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今号で特に注目したのは、琥狗ハヤテさん、文善やよひさんの空想物。会川フゥさん、厘てくさん、絵津鼓さんの現代物など。
★会川フゥ「再来年デートしましょうね」第1話(32頁)
「虎次さんのことが好きなんですが」のスピンオフ。
店長の辰兄とアシスタントの兎三(うみ)のお話で連載開始です。
第1話は、店のスタッフと一緒に店長のアルバムを眺めるところから、兎三の回想シーンが始まります。
昔の兎三は暗く無気力で、日々を退屈に過ごしてるだけの学生でした。
現在の明るく人懐こい兎三とはまるで別人。そんな彼が、今のように変わるきっかけが何だったのか。辰一との出会いの経緯などが描かれてました。
★琥狗ハヤテ「メルヘン」第1話(26頁)
本誌の表紙の作品です。新連載です。
この表紙が作品のイメージそのままの感じで、二人の性格と関係も表してるみたい。話の中でもほぼ同じ構図の二人が見られます。
ウサギの耳と角がある男がサキム、金髪の青年はギィと呼ばれていました。
欧州の寓話を取り入れた、陰鬱で薄暗い世界観。今回は「赤ずきん」に因んだお話になっていました。
サキムはギィの役に立つと御褒美がもらえるシステムらしいです。今回はちょっぴりしか貰えてないと文句いってましたが。
敵や獲物を蹴散らすアクションもあり、メルヘンといっても言葉の持つステレオイメージとは差があるかもしれません。
★文善やよひ「鴆-ジェン-」第1話(32頁)
古代中国の文献に登場する毒鳥をモチーフにしてあります。
なので、物語の舞台も中国風のとある国となってます。
鴆飼(ジェンウー)から武官に転身し将軍に昇りつめた弟・フェイ。
兄のランも鴆飼でした。手塩にかけて育てた鴆に殺されました。
そして、フェイの兄を殺めた鴆のツァイホン。人間の顔と体に毒々しい羽をまとった美しい妖鳥です。
フェイの目の前にいるのは兄の仇。しかしこの妖鳥は、上官の太尉に譲ることが既に決まっていました。
仇を討てない情けなさと憎悪が絡み合い、フェイがツァイホンをねじ伏せるシーンが色っぽかったです。
―― このほか「受粉」企画ショートが、現代物からファンタジーまで複数。
屈折した執着や、嫉妬や不信、身勝手ないやらしさなど多様でした。
そして、以下の作品もちょこっとだけ。
★絵津鼓「SUPER NATURAL」第1話(32頁)
冒頭から意味深なモノローグ。
美容学生の暢(ノブル)には、自然に振舞おうとしても出来なくなった友人が一人います。いつからか、彼にだけ不自然な態度をとってしまう。
仲の良い友人として、意識せずに傍にいられた頃に戻れたらと、早くこの気持ちを諦めようとするのですが・・・。
密かな想いと同時に覚えた罪悪感が、作者らしい緩やかな作風で描かれてる感じがしました。
★くも「叶結び」第2話(21頁)
まんまと転がり込んだ浪人は、商人の屋敷で身なりを整え食事にもありつけた。みな月と名乗り、商人の話し相手をするのも満更でもないが、情がうつる前に姿を消すつもりでいた。しかし、何事も思い通りにとはいかず…。
人を騙して食い物や寝床を手にしても良い気持ちはしない。そう後悔する浪人は、存外悪いやつでもなさそう。
お人好しな商人とのやりとりに心が落ち着きます。
★厘てく「マンネリしてますか?」読み切り(26頁)
倦怠期のカップルのお話。ヤマ場らしい盛り上がりはありません。マンネリを改善する努力と、幸せの再発見の繰り返しです。それが良いんです。
時間の経過で置き忘れたかつてのトキメキを、ひとつひとつ拾い上げようとする姿がステキでした。
今号は現代物とかけ離れた世界観の作品に目を惹かれました。
国や民族や王朝を曖昧にさせつつ、舞台設定をしっかり定めてたのが良かったのかなと思います。
[次回予告] 予定してる執筆陣は、会川フゥ、朝田ねむい、原作:犬時 漫画:笑平、海野サチ、海行リリ、絵津鼓、カサイウカ、カシオ、琥狗ハヤテ、くも、中井アオ、博士、ハジ、文乃ゆき、三田 織、宮本佳野、山田酉子、吉田ゆうこ、六路黒。(敬称略)