2丁目の小さな魚

2choume no chiisana sakana

2丁目の小さな魚
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神25
  • 萌×220
  • 萌12
  • 中立5
  • しゅみじゃない1

--

レビュー数
13
得点
246
評価数
63
平均
4 / 5
神率
39.7%
著者
河井英槻 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
リブレ
レーベル
ビーボーイコミックス~BE×BOYCOMICS~
発売日
価格
ISBN
9784799725245

あらすじ

「あなたの為なら…俺の人生なんて捨ててしまってよかった。」
高校時代つるんでいた春信先輩に言えない恋心を抱いていた憲二。
気持ちを隠し続けることに限界がきた頃、憲二は地元から姿を消しニューハーフパブで働き始める。
数年後、客として来店した春信先輩に出会い、忘れようとしていた感情がざわめき始めて―――?

珠玉の切ない恋物語、4話収録!

表題作2丁目の小さな魚

化粧品メーカーの営業,受の高校の先輩
ニューハーフパブ勤務,元ヤン

同時収録作品阿佐ヶ谷南四丁目

インド人,建設会社勤務
サラリーマン

同時収録作品サニーサイド

受の母親のスナックの常連,会社員
学生

その他の収録作品

  • 2丁目の小さな魚 番外編
  • 曙1丁目にて。
  • 西葛西三丁目の出来事。阿佐ヶ谷南四丁目 番外編(描き下ろし)
  • あとがき(描き下ろし)

レビュー投稿数13

可愛い、美人、男前の見事なバランス!

自分がレビューを完全にストップさせた本。なにって、この本の印象を2016年の本がいまだに越えられてないんです・・・。
何がいけないってこのケンジが完全にオカマなのかと思うと元々かなりオラオラなのもあって男らしさを残しているし、かなり大柄でもあるのに普通に女装姿は美人で、好きだったとほろほろ泣くところは可愛い。
それだけを見たくて、あ、それから完全に先輩は好きだよって言ってるのにエッチに対して引くんじゃ?引くんじゃ?と物凄い後ずさりなこと言う可愛さを見たくて何回読んだことか。

あと、エッチに望む姫川先輩のこのセリフ。
「歴代の彼女にしてきたこと。お前にも全部するよ。愛されて当然というツラになるまで。お前がもう嫌だと泣き出しても。」
経験がないことを尊びがちな恋愛ものにおいて、経験があるからこそ価値が高まるこのセリフ!!!
一度は口に出したい日本語です。

11

憲二に「神」を捧げます

表題作の【2丁目の小さな魚】は気づいたら泣いていました。

高校時代いつもつるんでいた後輩・憲二と6年ぶりに再会した春信。
再会したのは上司行きつけのニューハーフパブでまさかのニューハーフに変身していた。憲二は高校時代オラオラ系のチンピラヤンキーだったはずなのに‥‥‥。

憲二は男に興味がない春信の為に女に変身したんです。
「女になりたい」「女だったら正々堂々と告白できたのに・・・」と悩むキャラクターは今まで何度も読んできましたけど、本当にニューハーフになったキャラは憲二しか知りません。
せっかく変身しても会う勇気もなく連絡を取る事もなく、一生会えない可能性の方が高かったんです。それでも万のひとつの奇跡でも起こって、もしかしたら‥‥‥という一縷の望みを捨て切れなかった憲二。

春信の前では肩をすくめて顔赤らめて視線を上げる事も出来ない純情可憐な恋する乙女なのに、元ヤンという事もあり、春信以外には「あぁんてめぇ舐めてんのか?!ブッ殺すぞ!」みたいなオラオラ全開なところがヤンキー受け好きとしてはたまりません(笑)

この憲二がとにかくいじらしくていじらしくて‥‥‥健気です。
健気さ&いじらしさに関しては、天下一品。そうそういないレベルです。
ついに想い溢れて震えながら告白するシーンがいじらしくて過去の思い出と相まってこれまた泣けます。
その後も付き合うようになってもまだ夢心地で信じられない気分でいるけど、自分は紛れもない男である現実に何かとポロポロ泣く憲二が可愛い。いちいち言う事が必死で切なくていっぱいいっぱいで可愛いんだ、これが。
そして、それをさっくり受け止める男前の春信。
「おまえにもするよ?」というくだりがいい。気まぐれではなく長い付き合いになる事を望んでいるようでホッとする。

