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宝石をカリカリ食べる寂しげな男の子と、石研究者の物語。
食べた宝石によって瞳の色が変化するイーリス。
まさに瞳そのものが宝石です。
美しい種族なだけに残酷な経験をし、人も世界も諦めた心を研究者のベントが救います。
青井秋先生が描く物語は本当に美しい。
日常で荒んだ心が洗われます。
彼らが言葉を交わしたり、想いに耽る1秒1秒の時間の流れが伝わるページ構成で、読者もその世界を経験できます。
ちなみに、ページ数のところに小さな小さな絵柄が描かれるのも素敵です。
今回は宝石たちが書かれていました。
作者さんの味のある絵や装丁やページごとに鉱石が書かれてる丁寧さが好きです。
お話は一緒に旅をする学者のベントと鉱石を食べる少年イーリス。
ベントはイーリスに市民籍を取らせ旅をしながら美しい自然や産物を教えて。
途中までは緊張感を少しはらむもののイーリスが新しい世界を知っていくのを、ベントと穏やかに旅をするのを暖かい気持ちで読めます。
しかし実は…。イーリスの狙われる理由やそれを最初から知っていて記録をつけていたベント。
あわや!のところでベントによってイーリスが助けられ。
お互いに大切な存在だとわかりベントは記録を燃やして。イーリスは逆に自分の関わったもの全てを記録することに。そしてまた二人の旅は続く。
不思議であたたかくて二人がいつまでも無事に仲良く過ごしてくれたらいいなあと祈りたくなるお話でした。
鉱石を食べる種族といっても、いろんな色に変化する美しい瞳を持つ以外は、外見上普通の人間と大差ないのでそこまでファンタジー色濃厚というわけではありません。でも、青井先生の粛々としていて洗練されたタッチによって、童話を読んでいるような気分を味わえました。ベントとイーリスの間に生まれたものは間違いなく愛だと思うけれど、この2人の場合は家族愛や友愛、恋愛、そのすべてが混ざった感情のように感じました。それなりにストーリーに起伏はあるものの、終始落ち着いた描き方なので、静かな夜を満喫する時のお供にしたいような、そんな作品でした。
イーリスは鉱物を食べるというだけでなく長命な種ですが、パートナーとずっと同じ時間を生きる事は出来ません。二人が理解しあって少し経った所で話は終っていますが出来ればもっと先まで読みたかったです。
起伏の少ない話と繊細の絵柄が相まって淡々と進んでいきます、誘拐事件のような事も起きますが割とあっさり解決します。
でもそれが妙に心地良くコマ割りにしても台詞回しにしても考え抜かれて配置されてるのだろうと思いました。鳩山郁子さんや市川春子さんが好きな方に薦めたい作品です。
初読み作家さん。
Canna Comicsのフェアでペーパー目当ての物色中に、タイトルに惹かれて手に取り、カバーの雰囲気も好みの感じだったので試しに購入。
BLかと言われると微妙なのですが・・・
1冊で綺麗に纏まっていて、世界観も丁寧に描かれて、一族の切なく苦いエピソードが一番衝撃ですが、
静かに淡々と語られていく様は、1作のロードムービーを観たような読後感でした。
シネマな感じがしました。
頁に添えられた鉱石等細かいディテールにも拘って作られた1冊でした。
どちらかというと小説が多いので漫画は詳しくないのですが、BLレーベルから発売されてるのに驚きです。
BLという括りに捉われないというか、この作品はBLは意識してないよね~と。
無理くりほんのりと思えなくもないですが、どちらかというと人類愛的な。
でも、こういう作品もあって読書の興味の幅が広がるのは良いな~と思いました。
ファンタジー好きにはお薦めです。
ジブ⚫︎のラピュ⚫︎や耳をすませ⚫︎の鉱物、にピンとくる方はきっと気にいるのではないかと。
作者さんの精密な絵で神秘的な石が沢山描かれていてとても魅力的です。
その石を主食にしているのが『砂漠の金剛石』と言われている種族の生き残り…呼び名の通りとても美しい少年(実は25歳)です。
ずっと一人だったイーリスが学者のベントと旅をするようになり、少しずつ打ち解けていく様子は微笑ましいです。美しい少年ははにかむだけでも目の保養ですね〜
何故一人だったのか。その理由がかなり残酷で悲しいものだった…またそれが原因で危険な目にも合うのですが、結果的に前向きな決断をする事になったラストが良かった。
イーリスとベントの関係は恋愛というよりは親子みたいな感じ。でも時折二人とも頬を染めたりするんですよね、単にシャイだからなのかはたまた恋愛的なものか。
これはBLなの?と言われると言葉に詰まりますが、美しく描かれる世界感は唯一無二。今日は恋愛抜きにして綺麗なものを読みたいなーという時におすすめです♪
