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getsuei
SHOOWAさんの作品は作家買いです。
表紙が色鮮やかなことの多いSHOOWAさんですが、今回は大人しめで手にとりやすいですね。
5編収録です。
表題作の『月影』は切ない!
廓のお話ですが、うひー、わたしヘタレなのでこういう悲恋は苦手なのです。
時々、SHOOWAさんはこの手の描かれますが、ジーンと心に染みますが悲しくなってしまうー。
『ホモ連戦隊〜』は、異星物組織なのに有限会社って!
このノリ大好きです。
精一杯の精だけ漢字って、妙にイヤラシイ…(笑
SHOOWAさんお得意のコメディ。
えっちもこのお話が担当してるって感じです。
『罪隠し』は丸ヤもの。
多分若頭であろう恩田と組長の息子。
ふたりの直接の体の関係はありませんが、心は求めあってるような。
こちらも切ない系です。
セリフが少なくて、小説で言うなら行間を読むような。
この感じ、大好きです。切ないけど…
『ジュグリノ・ジュグノ』はファンタジー世界の運び屋のお話。
警部が攻めだと思っていたので、SHOOWAさんのこりゃ珍しいビジュアルの攻めだなあと思っていたら違いました!
この警部が笑かすのです。
やー、警部アホ過ぎでカップルふたりよりも濃かった(笑
『逃げ水』は表題作の続きです。
数年後のお話で戦争ものでした。
清人を身請けしてくれた人も学友も良い人で、ちょっと救われた気分です。
うちの母も千葉に疎開したので、やっぱり関東では千葉は被害が少ない方だったんだなあなんて、そんなところを感心してしまいました。
切ない話の次はコメディ、そしてまたシリアス。
そんな感じの編成作品でした。
わたしはSHOOWAさんの作品はコメディでも切ない部分もあるし、シリアスでもちょっとブラックな笑いがあったりとすごく魅力を感じます。
今年は二冊とも若干切ない系の作品が発売されていますので、次は丸々コメディが良いなあと思いつつも、続きを待ってる作品もはやく出して欲しいなあと思います。
ご本人、闇鍋本とおっしゃってますが、いやいやいやいや。神以上の評価をつけたいくらいの傑作です。
どれもかなわぬ恋がテーマだったのではないのでしょうか。まさしくタイトル通り、決して手に入らない月影のように。
読み終えた後、無性にベートーベンが聴きたくなりました。
手に入らないからこそ焦がれる。そこに生まれる迷いや戸惑いや焦燥、揺れ動く葛藤が照れ隠しのようなぶっきらぼうな線で恥じらいながら、それでもあふれる思いは隠しようもなく。・・・ああ、自分の表現力のなさが口惜しい。伝わってくるものが多すぎるのです。まるで素晴らしいアートに触れた時のような。言葉にできない感性と自分自身を表現することができるSHOOWAさんは間違いなく漫画家を超えてアーティストだと思います。
画家が一つのモチーフを何度も何度も描くように、この本にもこれまでの作品にみられるようなモチーフがたくさん出てきます。心の内にある引っ掛かりを拾い出して磨き上げるように、いくつもの側面から「あなたは何?」と問いかけるように描き出されてゆくそれらは読む側の心までつかんで離してくれません。無意識に根を張ったそれらを通して、こちらまで自分の中の混沌に落ちていく気さえします。
落ちた先には、感動が広がるばかり。涙がいつまでもあふれてきて。
ちなみにこのような楽しみ方もできますが、コメディとしてもエロとしても楽しめます。視点を変えて二度三度と読み返しては新たな楽しみができるというのもすごいところ。
傑作です。
待ってました~!
切ないシリアスな作品と、SHOOWAさん特有のギャグ作品の
読み切りがミックスされた1冊となってます。
私はSHOOWAさんの切ない系の作品が好みなので、
「月影」「罪隠し」「逃げ水」には大満足です(笑)
「月影」の続きが「逃げ水」となっています。
田舎の郭の前で赤ん坊の時に捨てられた清人は14歳になり客を取らされ、
16歳で身請けされ東京へと渡る為、初恋の相手と離れることになる「月影」
東京へと連れてきてもらい医師になる為学問に勤しむ清人の2度目の恋。
しかし戦争という時代の波に翻弄される 「逃げ水」
この2作品は清人の一生を綴ったものとなっているんですが、まさに
愛がテーマですね。
山口の言うとおり清人は「本当に綺麗」だと思います。薄幸ながらも
健気で芯があるからでしょうか?
「罪隠し」ヤ○ザもののお話。ショージの小悪魔っぷり(小て感じじゃない
気もするがw)がスゴイ。恩田は屈強な外見と裏腹に繊細な性格してますね。
ショージが引っ張っていくんだろうな~と思わされる関係性でした。
私にとって満足な1冊となりました!