2丁目の小さな魚というタイトルは、180cm超えの長身イケメンである憲二が春信の前では陸揚げされてしまった魚のように、もがいていつも小刻みに震えている様を指しているようで、どうかお願いだからこの大きくて小さい魚をいつまでも大事にしてやって欲しいと願わずにはいられません。

episode01は泣けるBLに episode02は不憫BLというアンソロジーに掲載されていたというのを知って妙に納得です。こういう泣ける○○みたいなのにしっかり泣かされるタイプなので‥‥‥。
正直言うと、ドノンケの春信がいつ憲二の事を好きになったのか不明で腑に落ちないのですが、もうそういう細かい点は忘れてひたすら憲二というキャラクターを堪能する作品だと個人的には思ってます。

私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews
で教えていただいたのが、こちらの作品を含む河井英槻さんのコミック数点でした。(Chance! /Thank you my God/2丁目の小さな魚/青春花心中)
他にも収録作が3つありましたが、表題作がめちゃくちゃ好みでした。
教えてくださり本当にありがとうございました。

7

ひさびさ

久しぶりに河井英槻さんの作品読んでみましたが、やっぱりこの人の描く話好きだなーと思いました。

そして表題作読んでる途中で泣きそうというか泣きました(と言っても私が単に涙もろいだけで普通なら多分泣かない)笑。
でも、ホントに受けの子が健気で…可愛すぎる…!

表題作の他にも短編がいくつかあって、そっちも面白かったです。ただ、個人的には表題作の話をもう少しやって欲しかったという気持ちもありますが。

そして私にとって一番の吉報は連載が止まっていた「王子と乞食」が再開されることです!やったー!
王子と乞食の1巻買ったの何年前だよ、って感じですがとにかく嬉しいです(^^)

5

aster

snowblack様、コメントありがとうございます。
やっぱり皆さん「王子と乞食」の続き気になりますよね!
もう続きは出ないのかしら…と諦めモードだったので本当に楽しみです\(^^)/

snowblack

aster様、こんにちは。
本編も良かったのですが、私もあとがきを読んで「やったー!
待ってます!待ってます!」という感じでした。
『王子と乞食』首を長くして待っいる一人です。
本当に楽しみですね!

泣いた。女装BLがあまり好きじゃない人にこそ読んでほしい。

計4作品が収録されています。
「僕の彼氏が宇宙一かわいい件について。~お泊まりデートで彼氏めろめろ大作戦~」がとんでもない神作だった河井さん。
他になにか読みたいと思っていたところ 本作に目が留まったのですが、

①表題作(82ページ):
逆体格差「高校時代の元先輩(表紙の黒髪メガネ)リーマンx元後輩、ニューハーフパブ勤務」。
本作では、攻めのために受けが女装を始めます。
ここがどうも現代のLGBT感覚では合わない気がしたんです。
「ぇ、誰になんと言われようとも『自分がそうなりたい』から女装するんじゃないの?そこに主体性はないの?」
と思ってしまって。
でも実際、新井祥さんの著作を多数読み漁り、いろんなLGBT+当事者の方々について詳しく知っていくうちに
「現実にも、もしかしたら きっかけが他者だった人もいるのかもしれない」
と思うようになり、やっと本作も受け入れられました。

せつなくて、ギュンギュンきました。花差すところで涙出ました。
くっそ、今日せっかくアイシャドウ完璧だったのに落ちてもーたわw
やっべぇこれ。神作決定。やはり素晴らしい作家さんです…。

女装BLがあまり好きではない私にとって次のハードルは
「女装にどれだけ攻めが重きを置いているか」
なんですが、ここもアッサリクリアです。
全然重きを置いてません。男同士のまま、ちゃんと愛し合います。
受けが背高くてカッコイイ&可愛い&元ヤンで男前。
攻めもただ受けより背が低いだけで、中身も外身もイッケメン。

2015年発売なので、芸人のノリで頭を叩いたり「〇ね!」と言ったりするシーンが出てきます。
でも「シャキッとする!」で おSiriシバくのは許す!(何様?

