は特になく、こちらはこちらだけで完結しています。
私は本編よりこちらの方が好きです!
ねこ田米蔵さんはこの作品が初読みでした。
まさか白ブリーフ萌えの作家さんとは知らず、正統派だな~なんて思いながら読んでました(笑)
本作ではノー白ブリーフです。
お話の舞台は外国のとある全寮制の名門校。
主人公の〔レノ〕が、いくつか後ろ暗い噂を囁かれる〔ロジェ〕とルームメイトになったことから始まります。
父親は年の離れた若い男と心中し、母親は社交界でも有名な娼婦、そしてロジェ自身は金で身体を売っている──と彼にまつわる噂は名門校の生徒としてはなかなかのスキャンダラスっぷりで、そんな噂の真相と共に徐々に明かされていくロジェの過去が予想以上にヘビーで辛い…(;_;)
日向のレノは日陰のロジェに光をもたらす存在ではあるのですが、ロジェの辛すぎる過去においそれとなかなか一筋縄には行かず、何度も何度も光と陰を行ったり来たりします。
それ故に、タイトルの「満ちる部屋」が示す、ラストで彼等の部屋にようやく射し込む溢れんばかりの光は非常に美しかったです。
結末までの何度も焦らされるもどかしい展開にハマりました。
それにしてもロジェの人生はあまりにも虚しい…
自分の一言が父親を死に追いやってしまったトラウマは如何ほどのものか。
身体を売り始めた理由にしても、始まりは上級生からのレイプ。それもロジェの母親(娼婦)をネタにしての。
まだ幼かったロジェは汚れた自分を正当化するために行為をお金に換えるようになり、稼いだお金は全てある人の元へ…
よく頑張ったと思う…(;_;)
ラブの形的には、ロジェの顧客でロジェに想いを寄せる上級生を交えての切ないトライアングルもので、中盤で明かされるロジェと先パイの出逢いのエピソードがこれまた悲しいです。
先パイにとってはロジェこそが暗闇からすくい上げてくれた一筋の光だったのですね。
ねこ田さんとはどうも萌えツボが合わないようで、未だこれ以外では当たりに出会えていないのですが、これはすごくお気に入りで何度も読み返しています。
ねこ田さんの作品を初めて読んだのが、この「満ちる部屋」です。
お話がしっかりしていて読み応えあり、商業と変わらないクオリティです。
ロジェの生い立ちはとても複雑なものでした。
仲の良い友人も作らず寮内で体を売って生きてきましたが、レノとルームメイトになってからレノと親友以上の関係になり、レノの親友とも交流を持ち、過去のこだわりからも救われました。
とても良いお話だったのですが、少しモヤモヤするところが…
それはランバート先輩のことです。
二人のイチャイチャを見せつけられるランバート先輩がとても不憫で…
ランバート先輩が幸せになっているところも見てみたかったなと思いました。