BLという括りでこういった作品にお目にかかれる僥倖。どのジャンルにも当てはまらない作風といった方が正しいのかもしれません。先のレビュアーさまも言及されていらっしゃいますが、長野まゆみ先生を彷彿とさせる、…と表現したらお終いよ、というくらいわたしにとって青井先生の描く世界観は長野まゆみに重なります。これはもう仕方がない。デビューと同時に追っかけていた長野まゆみ先生がよもやこっち方面(男同士のうんたらかんたら)に流れて行くとは…という事実の方に当時は驚愕いたしました。(予感はありましたが…。)
さて、これはいつぞやの時代の、何処かの異国の、不思議な特性を備えた民族の末裔、イーリスのお話。その民族の持つ特性と絡んだ対象物を研究をしている学者、ベントと彼が出会うことで始まる股旅物です。一コマ一コマが丁寧にびっしりと描き込まれており、作家さまの執念にも近いモチーフへのこだわりを感じます。ただ個人的 にはどの作品を読んでいてもキュンやドキッが感じられず、人物のお顔立ちもキレイ過ぎてアニメ寄りに感じてしまい、「好きな作家」さんと声を大にして言いたいのだけれど、厳密には言い難い葛藤がありまして…。
この作品は、完成された物語、また珠玉のアート作品としての観点から「神」作品とさせていただきました。
発掘調査を生業とするベントと、鉱物を食べる希少種族の少年イーリス。
調査していた廃鉱の中、目の前で倒れたイーリスを、ベントが助けたところから二人の旅が始まります。
童話や絵本のような雰囲気で、めずらしい漫画だと思いました。
装丁のデザインがとてもきれいで、それだけでも買ってよかったです。
BL的な絡みはないし、恋愛要素も強いわけではないけれど、読後の充実感は確かです。
絵からも滲み出てくるように、細部までものすごく丁寧に作られたお話で、
ちるちるで勧めるには、BL要素が少ないので萌え×2ですが、個人的には大好きです。言葉の選び方、旅の背景、小物、表情、開くたびに小さな発見があります。
皆さん書いてらっしゃいますが、この空気感が好きな人には『こういうの待ってた!』となるのではないでしょうか。
また、以下のモノローグが一番心に残りました。
ーーーーー似ている、はあくまで似ているだけで、完全には重ならない。けれど、お互いの『似ている』と思った感情は重なるのかもしれない。(本文抜粋ではないです)
ビー玉や、石や、ガラス細工を掌にのせて、すっと差し込む光や色を楽しんだことはありませんか?
何年たっても大事な宝物のような、本を開けばいつでも旅を始められる、そんな不思議で素敵な物語です。
主人公の男の子が「鉱物」を食べて生きているという
摩訶不思議な内容でした。
内容的にはほんのりわずかに萌要素があるだけで、
あとはファンタジーに包まれた童話・絵本のような作品です。
「おじさん×無垢な年下受け」っぽい匂いがして、
なんかこう、妄想がかきたてられて萌萌しました。
ページ数は一冊にまとめるには若干少ないように感じますが、
この手の内容は余計な同時収録作品を入れるより、
同じ作品でまとめたほうが、
一冊の絵本のようなまとまりが出て、
雰囲気が出て良いなと思います。
自分の友達に「石」が好きで、
天然石を集めている友達がいるのですが、
私は石とか集めないのでそこまで魅力を感じないのですが、
少年イーリスのような人が隣にいたら、
石の魅力がもっと分って、
その不思議な世界に魅了されて、
私も石に興味が持てるかも?
と思いました。
物語全体はもの静かに淡々と進む印象ですが、
その中に動の部分もあり、
淡々としているようで、
起伏もしっかりあります。
今回も丁寧につづられた言葉や絵が、
素晴らしい作品でした。
とても好きな作家さんで、新刊が出れば必ず購入していますが、正直BLとして好きかと云われると微妙な感じです。
主人公が女の子だったら、もう一人との関係性の意味合いが違ってしまい興ざめなので男の子でいいのですが、だからといってBL的な萌えも私は感じていません。お話も淡々としていて、ものすごい展開やどんでん返しもないです。
でも大好きなのです。
この作者さんの作品は雰囲気や装丁が好みなので、毎回読んでいて心地がいいです。
作者さんはご存じないそうですが、長野まゆみの初期がお好きな方にはとても合うと思います。
多分、こういう作家さんたちの共通点は、宮澤賢治から派生する「物」萌えではないでしょうか。
鉱石、植物標本、木造校舎の理科室等、こういう単語に理由なくときめく人達にしか分からない世界なのかもしれません。
なので、全く範疇外の方には、かなり「趣味じゃない」ですよね、きっと。
自分は範疇内なので大好きですが。
作品評価的には萌×2ですが、BLとしては萌で。
作者さんの作品では、私は「爪先に光路図」が一番話としてもBLとしてもバランスよくて好きです。