1話と2話がそれぞれアンソロ「泣けるBL」と「不憫BL」に収録されたのだとレビューで知りました。
納得…!(レビュワーさんありがとう!)

②「曙1丁目にて。」(2ページ):
「謎の男・後輩DKx先輩DK」3Pになる?直前の会話のみ。
3ページ目のカラー口絵はこの3人ですね。

③「阿佐ヶ谷南四丁目」(57ページ):
「インド人xリーマン」
指の絡め方がイイ!
当て馬との関係性も、ただ振るだけじゃなくてきちんとドラマで魅せてくださいました。

④「サニーサイド」(24ページ):
北陸の田舎が舞台、かなりせつない「リーマンx中学生ぐらい?」。
ショタというほどではないけど、かなり小柄なので苦手な方は注意。

以上、①イケオジや③ヒゲのアニキ系外国人も拝めるし(拝む)、無性にラーメンが食べたくもなる、文句なしの神作でした。

0

いじらしく、愛おしい。

上司にニューハーフパブに連れて行かれたノンケの攻めは、
そこで女の格好をして働いている高校時代の後輩(受け)と再会。

よく一緒につるんでいた元ヤンの後輩が、
店で「女」をやっているのは、
ノンケの先輩のことが、ただただずっと好きだから。

10年も、そして、男の人生なんて捨ててしまえるほどに。

望みなんてないと思いながらも、女の格好をすることで、
ひょっとしたら、もしかしたら、奇跡でも起こって…
先輩の彼女の存在に深く傷つきつつも、そう思い続けていた受け。
それを知って攻めは…という、これは切なくも温かなお話。

「2丁目の小さな魚」このタイトルがとても上手いと思う。

攻めよりも背が頭半分くらい高くて長身なのに、
受けは攻めの前では途端に可愛く、そしてすぐ不安でいっぱいになる。
まるで少ない水の中で、ぴちゃぴちゃ跳ねてもがいているよう。

最初に読んだ時は、受けの視点に立って一緒に切なくなって、
繰り返し読むと、今度は自然に攻め視点になって、
受けのころころ変わる表情や、そのいじらしさが愛おしくて、
何度読んでも胸がきゅーーっとなりました。

一番萌えたのは、初めてのエッチの時のこと。
昔、攻めが彼女と過ごす夜を想像してすごく苦しかった…
その時のことを思い出して、目に涙をためる受けに、
「 おまえにもするよ? 歴代彼女にしてきたのと同じこと全部。
 …俺に愛されても当然!って顔になるまで。」
そんなことを言う攻めの、力の抜けた男前なところがすごく格好いい。

このお話が、ちょうど本の半分くらいで、
次に載っているのは、ほぼ一目惚れ同士のようにして始まった、
インドから来た外国人 × 美人メガネリーマンのお話。

大出血しても平気なフリで、巨根の攻めと繋がろうとしたりと、
受けはいじらしいんだけど、なんだか危うい。
そんな受けを攻めの外国人が、
その頼もしい身体と純朴さと、サラリと話す面白い日本語で包む。
そして、受けの後輩くんの片想いも絡んで、ちょっと切なさもあったり。
どこかの街で起きていそうな、自然な空気が満ちていて素敵でした。

最後のお話は、2004年に雑誌掲載されたもので、絵柄も古い。
これ、ちょっとよく分からなかったんですよね、
最後に「帰るぞ」って言っているのはお父さん??

