江名
moyorieki kara
小学校からの同級生、だけどほとんど喋らなくて、
高校になって、同じ学年で、同じ学校へ、同じ最寄り駅から通う、
それがふたりだけだったので、話すようになる。
といっても、基本沈黙が長い。
話しても、たいして深い話も、楽しい話もしないし。
片方はゲイで、
それを秘密にして目立たないように生活してる子。
そのゲイの子は、一緒に学校に通っているその相手のことを、
少し好きだったのかもしれない、と思う。
でも、高校を卒業したら、
誰も知らない場所の大学に行きたいと思ってる。
駅のホームに立つと思うのは、
いちばん遠くへ行ける電車に乗りたい…そんなこと。
自分の性癖など誰も知らない、誰の迷惑にもならない、
そんな場所へ行きたいと。
でも、思いがけず、
実はゲイなのもずっと前から知っていたという、
一緒に通学しているその相手の言葉で、
見えていた世界、望んでいた未来が、変わりそう。
「大学、同じところに行く、家出るならルームシェアしない?」
線路の先にある、ふたりの未来はどんな風だろう?
「牛」駅で、実はゆっくり育っていた恋のお話でした。
キスもないけれど、それが初々しい高校生を感じられていい。
歩田川さんらしい、味わいのある1冊でした。
※ なぜ「牛」駅なのかは、よく分かりません~
ゆっくり、なイメージだからかな??