あと、カバー下のあとがきには吹いてしまいました(笑)
ウーーン 辛かったです。数日頭から離れませんでした。
SHOOWAさんの描かれるキャラクターの顔が好みです。
そしてイベリコよりこういうストーリー性のあるものの方が好みです。
表題と、『逃げ水』がメインストーリー
清人の自分の力ではどうにも出来ない一生がとっても切ないです。
そんな環境でも一時の恋をし、家族と孫まで出来るので、その時代の他の人たちに比べれば幸せな方なんじゃないかと思うのですが、
SHOOWAセンセイの間の取り方とストーリーの運びが清人を不幸に見せているお話です。時代物や戦争物は、その設定だけで5割増しで胸がぎゅーっとして泣けますね。
そして、最後の、清人の子供の頃のコマの破壊力がすごかった。。。
なんでこんなに胸に突き刺さるんだろう。。
辛い思い出を何も背負っていない、
この頃が人生で一番幸せだった時だったからじゃないのかな。。。
と思いました。
後ろ姿を選ぶところに、センスを感じます。目に焼き付いて離れません。
書店でジャケ初見、男娼ものかー、へぇー・・・え、SHOOWAさんの?という買い方だったんですが、いろいろ入ってオトクなSHOOWAさん本でした。
発売を知らずにいたなんぞ、不覚。
短編五話のうちの頭とケツは、表題作の前編&後編になっとります。
連投じゃなくて頭とケツに分けてあるってのが非常に効果的だと思いました。
後編最初の「私の愛を語ろうか」という言葉がとにかく忘れられないです。
この言葉が後編を単なるその後や回想じゃなく感じさせるし、前編も一瞬で包むというか刺し貫くというか、テーマが前にやって来るんです。
各キャラのことがよくわかるエピソードが描かれていて切なさアップ。
舞台でも見てみたくなる作品でした。
四話目の「ジュグリノ・ジュグノ」が西洋痛快冒険映画チックが楽しかったです。
「主演」二人の関係と正体とか、アクションとか、危機とか・・・。
あ、それと一番最後のコマとか(笑)。
イベリコ豚まつりのこの頃。
いやーこの方の才はすばらしいですなぁ。
頭の中のぞいてみたいくらい、SHOOWAさん解剖スペシャル本が欲しいくらいです。
余談ですが、ジャケの「月影」の文字の上に「THE MOONLIGHT」って小さく書かれていて、影だけどライトなんだーと思いました。
日本語だと「イク」けど英語は「come」みたいなもんかしらと思ってみたり。
実はSHOOWAさんの作品に多いあのノリ、ギャグ?といっていいのかわかりませんが、そんなにストライクじゃないんです。さーっと読み流してしまう感じ。嫌いじゃないですけどね。
でも、こちらの表題作の月影は本当に切なくて、大好きです。清人に感情移入してしまい、涙なしでは読めませんでした…。特に最後、清人が布団に突っ伏してなくシーンは…もう!!こうするしかなかったの?どうにか幸せになれないの?と切なくて切なくて、胸が痛いくらいでした。
でも、この続きの話が、短編集の最後にあるんです。憎い演出!!これがまた素敵。ありきたりですが、愛って、本当にいろいろだな、と。清人は不遇な環境に生まれたけど、愛すること、愛されることを知って、とても幸せだったな、としみじみしてしまいました。
こういう話も、SHOOWAさんの独特の絵だからこそ良くて、SHOOWAさんらしいですよね。
SHOOWA先生の作品はこの一冊しか持っていません。5編の短編の色が違いすぎて、次はどれに手を出してよいのか決められず今に至ります。
・『月影』
『月影』はBLの廓ものとしてはよくある設定ですが、ストーリー運びがすごかった。こうなるんだろうなってわかっているのに泣けてしまう。清人が何度も口にする「先生」「せんせい」の呼びかけが、時にグサリと時にはチクリと切なくて、いつもはBLの「先生」という台詞には萌えまくりなのに、清人の「先生」にはただただ泣いてしまいました。
そして先生のモノローグ「全身が、痺れたのだ、指先まで」のところで、読んでいるこちらまで痺れてしまい、そこから物語の最後まで息を止めて惹き込まれた。
・『逃げ水』
「私の愛を語ろうか」から始まり、無邪気で幸せだった子供の清人の姿で終わる物語。清人の生涯を綴ったこのお話で『月影』が昇華しました。
『月影』『逃げ水』はモノローグが中心となった物語です。饒舌に語られるモノローグがやけに静かで、いつもは読みながら物語に合った音楽とか、自分の心の声が脳内に響くのですが、私の脳内もすっかり無音になりました。
「私はまた新しい愛を知る」、どんな困難にあってもこんな人生を歩むことが出来た清人に、人生って素晴らしいなぁと心から思えるのです。
・『罪隠し』
こちらは対照的にモノローグがまったく無い構成です。漫画家は絵と台詞で魅せてこそと言わんばかりの迫力です!これはすごい。正直なところSHOOWA先生の絵柄は好みではないのですが、こんな作品を読むとやはり他の作品も読んでみたいと思います。
・『ホモ連戦隊守るんジャー』と『ジュグリノ・ジュグノ』
表題作を読んだ後に『ホモ連戦隊守るんジャー』。あまりにテイストが違いすぎて戸惑い、まったく頭に入ってこないまま読み終わってしまい、しばらくしてから読み返したら面白かった。なぜ同時収録したのかと思います。『ホモ連戦隊守るんジャー』と『ジュグリノ・ジュグノ』は別に読んだ方が絶対に面白いです。普段SHOOWA先生を読みなれている方は違うのかな!?