最後のお話がなくて、
残りのふたつの作品がその分もうちょっと長く読めたら、
神評価にしていたと思います、河井さん、やっぱりすごくいいなぁ。

9

yoshiaki

江名さん

すみません!!お騒がせしました。コメントありがとうございます!
そう言えば以前トジツキハジメさんの「前略」のレビューを書こうとして、江名さんのレビューを読んでやめたことを思い出しました。
あの短編集の「暗夜行」が好きな人が私だと思ってください。
そのへんが、多分ハートフルであたたかい江名さんとバッドエンドOKの私との好みの差になってるんだろうなと思います。
河井さん初めて読みました。「月曜日の約束」も読んでみようと思ってます☆彡

yoshiaki

江名さん

こんにちは。
レビューを書こうと思ったら、感想が江名さんと真逆だったのでビックリ!! でも、ちょっと笑ってしまいました( *´艸`)
こんなことってあるんですね! 今まで江名さんとはそんなに大きな好みの違いはないように感じていたので、意外でした。
マイナーな好みのヤツということで、なにとぞご容赦ください<(_ _)>

snowblack

江名さま、こんばんは。
「サニーサイド」について。
最後の3ページは、その前の「もう随分経って……
それほどイヤな思い出でもない」を受けていて、
高山さんとの思い出の一コマなのではないでしょうか?
つまり「帰るぞ」って言っているのは高山さん。

切なく甘く……

体は大きいのに、泣けるほど健気な「小さな魚」。
そんな憲二が諦めていた夢みていた幸せを掴む話。
という表題作のほか、大きく分けで2つの話が収められている。

ノスタルジックで、仄暗くて、切なくて、でも甘い。
細かいところでは突っ込みどころもあるし
絵も美麗とかすごく上手というのではないが、
河井さんの描く世界は、独特の強い魅力があり
新作をとても楽しみにしている。
(でも、遅筆でめったに新作が出ない作家さん……)

まずは、ストーリーには直接関係ないように思うが
口絵がとても素敵!
窓際でキスせんとする二人(♂♂一人メガネ)を、
バラを一輪手に眺める美少年。

ストーリーについては江名様が詳しく書いて下さっているが
なんと言っても、元ヤンキーの憲二の春信先輩への
報われないとわかりながらのひたすらな想いがいい。
昭和の演歌みたいな世界なんだけれど、
憲二の方が背がずっと高かったり、
ちょっとしたところが可笑しかったり、それだけじゃあない味わい。

純な憲二の赤くなったり泣いたり、
本当に可愛いく色っぽい初夜は、悶える。
自分の体を見て先輩に我にかえるのではと泣く憲二。
ただ、あなたに愛されたいだけなのに……という回想が
あまりにも切なく、胸を締め付けられる。


日本に来ているインド人とメガネの三船さんのお話、
「阿佐ヶ谷南4丁目」は、ちょっと不思議な味わい。

「サニーサイド」は、古い作品。
大きく雰囲気や絵の変わっていない作家さんだと思うが
こうして読むと、確かに以前の河井節だと思う。
救いがないようでいながら、どこか突き抜けた明るさがある。


全体的な完成度、と言われると首をひねるのだけれど
この独特な切なさと雰囲気はやはりとても好き。
なんだか、やっとやっとまとめた一冊という感じも否めないのだけれど
新作が読めたことを喜びたい。


6

江名

snowblackさん、コメントありがとうございました。

そうか~やっぱり高山さんかぁ、
見た感じはどう見ても高山さんですしね。
姿は見えないのに繰り返し、父が…親父が…と出てくるので、
実はお父さんと高山さんがすごく似ていて、本当はお父さんに埋めてもらいたかった寂しさを高山さんが埋めてて、だから…とか色々考えてしまってました(;^ω^)
ああいう温かな思い出もあったし、辛いばかりじゃない…
という素直な解釈でよかったんですね、
ありがとうございましたm(__)m
snowblackさんのレビューも読めて嬉しかったです~

