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tsuki no sabaku wo harubaru to
表題作『月の砂漠をはるばると』
高校生の勇介はある日、親友の貴之からキスをされ、想いを告げられます。
けれど、突然のことで動揺した勇介は受け入れられず、拒絶。
そのまま二人は絶交状態となり、学校を卒業…
社会人になって数年後、二人は偶然再会を果たします。
高校時代の告白を未だ忘れられず、警戒する元親友に貴之は
「あれは間違いだった。もう一度と友達をして付き合いたい」
と言って、勇介を同居に誘います。
そして、同居生活をスタートさせるも…
やはり、貴之は勇介への恋心を捨てきれていませんでした。
隠そうするも、気付かれてしまい、二人は再び離れ離れに。
けれど、物語はそこで終わることなく、勇介と貴之、
それぞれの視点で二人の本音が語られてゆきます。
切ない…
想いは同じなのに、男が好きな自分を認めることが出来ない勇介。
そして、不毛とわかっていても勇介を忘れて
新しい恋に踏み出すことができない貴之。
この途方もない宙ぶらりんな恋心にタイトルの「砂漠」がしっくりきます。
手を伸ばせばハッピーエンドはすぐそこなのに、簡単にはそうはいかない
この喉に何かがつかえたような、居心地の悪さ。
昔、親の書棚からこっそり抜き出して読んでいたこの時代の作品って
アンニュイで切なげなトーンのものが少なくなくて、読むたびに
胸がいっぱいになっていました。
やっぱりハッピーエンドは偉大だなって改めて感じた…
この作品、紙の本の発売が1994年って、もう、四半世紀以上前の作品なんですね。
電子化されたのも2012年で、それすら10年前!
なので、カバーイラストから既に、キャラのお顔やファッションに時代を感じます。
ストーリーもセリフに頼った雰囲気BLといった趣で、物足りないかもしれません。
でも、それはそれで、この尖った顎や、まつげバシバシの目元、肩パッドののジャケットにタックのパンツといったビジュアルと共に、その時代の生のパッケージ感が味わえて、その時代の物としての、むしろ資料的な価値があるかなって感じです。
絵はちょっとあれだけど話面白いよと勧められたんですが、絵柄が…絵柄がどうにも駄目でした。
絵が苦手でも話が面白ければOKOKなんですが、この絵柄はあまりにも好みに合わな過ぎましたー。
ええとですね、短髪系が宝塚の男役にしか見えないんですよ。表現が悪くて申し訳ないですが目がゾウリムシみたく睫毛バシバシなのです。
短髪じゃなかったらまだ耽美系として許容範囲だったんだけどなあ。
あとがき見たらなんとレディースコミック誌に連載されてたそうで、思わず納得しちゃいました。
でもこれを掲載するレディコミ誌も凄いなーってレディコミ全く読んだ事無いのに言ってますが。
短編集で話はどれも面白いんですよねー。なので絵柄の問題さえクリアしてしまえば萌でした。
表題作は高校時代、貴之に告白された勇介でしたがそれを断り、数年後再会してもうあれは過去の思い出だからって事で流れで同居を始めるのですが、隣室で眠る貴之の寝言は毎夜彼への愛を呟いてます。
それに耐えきれず同居は解消、けれど実は最初に寝言で愛の言葉を漏らしたのは勇介の方。
勇介はそれを知らず、貴之はそれを言わず、貴之は他の男に勇介はもう諦めて自分と暮らして恋人になろうと言われますが「やっぱり不毛が好きだから」と断ります。
勇介と二人で砂漠を歩く方を選ぶんですよねー。
2人きりで広い夜の砂漠を歩き続けるラストが良いです。
他作品も読み応えがあって、話的にはオススメです。ただ絵柄がなー。
迷ったんですがやっぱ中立で。話だけなら萌、絵柄マイナスで中立。