振り幅の広い短編集。時間をおいて何度も読み返して『神』を付けます。さて、次はどのSHOOWA作品を読んでみようか・・・。
「ニィーニの森」もだけど、SHOOWAさんの作品は描かれているものがデカ過ぎるのですよ。
BL読むぞ!の姿勢で読むと上澄みだけすくって終わりになるので、もういっそ端からBLとは思わないで読む方が楽しめます。
BLの皮を被った人生哲学本ですね。
『ホモ連戦隊守るんジャー』で描かれているSHOOWAさんの考え方が目からウロコで感心しました。
「ニィーニの森」同様、キャラ達の会話がグサグサ刺さります。
極論で厭世的に生きる守衛のジョリーさんのような生き方もあれば、自分の正義を信じて疑わないブラックのような生き方もあるし、矛盾に気付いて自分の思う正しい道へ進もうとするブルーの生き方も間違ってはなくて。
確かになー成る程なーってなったところで、
「バラバラだと思っていた俺たちの心は一つだった」
最後にこのモノローグですから、これには思わず鳥肌が立ちました。
いやーSHOOWAさんすげーなと。
この方はおバカテイストな作品もホント侮れません。
集団社会の縮図のようなヒーロー5人のキャラ設定も面白いんですよね。
本来チームをまとめて率先して引っ張ってく役割のリーダー格(レッド)が「中間管理職」なんですよ。リーダーと言えば聞こえがいいのをわざわざ中間管理職とした上で、レッドがいかにも中間管理職って感じのキャラなところに「リーダー」に対するSHOOWAさん流の皮肉を感じます(笑)
イエローは客観的に見ると自己中で最低な奴に見えますけど、一番人間的なタイプですね。
表題作は、『月影』だけならただの切ない悲恋モノですが、そこで終わらず『逃げ水』を足されているところにSHOOWAさんらしさを感じます。
「人生は愛と死 / don't cry 愛死合おう」とメメント・モリの精神を歌う大好きな曲があるんですが、それが読んでる間ずっと頭の中で鳴ってました。
この作品に込められている「絶望しても生き抜け!」というメッセージは「ニィーニの森」とも繋がりますね。
「私の愛を語ろうか」と始まり、走馬灯のように見せられるギュッと凝縮された清人の一生に、生きるってこういうとなんだなと改めて実感しました。
最後の1ページにはこみあげるものがあります。
『罪隠し』は、この作品集の中では唯一ストレートにラブストーリーです。
しかしながら恐ろしく歪んでます。
昼ドラすら軽く超えるドロドロさ加減に思わず震え上がりました。
すげーなこの息子((((;≡д≡;i))))こえーよ!!!
これはもう何を書いてもネタバレにしかならないのでこの辺で。
読んでみるのが一番です。
この先この二人はどうなっちゃうんだろ…
『ジュグリノ・ジュグノ』は、違法物資を運ぶ運び屋と彼等を捕まえたい刑事の話。
ルパンととっつぁんみたい(笑)(因みに刑事の名前はA-キチ)
これはもうさくっと面白い感じで、ある意味平和な1編です。
BL的には、主人公(ジュグノ)×相棒(ピルシェ)に刑事(A-キチ)の横恋慕って図です。
トーンに落差のある色んなお話が入っていてアップダウンは激しいですが、それもまた良しではないでしょうか。
今年のBLアワードで最も辛い作品に選ばれていたので買いました。たしかに辛かったです。前半が終わって「あれ?そんなに辛くない…?」と思ったら後半で心が粉々になりました。直球のバッドエンドではないところがまた悲しさを引き立たせます…!でも、後味の良い作品だとも思います。清人は二度恋路を絶たれますが、最終的には色々な愛を知ることができ、家族にも恵まれます。本人が望んだ最良の結末ではないものの、一つ見方を変えればハッピーエンドにもなります。なので読んだあと、心が温まりました。辛いことには変わりないんですけどね…!じわじわくる辛さで読み終わった後一時間後に気づいたら泣いてました…。そんな悲しさです。
守るんジャーもぶっ飛んでましたが、月影の後に読むと心が救われます(笑)
まとめると、月影は切ない作品が読みたいときにオススメです!
清人の一生、過酷な状況の中で生まれ育ってきたけれど、それでもその過程で色んな形の愛を受けてきたんだな…拾われて、年上の男を好きになって男娼になって、戦時下に友人と恋をして、死別して、走馬灯のように今まで愛し愛された人との思い出がよみがえる場面で思わず涙。戦争ものは、涙腺が崩壊してしまいますね。最期、幸せそうに逝けてよかった…。
そしてかと思えばSHOOWAさんらしいギャグテイストな漫画も間に挿入されていて!ふり幅が凄まじい、さすがです。奇抜で独特な世界観を楽しませてもらいました。