独自の世界

「2丁目の小さな魚」
高校時代から誰にも言わない恋をして、誰にも言わずに女になろうとして、そのままで良かったはずなのに、勤めているニューハーフパブでその好きな先輩に再会してしまう…
もうこの設定だけで胸が締め付けられる思い。何度読んでも胸の奥がぎゅーっとなってしまう…
花の髪飾りのエピソードが切なくて、続く涙の告白シーンに効いてくる。
ただ憲二も驚いてたけど、先輩がアッサリと憲二に『好きだよ』となるのが急な気がします。
でも先輩の懐深さに救われたなぁ。ただ愛されたい、と思い詰めてる憲二に『歴代彼女にしてきたことするよ』、つまりは俺のいつもの愛し方で女たちと同じように愛するよ、とさらりとね。
でも正直この2人、末長く、という感じがしない。私の勝手な妄想だけど。
たとえこの先別れが来ても、恋した人に愛された記憶は憲二を強くする、きっと。

「阿佐ヶ谷南四丁目」「西葛西三丁目の出来事。」
この話、すごく好きでした!
外国人彼氏イイ!聞いたことのない言葉で囁かれるのって萌える。
ラーメン屋さんでお持ち帰りされる瞬間はため息です。猥雑な街のボロい部屋ってのがまたイイ。
ただ、この人があんまりインド人に見えないのですよね。
この2人は、彼が帰国する時三船さんがインドについて行っちゃいそうな感じ。

「サニーサイド」
一読してなんかあっさりしすぎているように感じたのだけど、古い作品で、こういうのは多分作者様の萌えが滲みでているのでしょう。
物語的には、おばあちゃんに引き裂かれた恋、なんだろうけど、中学生?と母親の愛人?のような雰囲気で、大人側からは成り行きの流された関係の様にも、子ども側からは寂しさを埋める一種切実な感情の様にも取れる。そんな曖昧さと、別れの後今になってみるとイヤな思い出ではない、と言える甘さが確かにあった、そんな関係。

5

「サニーサイド」一点買いでした。

実は結構早めに読んでいたんですが、先にレビューされた方とあまりに正反対の感想になってしまい・・・江名さんすみません!!
や、これはどう考えても、私がマイナーすぎなんです。
今回メインの表題作やボリュームで表題作に次ぐ「阿佐ヶ谷南四丁目」じゃなくて、10年以上前の作品かつ僅か24ページしかない「サニーサイド」が一番好きだった、という。
さすがに「サニーサイド」一点買いはないよな・・・というところでレビューを躊躇してしまいました。
ただ、やっぱりこの作品がとても好きだったので、相当偏ってるの覚悟で感想を。
人の好みは十人十色ということで、ご容赦ください。

◆「2丁目の小さな魚」・「阿佐ヶ谷南四丁目」◆

雰囲気は好きなんですが、どちらも入り込めない。
攻めの心理描写が少なく、攻めに魅力を感じられないのが私にとっては致命的でした。
特に「阿佐ヶ谷南~」は眼ヂカラの弱さのせいか攻めの印象が薄く、攻めに関しては不自由な日本語くらいしか印象に残っていません。
どちらの作品も受けはとても可愛くて、揺れる男心が細やかに描写されているんですが・・・詳細は他の方のレビューを読んでいただけたらと思います。

◆「サニーサイド」◆

とにかくこのテの、起伏がなく淡々と暗い話をこよなく愛する私に、うってつけの作品。
これを機に河井さんの昔の作品を読みあさってみたくなりました。
主人公の少年・秀が何歳なのかは、知らないほうが良さそうです(笑)
とりあえず、学生服を着る年齢(幅6年)ということだけ。
秀の、幼さの残る儚げな横顔にも惹きつけられたのですが、私にとって一番大きかったのは、舞台が福井だということ。

北陸三県が舞台だというだけで、大好きな宮本輝の小説の世界にワープしてしまうというか・・・鈍色の日本海を一人眺めるような、哀愁とノスタルジーに浸り切りながら(←)読みました。
これは北陸と宮本輝が直結している私に固有の「北陸効果」なんだと思いますが、この作品にはそんな哀愁がとても似合う気がします。

タイトルは「サニーサイド」ではあるものの、宮本輝の「幻の光」よろしく、光は遠く彼方にかすかに見えている感じ。
彼らが今立っている場所は、光ある場所ではありません。遠くに見えている気がしているものも、或いは幻かもしれない。
でも――明るいほうへ 明るいほうへ。
「サニーサイド」というタイトルは、暗がりの中でもがいているからこその手探りの思い、そんなニュアンスに捉えました。

