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――早く大人になりたい
otona gokko
「おとなごっこ」「夜が明けて恋の輪郭」 萌2
「援交してる、AV出てる、怖いバックがついてる」と噂されている孤高のDK・徳間と隣の席になったおおらかすぎる転校生・長谷川の話。
出だしのモノローグのテンポが絶妙で、開始1ページ半くらいで引き込まれてました。
徳間がめんどくさいと思うことを全部「普通だろ」の一言で片付ける長谷川。
この「めんどう」「普通だろ」、「煩わしい」「普通だろ」、「どうしたらいいか分からない」「普通だろ」と、畳み掛けるように出てくる「普通だろ」の効果が絶大でした。普通じゃない徳間を強引に「普通」へ引っ張っていく長谷川のおかげで、今まで徳間が避けていた世界にも「普通に」いられる場所ができていくのが魔法のようで。
長谷川はおおらかすぎるくらいおおらか。
細かいことは気にしなそうだし、考えずに言葉を発してそうだけど、いつもそこにいてくれる安心感がある。包容力系DK。大雑把なところが繊細すぎる徳間の受け皿になるのにちょうど良い大きさだったんだろうな、と思えます。良いCPでした。
「猫の戯れ」(前中後編) 萌2
無口で無表情。謎に満ちた現代文の教師・藤田に興味津々の雪広。
情報収集で有益なネタを得た雪広は、国語科準備室へ赴き…。
無口、無表情、無愛想。攻めにこの3大要素が加わると、途端にテンションが上がります。みんなにはそう見えるけど、特定のひとりだけはその人のことが分かるという特別感が伝わりやすいからでしょうか。
雪広がいい具合におバカ(勉強ではなく性格が)なのも可愛い。
藤田のストラップを見たときのリアクションや、もやもやした気持ちを解決するべくネットを見まくるとか、その他にもちょっとしたモノローグのツッコミにおバカっぷりが滲み出ていました。こんな子だから猫のように可愛く思えてしまうのも頷ける!楽しい子でした。
そして化学の先生名前に「ん?」と思っていたら、描き下ろしでちゃんと答え合わせがありました。
まさかあの子が、そこまでコミュ力増強されているとは…、という驚きが味わえます。
雪広卒業後とか、藤田宅で猫たちと再会なんていう続きの話も読みたかったなあ。
表題作には、早く大人になりたい子どもが、
同時収録作には、大人になりきれない大人が登場。
『おとなごっこ』のタイトルに相応しい、「大人もどき」な登場人物たちに愛しさを感じる一冊でした。
◆「おとなごっこ」「夜が明けて恋の輪郭」&描き下ろし
母親の死後、父と会話がなくなり
寂しさを紛らわすように
夜の街で男と関係を持つ高校生・徳間(受け)。
学校では誰とも話さず
早く大人になりたいと願う日々。
そんな徳間を変えるのが、転校生の長谷川(攻め)。
危なっかしい徳間をほっとけないと
付きまとい、ストーカーからも助けてくれ、徳間の心を開いていきます。
お人好しでカッコいい長谷川と
寂しがりやで意地っ張りな徳間との
ほのぼのした組み合わせが良かったです。
描き下ろしは10年後の二人。
あれだけ学校嫌いだった徳間が高校教師に!
生徒にモテモテで、愛想もふりまけるようになった徳間の成長に感無量です。
徳間がこんなに変われたのは
もちろん長谷川がいたからで、
「全部お前に変えられたんだよ」
と、サラリと言える、
そんな関係に落ち着いた二人が素敵でした。
◆「猫の戯れ」前編/中編/後編
先生×生徒、Hなし。
生徒の雪広が、
無口で無愛想な教師・藤田の意外な一面を知り、どんどん惹かれていくという話。
この先生、
飼い猫をこっそり学校に連れてきていたり、
コミュ障だけど、本当は生徒たちと仲良くなりたいと思っていたりと、
結構子どもっぽく不器用な人物。
でもそんなダメな部分も、
雪広にとっては自分だけが知る先生の秘密で、準備室で猫と先生と過ごす時間はかけがえのないものなのです。
卒業までは付き合わない、と
そこは常識人な先生だけど、
雪広は高三なので
お預け期間はそんなに長くなさそうw
ちなみに、この話には
表題作の徳間(化学教師)が、藤田の同僚として登場。
藤田には嫌われているようですがw
元コミュ障の徳間は、意外と藤田と
気が合うんじゃないかと。
この二人の絡みも見てみたかったです!