秀は両親の離婚で幼い頃に父と別れ、水商売をしている母とも離れて、祖母と2人で暮らしています。
祖母が眠った後、秀を訪ねてくる男・高山・・・彼は秀の母親の愛人だったようですが、いつの間にか秀の男に。
親子ほども年の離れた男と孫の関係を、とがめる祖母。
高山をめぐる、街の悪い噂。
愛なのか人恋しさだけなのかも分からず、刹那的で未来の見えない2人の関係ですが、一見秀を弄んでいるようにしか見えない高山が見せる思わぬ誠意に、こわばっていた気持ちがすっとほぐれていく気がするラスト。
2人に明日はないけれど、かすかな温もりだけは秀の心に刻まれた――そんな手ごたえを感じます。

真夜中に書いた詩のような、ひたすらセンチメンタルで抒情的な作品。
相当マイナーだと思いますが、同人誌っぽくて、こういうの好きです。
この一冊に限って言えば、絵に関しても「サニーサイド」が一番好きでした。

全体に、受けに共感して読みたい人向きだと思います。
些末なことですが、擬音語は手書き文字のほうが雰囲気出るなぁ・・・と思った箇所がいくつかありました。

4

江名

あ! コメントも頂いていたんですね、
気づかず、レビューにまっしぐらでしたw
それぞれ感想は違うからこそ面白いですよね、
ご容赦なんてとんでもないです!
わたしもyoshiakiさんに見倣って、上手に自分の感想を言葉にできるようになりたいです~これからも素敵なレビューを沢山読ませてくださいませ☆

江名

わたしの頭ではよく理解できなかった「サニーサイド」を、
深く掘り下げて読み解いて広がりを示してくれて、感激です!
やっぱり色んな方のレビューを読めるってステキですね~~
5回くらいyoshiakiさんのレビューをじっくり読んでから、
「サニーサイド」を味わうようにして再読したいと思います(*´ω`*)
深いレビューを読ませていただいて、本当にうれしいです、
ありがとうございました m(__)m

体格は大きいのに可愛く見える


表題作は二丁目で女装して働く男性を主役にしたお話です。
表紙を見たら女装ものという感じはしませんが、「女性になりたい」という願望から女装しているという感じではありません。
気持ちが女性であるわけではなく、好きになった人はノーマルで、彼女がいて、いつかは結婚してしまう。思いつめて自分も女性の格好をするに至るというストーリー。

重いお話ではないのですが、切ないです。せつなくて綺麗なお話でした。
憲二の思いが一途過ぎて、とても綺麗なものに思えます。

攻め側が主人公ですが、この先輩、憲二が女装して働いていることに驚きながらも受け入れるいい男だなあと思います。
しかし、いまいち何を考えてこういう関係に落ち着いたのか分かりにくかったので、もう少しの気持ちの変化が見えれば良かったと思います。

切なくて純粋、そういう作品を求めている方に是非ともおすすめしたいです。

1

素晴らしき短編集

短編で泣いてしまうとは……
それほど健気で可愛い受けだったということてす。
短い作品と中編が入り乱れた作品集。
どれも良かったのですが、特に表題作が素晴らしかった。

受けの憲ニがめっちゃ可愛くて健気で泣けました。
憲ニは、好きなノンケ男のために女の子になろうとするのてすが、ここまでする受けは今まで見たことなかったかも。
180センチの長身で、言葉使いもやんちゃ。
なのに、大好きな先輩・春信の前でだけは乙女。
大きな体をプルプル震わせて、顔を真っ赤にして……めっちゃ可愛い♡

地味メガネに見えて、かなり手練れな春信も良き。
ただ、春信が憲ニを受け荒れるまでの気持ちの変化が、もう少しわかりやすいと良かったかなあ。
でも、それを差し引いても憲ニの健気さが胸を打つ素晴らしい作品でした。

1

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